不倫の手切れ金を徹底解説!不倫の手切れ金は払ってはいけない!?
不倫の手切れ金を支払うべきか悩んでいませんか?手切れ金を払うことで不倫を終わらせようと考える人は少なくありません。でも実際、手切れ金の相場や法律的な問題がどうなっているのかはわからない部分も多いのではないでしょうか。不倫の手切れ金とはどういうものなのか、払う場合には何に気を付ければいいのかをご紹介します。

不倫の手切れ金って?支払う必要があるの?
不倫の手切れ金を支払うべきか悩んでいませんか?
「手切れ金を払って不倫を終わらせたい」と考える人は少なくありません。
でも、手切れ金の相場や法律的な問題がどうなっているのかはわかりづらいですよね。
不倫の手切れ金とはどういうものなのかを解説し、手切れ金を払う場合に気を付けるべきポイントをご紹介します。
不倫の手切れ金とは

不倫の手切れ金を払うべきかは悩みますよね。
手切れ金は法律的にはどのような意味をもつのでしょうか?不倫の手切れ金(1) 不倫関係を終える際に一方が他方に支払うお金
不倫の手切れ金は不倫関係を終える際に一方が他方に支払うお金をいいます。
一方的に不倫関係を終わらせることを納得してもらうためのものであることが多くなっています。
ただし、例外的に慰謝料を手切れ金として支払う場合があることもあります。
これについては下の「不倫の手切れ金(3)」でご紹介します。不倫の手切れ金(2) 支払う法律上の義務はない
不倫の手切れ金は法律上の支払い義務はありません。
そのため、不倫をやめることを条件として渡す手切れ金は慰謝料とは異なるお金です。
つまり、「手切れ金くらい払いなさい」と相手に言われたからといって、支払う必要はないのです。
不倫の手切れ金(3) 慰謝料の支払いとして支払われるときもある
不倫の手切れ金は慰謝料の支払いとして支払われるときもあります。
もう少し正確にいうと、慰謝料が法的に発生している場合に、手切れ金が慰謝料支払いの意味を持つときがあるのです。
もっとも、慰謝料が発生する場合とは、
- 未婚者だと偽っていた
- 君と結婚するという嘘をついていた
などの例外的な場合に限られるため、このケースはまれであるといえるでしょう。
不倫の手切れ金(4) 請求されても支払うかどうかは慎重に検討すべき
不倫の手切れ金は請求されても支払うかどうかは慎重に検討すべきお金です。
手切れ金は明確な相場や法律上の根拠がないため、法律上の義務がなく、後でご紹介するようにしっかりと取り決めをしなければ単なる贈与となって終わる場合も少なくありません。
つまり、相手が支払うときの約束を破ったからといって手切れ金を返せとはいえない可能性があるのです。
そのため、手切れ金を支払うとしても、法的意味がない場合もあることを覚悟して支払うべきでしょう(詳しくは後述します)。
不倫の手切れ金(5) 相手が強く手切れ金を請求してきたら要注意
慰謝料が発生する場合は別として、不倫相手に手切れ金請求権はありません。
そのため、不倫の手切れ金を相手が強く手切れ金を請求してきたら注意が必要です。
特に、
- 不倫を配偶者にバラす
- 不倫の事実をバラまく
- 嫌がらせをする
といった内容をほのめかし、強く手切れ金を請求してきた場合、相手方にあなたへの恐喝罪・恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
このような場合は当然、支払いを拒絶し、弁護士等に相談することをおすすめします。
参考:不倫の手切れ金契約は有効?
不倫の手切れ金契約を公序良俗違反(民法90条)により無効とした古い判例があります(大判大正12年12月12日民集2巻668頁)。
ただし、古い判例であり、現在でも通用するのかは定かではありません。
また、この判例は多くの学説により批判されています。
手切れ金契約は不倫を”解消”する契約であり、不倫を”維持”する愛人契約などと違い、人倫に反するものではないと考えられるからです。
そのため手切れ金契約は有効であると考えていいでしょう。
ただ、無効であると考えても、実際に支払ったケースではそこまで大きな違いはありません。
- 仮に手切れ金が無効である場合
→民法708条のルールにより手切れ金の返還請求はできません - 仮に有効である場合
→後述のパターン③のように、贈与契約となり、民法550条但書のルールにより、支払い後の返還請求ができません
参考:我妻榮・有泉亨・清水誠・田村輝明『第4版 我妻・有泉コンメンタール民法―総則・物権・債権―』(日本評論社、2016年、207頁)
不倫の手切れ金を支払っても意味がない可能性のある3パターン

