養育費と面会交流の関係は?面会交流のためには養育費が必須?
養育費を払っているのに子供との面会拒否をされて困っていませんか?養育費払ってるのに子供に会えないと悩む人は少なくありません。養育費を払っているのにかかわらず面会なしということは許されるのでしょうか?養育費払わないと面会交流ができないという取り決めは許されるのか、また、養育費はいらないから子供に会わせないという選択が許されるのか、養育費と面会拒否の関係について解説します。

養育費を払っていれば面会交流はできる?
養育費を払っているのに子供との面会拒否をされて困っていませんか?
離婚後、養育費払ってるのに子供に会えないと悩む人は少なくありません。
子供のために養育費を払っているのに面会なしということは許されるのでしょうか?
養育費払わないと面会交流ができないという取り決めや、養育費はいらないから子供に会わせないという選択が許されるのか、養育費と面会拒否の関係について解説します。
養育費の支払いの有無にかかわらず、面会拒否された場合の対処法もご紹介します。
養育費って?

養育費を払っているのに面会拒否をされるのはつらいですよね。
養育費と面会なしの関係性を見る前に、まず養育費はどういったものなのかを確認しましょう。
養育費を払わないと面会拒否されると思っていませんか?養育費とは
養育費とは、未成熟子が社会人として自活するまでに必要な費用をいいます。
これは親の子どもに対する扶養義務(民法877条1項)に基づきます。
養育費の支払い義務は、子供の法律上の親であり、収入が相対的に高くかつ親権監護権がない親(別居親)に生じます。例外的に養育費を払わなくていい場合
養育費を払っていないから面会なしなのかもしれない、と思う人もいるでしょう。
しかし、例外的に養育費を払わなくて良い場合もあるのです。
それが
- 離婚の話し合いの際に養育費は払わなくていいという合意がある(ただし、子供からの自身の扶養料の請求権は失われるわけではありません)
- 親権者が再婚し子どもと再婚相手との間で養子縁組がなされ、同居親の再婚相手に子どもを養育する十分な資力がある
という場合です。
面会交流って?

養育費を払っているのに面会なしだと悲しくなってしまいますよね。
養育費と面会拒否の関係を考えるにあたって、面会交流とは何かを確認してみましょう。
「養育費はいらないから子供とは会わせない」と言われた場合、これが許されるのでしょうか?
養育費を払わないと面会拒否されるというのは、実はイコールではつながらないのです。面会交流とは
面会交流とは、子供と一緒に暮らしていない親が子どもと面会等をすることをいい、民法766条1項で規定されています。
面会交流をどうするかは、子の利益を最も優先して考慮しなければならないとされています。
そのため、養育費の有無や額と面会拒否は単純には結びつかないといえるでしょう。面会交流が認められない場合
養育費にかかわらず面会拒否が認められる場合があります。
それが面会交流を認めることが子の利益に反する場合です。
たとえば、面会する側に虐待があったり、子供が面会を望まないなどの場合がこれにあたります。
その場合、養育費を払っていても面会なしになることもあり得ます。
離婚相手から「養育費いらないから会わせない」と言われた場合は子供のことをどう考えているか、子供がどう思っているかを相手と話し合う必要があるでしょう。養育費と面会交流の関係は?

養育費の支払いをしているのに面会拒否をされると「養育費払ってるのに子供に会えないなんて」といらだってしまうことも不思議ではありません。
その一方で「養育費払わないなら面会交流させない」と言われたり、「養育費はいらないから子供には会わせない」と言われる場合もあるでしょう。
養育費と面会拒否の関係について整理してみましょう。養育費と面会交流はまったく別の制度
頑張って養育費払ってるのに子供に会えないと悩む場合、養育費を払っている以上面会拒否は許されないはずだと考えてしまいますよね。
しかし、養育費請求権は財産的な権利であるのに対して、面会交流権は人格的な権利とされます。
すなわち養育費と面会交流はまったく別の制度なのです。
そのため、理論上は「養育費が払われないから面会交流を拒否できる」「面会拒否されるから養育費を払わなくてもいい」といった関係には立ちません。
要するに、養育費と面会拒否の間には直接の関係はないということになります。
そのため、必ずしも「養育費なしなら面会なし」とはなりません。ただし、取り決めの過程では関係がある場合がある
養育費や面会交流の交渉の過程では、
- 「養育費を多く払うから面会を多くする」
- 「面会させない代わりに養育費を減額する」
- 「養育費を払っても面会なし」
などの取り決めがなされる可能性はあります。
こうした取り決めは離婚相手との自由な交渉に委ねられます。
そのため「養育費はいらないから会わせない」という相手の言葉に了承した場合は養育費の支払いに関わらず相手からの面会拒否が認められるといえるでしょう。
もっとも、上述のように面会交流と養育費に直接の関係はないので、いったん取り決めた合意があるにもかかわらず、「面会拒否の仕返しで養育費を払わない」、「養育費を払わない仕返しで面会拒否する」といったことは許されません。
そのため、養育費に関わらず、取り決めと無関係に面会拒否された場合は速やかに調停を申し立てるか弁護士に相談する必要があります。取り決めた養育費を支払わなかったら
取り決めた養育費については支払い義務があります。
そのため、養育費を支払わなければ裁判所から履行勧告、履行命令がなされる可能性があります。
さらに、養育費についての取り決めを公正証書にしていたり、調停や審判で養育費について取り決められていると、強制執行で直接給料などの財産を差し押えられる可能性もあるのです。
養育費を払わなくても面会拒否されることはありませんが、面会交流と関係がないからといって、取り決めた養育費を支払わなくてよいということには当然なりません。
面会拒否されてしまったら

