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偽装離婚は犯罪?偽装離婚のリスクを知りましょう

偽装離婚は犯罪になるのでしょうか?金銭上のメリットや保育園の入園のために、偽装離婚を考えられている方もいるかもしれません。偽装離婚には、想像しているよりも様々なリスクがあります。今回は、偽装離婚にはどのような法的問題点があるのかを状況別に解説します。さらに、偽装離婚という方法を使わずに、どのような方法で抱えている問題を解決できるのかについても検討していきます。

偽装離婚のリスク

偽装離婚とは

そもそも、偽装離婚とは具体的にどのような状況を指すのでしょうか。

偽装離婚とは

「偽装離婚」という言葉自体、法律に記載されている言葉ではないため、法律上の具体的な定義は存在しませんが、簡単に言えば「結婚生活を継続しつつ、生活保護や母子手当の不正受給を目的として離婚届を提出すること」を指します。

本来、離婚は夫婦が婚姻生活をこれ以上続けたくないからするものです。これに対し、偽装離婚では配偶者と一緒に生活を続けつつも、戸籍上は離婚していることになります。その目的は、金銭上のメリットにあります。

偽装離婚をすることによって、生活保護や母子手当を不正に受給することができるのです。

 

偽装離婚は有効なのか

「偽装離婚の場合、夫婦が実質的には離婚をする意思がないのだから、離婚はそもそも成立しないのではないか」と考えられる方もいるかもしれません。

しかし、離婚にあたっては、裁判所は離婚の届出をするという形式的な意思のみで足りると判断しています。偽装離婚であっても、離婚届を出すという点については夫婦のお互いが同意しているため、離婚の意思はあるということになります。そのため、偽装離婚であっても離婚届を提出さえすれば離婚は有効に成立します。(最判昭和57年3月26日)

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偽装離婚の目的

偽装離婚を行う目的は、主に以下の3点です。

  • 生活保護、児童扶養手当の受給
  • 財産隠し(借金逃れなど)
  • 保育園に優先的に入れるため

それぞれ詳しく解説していきます。

 

生活保護、児童扶養手当の受給

生活保護や児童扶養手当などを受給する目的で偽装離婚するケースです。

家族の収入の大半を夫が稼いでいる場合、離婚して親権を母親側に移すことで、子供がいるのに年収が少ないという状況ができあがります。

このような状態になると、本来は生活保護を受ける要件を満たしていない家庭でも、生活保護の申請が通りやすくなります。また、母子家庭となり児童扶養手当がもらえる可能性も高まります。

生活保護なら約10万円~13万円、児童扶養手当なら4万2,500円(子供1人の場合)が毎月手に入ります。

生活が苦しかったり、働かなくても収入を得たいという人が、この額を魅力に感じ偽装離婚をすることもあるのです。

 

財産隠し(借金逃れなど)

夫婦共通の財産を、片方に全て渡して財産を隠すケースです。例えば自己破産をすると、家や車などの資産が全て差し押さえられます。

ところが偽装離婚を行って相手側に共有財産を全て渡しておくと、自己破産した本人は無一文の状態になるため、財産の差し押さえがありません。

ノーリスクで自己破産を行い、生活や財産状況は以前の状態を保つという手法です。

 

保育園に優先的に入れるため

保育園に優先的に入れるために、一時的に離婚するということも考えられます。

いまの日本では保育園不足により「待機児童」が問題となっており、現状傾向ではあるものの未だに子どもを保育園に入れられないという方が多いのが現状です。厚生労働省のデータでは、平成31年4月1日時点で、待機児童の数は16772人となっています。(参照:厚生労働省 保育所等関連状況取りまとめ

自治体によっては、母子家庭や父子家庭を優先して保育園に入れてくれるところもあるため、一時的に離婚することで保育園に入ろうとすることもあるのです。

 

 

偽装離婚のリスク


偽装離婚をした場合、果たして犯罪は成立するのでしょうか。

偽装離婚のリスク(1) 生活保護や児童扶養手当の不正受給の場合

偽装離婚をして、さらに生活保護や児童扶養手当を不正受給していた場合、以下のような犯罪が成立する可能性があります。

犯罪 条文 刑罰
公正証書原本不実記載等罪 刑法157条 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
詐欺罪 刑法246条 10年以下の懲役
 

