離婚でへそくりも折半?妻が財産分与を多くもらう方法とは
離婚したらへそくりも折半しなくてはならないのでしょうか?離婚時に行われる財産分与、へそくりまで分けたくない!という方も多いでしょう。そんな方へ、財産分与の基礎知識からへそくりはどうなるのかまで、徹底解説します。離婚の際には財産分与についてしっかり学び、損をしないように対策しましょう。

離婚時のへそくりは財産分与しなければならないのか
離婚の時の財産分与で気になるのが、自分個人で貯めているへそくりの存在です。
もし、へそくりがバレてしまったらこれも夫婦の財産として分けるよう言われるんじゃないか?と心配している人もいるでしょう。
説明の便宜上、女性側がへそくりしている場合を念頭に、妻のへそくりと財産分与に関する以下の点について詳しくご紹介していきます。
- 妻のへそくりは必ず財産分与の対象になるのでしょうか?
- へそくりを隠していると、バレた時にどうなるの?
- 財産分与を少しでも多く受け取るための注意点は?
まずは財産分与についての基礎知識|財産分与には3つある
一口に財産分与と言っても、単純に財産を夫婦で半分ずつにするわけではありません。
財産分与とはどういうものか?その考え方から見ていきましょう。
清算的財産分与
一般的に広く知られている財産分与は、この清算的財産分与でしょう。結婚後夫婦で築いた財産を離婚するときに折半するというものです。財産分与の基本的な考え方と言っても良いでしょう。
結婚後にへそくりを心配している妻は、この清算的財産分与によってへそくりを折半されてしまうのでは?と考えているでしょう。
この疑問への答えは後ほど解説します。
扶養的財産分与
清算的財産分与が夫婦の社会的立場や経済的な能力を考慮していないものに対して、この扶養的財産分与は離婚後生活に困るであろう方にもう片方からの扶養的な財産分与を行う考え方です。離婚後一定期間の間だけ、扶養を受けられるものです。
今まで働いていない人の生活基盤を作る間だけの救済措置的な財産分与と考えましょう。
これは、法的根拠があるわけではないですが、裁判所が裁量で認めることのある財産分与の類型になります。
慰謝料的財産分与
次に慰謝料的財産分与ですが、これは離婚の時に請求された慰謝料を財産分与の中から多く分けて支払うようにする財産分与の考え方です。この場合分けるのは現金や預貯金だけでなく物品による慰謝料的財産分与もあります。
また、この慰謝料的財産分与を行ったからといって別途慰謝料請求ができなくなるわけではありません。
もっとも、慰謝料支払いとして財産分与が行われていたと評価できる場合には、その分慰謝料として認められる額は少なくなるでしょう。
ただし、このような減額を主張するためには慰謝料的財産分与を行った側が、財産分与に慰謝料的性質があったことを立証しなければならないので、財産分与時の離婚協議書の内容や証明力が問題となってきます。公正証書による離婚協議書の作成も検討しましょう。
公正証書離婚とは?|協議離婚時の公正証書の役割と離婚協議書との違いも参考にしてみてください。
財産分与の勘違いしやすいポイント
離婚には何らかの原因があります。
その原因がどちらか片方にのみある場合もあります。例えば、浮気や暴力などによる離婚。
財産分与の内容がすべてその離婚の原因によって左右されると勘違いしている人がたまにいます。
たしかに、慰謝料的財産分与は慰謝料の性質を持つのでそのように考えることができるのですが、財産分与の中心となる清算的財産分与や扶養的財産分与については離婚の原因に左右されることはありません。相手に離婚の責任があっても、財産分与は基本的に夫婦で折半となります。
また、離婚の時に財産分与の請求を忘れた!という場合でも離婚後2年以内なら問題なく請求できます。
どこまでが財産分与の対象なのか?
婚姻中に車を買った、家を買ったなど名義人の登録が必要になるような大きな買い物をすることがありますね。中には、「これは俺名義の財産なんだから俺のもの!財産分与はしない!」という言い訳をする人もいます。
しかし、名義がどちらであっても結婚後夫婦二人で働いて購入したものは財産分与の対象となります。
妻が専業主婦だった場合も、働いて収入があったのは夫かもしれませんが、妻も家事、育児など生活の半分を支えていたという考え方が一般的です。
離婚時の時、財産分与に妻のへそくりは含まれるのか?
さて、ここで一番気になっていた妻のへそくりと財産分与の関係です。
妻のへそくりは財産分与の対象となるのか見ていきましょう。
ポイントは婚姻前か後か
まず、確認したいのが妻のへそくりは婚姻後に貯めたものかどうか?です。
いくらあなたが1人でコツコツと貯めたものでも、婚姻後の収入や資産運用でできたお金であれば、妻のへそくりも財産分与の対象となります。
夫の月給や妻のパート収入と同じものと考えるべきでしょう。
離婚時にへそくりを隠していたらどうなる?