養育費を払っているのに面会拒否されるのは悲しいですよね。
養育費の有無や額に関わらず、取り決めた面会交流を不当に拒否することは許されません。
面会拒否されてしまったらどうすればよいのでしょうか。
養育費払ってるのに子供に会えない場合の対処法をご紹介します。面会拒否されたら(1) 面会交流調停を申し立てる
養育費にかかわらず、面会拒否をされてしまったら、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることが有効です。
調停では家庭裁判所で面会交流について、調停委員を介して取り決めをすることができます。
また、養育費と関係なく面会なしの取り決めを面会ありに変更することも調停で話し合うことが可能です。
面会拒否されたら(2) 履行勧告してもらう
「養育費払わないでいいから面会交流なしにして!」といきなり言われて困った経験はありませんか?
既に調停や審判で面会交流について取り決めたのに面会交流がなされない場合、裁判所に面会交流を促してもらうことができます。
これが履行勧告です。
ただし、強制力はないため、面会拒否が続く場合は間接強制の手続きへ進むことになるでしょう。面会拒否されたら(3) 間接強制
養育費を払っているのに面会拒否をされた場合はもちろん、養育費の有無や額にかかわらず面会拒否された場合は、間接強制の手続をとることが有効です。
間接強制とは裁判所が行う強制執行の一つです。
調停や審判で面会交流の具体的な日時や頻度についても取り決められているのにそれに違反した場合、お金を払うように裁判所から命令をしてもらうことで、面会交流がされるように相手にプレッシャーをかけることができます。
具体的には、「債務者は、債権者に対し、面会交流が1回なされないごとに○万円を支払え」などと決められ、金額の相場は3万円から10万円ほどです。
間接強制が認められた場合、「養育費払わないなら面会交流なし」と向こうから言われたとしても、「こちらが養育費を払わなくてもそちらが面会拒否を続けるたびにお金を払ってもらうことになる」と反論することができるようになります。
面会拒否されたら(4) 慰謝料を請求する
養育費の有無や額にかかわらず、面会拒否されるのは悲しいですよね。
その中でも養育費払ってるのに子供に会えないという場合が一番つらいことでしょう。
養育費にかかわらず面会拒否された場合は慰謝料を請求するのも有効です。
これは、面会交流がなされないことで精神的苦痛を被ったことを理由とした慰謝料請求(民法709条)です。
金額は苦痛の程度に応じた額になります。
慰謝料請求をすることで面会交流への突破口が開ける場合もあります。面会拒否されたら(5) 弁護士に相談を!
離婚後は養育費でもめたり面会拒否でもめたりとトラブルが生じがちです。
面会交流の実現には元配偶者の協力が必要不可欠であり、元配偶者が面会を拒否している以上面会交流の実現は難しいといえます。
その場合、弁護士に代理してもらい、積極的に面会交流の実現を請求してもらうことが有効です。
その際、養育費の交渉など面会拒否以外の問題も一緒に解決することもできるでしょう。養育費と面会拒否についてお悩みの方は以下の記事もおすすめです
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- 離婚後子供に会えない!離婚後に子供に会うためにすべきこととは?
- 離婚後の面会交流ってどうする?~面会交流の決め方と面会交流の判断要素を中心に~
養育費と面会交流の関係は?面会交流のためには養育費が必須?のまとめ

養育費を払っているのに面会拒否されるのはつらいですよね。
「養育費払わないから面会交流なし」や「養育費なしでいいから面会なし」という面会拒否はあなたと元配偶者が取り決めをしていない限り許されないということがわかっていただけたと思います。
養育費や面会拒否でトラブルになった場合は、法的トラブル解決のプロである弁護士に相談することで、あなたの代理人として問題解決にむけて動いてもらえます。