離婚したい人が知っておきたい、離婚理由や準備のポイント
どれだけ愛し合って結婚したとしても、結婚後に相手の嫌な面が見えてしまったり、相手に冷めてしまったり、相手が豹変してしまったりという場合があります。このような「離婚したい」が心に浮かんだら離婚の検討と準備をしておきましょう。この記事では、みんなが離婚したい理由や離婚に必要な準備を紹介します。離婚を思いとどまった場合でもきっと役に立つでしょう。

「離婚したいけど、相手が応じてくれるかわからない」
「できるだけこちらに有利な条件で離婚したい」
「親権は自分に欲しい」
そんなお悩みをお持ちの方は、弁護士に相談することでさまざまなメリットがあります。
弁護士に相談・依頼するメリット
・そもそも離婚が認められるかや離婚の条件などのアドバイスをもらえる
・養育費や慰謝料など、自分にとって有利な条件で離婚できる
・相手との交渉を代理で行ってくれる
・離婚に必要な書類を不備なく作成できる
・精神面のサポートもしてくれる
夫や妻が離婚したい!と思う理由は?
離婚に至る経緯は人それぞれですが、そこには何らかの理由があるものです。中には「こんな理由で離婚して良いのだろうか?」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。
参考までに離婚調停を申し立てた同期の司法統計(令和2年度)で上位だったものを紹介します。下の通り、男女とも性格の不一致が1位となり、他にも生活費の問題や暴力、性的不調和など様々な他人に相談しづらい悩みがあるとわかります。
以下ではランクインしている申し立て理由を紹介しますが、同居に応じない、酒を飲み過ぎるなどの申し立て動機もあります。
性格が合わない
性格の不一致は男女とも最も申し立てられている離婚理由です。しかも、毎年1位にランクインしているのですから相当に根深い問題であることが伺えます。
お互いに他人である以上、性格や価値観、行動の違いは必ず起きるものです。しかし結婚前には気づかなかった部分が明らかになったり、長年の積み重ねでストレスが溜まったりすることが考えられます。
生活費を渡さない
夫が妻に十分な生活費を渡さないことが、女性側の離婚原因として多いことが伺えます。
特に専業主婦の場合、配偶者から生活費を得られないことで困窮しやすいです。夫婦は互いに協力と扶助の義務があるため配偶者によって経済的な不利を被ることは許されません。
暴力を振るう
暴力を振るうには相手より肉体的に強いことが前提となりやすく、女性に多く見られる離婚原因です。家庭内暴力=DV(ドメスティック・バイオレンス)として知られています。
しかし、男性側にとっても女性に反撃しづらいことからDVの被害者となり得ます。いずれの場合も身の安全を守ることが最優先です。
精神的に虐待する
精神的に相手を傷つけることでの虐待も離婚理由です。モラハラ(モラル・ハラスメント)として知られています。身体に傷をつけていなくとも、慰謝料の原因となる場合があります。日常的に受けている暴言や中傷をしょうがないと思っていませんか?罪悪感を覚える時も冷静な判断が求められます。
以下はカケコムで実施したアンケートですが、精神的虐待とまでいかなくても言葉の暴力に苦しむ方は少なくないようです。

異性関係
不倫・不貞行為を理由に離婚を申立てる件数は男女ともにランクインしています。
不倫相手とのトラブルや妊娠によってさらに複雑化することも考えられます。また、男性の方が異性関係の順位が高いですが、件数を見るとやはり女性の方が配偶者の異性関係に悩んでいることがわかります。
ここまで紹介した離婚理由に該当しなかったあなたへ
以上が代表的な離婚理由ですが、中には他の人とは大きく異なる価値観を持っていたり「理由はないけど離婚したい」と思っていたりする場合もあります。
そのような状態でも、離婚したいと思われているなら、離婚を検討することは何ら悪いことではありません。実際のところ、多くの離婚は裁判所が関わらない協議という形で行われ、裁判所に申し立てられた離婚理由をみても「その他」「不詳」がそれなりに多いことがわかります。
離婚の方法と流れを知っておこう
離婚は、お互いの合意によって離婚届を提出すれば成立します。しかし、実際には離婚にあたって様々な取り決めが必要になることや、話し合いがまとまらず調停や裁判が必要になることもあり得ます。
こちらでは離婚の流れに沿って「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」をそれぞれ解説します。なお、審判離婚は、調停に代わる審判が行われた場合のみ論点となります。
協議離婚
協議離婚の場合は、お互いの合意がある場合に離婚が可能です。
離婚することの他に、養育費や財産分与、面会交流や住居についてなどを取り決めします。この際、離婚協議書に内容を残していなかったり協議内容に不備があったりすると離婚後のトラブルにつながりかねません。
【関連記事】
協議離婚とは?スムーズに離婚するため知っておくべきことをまとめて解説!
