離婚届ってどう書けば良いの?離婚届用紙の入手方法・書き方・提出時の3つの注意点
離婚はお互いの合意によって成立するというのは半分正しいのですが、離婚届の提出が必要です。離婚届を出さないと法律上の離婚が認められず、再婚の際に重婚となる恐れがあります。
この記事では離婚届の書き方や知っておくべき注意点について紹介します。新生活の第一歩ですからスムーズに手続を行いましょう。

離婚届用紙の入手方法〜離婚届は全国共通?〜
離婚届の入手方法(1) 市町村役場の戸籍係で入手
離婚届は全国の市町村役場に設けられている戸籍係でもらうことができます。離婚届を入手する際は特に身分証明証などは必要ありません。
離婚届をもらえる時間帯は?
離婚届を市町村役場の窓口でもらおうとした場合、開いているのがほとんどの役所で午前9時から午後5時までなので注意が必要です。(そうでないところもあります、直接確認されることをおすすめします)
離婚届の入手方法(2) インターネットでダウンロードする
役所に行く時間がない場合でも自治体によってはホームページから離婚届をダウンロードできます。
ぜひ有効活用しましょう。
また、お住まいの自治体で離婚届のダウンロードができなくてもダウンロードした離婚届は他県のものであっても使用することができるのです。細かい部分は異なりますが基本的なフォーマットは同じですので項目が違う、ということもありません。その際は○○区(市)の部分を二重線で修正する必要がある場合があります。
ただし、全ての役所がダウンロードした離婚届を認めているわけではないので、必ず事前に確認するようにしてください。
離婚届は全国共通なの?
少しお話ししましたが、離婚届は完全に全国共通なものを使っているわけではありません。
ですが離婚届は全て法律によって定められているので中身については全国共通のものです。ですから全国共通の離婚届を、例えば札幌市の離婚届を栃木市でも台東区でも使うことは可能です。
正確に言えば離婚届の用紙は市町村役場によって異なるけど、どこの書式のものを使ったとしても提出することは可能であるということです。
離婚届の書き方
離婚届はただ名前と日付を書けば良いというものではないため、事前に書き方を知っておくことがおすすめです。
こちらは法務省が公開している記入例です。こちらもご参考にしてください。
(出典:法務省)
届出の日付
離婚届を書く際は、記入する日ではなく届出の日付を記入する必要があるので慎重に記入してください。
ただし、何らかの事情で調停離婚や離婚審判、裁判離婚になる場合は、離婚が確定した日から10日以内に提出しなければなりません。
氏名と生年月日
続いては、離婚する人の氏名と生年月日の記入です。氏名欄には婚姻中の姓を記入してください。夫婦それぞれが署名し、さらに生年月日も記入します。
ここで重要なのが戸籍通りに書くことです。いつも苗字や名前を略字で書いている方は、必ず戸籍に記載されている旧字体を書くようにしてください。
住所・世帯主・本籍
離婚届には、住所・世帯主・本籍を書く欄が設けられています。そのため、住所と世帯主は住民票に記載されている内容を書くようにしてください。
本籍については戸籍謄本で確認ができます。上記の書類を必ず確認したうえで記入しましょう。
婚姻前の氏に戻る者の本籍
嫁入り、婿入りしており、離婚後戸籍に変更がある方は、「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄を記入します。
この欄では、「もとの戸籍にもどる」、または、「新しい戸籍をつくる」のどちらかにチェックを入れ、本籍地と筆頭者の氏名を記入しましょう。
新しい戸籍をチェックする場合、日本全国の地番がついている場所であればどこでも本籍地にできます。筆頭者欄は、新しい戸籍を作る場合のみ戸籍が変わる方が筆頭者になります。
ただ、子供がいる方は混乱を避けるため、婚姻中の氏(名字)をそのまま継続して名乗ることも可能です。
その場合、離婚成立後3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出しましょう。
未成年の子の氏名
未成年の子の氏名欄には、夫婦に未成年の子供がいる場合、夫婦のどちらが親権者になるのかが決まった後に記入します。
同居の期間
同居の期間欄には、同居を開始した日から別居するまでの期間を記入します。正確な年月がわからないときは、大体の日付で構いません。
離婚後もしばらくの間、同居することが決まっている場合「別居したとき」欄は空白で提出しましょう。
別居する前の住所や世帯主・主な仕事
離婚届を出す際、すでに別居している方は、「別居する前の住所」欄に記入します。ただし、別居していない場合は記入する必要はありません。
国勢調査をする都市の4月1日から翌年3月31日までの間に離婚届を提出する場合、「世帯主・主な仕事」に記入してください。
6つの項目で一番近いものにチェックします。内容については、特に正確である必要ありません。
その他
離婚届を記入する際、以下の内容に該当する場合は記入する必要があります。
- 夫または妻の一方が養子縁組をして、実父母以外に養父・養母または養父母が
- 夫・妻の両方が養子縁組していて、実父母以外に養父・養母または養父母がいる
未成年の子がいる場合
「未成年の子がいる場合」には、面会交流と養育費について取り決めをしているかどうかをチェックしてください。
取り決めをしていない場合でも、離婚届は受理されます。しかし、取り決めなければ離婚後にトラブルに発展する恐れがあるので注意しましょう。
届出人の署名押印
離婚をする夫婦は、離婚届の欄にある届出人の署名・押印をする必要があります。この欄については、代筆は許されず、必ず本人が署名・押印しましょう。