せっかく不倫の手切れ金を支払っても、意味がない場合があることを知っていますか?
手切れ金を払っても意味がない可能性のあるパターンを3つご紹介します。手切れ金を支払う意味がない可能性のあるパターン(1) 相手がお金に興味がない
相手がお金に興味がない場合、手切れ金を支払う意味がない可能性があります。
具体的には- お金に余裕があるからお金はいらない
- お互い様だからお金なんていらないという気持ちが強い
- お金がほしいという気持ちよりも不倫を一方的に終わらせたことに怒り、復讐したいという気持ちが強い
- お金がほしいという気持ちよりも不倫を一方的に終わらせたことに怒り、離婚させたいという気持ちが強い
- お金がほしいという気持ちよりも不倫を一方的に終わらせたことにショックを受け、ストーカー行為などをしたいという気持ちが強い
このようなお金に興味がない場合、不倫の手切れ金は実際上の意味をなしません。
したがって、この場合手切れ金を支払わないという選択が現実的でしょう。
手切れ金を支払う意味がない可能性のあるパターン(2) 相手の動揺・逆上が著しい
たとえ不倫の手切れ金を支払ったとしても、相手の動揺・逆上が著しい場合は手切れ金を支払う意味がない可能性があります。
なぜなら相手が- お金がほしいという気持ちよりも不倫を一方的に終わらせたことに怒り、復讐したいという気持ちが強い
- お金がほしいという気持ちよりも不倫を一方的に終わらせたことに怒り、離婚させたいという気持ちが強い
- お金がほしいという気持ちよりも不倫を一方的に終わらせたことにショックを受け、ストーカー行為などをしたいという気持ちが強い
手切れ金を支払う意味がない可能性のあるパターン(3) 支払い時に約束を取り付けないとき
たとえ不倫の手切れ金を支払うとしても、支払い時に約束を取り付けないと、支払っても意味がない可能性があります。
たとえば- 「手切れ金を支払う代わりに不倫の事実を誰にも言わない」
- 「手切れ金を支払う代わりに嫌がらせ行為等をしない」
手切れ金を支払った場合でも、このような取り決めをしなければ、相手はこれらの義務を負いません。
逆に、取り決めをすれば負担付贈与契約として、相手方がこれらの義務を負うと考えられます。この場合、弁護士に依頼して示談書を作成することをお勧めします。
不倫の手切れ金の支払いを考えたら

手切れ金の支払いを考えたら(1) 本当に支払う必要があるか考える
不倫の手切れ金の支払いを考えたら、本当に支払う必要があるか考えることが大切です。
特に、上述の「手切れ金を支払っても意味がない可能性のある3パターン」に当たる場合は、支払いは慎重になるべきでしょう。
もしも3つのパターンに当たる場合、「手切れ金の意味や相場はわからないけど、お金をもらったからおとなしく引き下がろう」という心理に相手が至ることを期待するしかありません。手切れ金の支払いを考えたら(2) 相手の請求が恐喝行為であれば支払わない
不倫の手切れ金の支払いを考えた理由として、相手の請求が恐喝行為であれば支払わないことが重要です。
「手切れ金を支払わなければ不倫をバラす」などの脅迫行為があれば相手に恐喝未遂罪が成立し、相手の脅迫に従ってお金を払った場合は相手に恐喝罪が成立する可能性があります。
このような場合に手切れ金を支払う義務はありません。手切れ金の支払いを考えたら(3) 支払う場合は相手側の義務を取り決める
もしも不倫の手切れ金を支払う場合は相手側の義務を取り決めるべきです。
たとえば- 「手切れ金を支払う代わりに不倫の事実を誰にも言わない」
- 「手切れ金を支払う代わりに嫌がらせ行為等をしない」
といった約束を必ずし、書面に取り決めの内容を残しておくと良いでしょう。
弁護士に依頼して示談書を作成することをお勧めします。
手切れ金の支払いを考えたら(4) 犯罪行為をされたら直ちに警察に相談・通報を
手切れ金の支払いを考えるにあたって、相手から犯罪行為をされたら直ちに警察に相談・通報をすることが大切です。
脅迫をされた場合はもちろん、嫌がらせやストーカー行為をされた場合も警察に相談すると良いでしょう。手切れ金の支払いを考えたら(5) 困ったらすぐに弁護士に相談を
手切れ金の支払いを考える場合には、単に不倫相手との関係の清算が必要となった場合だけでなく、あなたの不倫を知って怒った妻とのトラブルが生じたという場合もあるでしょう。
たとえば
- 不倫相手との協議が難航している
- 手切れ金契約(上記パターン③)の示談書を作成したい
- ストーカーなどの犯罪行為をされそう
- 相手が約束を破ったから手切れ金を返してもらいたい
- すでに支払った手切れ金と不倫相手への慰謝料を相殺したい
- 妻に離婚・慰謝料請求された
- 離婚時の慰謝料・財産分与・親権・養育費について争いたい
というように困ったらすぐに法的なトラブル解決の専門家である弁護士に相談することがおすすめです。
不倫の手切れ金についてもっと詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめ
不倫の手切れ金を徹底解説!不倫の手切れ金は払ってはいけない!?のまとめ

不倫の手切れ金には相場がないなど、わかりづらい部分が少なくありません。
さらに、手切れ金を支払ったからといって不倫相手が引き下がってくれる確証はないのです。
そのため手切れ金を払って不倫を終わらせようと考えた場合で、トラブルになりそうな予感がした場合には早めに弁護士に相談することが大切です。
問題への対処は早いほど傷口が小さく、早期に解決できるという特徴があります。