養育費を払ってくれない時の対処法|ケース別、養育費の支払いを受ける方法とは?
養育費を払ってくれない元夫に対してどう対処したらいいのでしょうか?そもそも払う気がない場合、急に支払いが滞った場合、そもそも養育費の取り決めをしていない場合、さまざまな場合の対処法を一緒に考えていきましょう!

養育費を払ってくれない母子家庭はどのくらいあるのか

養育費を払ってくれない元夫に対して、諦めてしまってはいませんか。
厚生労働省によると、母子家庭のうち養育費をしっかり払ってもらえている人は全体の20%程度となっています。
つまり、母子家庭のうち約8割は、養育費を払ってくれない元夫に泣き寝入りしてしまっているというのが実情なのです。
この記事では、元夫が養育費を払ってくれない場合、どうしたら払ってもらえるのかケース別に解説していきます。
養育費を払ってくれないケース(1) 協議離婚時に支払わないと言われた時の対処法

夫に子供の扶養義務があることを伝える
効果的な対処法としては、夫に子供の扶養義務があることを伝えることがあげられます。
扶養義務とは、民法877条に定められた「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」という法律です。
たとえ離婚したとしても父親が子どもに対する扶養義務を放棄することはできないため、このことを伝えるのが効果的と言えるのです。
ただし、相手に養育費を支払えない正当な理由があることもあります。例えば、失業したなどの場合です。
そのため、もし夫が離婚後養育費の支払いを拒否した場合は、「なぜ支払ってくれないのか」という理由をしっかり確認した上で、支払い能力があるのに夫のわがままで払ってくれない場合は伝えてみましょう。
弁護士に代理交渉を依頼
夫が養育費の取り決めの協議に応じない時は、離婚に強い弁護士に相談することをおすすめします。
養育費の取り決めを弁護士に相談するメリットは主に3つあります。
弁護士に依頼するメリット(1) 話し合いが解決しやすくなる
弁護士に依頼するメリット1つ目は、弁護士が間に入ることで話し合いが解決しやすくなることです。
というのも、弁護士に相談すれば養育費の交渉を任せることができますし、法的な観点からアドバイスしてくれるからです。
また、離婚協議の中で、こちらが養育費の支払いを求めているのに相手が応じてくれない場合、どうしても感情的になってしまうことがあると思いますが、弁護士に交渉してもらうことでその状況も回避できます。
弁護士に依頼するメリット(2) 損せずより良い条件で取り決めができる
弁護士に依頼するメリット2つ目は、損せずより良い条件で取り決めができるということです。
というのも、弁護士には専門的な法律知識と経験が豊富にあるため、最低限養育費の相場は確保した上で、相場より多く養育費をもらうえるよう交渉してくれるからです。
相場がわからない夫婦同士が養育費の金額を決めてしまうと、相当額より低くなり、もらう側が損してしまうリスクもありますので、離婚後の生活のためにも弁護士に依頼するのが良いでしょう。
弁護士に依頼するメリット(3) 調停や裁判に進んでも経緯を知っているので安心
弁護士に依頼するメリット3つ目は、離婚協議が難航した後に調停や裁判になった時にも安心できることです。
協議で離婚に関する話し合いがまとまらなかった場合、調停に進み、そこでも解決しなければ裁判へ進んでいきます。
調停からは手続きなどが必要となってくるため弁護士を雇う方が多いですが、協議から弁護士に頼ることで、全ての経緯を知った上で交渉を続けてくれます。
そのため、調停や裁判になってから弁護士に相談するよりも協議の段階で相談していた方が結果的に費用と時間が節約できるのです。
なるべく早い段階で専門家に相談するのが、養育費請求を成功させる鍵になります。
養育費を払ってくれないケース(2) 取り決めたのに払ってくれない時の対処法