「公正証書原本不実記載罪」は公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿などの公正証書の原本に不実の記載をさせた人に適用される犯罪です。偽装離婚は虚偽の申し立てになるので、これが適用される可能性があります。

これらの罪に問われると同時に、不正に受給していた生活保護や児童扶養手当も打ち切りとなる可能性が高いです。さらに、これまでに受給した手当の返還を求められることが考えられます。基本的には一括で返還する必要があり、状況によっては数百万円を一度に支払わなければなりません。
 

偽装離婚のリスク(2) 財産隠しの場合

偽装離婚によって財産隠しを狙っていた場合は、以下のような犯罪に該当する可能性があります。

犯罪 条文 刑罰
公正証書原本不実記載等罪 刑法157条 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
詐欺破産罪 破産法265条 10年以下の懲役又は1千万円以下の罰金

さらに、財産隠しによって差押えを免れたという場合には、債権者から偽装離婚にともなって行われた財産分与の詐害取消訴訟を起こされることが考えられます。この請求が認められると、結局偽装離婚によって移転した財産はもとに戻ってしまうため、差押えの対象となり、偽装離婚をした意味はなくなってしまいます。

また、夫の借金のために偽装離婚したという場合でも、妻が保証人になっている場合には離婚の有無に関係なく、妻も借金を返済する義務を負い続けることとなりますので注意してください。

財産隠しをしてから自己破産をしようとした場合でも、偽装離婚がバレてしまうと「免責不許可事由」にあたり、自己破産が認められなくなってしまう可能性が高いです。

このように、財産隠しのための偽装離婚には様々なリスクがあります。

 

偽装離婚のリスク(3) 偽装離婚による保育園入園の場合

偽装離婚によって、母子家庭もしくは父子家庭となった場合、保育所への入所が優先的に決定するというメリットがあることから偽装離婚をするということも考えられます

ところが、子どものためを思ったように見えるこの行為にも、以下の犯罪が成立する可能性があります。

犯罪 条文 刑罰
公正証書原本不実記載等罪 刑法157条 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金

さらに、保育所側を騙して入園したことになるため、偽装離婚が発覚すれば、入園の取り消されるということも考えられます。
入園が取り消された場合、子どもはせっかくできた保育園での友達と離れることになりますし、近所で偽装離婚をした家族だと悪評が立ってしまうことも十分に考えられます。

保育園になかなか入れず、「偽装離婚をするしかないのかも…」と焦ってしまう気持ちはわかりますが、子どものことを本当に思うのならば偽装離婚はやめておいた方がいいでしょう。

 

偽装離婚がバレてしまう原因

どのようなときに偽装離婚がバレるのか、それぞれのケースに合わせて紹介します。

生活保護、児童扶養手当受給のケース

生活保護の場合、不正受給を防ぐためにケースワーカーや福祉施設が厳しく監督を行っており、いわゆる「生活保護Gメン」という専門の監視員も存在します。

普段の生活や財産状況から、少しでもおかしな点があればすぐにチェックが入るため、そこから偽装離婚がバレるというケースも少なくありません。

児童扶養手当の場合、戸籍は別でも同居しているケースが多く、うっかり手当について話してしまった人や、周辺住民からの通報によってバレることがあります。

 

財産隠し(借金逃れなど)のケース

自己破産をする場合、離婚について裁判所に報告しなければならず、財産隠しを見抜かれる可能性が高いです。自己破産前後に離婚した場合、通常の場合でも偽装離婚を疑われ、裁判所のチェックが厳しくなるという事情があります。

自己破産時には、差押えの対象となる財産がどのくらいかを把握するため「破産管財人」がつくことがあります。破産管財人は過去2年間の銀行口座からの入出金、郵送物に至るまで財産状況を厳しくチェックします。

当然離婚時に行った財産分与についても見られるので、不当に相手側に財産が渡っている場合、偽装離婚がバレることが考えられます。

 

保育園に優先的に入れるためのケース

保育園に入れるために離婚したという場合、家族はそのまま同居することが多いです。よほど遠い保育園でない限り、生活環境が一緒のため家族でいるところを他の父兄や保育園の先生に目撃されてしまいます。そのため、「○○ちゃんのママ、離婚したって言ってたのに男の人と歩いていたな…」などと怪しまれ、噂が広まり偽装離婚がバレてしまうのです。

