養育費を払わないとどうなる?免除や減額できるケースや対処法について
養育費は子どもの監護や教育のために必要な費用です。たとえ、親権がなくても、親である以上は養育費の支払い義務が生じます。
近年、養育費を支払わないケースが多くなり、社会問題にまで発展するようになりました。
では、養育費を支払わないとどうなるのでしょうか?
この記事では、養育費の支払い義務の理由、支払わないとどうなるのか、支払わなくてもよい場合や養育費の減額や免除をする方法、などについて詳しく解説します。

養育費は支払わないとどうなるのか

養育費は、子供を育てる上で必要な費用だというのはわかりました。
でも、その養育費を支払うのは夫だけの義務なのでしょうか?
養育費の支払いは「生活保持義務」と呼ばれる義務
親は子供に自分と同程度の生活をさせることを「生活保持義務」と言います。これは、民法という法律で定められた、法律上の義務です。
この義務は、同居している母親にもありますし、離婚したとはいえ父親にもあります。
父親の生活と同等の暮らしを子供にもさせてあげられるよう、経済的に余力があることが多い父親が、養育費として子供の生活費を負担するのです。
そのため、たとえ失業したとしても、残った家のローンが厳しいとしても、基本的に「親の生活費が捻出できないから養育費を支払わない」という理屈は通用しません。
金額は「養育費算定表」が基本となる
養育費を払うのは義務だとしても、あなたの収入の全額を養育費として出せとは法律も言ってはいません。
昨年のあなたの収入と、離婚した妻の昨年の収入、また、子供の年齢に応じた割合を考え、相場の参考になるような表にまとめたのが「養育費算定表」と呼ばれるものです。
裁判所でこの養育費算定表を作成しており、裁判所のウェブサイトから見ることが出来ます。
あらかじめ養育費の相場を知りたい時は、ご自分でも計算することができます。
また、養育費の額は裁判所以外でも下記の方法で決めることが可能です。
- 夫婦が離婚する時に2人で話し合って決定する
- 調停や審判などによって決まる
養育費を払わないとどうなるのか

金額の程度はあるものながら、子供の親であれば養育費は避けることが出来ません。
養育費を支払わないとどうなるのか見ていきましょう。
最悪の場合は「強制執行」を受けることになる
養育費を支払わないと、最終的には強制執行を受けることになるでしょう。
強制執行は財産や給与を差し押さえることで行われます。
差し押さえの対象としては、土地や建物などの不動産・それ以外の資産となる物・現金などがありますが、養育費の強制執行では、給料の差し押さえがされることが多くあります。
強制執行までに、催告や請求が来る
強制執行は最終的な段階で、養育費を払わないとどうなるのかというと、最初は支払うべき相手である子供の母親から電話で催促されるでしょう。
その次には、内容証明の通知書で支払い請求が来ることがほとんどです。
いきなり裁判や調停になることはないでしょう。
養育費を払わないと、まずはこのような穏便な方法で、未払いの養育費を請求されるでしょう。
強制執行をされてしまう前に、何か対策をする必要があります。
もし養育費を払わないと言われたら

これまでは、養育費を払わないとどうなるのかという払う側の立場で見てきました。
ここからは、受け取る側はどうしたら良いのかという立場で見ていきましょう。
協議して支払いを促す
養育費を支払わない相手を放置しても、何も良いことはありません。
子供には支払う気持ちがあっても、あなたに対してお金を払うのは嫌だと思っているかも知れません。
相手は経済環境が変わって、お金にとっても困っているのかも知れません。
なぜ払ってくれないのか、払わないとどうなるのかを相手としっかり話し合い、支払いを促しましょう。
内容証明郵便を送って支払いを促す
養育費を払わないとどうなるのか理解せず放置する父親は多いです。
自分が払わなくても、子供の面倒を見ている母親が何とかしてくれると思い、子供の危機感を感じていないのでしょう。
協議しても支払ってもらえない場合は、次のステップとして内容証明の通知書でもう一度支払いを促しましょう。
裁判に持ち込むのはそのあとです。内容証明郵便により、払わないとどうなるかということを理解し、その時点で支払ってくれる父親もいます。
裁判所に履行勧告を出してもらう
内容証明でも支払いがない場合は裁判所の手続きを行いましょう。
裁判所で行う手続きもいくつかあります。
最初は「履行勧告」を出してもらうようにします。
履行勧告は、調停や裁判で決まったことを相手が守らない場合に、裁判所から「守りなさい」と出す勧告です。
裁判所から手紙が来ますので、内容証明よりも”払わないとどうなるのか”を相手が意識するでしょう。
強制執行を行う
養育費を支払わないと、最終的な行動として裁判所に申し立て未払いの養育費の「強制執行」を行うことになります。
方法としては、裁判所の執行官に支払わないとどうなるのかという執行文を送ってもらうこととなります。
その後、具体的な強制執行となり、多くの場合、相手の会社への連絡を行い給料の差し押さえをします。
男女問題に強い弁護士と相談しながら進める
未払いの養育費の請求を行う場合、法律的な手続きも多くなってきます。
自分ひとりではどのようにしたら良いのかわからない場合は、男女関係に強い専門家に相談するのが一番です。
内容証明郵便を送る時も、あなたの名前で送られてくるよりも、代理人として弁護士から送られてきた方が、今後どうなるのかという想像もつきやすく、効果が高くなるでしょう。
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養育費を払わないとどうなるのかという疑問は解決したでしょうか?
最終的な強制執行までにも段階があるということがおわかりいただけたでしょう。
最初のうちは相手も穏便に済ませようとします。
強制執行まで進めるには、何度か払う側と受け取る側のやり取りが必要です。
そこまで何度も自分たちだけで行う前に、弁護士に相談することをおすすめします。
専門家が入ることで、無駄な手間を避けることができます。