不倫は犯罪ではなく不法行為!法律上の不倫の解釈とその理由、あなたが取れる手段を解説
犯罪とは刑事罰を科すことが刑法などで定められた行為を意味しますが、不倫は犯罪ではなく「不法行為」です。しかし、犯罪ではないとは言え、不貞行為が認められた場合、様々なリスクが発生します。社会的・道義的な責任を問われることもあるでしょう。反対に不倫された側の方は、慰謝料請求など、精神的に傷つけられたことに対して何かしらの行動に出ることができます。この記事では、不貞行為とは具体的に何かや、不倫した場合・された場合の対処法をご紹介します。

「相手の不倫が発覚したので、慰謝料を請求して離婚したい」
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という人は、弁護士へ相談することで下記のようなことを実現できる可能性があります。
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不倫をされている場合、離婚請求や慰謝料請求が通るかどうかは、有効な証拠があるかどうかに左右される部分が大きいです。
証拠によっては、高額の慰謝料を得られる可能性もあります。
そのため、できるだけ早めに弁護士へ相談し、証拠を集めたり作ったりし、慰謝料請求を行うことが重要です。
また、あなたが不倫をしている場合は、弁護士の交渉次第で相手から請求されている慰謝料を大きく減額できる可能性があります。
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不倫は犯罪?不法行為?法律上の解釈とは

法律では、不倫のことをどのように捉えているのでしょうか。
一般的な不倫の定義とは、少し違っている部分もあるようです。
不倫は不法行為にあたる
不倫は犯罪ではありません。
では、不倫が犯罪でないなら、不倫による法律上の責任はないのでしょうか。
その答えはNOです。
不貞行為の場合、不法行為を行ったとして、民事責任が問われます。
民事責任とは、私人(個人に加え、会社などの法人などが含まれます。)間発生する責任であり、個人が個人に対し、お金を支払う責任が生じるなどが民事責任の典型例です。
これに対し、刑事責任とは、犯罪を犯すなどして加害者が国家により刑罰を受ける責任のことです。
よって、不貞行為は刑事責任として罪に問われることはありませんが、民事上は不法行為という違法と評価される行為に該当するため、民事責任として、慰謝料を支払う責任が生じます。
不倫をされた側は、不倫をした側に対して損害賠償の請求ができるのです。
より詳細に説明すれば、夫婦の守操義務違反として、不法行為(民法709条)に当たるのです。
(不法行為による損害賠償)第七百九条故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。出典:民法
日本では不倫は犯罪ではない
前述したように、不倫は犯罪ではありません。
繰り返しになりますが、犯罪とは、刑罰が科されることが予定されている一定の行為のことを指します。
日本では、罪刑法定主義が原則のため、刑法などの法律に規定されていない行為については犯罪にはなりません。
そして、刑法等に不倫に刑罰を科すことは法定されていません。
つまり、不倫は、刑法等で刑罰が科せられることがさだめらていない行為なので、犯罪にならないということなのです。
例えを挙げるなら、芸能人が不倫問題を引き起こしても罪に問われないのは、不倫が犯罪ではないからです。
不倫で懲役や罰金を科せられ、刑務所に入る人はいません。
国によっては不倫が犯罪になるところもある
世界をみると、不倫が犯罪とみなされ、刑罰が下される国があります。
例えば、イスラム教の国については、不倫をすれば犯罪になり、懲役刑や死刑が下されます。
昔の不倫は犯罪だった?
江戸時代、不倫は重い犯罪とみなされ、両者死罪となりました。
明治期に入ると、不倫を重い犯罪ととらえる慣習が、そのまま旧刑法へと引き継がれ、不倫は姦通罪と呼ばれる犯罪となりました。
しかし、この姦通罪が適用されるのは、婚姻している女性に対してだけで、婚姻している男性は対象とされませんでした。
つまり、既婚女性の不倫だけが犯罪とみなされ、既婚男性の不倫は犯罪とされず罪に問わないという、男女不平等なものでした。
第二次世界大戦後、日本国憲法を施行する際、男女平等が定められると、この姦通罪は男女平等に反するとして廃止されました。
姦通罪が廃止されたということは、つまり、不倫が犯罪ではなくなったということです。
日本で不倫が犯罪でなくなったのは、ここ70年くらいの話なのです。
それでは、どのような不倫行為が認められれば、損害賠償の請求ができるのでしょうか?
