婿養子の離婚の方法!離婚・離縁・戸籍・名字などの手続き
婿養子の離婚について知ってますか?婚姻をする時、家や夫婦、親の都合で婿養子と言う形で妻側の両親の戸籍に入る男性もいるでしょう。ここでは婿養子の夫婦が離婚する場合の手続きや、気になる財産分与についてご説明します。

婿養子が離婚したいときってどうするの?~離婚と離縁~
婿養子で妻側の両親の嫡出子となった男性との離婚は、離婚届だけでは足りない場合がほとんどです。
離婚して妻とは他人になるのですから、妻の親の養子でいるのはよっぽどのことがない限りおかしな話ですよね。
また、養子縁組をしているということは妻の両親が亡くなった後に、相続権を持つ者となってしまっています。
妻のご両親にしても、もう何の関係もない男性に、自分たちの遺産を相続する気持ちなどないでしょう。
ですから、婿養子の形をとった夫婦が離婚する場合には、離縁届も必要になってきます。
ここでは、婿養子の離婚と離縁の手続き、婿養子や子どもの戸籍をどうするのか、離婚の際の慰謝料や財産分与についても見ていきます。
そもそも婿養子とは?

ここまで、当たり前のように婿養子という言葉を使ってきましたが、そもそも婿養子というのはどのような婚姻の形式を取った夫の事なのでしょうか。
一般的にも婿養子と言われている人でも実際は正式な婿養子ではない人もいます。
正式な婿養子と、婿養子だと思われてしまっている可能性のある人を見比べてみましょう。
法律上の「婿養子」
妻側の姓を名乗っただけで「あの人は婿養子に入った」と勘違いされ噂されることもあるでしょう。
しかし、妻側の姓を名乗っただけでは法律上は婿養子となるわけではないことに注意が必要です。
むしろ、また、婚姻届提出後に養子縁組届を提出する手続きをとれば、婿養子の場合でも夫婦は夫側の姓を名乗ることが可能ですから、名字が同じことと婿養子であることに直接の関係はありません。
法律上の婿養子は、養子縁組届を提出することで妻の両親の養子となり、かつ、その娘である女性との婚姻届を提出することで成立します(順番は逆でも可)。
このような法律上の「婿養子」の場合、妻側の両親と夫との養子縁組届が提出されることで、夫は妻側の両親の遺産を相続できるようになります。
ですから、離婚するときは、離婚した妻の両親の遺産を相続できるとするのは不自然であるとして、養子縁組も解消することがほとんどになってくるわけです。
法律上の婿養子と誤解しがちなケース(1) 同居しているだけのお婿さん
養子縁組は養子縁組届の提出により成立しますから、同居していることにより「婿養子」になるわけではありません。
妻側の家で同居していたら、日常会話では「婿養子だ」といわれることがありますが、同居しているからといって、法律上旦那さんと奥さんの両親に親子関係が生じるわけではないのです。
法律上の婿養子と誤解しがちなケース(2) 養子縁組なし・妻側の姓を名乗るだけの夫
婚姻した夫婦はどちらの名字を名乗るか選ぶことができるため、妻側の名字を名乗る場合もあります。
このように妻側の姓を選択しただけで、妻の生家との養子縁組がされていない夫婦も法律上「婿養子」ではないことに注意が必要です。
このような夫婦は、日常会話において「婿養子」と表現されることが特に多いですが、養子縁組届が提出されていない以上、法律上は婿養子ではないのです。
法律上の婿養子と誤解しがちなケースにおいて、当然夫は妻の両親の養子になるわけでもなく、推定相続人になることもありません。
これらの場合の離婚は、一般のご夫婦と同じように離婚届を提出することで成立します。
では、本題である、法律上の婿養子の離婚の手続きを見ていきましょう。
婿養子の離婚の手続き~離婚と離縁は別~

婿養子の離婚の手続き① 離縁届を提出する
離縁届については、離婚届を提出せず、離縁届だけ提出することが可能です。
「婿養子」という状態から、ただの「夫婦」の状態に戻したい場合には離縁届のみを提出することになります。
離婚届のみを先に亭主るすると、離婚した後に夫に離縁の意思がなくなったという場合、離婚時に離縁の意思があったかどうかを立証する必要が生じ、離縁調停になった時に手続きが面倒になる可能性があります。
また、離婚届のみを提出する場合、夫の方が名字を妻側の名字に変えていた場合には、妻は両親と別の戸籍にいるにもかかわらず、夫は妻の両親と同じ戸籍に入っているという不自然な状態が起こり得ます。
特に夫に妻の親の遺産を相続させたいなどの事情がない限り、離婚より先に離縁を済ませるよう心がけましょう。
離縁により、妻の両親と夫との法律上の親子関係が終了します。
婿養子の離婚の手続き② 離婚届を提出する
離婚届を提出することによって、婚姻のときに名字を変えたほうが夫婦の戸籍から抜けることになります。
離縁届を提出せずに離婚届を提出することも可能ではあります。
ただ、上述したような問題点があるので、離縁を先に行うことが望ましいでしょう。
婿養子の離婚の手続き③ 子供がいたら子供の戸籍も移す手続きを
子供の戸籍が父親側にある場合で、親権が母親側にある場合、子供の戸籍を母親側へ移すためには子の氏の変更許可の申立てという特別な手続きが必要になります。
子どもの戸籍が母親側にあり、親権が父親側にある場合も同様です。
婿養子で離婚の場合、財産分与や慰謝料はどうなるの?

このように、婿養子の場合の離婚には2つの届出が必要になります。
そこで問題になるのが、離婚するときの財産分与です。
わざわざ妻の両親の養子になるということは、同居、または同居に近い妻の両親との関わりがあるのが通常です。
財産についても分与がどうなるのか疑問になってきますね。
【婿養子で離婚】基本的に養父母との間で財産分与はない
日本の法律では、離婚の時の財産分与はあるのですが、離縁の時の財産の分与については決められていません。
養父養母が「払わない」といえばそれまでということです。
とはいえ、養父母に望まれて婿養子という立場でいたという場合も多く、夫側から思えば何かあっても良いのでは、と考えてしまうでしょう。
法律的には決まりは無くても、話し合いでお互いが納得いくように話をまとめるには、離婚問題に強い弁護士に間に入ってもらうことで、有利に話が進むかもしれません。
夫婦で購入した夫婦の財産は、普通の離婚の時のように財産分与することができますので安心してください。
【婿養子で離婚】養父母に慰謝料請求できる場合もある
婿養子に入っていても、夫婦が離婚した時の慰謝料の取り決めは他の夫婦と何ら変わりはありません。
離婚の原因となるような養父母からの嫌がらせ・暴力等があれば、慰謝料を請求できる場合もあります。
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婿養子の離婚の方法!離婚・離縁・戸籍・名字などの手続きのまとめ

婿養子になった夫の離婚は、一般的な夫婦の離婚よりも複雑な手続きがあり、また、多くの人の感情が入り混じるため、簡単には事が進まないのがおわかりいただけたのではないでしょうか。
特に男性には仕事もあり、なかなか養父母や元妻との交渉も進まず、お互いにイライラすることで悪循環になる、という事も少なくないようです。
そんな時は1人でなんとかせずに、信頼できる離婚問題に強い弁護士に相談すると良いでしょう。