調停離婚
夫婦の話し合いでは解決ができない場合は、離婚調停を申し立てます。相手が話し合いを拒否する場合にも調停が必要となります。
調停は調停委員に互いの意見を主張し調停員と話し合いながら紛争解決へ向かいます。離婚を始め家事事件について争う場合は裁判の前に調停を申し立てなければいけません。これを調停前置主義といいます。
【関連記事】
離婚調停の流れと、いざという場合の対処法を紹介
審判離婚
調停は不成立となったが争いの範囲が小さく、裁判に進むことが大きなコストである場合に裁判所が調停に代わる審判をする場合があります。この審判によって離婚することを審判離婚と言いますが、例外的な手続きで実務上利用されるケースは少ないです。
裁判離婚
調停が不成立であった場合、または審判に対して異議申し立てが行われた場合は、裁判(訴訟)を申立てることができます。裁判では協議や調停以上に事実や証拠が問われます。
裁判では離婚の是非や内容が出された判決によって決まりますが、裁判が長引く場合や判決が出る前に妥協点が見つかった場合は和解によって裁判が終了します。
裁判離婚の場合は、法定離婚事由が認められれば双方の同意がなくても離婚が成立します。
【関連記事】
離婚裁判の流れってどんなもの?期間や費用は?
裁判所が離婚を認める条件は?
裁判にて離婚を認めてもらうためには、法定離婚事由が必要になります。法定離婚事由とは、民法770条1項に記載されている、裁判で離婚する際に必要とされる5つの離婚理由のことです。
民法770条1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
DVや浪費などはその他婚姻を継続しがたい重大な理由に当たることが考えられますが、性格の不一致の場合は認められることが難しいです。なぜなら、法定離婚事由は客観的な基準であり法的に離婚を成立させるに見合った程度であることが求められるからです。
離婚したいと思ったら準備すべきこと
慰謝料
離婚のときに一緒に発生しやすい問題として、慰謝料請求があります。
慰謝料請求ができる可能性があるのは、相手の不倫や暴力がきっかけで離婚する場合などです。
精神的な損害に対する損害賠償請求の意味合いを持ちます。
この慰謝料請求は離婚をしなくても可能であるため、関係改善を考えている方でも請求することが可能です。
また、離婚を考えている方には、離婚後の生活費の足しになるため、相手が不倫をしていて離婚したい場合等はしっかりと慰謝料請求を行いましょう。
慰謝料の相場はケースによって大きく異なりますが、だいたい100〜300万円程度といわれています。
さらに、下記のように共同不法行為が認められる場合は、配偶者だけでなく、配偶者の不倫相手にも慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の請求は、弁護士へ依頼して行うのもおすすめです。
弁護士へ依頼し、相手と交渉してもらうことで、慰謝料の増額が期待できる場合があります。
財産分与
財産分与は夫婦生活において、共同で築き上げた財産である共有財産に対して、その貢献度に応じて分配することをいい、これは民法768条に規定されています。
民法768条
- 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
- 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
この共有財産は、名義が共同かどうかということではなく、実質的に判断されます。
例えば、夫婦の共同名義で購入した不動産、夫婦生活に必要な家具などや、夫婦のどちらか一方の名義のものであっても、預金や車なども財産分与の対象となります。
また、実務的には分与財産の範囲は特段の事情がない限り2分の1とするのが、主流となっております。
財産を2分の1で分与するのに納得いかない場合は?