不倫で損害賠償請求ができるのはどんな行為があった場合?
不倫で損害賠償請求ができる可能性があるのは、下記の内容に当てはまる場合です。
不倫とは?(1) 不貞行為があること
不倫は、裁判で、民法により裁かれることになりますが、民法に不倫という言葉は出てきません。あくまで、不倫という言葉は、日常で使われている言葉に過ぎず、法律による不倫の定義はありません。
民法第770条第1項第1号は「配偶者に不貞な行為があったとき」に、離婚事由になると定めています。
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。出典:民法
法律上の不貞行為とは、性交渉および性交渉に類する行為のことを指します。
つまり、キスや抱きしめる行為、プラトニックな関係は不貞行為ではないため、法律上不倫にはなりません。
不倫とは?(2) 自由意思が必要
民法の条文では定義されていませんが、過去の判例をみると、不貞行為は「自由な意思に基づいて」なされたことが必要とされています。
自由意思に基づかない不貞行為とは、配偶者のいる者から無理やり押し倒されてレイプをされる、脅迫されて肉体関係を持たされる場合をいいます。
あくまで自由意思に基づく不貞行為でなければ、法律上の不倫は成立しません。
被害者側に配偶者がいたとしても、法律上不倫とはならないことになります。
しかし、配偶者のいる者側については、配偶者以外の異性をレイプや脅迫により肉体関係を持った場合は、自由意思によりそのような行為に及んだとみなされるので、不貞行為になり、法律上の不倫が成立します。
不倫とは?(3) 夫婦関係が破綻後の不貞行為は不倫ではない
裁判で不貞行為は離婚事由になりますが、不貞行為時に夫婦関係がすでに破綻している場合、不貞行為に及んでも、それは離婚事由にはなりません。
つまり、これは夫婦関係が破綻後の不貞行為は、法律上の不倫に該当しないということです。
夫婦関係の破綻については、努力しても共同生活の回復の見込みがない状態をいい、別居した事実があるだけでは夫婦関係が破綻しているとはいえません。
ただし、判例をみると、
- 離婚を拒んでいる方が関係を修復しようと努力しないこと
- 別居している間、全く交流がない
という場合は、別居している事実とあわせて夫婦関係が破綻しているとみなされる可能性が高くなるといえます。
不倫の慰謝料相場はどのくらい?
不倫の慰謝料相場(裁判所が慰謝料として認める金額)は、だいたい100〜300万円程度と言われています。
状況によって大きく金額が変わり、例えば不倫相手を妊娠させてしまったという状況があれば、300万円ほどの高額な慰謝料請求が認められる場合があります。
ただし、これはあくまでも相場であるため、夫婦間のみで話し合う「協議」の段階であれば、相手に相場以上の慰謝料を請求しても相手がそれに合意をすれば、その額を支払ってもらうことが可能です。
不倫の損害賠償請求は誰にできる?
不倫の損害賠償請求は、不倫を行った当事者二人に対して行うことが可能です。
例えば、夫が不倫をしていた場合、妻はその夫と夫の不倫相手の二人に対して損害賠償請求を行うことができます。
これは、夫とその不倫相手が行った行為が共同不法行為にあたるためです。
ただし、この場合で、もし夫の不倫相手が夫のことを既婚者だと知り得ない状況で関係を続けていたのであれば、夫の不倫相手に慰謝料を請求することは難しいです。
夫の不倫相手に慰謝料を請求する場合は、その不倫相手が夫を既婚者だと知り得た状況があった場合のみ行なえます。
しかし、このあたりの基準を法に詳しくない方が判断するのはなかなか難しいと思います。
そのため、気になる場合は弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士に相談することで、あなたが不倫された側なら誰にどれだけ慰謝料を請求できそうなのか、あなたが知らずに不倫をしていた側なら、相手の奥さんから慰謝料を請求された際に支払わなければならないのか等を知ることができます。
それだけでなく、弁護士に依頼すれば、相手との慰謝料の増額・減額交渉も代理で弁護士が行ってくれることがあります。
弁護士に相談することであなた一人では対応が難しかった状況を有利な方へ持っていくことができるかもしれませんので、一度お気軽にご相談ください。
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