あったら便利!相続関係説明図の作り方
遺産分割協議をするためには法定相続人全ての特定が必要です。抜け・漏れがないように相続人の情報は分かりやすくまとめておきましょう。そこで役に立つのが相続関係説明図です。
この記事では相続関係説明図の書き方と、使うべきタイミングを紹介します。

遺産分割協議をするためには法定相続人全ての特定が必要です。抜け・漏れがないように相続人の情報は分かりやすくまとめておきましょう。そこで役に立つのが相続関係説明図です。
この記事では相続関係説明図の書き方と、使うべきタイミングを紹介します。
・家系図のように相続人の関係をまとめたものが相続関係説明図
・相続関係説明図は、戸籍謄本の取り寄せを簡便にする
・相続関係説明図はパソコンでも手書きでも作れる
相続関係説明図とは?
相続関係説明図ときいても、耳にしたことがない方がおそらく多いのではないでしょうか。相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係が一覧になっている家系図のことです。
「被相続人」とは、亡くなって相続される人のことです。「相続人」とは、亡くなった被相続人を相続する人のことです。一般的には、被相続人は親、相続人はその子供であることが多いです。相続関係説明図は、被相続人と相続人の相続関係を明瞭にするために作成される表という理解で大丈夫です。
法定相続情報一覧図との違いは?
似たようなものに法定相続情報一覧図があります。相続関係説明図と法定相続情報一覧図は、どちらも不動産名義変更などの相続手続で使われる点では共通しています。しかし、大きく違う点が2つあるのです。
一つは、記載事項について。相続関係説明図は特に決まった書式がないのに対して、法的相続情報一覧は、法定相続情報一覧図は次の7項目のみの記載と決まっています。
- 被相続人の氏名
- 最後の住所
- 最後の本籍
- 生年月日及び死亡年月日
- 相続人の氏名
- 住所
- 生年月日及び続柄
もう一つは、証明力です。相続関係説明図は、単独だと被相続人と相続人の相続関係を証明する力は持たず、戸籍謄本等一式をあわせて準備しなければなりません。
それに対して法的情報一覧図は、法務局の認証文があるため、単独で被相続人と相続人の相続関係を証明する力があります。
相続関係説明図はなんの役に立つの?
相続関係説明図は、相続が発生すると様々な場面で役に立ちます。具体的には以下で解説していますので、ご覧ください。
相続関係を整理できて単純に便利
相続関係説明図は、被相続人と相続人の関係性を明瞭にできます。配偶者・子・親・祖父母・兄弟姉妹など親等ごとにグループ化が可能です。
例えば、
- 離婚した元妻との子どもが法定相続人に該当する場合
- 養子縁組を結んだ子どもがいる場合
- 遺産相続の話し合い前に法定相続人が亡くなってしまった場合
このようなときに、相続関係説明図で被相続人との関係性を整理しておけば、遺産分割協議で弁護士に相談をする際に役立ちます。
手続きのたび、戸籍の原本を返却してもらえる
相続税関係説明図を用意しておくと、被相続人が所有している不動産の登記を相続人に変更する(相続登記)申請の際、法務局から戸籍の原本が返却されます。戸籍の原本は、相続登記以外にも銀行口座の名義変更や凍結解除など、さまざまな場面で必要です。
戸籍の原本は、本籍地の市区町村役場やマイナンバーカード保持者であれば、コンビニで収集することになります。その場合、改めて戸籍を取りに行く時間や手間、費用が掛かってしまうでしょう。
相続登記の申請を行うときに、戸籍のコピーを法務局に提出することもできますが、数ページにもわたる戸籍をコピーするのは大変な作業です。
相続税関係説明図を用意しておくと、戸籍の原本は、返却の申し出をする必要はありますが、相続登記後に戸籍の原本が返却されます。そのため、他の相続手続きに使えるので大いに役に立つでしょう。
相続関係説明図の作り方を解説
相続関係説明図があると、相続関係を明確にして、各種相続手続きをスムーズに進められるため、あらかじめ作成するのがおすすめです。以下では、相続関係説明図の作り方を解説していきます。
戸籍を取り寄せる
相続関係説明図を作成する際、被相続人と相続人それぞれの戸籍を取り寄せる必要があります。具体的な内容は以下の通りです。
- 被相続人が所有する不動産の登記簿謄本
- 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
- 被相続人の出生から死亡までが記載された戸籍
- 全相続人の住民票もしくは戸籍の附票、または印鑑証明書
- 全相続人の戸籍
被相続人・全相続人の戸籍謄本・戸籍の附票は本籍のある市区町村役場、住民票は住民票所在地の市区町村役場で取得可能です。被相続人が所有する不動産の登記簿謄本は、全国にある法務局で受け取れます。
被相続人と相続人の情報を書く
相続関係説明図には被相続人と相続人の情報を書く必要があります。相続関係説明図に決まった形式はありませんので、手書きまたはパソコンで作成可能です。しかし、戸籍、不動産の全部事項証明書などに記載されている通り、正確に書き写す必要があります。
被相続人に関する情報は次の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 死亡年月日
- 本籍地
- 最後に住んでいた住所
- 不動産登記簿に記載のある住所
相続人も番地など省略せず、戸籍や住民票に記載された通り書き写しましょう。
相続人に関する情報について。
- 相続発生時の氏名
- 相続発生時の住所
- 生年月日
- 被相続人との続柄
相続人の氏名・住所は、相続開始時に名乗っている、住んでいる場所でなければなりません。結婚して苗字変更、実家から会社近くの家に引越して住所変更した後に、相続が発生した場合は、変更後の内容を記載してください。
また、相続人が相続を放棄する場合には、相続関係説明図にその旨を、正確に記載しましょう。
それぞれ家系図のように線で結ぶ
被相続人・相続人の情報が記載できたら、それぞれを家系図のように線で結びます。配偶者は横線の二重線、親子は縦線、養子は点線で結び、被相続人との関係性が分かるように記載してください。
相続情報説明図の形式には細かいルールの設定はありません。ですのでパソコンで作成可能です。しかし、パソコンに不慣れな方は、配偶者の関係性を表す二重線を入れるが難しいですよね、
ですので、氏名や住所などの情報はワードなどの文章作成ソフトを使って、被相続人との関係性を表す線のみ手書きで記載する方法でも問題ありません。
誰が相続人か?判断に迷ったら弁護士に相談を
相続関係説明図は特に決まったルールはありませんので、どなたでも作成可能です。しかし、間違った内容で作成していないか、そもそもだれが相続人か、戸籍を見ても判断できない方もいるでしょう。
被相続人と相続人の関係が複雑で判断に迷ったら、弁護士に相談してください。法律のプロがしっかり内容を確認します。
作成するのに自信がない場合も、弁護士が正確な相続関係説明図を作成します。
相続関係説明図の提出先
被相続人と相続人の関係性などが明記された相続関係説明図は、以下の先に提出できます。
- 法務局(相続登記)
- 家庭裁判所(遺産分割調停)
- 銀行(銀行口座名義変更、凍結解除)
まとめ
相続関係説明図があると、相続人の特定がしやすくなります。しかし相続人の特定は家系図が複雑になるほど難しくなるため制度の理解が不十分だと思ったら弁護士に相談しましょう。
相続について包括的に相談する場合でも、戸籍の取り寄せから手厚くサポートしてもらうことが可能です。