もし財産分与を2分の1で行うことに納得いかない場合は、一度弁護士等の専門家に相談してみましょう。
前述した通り、特段の事情がない限り、財産分与は2分の1で行うのが原則ですが、例えば配偶者の一方の浪費の割合が多かった場合や自らの才能や能力に基づいて多額の資産を形成したような場合等は、自らの財産分与の取り分を多くすることができる可能性があるようです。
詳しくは弁護士へ相談してみましょう。
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【関連記事】
財産分与で専業主婦が財産の半分をもらうのはなぜ?例外はある?
養育費
養育費は、非監護権者が自己の子供の扶助義務に基づいて、子供の養育を行っている監護権者に対して、子供の養育に必要な費用を負担するというものです。
この養育費の金額としては特に決まっているということはなく、個別具体的に判断されます。養育費の金額については、監護権者と被監護権者の年収、子供の人数・年齢に応じて、基本的には裁判所の「養育費算定表」に従って決められることとなります。
また、期間に関しては、子供の養育にかかる費用であるため原則として成人するまでとなっていますが、大学に進学した場合などは、経済的自立をするまで養育費を受け取れる場合があります。
養育費の相場等についてより詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
親権
子供がいる場合は、親権者を決めずに離婚することができません。親権者とは離婚後に子どもを引き取り養育し監護する人のことをいいます。
親権は協議または調停や裁判によって決める場合もありますが、子供の利益が第一に考えられます。どのような決着になってもしっかり子供を育てられる環境を整えておくことが望ましいです。
【関連記事】
親権者とは?親権者を決めるまでの流れや注意点を解説
離婚後の生活
経済的自立
離婚をした後、経済的にしっかりと自立できるかはとても大事なことです。
最近では共働きの夫婦も増えていますが、夫が働きに出ていて、妻は専業主婦という家庭はいまだに多いと思います。
そのような場合で夫と離婚したい場合は、まず経済的に自立できるのかしっかり考えましょう。
職場のあてがあるかや、日々の収支をしっかりと計算し、経済的に自立できるのかを踏まえた上で離婚することをおすすめします。
その場の流れで離婚を決めるのではなく、しっかりと離婚後の生活を見据えた計画を立てることが重要です。
住居の確保
離婚した場合は、今までと同じように夫と暮らすわけではないため、離婚後の住まいは重要な問題になります。
もし、夫が今住んでいるところを出て行くというのでしたら大丈夫なのですが、夫は今のところに住みたい、または離婚後の資力では今のところに住み続けることができないなどの場合は、改めて住む場所を探さないといけません。
まだ小さなお子さんがいて、あなたのご両親が協力的であれば、離婚後に実家へ帰るのが安心かもしれません。もしあなたが働かなくてはならないけれどお子さんを一人にしておけない場合でも、実家であればご両親にお子さんの面倒を見てもらうことができるでしょう。
ひとり親になる場合は利用できる国の手当を知っておく
子供をつれてあなた一人で生活をしていく場合は、母子家庭向けの手当について知っておきましょう。
母子家庭向けの手当については、下記の記事にて紹介しています。具体的に知りたい方はぜひご一読ください。
>>【関連記事】母子家庭向け手当について|シングルマザー必見!
離婚を切り出す際に気をつけるべきこと
夫婦仲も良くないし、相手もすんなり認めてくれるだろう。こちらは準備しているから今すぐ離婚しても大丈夫。という状態だとしても離婚を切り出す際は慎重に行いましょう。勢いで離婚に進むことはあなたによって大きなデメリットとなり得ます。
落ち着いて話せる状態を作る
離婚を切り出された側は、実質的なデメリットが少なくても感情的になりやすいです。そのため離婚の内容以前に離婚することそれ自体に拒否反応を示し長期化することが考えられます。少なくとも相手に合わせてあなたもヒートアップすることは控えてください。
また、離婚したいという申出だけでなく様々な条件について要求する必要が出てきます。これらも冷静に話し合いましょう。
いざという時は顔を合わせず離婚を勧める
冷静を心がけても、どうしても会話が成立しないことが考えられます。対面での話し合いが困難であればメールや手紙などの手段でコミュニケーションを取ることも選択肢となります。いざという時に頼れる弁護士に相談しておくことも望ましいです。
DVを受けている場合は間違いなく別居してから離婚を切り出すべきです。協議は難しいため調停離婚から始めることになるでしょう。
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相手が自分の望み通りに協議してくれると限らない
