親権・財産管理権・身上監護権とは?親権者を決めるまでの流れ
親権とは何か説明できますか?離婚を真剣に考えるときに親権者を決めることは不可欠です。この必要性は、子供のためを思ってという以上に、離婚届の成立条件に親権者を決めておくことがあるからでもあります。親権と一口に言っても法律的には複雑ですので今回はこの親権について紹介していきます。離婚した後も子供と一緒にいたいとお考えの方には必読の記事です。

目次
親権とは?
親権とは文字通り、子に対する親の権利を意味しています。離婚と親権は切っても切れない関係です。
より正確に言えば、「養育者」としての父母の地位・職分から流出する権利義務の総称が親権です。
したがって親権者は必ずしも血縁関係にある必要はないのです(833条・867条1項)。
また親権は「財産管理」に関する権利と、「身上監護」に関する権利の二種類に分かれます。
以下に詳しく見ていきましょう。
より正確に言えば、「養育者」としての父母の地位・職分から流出する権利義務の総称が親権です。
したがって親権者は必ずしも血縁関係にある必要はないのです(833条・867条1項)。
また親権は「財産管理」に関する権利と、「身上監護」に関する権利の二種類に分かれます。
以下に詳しく見ていきましょう。
親権と財産管理権

はじめに財産管理権に関してみていきましょう、今回は財産管理権とそれに付随して親権者が有する権利に関しても挙げていきます。
1 財産管理権
親権者は未成年者(以下、子と記す)に対してその財産を管理する権利を有します(824条)。
この管理権はただ管理するのみならず、利用や処分などの行為も含みます。
しかしこの権利は「自己のためにすると同一の注意」を必要とします(827条)。
したがって子の財産を大切にすることが基本的にもとめられます。
子どもの権利条約などの影響もあり、子の幸福のために財産管理を肩代わりし、子が成年に達した時には財産の決済をすることが義務付けられています(828条)。
この管理権はただ管理するのみならず、利用や処分などの行為も含みます。
しかしこの権利は「自己のためにすると同一の注意」を必要とします(827条)。
したがって子の財産を大切にすることが基本的にもとめられます。
子どもの権利条約などの影響もあり、子の幸福のために財産管理を肩代わりし、子が成年に達した時には財産の決済をすることが義務付けられています(828条)。
2 財産に関する法的行為の代表権と同意権
親権者は本人の同意を得たうえで子の行為を目的とする債務契約を結ぶことが出来ます(824条但書)。
例えば子の望む高度な教育のためのローンなどの際、親権者は子の法定代理人として契約を代表することが出来ます。
また子がみずから起こす法律行為に関して親権者は同意する権利を有します(4条・5条)。
例えば子の望む高度な教育のためのローンなどの際、親権者は子の法定代理人として契約を代表することが出来ます。
また子がみずから起こす法律行為に関して親権者は同意する権利を有します(4条・5条)。
3 職業許可権
親権者は子が就労する際に許可を与える権利を有します(823条)。
さらに職業を営む際の制限や取り消しに関する権利も親権者に付与されています。
この際、「職業」を6条の「営業」と同一視するか否かで法解釈が分かれるのですが、現在の通説ですと子が他人に雇用されるような広義のケース(アルバイトなど)も「職業」に含まれると解釈されています。
親権と身上監護権
次に身上監護権に関してまとめていきましょう。
この権利は特に「子供と一緒に暮らす」上で重要な権利です。
この権利は特に「子供と一緒に暮らす」上で重要な権利です。
1 監護教育権
親権者は子を肉体的・精神的に育成されるように働きかける義務を負い、同時にその方針の決定に関する決定権を有します(820条)。
この権利は一般的に言う親権のイメージにかなり近いのではないでしょうか。
以下の二つは子の権利の具体的なものだと理解されています。
この権利は一般的に言う親権のイメージにかなり近いのではないでしょうか。
以下の二つは子の権利の具体的なものだと理解されています。
2 居所指定権
「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。」(821条)と定められているように親権者は子の居所を指定・決定する権利を有します。
さらに具体的に言えばこの規定によって身上監護権を有るものが子とともに過ごすということになります。
さらに具体的に言えばこの規定によって身上監護権を有るものが子とともに過ごすということになります。
3 懲戒権
親権者は子の健全な人格形成に必要な懲戒(しつけ)をする権利を有します。
さらに子の素行が極めて不良であり家庭裁判所が許可する場合は必要な範囲内で懲戒場に入れることが出来ます(822条)。
しかし、もし必要以上の懲戒であった場合には重大な親権喪失事由とみなされます(834条、児福33条の5)。
さらに子の素行が極めて不良であり家庭裁判所が許可する場合は必要な範囲内で懲戒場に入れることが出来ます(822条)。
しかし、もし必要以上の懲戒であった場合には重大な親権喪失事由とみなされます(834条、児福33条の5)。
親権者を決めるまでの流れ【協議→調停→審判】
それでは実際に親権者が決定されるまでの流れを確認していきましょう。
親権者決定の手順においては法的な第三者の存在が重要なものとなります。
親権者決定の手順においては法的な第三者の存在が重要なものとなります。
協議の段階
まずは話し合いです。
特にお互いの意見による「協議離婚」の場合には、話し合いによって離婚届の提出以前に親権者を決定することになります。
そもそも親権者も同時に決めないと離婚はできません。
なぜなら離婚届には親権者を記載する欄が設けられており、親権者を記載しなければ離婚届自体を,役所で受け付けてもらえないからです。
特にお互いの意見による「協議離婚」の場合には、話し合いによって離婚届の提出以前に親権者を決定することになります。
そもそも親権者も同時に決めないと離婚はできません。
なぜなら離婚届には親権者を記載する欄が設けられており、親権者を記載しなければ離婚届自体を,役所で受け付けてもらえないからです。
調停の段階
当事者間の話し合いでは折り合いがつかない場合、弁護士や裁判所を介して離婚調停を行います。
この段階でも両者の合意形成に至らない場合には離婚訴訟を起こして離婚条件の調整を行うこととなります。
この段階でも両者の合意形成に至らない場合には離婚訴訟を起こして離婚条件の調整を行うこととなります。
審判の段階
最終的には裁判所が判決という形で親権者を決定することとなります。
この決定には法的な拘束力が付きますので、よほどの重大な親権喪失事由が認められない場合には覆ることはありません。
この決定には法的な拘束力が付きますので、よほどの重大な親権喪失事由が認められない場合には覆ることはありません。
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親権・財産管理権・身上監護権とは?親権者を決めるまでの流れのまとめ
ここの記事で親権の内容と親権者の決定手順がわかってきたと思います。
しかし、何が本当に子どものためになる決断なのか、どうしたら離婚当事者のみならず子供の幸せも尊重されるのか、こういったことはなかなか当事者には見えてこない問題です。
円満な解決には離婚問題に強い弁護士という味方が必要不可欠です。
困ったときには迷うことなく早めの相談が必要です。
<参考>
・大村敦志、『民法解釈ゼミナール.5』、東京、有斐閣、1999年12月.
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