【婚約破棄のその後】離婚よりはマシだった、、と思えるためには
婚約破棄のその後について皆さんは考えたことがありますか?婚約破棄というと、何となく離婚よりは軽い出来事のように思える気もしますが、実際はどうなのでしょうか?今回は、婚約破棄のその後の展開について、法律的な視点から詳しく見ていきたいと思います。

【婚約破棄のその後】どんなことがある?
離婚後の展開といえば、財産分与はどうするかだとか、子どもの親権や養育費はどうするかだとか、薄々は知っているかもしれませんが、婚約破棄のその後に何が問題となるかは、何故かあまり知られていません。
口約束か書面いずれかは問いませんが、お互いが結婚について合意した場面は必ず出てきます。
- 婚約破棄をされた
- 婚約を破棄しようと思っている
- 婚約破棄のその後について知りたい
人は要チェックです!!
婚約破棄のその後(1)正当な事由があった場合

婚約破棄には正当事由が必要
まず、前提として、婚約破棄を行うためには正当事由が必要になります。
これはお互いが納得して婚約破棄をするなら何の問題もないのですが、片一方が破棄をしたいけれど片一方は断固拒否といった事態になった時に必要になるのです。
片方は全く納得していないのに婚約破棄をした場合に正当事由がなければ、相手から損害賠償を請求される可能性があるのです。
婚約破棄をする理由は色々とあるでしょうが、その後の事を考えた場合、安易に婚約をすることも考え物だということです。
どんな場合が正当事由にあたりやすいの?
それではいくつか正当事由に該当する事例を紹介します。
例えば相手の浮気が発生した時です。
相手がほかの異性と性的関係を持った、ということが分かれば、婚約破棄の正当事由が認められる可能性が極めて高いので、仮に、その後相手側が慰謝料請求などをしてきたとしても、問題ありません。
むしろこちらから訴えることもできるかもしれません。
正当な理由なく婚姻の解消に至らせたことが損害賠償責任を発生させるわけですから、どちらが解消を申し出たかは問題ではないのです。
婚約を解消した側からの損害賠償請求を認めたものとして最高裁の昭和27年10月21日の判決があります。
内容が専門的なので読みにくいですが、リンクを下に貼っておきますので、興味のある方はご覧ください!!
それ以外にも、
- 相手からの身体的な暴力
- 相手から重大な侮辱を受けた
- 相手の経済的な状況が急変した
などという場合には、状況次第ではありますが、正当事由が認められる可能性が高いと言えます。
参照:裁判所HP
正当事由が認められにくい場合って?
次に正当事由が認められにくい場合についても解説します。
例えば、
- ただ単に性格が合わない
- 占いで相手としてふさわしくないと出た
- 相手方の出自を理由としたもの
といった場合は、正当事由は認められにくいでしょう。
何となく性格が合わない…という理由はボンヤリしすぎていますし、占いなどという非科学的な理由も厳しいです。
相手方の出自を理由とするものについても、この場合相手に帰責性は全くないわけですから、正当事由とはなりにくいです。
裁判例でも、相手が韓国籍であることを理由とした婚約破棄について、また、被差別部落出身者であることを理由とした婚約破棄について正当事由を否定しているものがあります。
正当事由があった場合の婚約破棄のその後
婚約破棄の正当事由が認められた場合は、先述のとおり、特に問題なく婚約破棄が出来ます。
したがって、こちらから婚約破棄をしたら相手が損害賠償をしてきた!なんていう場合も問題ありません。
自分たちの場合が正当事由に当たるかどうかは、具体的な事情の組み合わせによって決まってくるので、なかなか判断は難しいです。
不安な人は一度専門家に相談してみるというのも一つの手です。
婚約破棄のその後(2)正当な事由がなかった場合~損害賠償へ〜