相手が離婚を認めてくれたとしても、あなたが提示した条件を認めてくれるとは限りません。したがって、協議の内容や慰謝料等の請求に関しては相手がどう反応するかを考えた上での準備をしておくことが望ましいです。
離婚を後悔してしまう場合がある
離婚した後で、もっとこうしておけばよかったと悔やむ場合はどれだけ対策してもゼロにはできません。したがって、離婚による後悔について心の準備をしておくことが望ましいです。また、離婚によって配偶者と他人になることについて精神的な喪失感を覚える場合もあります。こちらについても覚悟が求められます。
離婚のために別居は必要か
確かに別居をすることによって離婚しやすくなる場合はあります。
というのも、別居期間が数年ある場合、裁判でも夫婦関係がすでに破綻していると判断され、法定離婚事由の五項である「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するため、離婚しやすくなるのです。
別居によってご自身の安全を守らなければいけない場合はもちろんとして、特に理由がなく別居によるデメリットが大きくなければ、いざという時のために別居しておくことがおすすめです。
ただし、一方的に別居することで「婚姻関係を破綻させた側」と評価される危険性があります。この場合は有責配偶者と評価され裁判で乗り込んで不利になります。離婚も別居も切り出すことが難しければ勢いで行動せず弁護に相談することが望ましいでしょう。
より詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
離婚したいけどできないこんな時は…
妻や旦那と離婚したいけど子供がいる場合は?
もし子供がいた場合、離婚に際して問題となるのが親権問題です。親権とは、子を適切に養育するための親の権利かつ義務であると考えられております。
離婚の際しては、協議離婚をする場合には、父母の一方を親権者として定めなけれならないとされており、その親権者にどちらがなるのかということが往々にして問題になります。
そのため、自分が子供の親権を持ちたいかどうかを予め決めておきましょう。
もし協議離婚の際に、夫婦間で折り合いがつかない場合は、調停や裁判によってどちらが親権者としてふさわしいか判断することになります。
その際に親権者として認められる基準は、離婚後の父母の経済状態や居住環境などの養育環境や通学場所が変化、それに伴う友人関係の変化などの子供の状態を総合的に考慮することになります。
近年では、子供にとって、離婚による変化の負担がかからないように継続的に安定した養育環境でいることが望ましいという「継続性の原則」というものが重視されるようになっており、親権を勝ちといたい方は、離婚後の子供の養育環境が離婚前と変化が少ないということを主張することが重要です。
どのようにすれば親権を獲得できる可能性が高くなるか知りたい場合等は、弁護士へのご相談をおすすめします。
妻や旦那と離婚したいけど離婚を拒否されている場合は?納得させる方法は?
妻や旦那と離婚したいと考えているけれど離婚を拒否されている場合は、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
離婚問題に強く、実績が豊富な弁護士の中には、相手に離婚を拒否されていたけれど弁護士が間に入って説得を行ったことで離婚に応じてもらえた事例を持つ弁護士もいます。
法的な知識や交渉スキルを持った弁護士があなたに代わって相手に交渉することで、あなたが希望する状況を得られる可能性があります。
妻や旦那とすぐに離婚したい場合はどうすれば良い?離婚に迷ったら?
旦那とできるだけ早く離婚したい場合や、離婚について迷ったら、弁護士へ相談してみましょう。
というのも、弁護士に相談することで下記のようなリスクを回避できる可能性があるからです。
- 相手がいつまで経っても離婚に応じてくれない。
- 相手に離婚を切り出したり、離婚条件を話し合ったりすることで精神的負担がかかる。
- 相手の声が大きく、相手の言った条件での離婚になってしまう。
- 正しい知識を持たないまま相手に慰謝料請求を行ってしまい、相場以下の金額で合意してしまう。
- 相手が離婚に応じてくれず、離婚成立まで長い時間がかかってしまう。その分精神的負担も増える。
弁護士は、あなたの代わりに配偶者と交渉を行ってくれることがあります。
カケコムに登録している弁護士の中には、今まで離婚に応じてくれなかった配偶者に対して、弁護士から交渉を行ったことで本気度を見せることができ、無事離婚に応じてもらうことができたという実績を持つ弁護士もいます。
弁護士に相談することで未来が拓ける可能性がありますので、何かお悩みのことがあれば弁護士へご相談されることをおすすめします。
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