妻が夫婦の共有財産からへそくりを貯めていたとします。離婚したことによって、「夫とへそくりを分けるのはいやだ!」と、離婚の財産分与が終わった後もずっと妻のへそくりを隠していたとします。
財産分与請求権は民法768条1項により認められているので、財産分与の請求があったにもかかわらず、へそくりを隠したり、持ち出したりする行為は、窃盗罪や詐欺罪という犯罪が成立する可能性が高いといえます。
もっとも、夫婦間の窃盗罪・詐欺罪については「親族相盗例(刑法251条・244条1項)」というものが適用されますから、離婚前にへそくりを持ち出した場合には犯罪として処罰されることはないでしょう。
離婚後に隠していたへそくりを持ち出した場合には、窃盗罪などが成立し、刑事責任を負う可能性は理論上あり得ます。
また、へそくり隠しがあとからばれることで民事上での損害賠償を請求される可能性はあります。
加えて、へそくり隠しがばれた場合、離婚から2年以内なら改めて財産分与請求される可能性もあります。
離婚時に財産分与を多く得るためにはどうしたらいいのか?
妻のへそくりの持ち出しが離婚前や離婚後2年以内にバレてしまったら基本的に財産分与を逃れられません。
へそくりが財産分与の対象となってしまった場合でも、できるだけ多く財産分与をもらう方法はないのでしょうか?
離婚時に財産分与を多く得る方法① 相手の財産がどれくらいあるのかチェック
相手の財産分与の対象となる財産をもれなく把握することは多額の財産分与を得るために最も重要なことといっても過言ではありません。妻のあなたにもへそくりがあるように、夫も妻にこっそり隠している財産を持っているかも知れません。
探し出すのは難しいかもしれませんが、家の中に隠す場合が多いと考えられるので、探してみるのも手かもしれません。
また、弁護士に依頼すれば、一定の金融機関の場合、弁護士照会制度により預貯金をチェックできる場合があります。
みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、ゆうちょ銀行のいずれかの金融機関に預貯金がある目星がついている場合には、弁護士への依頼も検討することをお勧めします。
離婚時に財産分与を多く得る方法② 話し合いの時点で夫に交渉する
離婚をする時の財産分与でも、基本的には折半ですが両者が合意の上であればどちらかが多く受け取ることも出来ます。夫との交渉次第で、あなたが受け取る財産分与を多く分けてもらうことも可能なのです。
- 妻が子どもを引き取るので、子どものために多く分けて欲しいと頼む
- 離婚しても夫に対して憎しみはない、感謝の気持ちを持っているなど、夫の優しさに訴える
- 夫に離婚の原因があるので、損害賠償請求の代わりに財産分与を多く分けてもらう
など様々な理由で自分の取り分を多くしてもらうことが出来るでしょう。
金額的には平等にするとしても、「車をよく使う、郊外に住む予定の一方が車を引き取る」など、それぞれの生活実態に応じた上手い分与の方法を模索するのもお勧めです。
離婚時に財産分与を多く得る方法③ 自分が財産形成に大きく貢献した場合には主張する
財産分与の考え方は、基本的に夫婦ともに1/2ずつ折半することになっています。
しかし、場合によっては自分が夫婦の財産形成に大きく貢献しているという主張をして多く受け取ることもできます。
- 離婚前に長く別居しており、その間夫からの家計への送金が無かった
- 夫が何年も刑務所に入っていた
などの場合がそれに当たります。
離婚時に財産分与を多くもらう方法④ 扶養的・慰謝料的財産分与をもらう
最初に財産には3つの種類があるというお話をしましたね。
基本的な清算的財産分与に加えて、扶養的財産分与や慰謝料的財産分与を加えて請求することも検討しましょう。
特に、慰謝料的財産分与は慰謝料請求とは別に行えますので、あとで慰謝料請求を考えている場合でも、ひとまず慰謝料的財産分与を請求してみる、ということが可能になっています。
離婚時に財産分与を多くもらう方法⑤ 弁護士と協力して進めていく
お金のことになると、それまで穏便に離婚の話をしていても人が変わってしまう夫もいるでしょう。財産分与を多く分けて欲しいと言い出すと、離婚がスムーズに進まない心配もあります。
そんな時は、弁護士に相談して協力して離婚と財産分与を多くもらう方法見つけていくと良いでしょう。
へそくりのある金融機関に目星がついているなら、弁護士会照会制度を利用して、隠し財産を見つけることも可能になりますし、何よりも法律に強い人の意見なら相手も反論しづらくなるからです。
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離婚でへそくりも折半?妻が財産分与を多くもらう方法とはのまとめ
妻のへそくりも結婚後に貯めたものであれば、財産分与の対象となり隠していると損害賠償請求で後から支払わなくてはいけなくなるかもしれません。それならば、へそくり以外の財産分与を少しでも多く請求する方が賢明な方法です。
離婚時の財産分与には扶養的・慰謝料的財産分与というものもあるのもわかりました。
しかし、これらは交渉により発生するものですので、スムーズに解決することばかりではないでしょう。
離婚の財産分与のトラブルを防ぐためにも離婚の話し合いは、弁護士と共に有利に進めていくのがお勧めです。