パワハラの相談先はどこを選べば良い?
パワハラはどこに相談すれば良いか?法律問題の解決という面では弁護士に相談することがベストですが、内容によっては弁護士以外への相談も検討すべき場合があります。
この記事ではパワハラの相談先について分かりやすく紹介します。

パワハラの相談先 一覧
パワハラ被害で困っているときには、1人で抱え込まずに第三者に相談することが重要です。
相談窓口では、パワハラ被害に遭っている相談者の状況を聴き取り、相談内容に応じた助言や解決策を提案したり解決の手助けをしてくれます。
相談窓口は、基本的に無料ですので費用の心配をせずに、まずはどのような対処方法があるのかを検討することができます。
ここでは、パワハラなどの個別労働問題について相談を受付けてくれる窓口を紹介します。
会社の相談窓口
パワハラの被害は、社内の相談窓口や人事部に相談できます。ただし、会社がすぐにパワハラ問題に対応してくれるとは限らないので、外部機関に相談することも検討しましょう。
パワハラ問題を社内の相談窓口や人事部に相談する場合、パワハラ被害を証明できる証拠を確保しておくことが何よりも重要です。
ボイスレコーダーや動画などに暴力・暴言等のパワハラとなる証拠を録音、録画し、日記や日誌にパワハラ被害を受けた日時、内容、状況などの詳細を記録しておくことが必要です。
これらの証拠をもとに、まずはパワハラのあった事実を会社の相談窓口や人事部に伝え改善を要求しましょう。いきなり会社に相談するのが難しい場合は、まずは外部機関に相談してみることもよいでしょう。
会社側にパワハラ問題を相談したにもかかわらず取り合ってくれそうにない場合は、簡易書留や内容証明郵便など郵送して相手が受け取ったことを証明できる方法で、書面を会社に送付します。
書面には、パワハラを受けた時間や内容、パワハラで受けた身体的精神的障害の内容、パワハラを行なった人物、パワハラの早急な中止と適切な指導の要求などを記載します。
労働局
各都道府県の労働局では、ハラスメントをはじめとする労働問題や解雇、賃金などの労働条件など労働に関するあらゆる分野について相談を受け付けています。
相談方法は、会社が所在している都道府県の労働局に直接行って相談をすることも、また電話での相談も可能です。
都道府県労働局では、それぞれの個別労働紛争について、都道府県労働局長による助言・指導や紛争調整委員会によるあっせんを行なっています。
労働局にパワハラを相談した場合は、労働局がパワハラの実態調査を行い、必要に応じて会社に助言や示談のあっせんを行ないます。
労働基準監督署
労働基準監督署は、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害保険法などの法令順守を監督する機関であるため、パワハラの単独相談は受付けていませんが、労働基準監督署内の総合労働相談コーナーではパワハラの相談を受付けています。
相談や助言であるため、会社との問題を直接解決してくれるわけではありませんが、事案に応じた解決方法を提示してくれます。
相談内容が労働基準法に触れるような場合には、労働基準監督署への取次ぎやその申告の方法を案内してくれます。
会社との話し合いが必要な場合には、労働局長による助言・指導、紛争調停委員会によるあっせん制度の案内もあります。
労働基準監督署は、労働局が管轄する機関であり各企業の法令順守を監督する機関です。都道府県労働局は、職場のあらゆる問題を相談して助言、示談、あっせんする機関ですので、相談内容に応じて使い分けるとよいでしょう。
労働基準監督署は、パワハラに対する助言などは受けられますが、慰謝料請求のサポートの依頼などは受付けていません。慰謝料請求を検討している人は弁護士に相談することをおすすめします。
かいけつセンター(かいけつサポートでは?)