元夫に連絡してみる
まずは、養育費を払ってくれない子どもの父親に対して、「離婚時には養育費を月5万円支払う約束をしたのに支払われていないのはなぜか。きちんと払って欲しい」という旨を連絡しましょう。
というのも、養育費を取り決めた後に夫の給料が下がり、自分の生活費を支払うだけで精一杯になってしまっているなど、止むに止まれず支払えなくなっている可能性があるからです。
このような連絡をしても返信がなかったり、特に事情がないのに支払われていない場合は、下記のような対応をしていきましょう。
強制執行する
公正証書を作成している場合
養育費の取り決めをしたあと、その内容を公正証書に残している場合、調停や裁判を起こさなくても相手の預金や給与、不動産、車などの動産の差し押さえが可能となります。
中でも特に養育費回収のための給与の差し押さえについては法律上の保護が厚いため、この中では給与の差し押さえが特に重要となります。
詳しくは養育費を強制執行で強制的に支払わせるには?|養育費確保のための差し押さえについてを参考にしてみてください。
また、強制執行をする際の大まかな手順は下記の通りです。
- 執行文の付与を受ける。
- 公正証書を作成した公証役場に送達申請を依頼し、送達証明を取得。
- 地方裁判所に強制執行を申立てる。
公正証書を作成していない場合
公正証書を作成していない場合に養育費を強制執行するためには、調停手続きや裁判手続きを経て、調停調書や判決書を得る必要が出てきます。
複雑な手続きや法律問題に対処していくをお一人でするのは大変かと思いますので、手続きに関してわからない部分があれば弁護士にサポートしてもらったり、面倒な手続きごと丸々代理対応してもらうのがおすすめです。
出来るだけ強制執行の前に弁護士に相談する
出来るだけ強制執行を行う前に弁護士に相談することがおすすめです。
というのも、強制執行はあくまでも相手が養育費を全く支払ってくれない場合の最終手段であり、実際には強制執行をせずとも弁護士を立てるだけで解決することができるからです。
例えば、あなたからの連絡を無視している元夫も、弁護士からの連絡なら緊急性を感じて連絡を返してくる可能性もありますし、その後も弁護士にサポートしてもらいながら示談や請求をして解決することが可能です。
このようなことから、養育費の請求については、まずはじめに弁護士に相談するのがベストでしょう。
養育費を払ってくれないケース(3) 離婚時に取り決めをしなかった時の対処法

しかし、これは請求以降の養育費に対してであり、過去に遡って養育費を請求したいという希望になると、請求は難しくなるので注意が必要です。
それでは、離婚後に養育費を請求する方法を解説していきます。
元夫に協議を申し込む
離婚後に養育費の請求をしたい場合は、元夫にコンタクトを取り、養育費について協議したい旨を伝えるのが良いでしょう。
というのも、円満に離婚した場合や養育費が必要である正当な理由を伝えられれば、すんなり応じてくれる可能性もあるからです。
ここで断られてしまった場合は、「養育費を払ってくれないケース(1) 協議離婚時に支払わないと言われた時の対処法」で説明したように、親には子供の養育義務があることなどを説明してみましょう。
元夫に内容証明郵便で養育費を請求する
元夫の居場所がわかるなら、内容証明郵便で養育費を請求するという対処法も有効です。
内容証明郵便とは、「この内容の手紙を誰にいつ送りましたよ」という記録が残る手紙のことです。
内容証明郵便自体に養育費を払わせる効力はありませんが、記録が残ることで相手に精神的プレッシャーをかけることができ、その焦りから養育費請求が通る可能性があります。
家庭裁判所で調停の手続きをする
養育費を払ってくれない元夫に対して、協議を申し込んだり、内容証明郵便で請求をしても返答がない場合は、調停を申し立てましょう。
というのも、調停を申し立てれば裁判所から元夫に出頭の請求が届くため、強制的に話し合いの場を設けることができるからです。
また、もし離婚時に「養育費の請求はしない」と母親が約束してしまった場合は、子どもが申し立てることで払ってくれない養育費の請求ができる場合もあります。
迷ったら、まずは専門家に相談した上で対処法を決めるようにしましょう。
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養育費を払ってくれない時の対処法|ケース別、養育費の支払いを受ける方法とは?のまとめ

取り決めたにも関わらず支払ってくれない時も、取り決めをせずに離婚してしまった時も、最後には法律に訴えての請求や手続きが必要になってきます。
これを女性ひとりで行うには知識も経験も足りず、うまく行えない、時間がかかるなど大変な場合が多々あります。
少しでもスムーズに養育費を払ってもらおうと思うならば、最初から弁護士に相談し二人三脚で養育費を払ってもらうようにしましょう。