離婚の準備、どこまでやれば安心できる?
離婚によって相手の扶助を受けられなくなった時、あなたの生活は苦しいものになるかもしれません。離婚後も身の安全を守れるようにしっかり準備をしましょう。いざという時は弁護士があなたの助けになりますよ。

思い立ったが吉日という言葉があるとしても、「離婚しよう」と切り出すのは一旦お待ちください。配偶者と離れる以外に、考えるべき問題はありませんか?
特に気をつけるべきは、お金と子供と、離婚の実現性です。
例えば、相手が動転して泥沼の離婚問題に発展したり、逆にすぐ合意されてあなたが無一文の生活になってしまったり、段取りひとつで人生が狂ってしまうことは珍しくありません。
この記事では安全かつ納得のいく離婚を進めるために必要な準備と考えるべきポイントを解説いたします。
・準備せずに離婚するとお金で苦しむ可能性が大きい。
・離婚の切り出し方を間違えると泥沼化する。
・円満な離婚は、入念な準備で実現しましょう。
想像してください。急に「離婚しよう」と切り出したらどうなるか?
離婚したい、このままの人生で終わりたくない…勇気を出して離婚を切り出そう!
その決心は尊重しますが、どんな決断にも準備が必要なのもまた真実です。急に離婚を申し出て、その場で離婚が成立したら夫婦は他人になります。一方で夫婦は原則として合意なしの離婚はできません。
想像してください、あなたが「離婚しよう」と配偶者に電話したら何が起こるのか?
相手が動転して泥沼の離婚争いに
ひとつは、相手の気が動転して全く離婚に応じてくれない場合です。離婚という衝撃に耐えられない、自分から離れようとする相手を認めたくない、そんな気持ちで激しくあなたに反発することが予想されます。
円満離婚が望ましいと言われるのは、お互いが相手方に配慮して冷静に話し合える関係を継続できるからです。段取りよく進めれば受け入れられた離婚が、感情のもつれで泥沼化するのはあまりに残念です。
合意となった場合も思わぬトラブルが…
逆に相手もその気になって、あっさり合意されてしまうことも考えられます。願ったり叶ったりと思いますか?それはとても危険な思い違いです。離婚するとお互いが他人になってしまいます。相手との繋がりから解放される一方で、相手方に協力を求めることが不可能となってしまいます。
資産や収入が少ない方は、生活そのものに支障が生じかねません。特にシングルマザーとなる場合は、子育てをしながら生計を得ることが難しいケースが多いです。
「離婚後も何かあったら助けてくれるだろう」とか「あとで養育費や財産分与を請求すればやっていけるだろう」と言った考えも良くありません。なぜなら、相手方が十分な財産を持っていると限らないし、養育費も踏み倒される可能性があるからです。なお、養育費については、公正証書を作成したり、裁判手続きを行えば、回収できる可能性が高まりますが、離婚後にそのような手続きを行うのはとても手間が掛ります。
まずは、心の準備から
何よりも最初にするべき離婚の準備、それは「心の準備」です。冷静に段取りをして、離婚後の生活まで見据えた上で離婚を切り出すことで明るい第二の人生へ踏み出せます。
一方で衝動に任せて離婚したいと考えている状態は心の準備ができていると言えません。夫婦関係の解消に伴い発生する問題に備えられていないし、何より離婚は結婚の何十倍も精神的負荷がかかります。
まずは一旦冷静な気持ちを取り戻し、「離婚せずに今の悩みを解決できないだろうか?」を考えてみましょう。本当は離婚したくないという気持ちがあれば、踏みとどまることをお勧めします。逆に、離婚したい気持ちが強まったなら次で紹介する離婚の準備を進めていきましょう。
あなたは、どんな人生を歩みたいですか?離婚することでどのように未来が変わりますか?
離婚を切り出すその日まで、どんな準備をすればいい?