印鑑は認印でも提出できますが、ゴム印を押して提出してしまうと無効になるので注意してください。
証人の署名押印
協議離婚の場合は、成人(18歳以上)2名の証人が必要です。証人には、署名・捺印・生年月日・住所・本籍地を自筆してもらいましょう。
証人は成人であれば誰でもなれますが、離婚する夫婦の親兄弟、親戚、友人、知人に頼むのが一般的のようです。
離婚届提出時の3つの注意点
ここでは離婚届を提出する際の注意点について記載します。
離婚時の取り決めはきちんと決めておく
離婚届を提出し受理されると離婚が成立します。
しかし、離婚をする状態になっているということは互いの関係が冷え切っていることが多く、話し合うこともほとんど無いこともあるでしょう。
しかし、離婚後のトラブルを避けるためにも、離婚時の取り決めはしっかりとやっておきましょう。
- 財産分与
- 面会交流
- 養育費
- 年金分割
- 戸籍
- 慰謝料
財産分与
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で貯めた財産を、離婚の際にそれぞれに分配することをいいます。
夫婦は結婚後、2人で預貯金を作ったり、自動車や不動産を購入したりするでしょう。離婚する際、上記の財産は、原則として2分の1ずつ清算します。
面会交流
親権を持たない親が子供と直接の面会、手紙や電話での交流、誕生日プレゼントの送付ができる権利が面会交流です。
離婚する双方で、面会交流の可否やその方法、回数、日時、場所について詳細に決める必要があります。
養育費
養育費とは、子供の監護や教育のために必要な費用です。
一般的には、子供が成人を迎える年齢まで、衣食住に必要な経費、医療費、教育費などを非親権者が支払います。
養育費は、子供の権利です。離婚後、子供に辛い思いをさせないよう、しっかり取り決めましょう。
年金分割
年金分割とは、離婚した際に、夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金や共済年金を分割して、それぞれ自分の年金に挿げ替えることができる制度です。
年金分割の期限は、離婚が成立した日の翌日から2年です。
戸籍
婚姻時、相手の姓を名乗っているのであれば、戸籍から抜けて旧姓に戻ります。。
ただし、離婚後も婚姻中の名字を使っていた方が便利という場合には、婚姻中の名字を使い続ける届出をする必要があります。
届けを提出できる期間は、離婚の日から3か月以内です。
慰謝料
夫婦の一方が不貞、DV、夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務違反等をした場合の精神的苦痛に対して支払われるのが慰謝料です。
上記のような理由で離婚をした場合、しっかりと協議し、有責側に支払ってもらいましょう。
記入ミスをしたときは?
離婚届を書いているときに、記入ミスをしてしまった場合は、間違えた箇所に二重線を引きます。
そして、欄外に、署名・押印欄に押印した印鑑と同じ印鑑を訂正印として押します。協議離婚の場合は夫婦双方の印鑑が必要です。
離婚届の記載に小さなミスがある場合、役所の担当職員が訂正してくれるケースがあります。
書き間違いや訂正がない場合でも、捨印を押しておくとよいでしょう。
離婚届の提出方法と必要書類を知っておく
離婚時のトラブルを避けるためには、離婚届の提出方法と必要書類を事前に把握しておく必要があります。
まず、離婚届の提出先ですが、各市区町村の役場の戸籍を扱う窓口になります。提出方法は、窓口に直接夫婦揃ってまたは、どちらか一方が直接提出します。
市区町村役所がしまっている時間でも、休日夜間受付窓口で離婚届を提出することができます。
しかし、休日夜間窓口を利用するとその場で内容を確認せず、後日、担当者が確認する形になってしまいます。
万が一、不備があれば窓口に出向いて訂正する必要があるので注意しましょう。
郵送でも離婚届を提出できますが、記載内容に不備があった場合は、休日夜間受付窓口同様、後日役所に出向いて訂正しなければなりません。
特別な事情がなければ、窓口に直接持ち込みましょう。調停あるいは裁判での離婚は、確定後10日以内に離婚届を提出する必要があります。
また、離婚届の提出は代理人に依頼することもできますが、不備があった場合、本人の訂正が必要です。必ず提出前に確認してください。
離婚届を提出する際は、以下の書類も必要になります。
- 本人確認ができる免許証・マイナンバーカード・パスポート(裁判離婚時は不要)
- 判決離婚時、判決の謄本と確定証明書・各1通
- 調停離婚時、調停調書の謄本・1通
- 審判離婚時、審判書の謄本と確定証明書・各1通
再婚禁止期間と離婚届
元夫と離婚をした日から再婚するまで100日間空けなければならない、女性にのみ定められた再婚禁止期間があります。
離婚が成立した日から100日経過・未経過で子供の親権が再婚者なのか元夫なのか変わります。
そのため、女性が離婚直後に出産した場合、元夫と子供の親子関係を調べるようにしてください。
勝手に離婚届を出されたら?
万が一、相手方の配偶者に何も知らされていない状態で離婚届の提出であっても、過去に自筆したものであれば、役所は受理し、離婚は成立してしまいます。
相手が勝手に離婚届を提出しても受理されないように、離婚不受理申請するといいでしょう。
ただし、相手が離婚届を偽造した場合には、協議離婚無効確認の調停や訴訟を提起して、離婚を無効にしてもらう必要があります。
まとめ
離婚届は大切な書類ですから、よく考えた上での記入をしましょう。離婚届の書き方についてわからないときは行政へ、協議内容や離婚届をめぐる夫婦間トラブルでお悩みの時は離婚問題に強い弁護士へご相談ください。
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