【倉庫・民泊・Airbnb】拡大する「空きスペース」を活用したビジネスの法的問題と今後の展望
今、東京には13000平米ものスペースが余っているといいます。そんな「スペース」を取り巻く問題について、不動産を始め、Airbnbを含めた民泊関係の法務に詳しい弁護士である日比野大弁護士に聞きました。

2020年東京オリンピックに向けて、民泊の需要が増えると予想されますが、適法な民泊が今後増えるためにどのような法改正が必要になるのでしょうか?
まず、旅館業法は緩和されていくと思います。
今後、民泊という新たな分野が増える中で、例えば営業日を180日に規制したり、営業の管理者をつける義務ができたり、確かに変わっていくでしょう。
しかし、それをちゃんと皆が守るのか、という話になります。
たとえ旅館業法が緩和されたとしても抑止効果にならなければ意味がないのですから、結論、適法な民泊が増えるためには全解放しつつ、別の法規制をするという手段しかないと思います。
それができないのであれば違法かどうかを確認できない規制を作ったところでなんの意味もないんですよね。
それ以上にマンションの規約など、民法上の問題もあるので、そちらのカバーの方が大事なのでは、という風に思います。
では、民泊で物件を又貸しした場合、オーナーは賃貸借契約を解除できるのでしょうか?
結論から言うと解除ができる可能性が高いです。
民泊営業について転貸の承諾がなされていないことを前提にお話しすると、承諾がなされていない場合、無断転貸という形になります。
判例では(簡単に言いますと)無断転貸は信頼関係が壊れるような場合にのみ解除ができるとされています。
例えて言えば、親族に自分の部屋を貸していた、という場合にも即解除だとされてしまうと家がなくなってしまう人が出てしまうので(居住権の確保という趣旨です)、そのような解除は制限される可能性があるということです。
判例においてはたとえ短い期間でも転貸であるとされています。
民泊においては、特定の多数人を家に泊めるわけですから、信頼関係が破壊されたとされ、解除できると言えるでしょう。
問題は解除された後、損害賠償請求等が発生することがあるので、そちらにも気をつけた方が良いでしょう。
民泊で不法行為があった場合、借主であるホストやAirbnbに対する責任はどうなるのでしょうか?
借主であるホストに責任が生じる可能性は十分にあります。
私が依頼を受けた中で、部屋を貸した人が飛び降りて亡くなってしまったために、それが原因で事故物件になりかねないからという理由で請求を受けた事例もあります。
そういった点でホストに責任が生じることは十分にあり得ると思います。
しかしAirbnbの責任は、と言われると原則論としてこれは日本の会社ではありません。
したがって彼らに責任を問うというのは非常に難しいでしょう。
Airbnbは人と場所、そしてシステムを提供しているだけなので、そういった意味でも責任を問うことは難しいと言えます。
しかし同じような形態の企業が増えていることからも、社会的責任は必ず生じてきますよね。
民泊に関しては紛争がある程度は決まっていますが、代行業者や不動産業者が絡んでくるとまた新たに増える問題も多いと思います。
そうなった問題をどうにかしたいという時には私の方へ来ていただければ、と思います。
拡大する空きスペースビジネスについて今後の展望を聞きました。
倉庫業をはじめとする、余っているスペースを扱うビジネスは非常に面白いと思います。
今東京には相当なスペースが余っている。そこに目つけたのが倉庫ビジネスです。
すでにいくつかの企業が倉庫ビジネスをやり始めています。
そこで出てくる問題としては、倉庫業法の適用を受けるか受けないか、という点が挙げられます。
倉庫業法は非常に規制が厳しいため、企業はそれをクリアするための手段を考えます。
例えばスペースだけを貸す賃貸借にしてしまう等の方法があります。
そうなった場合いわゆる善管注意義務がなくなるなどの利点があります。
もちろん全ての倉庫ビジネスがそうではありませんがそのような形態を取っている企業は少なくありません。
さらに難しい問題になってくると、どこからが宅建業法の媒介業務に当たるのか、というところが問題になります。
賃貸借の契約締結業務に関連していないということから、宅建業法の仲介に当たらないと考えられているのがAirbnbをはじめとするビジネスの興味深いところです。
今後の展開としては、「何を貸すか」が重要になってくるでしょう。
倉庫の次は自宅のスペースでものを預かるという形態のビジネスが出てくることが予想されます。
これはあくまで物を入れているだけなので賃貸にすら当たらないのではないか、という可能性もあります。
そうなってくると新しいビジネスも生まれてくるのではないでしょうか。
Airbnb・倉庫関連ビジネスのトラブルやリスクについては民泊関係や倉庫業の法務に詳しい日比野弁護士に相談してみましょう!