今度は「正当な理由がない」のに婚約破棄がなされた場合です。
婚約の不当破棄では損害賠償が出来る!
婚約は口約束であっても、当然「契約」にあたります。
そのため、不当な理由での婚約破棄は「債務不履行」に該当するので慰謝料請求にまで発展するのです。
例えば、相手からプロポーズされて結婚式を待っている状況の人が「別に好きな人で来たから別れて!」と言われて、一方的に婚約を破棄された場合は、婚約という「契約」を一方の勝手な事情によって破られたと言えるわけです。
その状況に納得できないのであれば、相手に、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることが出来ます。
また、婚約の不当破棄は不法行為に当たることもあります。
相手方の「婚約者としての地位に対する侵害」と捉えることが出きるからです。
判例も、「契約責任」と「不法行為」の両方を損害賠償の根拠として認めています。
慰謝料請求できるもの
それでは具体的にどのような範囲で損害賠償が出来るのでしょうか?
婚約解消から生じる損害としては、精神的損害(慰謝料)がメインとなります。
他にも、財産的損害を賠償できることもあります。例えば、
- 新婚旅行や結婚式の予約費用やキャンセル代
- 招待状の発送費用
- 仲人への謝礼
- 新居の賃貸借契約に伴う費用やキャンセル代
などが対象となります。
訴訟に備えて証拠を揃える
これまで「正当事由」がある場合とない場合の婚約破棄のその後について解説してきましたが、いずれにせよ訴訟になったら証拠が必要です。
具体的には
- 婚約があったことを基礎づける証拠
- 正当事由を基礎づける証拠
が必要です。
婚約があったことを基礎づける証拠には、婚姻意思を伝えた第三者の証言や性的関係の継続を示すものなどがあり得ます。
正当事由を基礎づける証拠としては、相手がほかの異性と性的関係を持った場合だと、相手が異性とホテルに入るときと出る時の写真(時間間隔もわかると良い)などが有効です。
これらの証拠の収集は、素人では難しいことも多々ありますので、探偵などの専門家に依頼することをおススメします。
【婚約破棄のその後(3)】婚約破棄されてもあまりブルーにならないで

離婚するよりはマシかも
婚約破棄は、離婚するよりマシかもしれません。
二人で新居を購入済みであったり式場の予約をしているのならキャンセル料といったものが発生するので色々と大変になってしまいますが、それでもその後を考えたら離婚よりも労力という点では少ないと言えそうです。
なぜかというと、離婚の場合はこれまでの結婚生活の積み重ねがあるので、いろいろと面倒になりがちです。財産分与や子供の親権のこと、養育費のこと、面会交流のこと…ほかにも、各種の手続が必要です。
これに対して、婚約破棄の場合はこれまでの積み重ねが短い場合も多いです。
もちろん、裁判例の中には9年を超える婚約状態の解消が問題となった事例もありますが、そういう場合は少数です。
そう考えた場合、その後の生活は婚約破棄のほうがマシだ、、、そう割り切ってしまうのも一つの手です。
新たな人と新たな人生を
離婚は人生に深い傷を残す場合もあります。
残念ながら、依然として離婚を忌避する風潮があります。
離婚後に再婚をする際も、人によってはバツイチであることを引け目に感じてしまう、そんな場合もあるかもしれません。
しかし、婚約破棄の段階なら離婚よりも傷が浅く、新たな人生を歩みやすい、そうポジティブに捉えることもできます。
もちろん、離婚も悪いことではないのですが、婚約破棄なら、新たに生活を始めやすい。そういう点もあることは事実でしょう。
不安だったら 専門家に相談しよう
ただし、婚約破棄をしたその後の生活について誰も保証してくれませんし、下手をしたら婚約の不当破棄で訴えられる可能性もあります。
そのため、もし不安なら、法律関係に強い専門家に相談を行い婚約破棄は問題なくできるのか、どうやって今後の生活を送っていけるのかを相談してみてください。
婚約破棄について知りたい人はこちらも合わせてご覧ください!
【婚約破棄のその後】離婚よりはマシだった、、と思えるためにはのまとめ

離との比較も、ある意味では大事なのですが、しょせんは気休めです。
離婚だってスムーズにいくときはスムーズにいくし、婚約破棄だってメチャクチャ大変な時もあります。
具体的な事情によって状況が変わってくる以上、一概に言えることではないのです。
それでも、一度婚約破棄に進んでしまったのなら、その後の生活についてなんとかしていかなければならないのです。
その際に強力な味方となるのが、情報と計画です。
しっかりと情報を集めてしっかりと計画を立てて前に進んでいきましょう!!