かいけつサポートは、法務省による裁判外紛争解決手続の認証制度(ADR)です。紛争解決は裁判が代表的ですが、その他にも調停やあっせんなどの紛争解決手続があります。
民事の紛争を公正中立な第三者が介入して、当事者双方の言い分をじっくりと聞きながら専門家の意見を通じて紛争を解決する手続きです。民間事業所が行うものもあります。
法務省では、民間事業所の申請に基づいて厳格な審査基準を設け、この審査に合格した事業所には法務大臣の認証を授与し「かいけつサポート」の事業所として紛争解決手続きを行なうことを認めています。
かいけつサポートを行なっている民間事業所は、以下の4つの方法から探すことができます。
・かいけつサポート一覧から探す
・取り扱う紛争の分野・範囲から探す
・事務所の所在地から探す
・事業者ガイドブックから探す
弁護士
社内外の相談窓口で相談してもパワハラ問題が解決しない、あるいはパワハラによる損害がある場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。
弁護士であれば、それぞれのパワハラ問題の解決に向けた助言やサポート、労働審判の申立てや労働災害の申請手続き、不当解雇の撤回、慰謝料などの損害賠償請求が可能です。
費用が多少かかってもパワハラ問題を解決したいときには、弁護士に相談した上でパワハラかどうかを判断してもらいましょう。
裁判などで解決する場合の費用や期間についての助言、また会社や上司に対して行動をおこした後の対応など現実的な助言やサポートなども行なってくれます。
各都道府県の弁護士会が運営する法律相談センターでは、無料で法律相談を受付けているところもあるので確認してみてください。
カウンセラー
公認心理士や臨床心理士、産業カウンセラー、精神保健福祉士などのカウンセラーに相談することも有効です。
カウンセラーが直接話を聴き、辛さや怒り、悔しさなどの気持ちを受け止めながら、状況を確認し今後の解決策を提案します。
カウンセラーにパワハラ問題の話を聴いてもらうだけでも、気持ちが落ち着き冷静な対応を考えることができるようになるかと思います。
日本産業カウンセラー協会のハラスメント窓口では、産業カウンセラーの有資格者がカウンセリングを行ないます。
相談者の希望により、全国36カ所の相談室カウンセリングにつなぐことができます。また、職場の環境改善など本質的な問題解決につながる提案を行なうことも可能です。
相談窓口では、ハラスメントに関する相談を受け付け、これまでの状況を相談者と一緒に整理します。相談者の意向にそって、パワハラ問題を事業主に報告します。
パワハラの法律相談するために必要なこと
パワハラは、当事者間のみの交渉では客観的な判断が難しいことが多々あるので、弁護士に依頼して会社側との交渉をしてもらうほうが望ましいでしょう。
個人で対処できることもありますが、弁護士に依頼することで、よりスムーズに問題を解決することができるようになるはずです。
ハラスメントの代理交渉、労働審判や裁判での損害賠償請求、さらに悪質な場合には刑事告訴することもあり得ます。
ただし、パワハラで会社を訴えることになると、会社に居づらくなってしまうことも多々あると思われます。
証拠は録音と録画、なければ書面
社内でパワハラにあった場合は、必ず有効な証拠を残しておくことが重要です。
パワハラ発言・暴言を記録した音声データ、パワハラ発言のメールやライン、パワハラ被害の日時や内容を記した書面の記録などが有効です。
パワハラによって心身に不調をきたした場合には、医師の診断を受けて診断書をもらいましょう。診断書は有効な証拠となることも多々あります。
申し立てる手続きを選ぶ
パワハラには、残業代未払いや休日労働などの労働問題を含んでいる場合も多くあります。それぞれのパワハラ問題を解決するための最善の手続きを選ぶことが大切です。
パワハラを法的措置で解決する場合は、裁判所に対して労働審判の申立てや訴訟の提起をすることになります。
労働審判とは、労働問題を専門とする2名の審判員と1名の審判官で構成され、ハラスメントなどの労働問題を解決するために、原則3回の期日で審判を下す裁判所の制度です。
労働審判は、各地方裁判所に労働審判申立書を提出することで利用できます。この審判に納得ができない場合には、裁判を提起することになります。
パワハラ被害にあったからといって、即時に裁判ができるというわけではありません。訴えには主張が認められるだけの証拠が必要になります。
パワハラ訴訟は、訴える側も訴えられる側も相当なエネルギーを消費します。また当事者間のみならず会社全体にも大きな影響を及ぼします。
パワハラ問題の解決は、さまざまな解決策があるのであなた自身が最善であると納得できる方法がどのようなものか、まずあなた自身が考えてみることが何よりも重要になります。
まとめ
パワハラの相談をするときは、何をしたいのか?を明確化することが大事です。気分を落ち着かせたいのか、転職したいのか、あるいは慰謝料を請求したいのか?
目的に合った相談先を選びましょう。