監護権者って何?親権者とどう違うの?
子供のいる夫婦が離婚を考えたとき、必ず親権を決定しないといけません。そのときに監護権、監護権者という言葉を耳にすることがあると思います。親権と監護権の違いとは何でしょうか? 親権者を決める際に考慮しないといけない監護権者について、この記事では調べてみました。

目次
監護権者って何?親権者とは違うの?

子供がいる夫婦は必ず離婚の際に親権を持つ者を決める必要があります。実は、その時に監護権者も問題になります。
意外と監護権や監護権者について知らない人が多いのですが、親権を決める際には知っておいたほうが良い重要事項です。
親権と一体何が違うのか、監護権者はどういう役割を持つのかを知り、親権を決めなければならないときの参考にしましょう。
監護権者とは

それでは監護権、監護権者とは一体何かについて見ていきましょう!
身上監護権として、本来は親権に含まれている権利
監護権は、本来は親権に含まれている権利です。親権と一言で表していますが、親権には様々な権利が含まれています。
親権を構成する権利は大きくわけて2つあります。財産管理権と今回のテーマである身上監護権です。
基本的には親権を持つ者がこの2つの権利を持つことになっています。
一定の場合には、親権者と別に監護権者を決めることができる
監護権者とはその名の通り、親が子供を監護する権利です。住む所を決めたり、しつけを行う権利ということです。
一般的には親権者が監護権も財産管理権も持つ方が良いとされていますが、親権を持っている親が仕事の関係で子供のそばにいられないこともあります。
止むを得ない事情で親権者と監護権者を別にしたほうが子供のためになると判断した場合は、別々にすることができます。
親権者と監護権者を分けると法律関係が複雑になるというデメリットがある
親権者と監護権者を分けるメリットも存在しますが、もちろんデメリットも存在します。
例えば監護権者と子供の名字が違う場合です。離婚をすれば基本的に父親と母親は名字が別々になってしまいます。子供も親権を持つほうの名字に統一されることが多いです。
そのため、戸籍上、親権のある親の名字になってしまったけれど、監護権が違う方の親にあるため名字が違うという事態が生じてしまいます。
ある程度子供が大きくなれば事情も説明しやすい問題ではありますが、周囲の目や友達から何か言われることで子供が傷付く可能性もあります。
他にも、手術の同意書のサインが必要な場合で、親権者による手続きが法的に必要な場合に、親権者が近くにおらず緊急の対応ができないなどの事態が生じます。
このように法律関係が複雑になるデメリットは決して小さいものとはいえず、慎重に考える必要があるといえます。
監護権者を定める手続き

そんな監護権者ですが、どのようにして決めるのでしょうか。
協議での変更が可能、調停・審判の利用も可能
監護権については父親と母親の協議によって決定や変更が可能です。親権と違い、決めていないと離婚ができないということもありません。
もしも協議で決まらない場合は、調停や審判を使用することも可能です。納得がいくように話し合っても決まらない場合は調停の利用も視野に入れると良いでしょう。
親権者を定める手続きとの相違点:話し合いだけで変更可能・届出も不要
親権は離婚届を提出するときに決めて、離婚届に記載をして役場に提出する必要がありました。
監護権については協議で決めてかまいませんし、特に役所に何かを提出する必要はありません。
ただ後々もめたりする可能性がありますから、書面に残しておくほうが良いでしょう。
親権者を定める手続きとの相違点:離婚前でも監護権者を定めることが可能
離婚話がまとまらずに揉めている最中に、片方の親が子供を連れて出て行った場合に子供を家に戻したいと思うことがあると思います。
離婚していない以上、双方に親権があり片方の親が子供を連れて出て行ったとしても違法ではありません。
ただし離婚前でも監護権を指定する裁判を決めることは可能です。
父母のどちらかが長期間不在である場合などには有効です。
監護権者について争いが生じたら

親権と同じく揉める可能性があるのが監護権です。争いが生じた場合はどうすれば良いのでしょうか。
なるべく早く協議(話し合い)を行う。調停・審判も検討する。
親権で揉めた際に、親権者と監護権者を分けることでスムーズに離婚ができるというケースもあります。
監護権の決定では親権と同じく調停を使用することができます。どうしても協議で決められない場合は家庭裁判所に調停を申し立てることも考える必要があります。
子どもの利益を一番に考える
大切な自分の子供ですから、親権が欲しい気持ちや一緒に暮らしたい気持ちは分かります。しかし、それが子供にとって一番良い環境になるのかどうかを考えてみてください。
金銭的に余裕があったほうが子供にかけられる費用もありますが、一緒にいる時間が少なければ教育してあげることもできません。
子供にとって一番良い親権者は誰なのか、監護権者は誰なのかを考えるようにしましょう。
可能な限り早く弁護士に相談する
親権者や監護権者を決める際にも弁護士は力になってくれます。
もしも協議だけでは決まりそうにない場合は、ぜひ弁護士に相談をしてみてください。一人で悩んでいるよりも、有益な情報や手段、アドバイスを頂くことができます。
子供の権利という重要な法律問題がかかわっているため、早めに相談して手を打つことが望まれます。
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いかがでしたでしょうか。
監護権や監護権者という言葉を知らなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここで紹介した監護権についての知識は、今親権で争っている人や、離婚したいけど親権争いに不安を覚えている人たちの力となるはずです。