また、まだ小さな子どもにとって両親が偽装離婚しているという状況を理解するのは難しいでしょう。子どもと保育園の先生や他の園児、父兄とのやり取りから、偽装離婚がバレることも十分に考えられます。

 

 

偽装離婚をする前に

犯罪が成立する可能性があるだけでなく、様々なリスクがある偽装離婚。もしも偽装離婚を考えているならちょっと待ってください。他にも方法があるかもしれません。

偽装離婚をしたいと考えてしまう原因の解決方法を考える

やむをえない理由があって、偽装離婚をするしかない状況に追い込まれているという方もいるかもしれません。

たとえば、

  • 生活保護を不正受給しなければならないほど、お金に困っている
  • 財産隠しをしなければならないほど、お金に困っている
  • 不正入園しなければならないほど、子どもを預ける先がなくて困っている

このようなことが考えられます。

でも、ちょっと待ってください。本当に上記のような問題の解決策は「偽装離婚をする」という1つの策に限られるのでしょうか。

偽装離婚には、前述の通り大きなリスクがありますし、バレてしまう可能性も高いです。偽装離婚をせずに自分の抱えている問題を解決できないか、冷静に考えることが大切です。具体的には、以下のような選択肢があります。 

・お金に困っている場合

借金を抱えているという場合には、まずは仕事を増やしたり、支出を見直して本当に返済ができないのかを検討してみましょう。それでも返済が難しい場合には、話し合いにより借金を減額する「任意整理」や、自己破産により借金を免除してもらうことが考えられます。

弁護士に相談すれば、借金の返し方や減額の仕方の見通しを立ててもらうだけでなく、任意整理の交渉を代理してもらうことも可能です。初回相談無料の弁護士もいるため、まずはどのような方法があるのかを知るために相談してみることをおすすめします。

詳しくは、以下の記事を参照にしてください。

【元弁護士執筆】500万円の借金ができてしまった場合の段階別対処方法を解説

・子どもを預ける先がなくて困っている場合

まずは両親や親戚に子どもを見てもらえないか打診してみることをおすすめしますが、両親や親戚が近くに住んでいなかったり、手を借りられる状況にないということも考えられるでしょう。その場合には、認可外保育所、保育ママ(自宅の居室を保育室として使用し、少人数の子どもを家庭的な雰囲気の中で保育を行うサービス)という選択肢もあります。

特に、認可外保育サービスについて2019年10月から0〜2歳児の場合は住民税非課税世帯に限り月4万2,000円まで、3〜5歳児の場合は月3万7,000円までの範囲で、無償化されることとなっています。これまでは保育料が高く、敬遠されていた認可外保育所ですが、利用を検討してみるのも手です。

 

債務や夫婦の問題があったら、まずは弁護士への相談を考えてみるべき

債務の問題や、夫婦間での金銭面の問題があるのなら、偽装離婚を考えるその前に、弁護士に相談することをおすすめします。

偽装離婚は一見、簡単に金銭面や養育面の問題を解決する方法のように見えますが、バレやすく犯罪が成立する可能性もあります。結局、偽装離婚は抱えている問題の根本的な解決にはならず、今よりも状況を悪化させてしまうこともあるのです。

安直に今が何とかなればいいと思って離婚届を出さずに、まずは弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談すると最初からお金がかかるし…と思っている方は、まずは「法テラス」に相談してはいかがでしょうか。法テラスは、悩みに応じた相談窓口や、法制度に関する情報をどなたにも無料で案内している法律相談の総合窓口です。

カケコムにも、法テラスでの相談に対応している弁護士がいます。まずは無料でメールや電話を使い、自分の抱えている問題についてどうやって解決すべきか意見を聞くことができます。1人で悩まずに、法律の専門家の意見を聞いてみてください。

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偽装離婚について知りたい人は合わせてこちらも読んでみてください

 

偽装離婚は犯罪?偽装離婚のリスクを知りましょうのまとめ


偽装離婚によって生じるとみられるメリットは、実は偽装離婚という方法以外でも得られるかもしれません。

偽装離婚は特に不正受給、財産隠し、保育所の不正入園において犯罪が成立するおそれのある行為であり、決していい選択肢とは言えません。このような目的で偽装離婚をしようと考えている方は、一度弁護士に相談してみましょう。

偽装離婚という方法以外に、あなたの問題を解決するための社会保障や解決策を紹介してくれるかもしれません。夫婦だけで悩まずに、法律の専門家の力を借りてみてください。

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