あなたが、離婚をするにあたって備えるべきリスクは次の2つです。
- 離婚に応じてもらえず泥沼化する
- 離婚してすぐお金や子育てに困ってしまう
どちらも恐ろしい未来ですが、逆に言えばこれらを避けるための準備をしっかりすれば、より良い離婚を実現しやすくなります。離婚を切り出す日までどんな準備をすべきか、見ていきましょう。
1人で生活するための準備
あなたが生活するための基盤を作りましょう。扶養に入っていた場合も、再就職が必要になるでしょう。仮に働くことが難しい場合でも、何らかの保護を受けるための手続きが必要です。特に専業主婦の方は、離婚後の生活苦に陥りやすいので経済的な自立を手に入れることを最優先に動いてください。
ご自身で財布の管理をしていない方は、収支の把握や支払いができなかったりして困る場合があります。気をつけましょう。
別居から離婚を成立させる場合は100万円貯めよう
離婚を成立させるために別居が必要な場合があります。この場合は、別居にかかる費用(引っ越し代、入居の初期費用、家具家電の購入費用等)を用意しなければいけません。離婚に向けて別居するつもりがあれば、100万円程度は貯めましょう。
離婚時にもらえるお金を確保するための準備
制度上は、夫婦で築いた財産を折半すること等を求めることができます。相手方から適切な支払を受けるためには、正確かつ合理的な計算が求められます。離婚を切り出すときに、相手方の収入と財産をすべて把握できている状態が理想です。
財産分与
お互いに築いた財産は、原則として折半で分け合います。あなたが専業主婦だとしても、夫婦の財産は「内助の功によって稼いだ財産」であるため、配偶者が築いた財産の一部を共有財産として請求することが可能です。ただし住宅ローンなどの負債も財産分与の対象となります。ここは注意が必要です。
当然ですが、共有財産は結婚した後に築いたものに限られます。独身時代の財産まで算入することはできません。
婚姻費用
離婚前までの生活費を相手からもらうことができます。よく別居した場合に問題となる婚姻費用ですが、経済的DVを受けていた場合も本来受け取るべきだった生活費を婚姻費用として請求できる可能性があります。
養育費
子どもの生活費として支払われるお金です。養育費の計算を迅速に行うためには、裁判所のホームページにある養育費算定表が参考になります。養育費を受け取るのは子どもを育てている親権者ですので、父親が子どもを養育している場合は、母親が養育費を支払う側となります。
慰謝料
離婚の理由によっては、精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求することが可能です。慰謝料で問題となりやすいのは不倫とDVです。特に民法第770条1項の法定離婚事由に該当する場合は慰謝料が高額になりやすく、不倫の慰謝料相場は80〜300万円です。
裁判になっても離婚を勝ち取るための準備
相手が何としても離婚に応じない場合、調停、さらには裁判が必要になることもあります。裁判までもつれることは、お互いにとってデメリットとなることも多いですが、相手方への悪感情が正しい判断を妨げかねません。
相手方が裁判を辞さないという姿勢であるとき、こちらができるのは裁判になっても離婚できるような準備です。
配偶者の意思と関係なく離婚が認められるには民法第770条1項にある法定離婚事由が必要です。法定離婚事由は次の5つがあります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年間の生死不明
- 強度な精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な理由
特に問題となりやすいのが不貞行為と、その他婚姻を継続しがたい重大な理由ですが行為だけでなく婚姻関係の破綻も条件となります。
証拠がなければ事実は認められない
どんなに辛い事件があっても、裁判で認めてもらうためには証拠が必要です。事実が立証できなければ、その事実で相手方を責められません。そして裁判で不利になるということは、示談や調停でも相手に対して有利な交渉ができないことを意味します。
慰謝料を請求するための準備
慰謝料も、法的権利の請求ですから証拠が必要です。精神的苦痛を受けたなら離婚の有無に関係なく請求できますが、離婚との因果関係がある場合の方が慰謝料の相場も上がります。
音声記録やメール、不倫現場の写真を収集するため、時には探偵に依頼する必要も出てきます。果たしてこの証拠で慰謝料を請求できるかどうかが不安なら弁護士に相談することが無難です。
助成金を得るための準備
経済状況によっては、公的な補助金を受けることも可能です。特に母子家庭は受けられる支援の幅が広いので役所へ問い合わせておくことが重要です。
安全な離婚のために、こんな準備もしませんか?
離婚は大変ですが、離婚の準備もそれなりの手間やコストがかかります。離婚準備に不備があったり、段取りを間違えてしまうと思わぬ悲劇に見舞われるかもしれません。より良い離婚を実現したいなら、こういった準備も効果的ですよ。
離婚の目標を決めておく
離婚が良い方向に働くか悪い方向に働くかあなた次第ですが、あなたの人生に大きな影響を及ぼします。離婚によって何を得たいのか?どこを妥協できるのか?どんな過程で進めていくのか?
離婚の段取りの正解は人それぞれです。時には遠回りすることがあったとしても、じっくり準備に取り組んでください。特に別居から始める場合は数年掛かりでの離婚計画を組まざるを得ないケースもあります。
離婚問題に強い弁護士に依頼する
当事者間で直接話し合うと、感情がヒートアップして離婚協議が進まなかったり、よく考えずに合意してしまってと大切な権利を失ってしまうことがあります。1人で解決することが難しいなら、あらかじめ離婚問題に強い弁護士を味方につけておきましょう。
弁護士は離婚を切り出すタイミングや必要な準備についてしっかりアドバイスしてくれます。いざという時はあなたの代理人となって配偶者との協議に臨んでくれます。できるだけ迅速な解決を望む場合や、DVやモラハラのせいで対等に離せない場合は力強いサポートを得られるでしょう。
離婚を切り出すタイミングはどうする?
離婚を切り出すタイミングは、ケースバイケースという他ありません。しかし、ここまでの内容をおさらいすると「離婚しても生活できるようになったら」という基準は見えてくるでしょう。
場合によっては、DVや経済的DVのせいで離婚より先に逃げる必要があります。身を守るために最善の選択をしてください。
まとめ
離婚は準備をしないと思わぬトラブルになる一方で、しっかり準備すれば望みに近い条件での離婚を実現しやすくなります。安全かつ迅速な離婚のために大切なのはお金の問題と子育ての問題を解決すること。そして、離婚争いを解決してくれる優れた弁護士を見つけることです。
カケコムは、離婚問題に強い弁護士とその日のうちに電話が可能です。ぜひご相談ください。