成年後見人とは?成年後見人の制度・注意点・手続きを解説!

成年後見人は、認知症などで判断能力が衰えてしまったしまった人をサポートしてくれる心強い存在です。ここでは、成年後見制度の概要や、成年後見人の役割、成年後見制度を利用する方法などについて幅広く説明していきます。

日常の事故・トラブル(39)相続(1)
目次

\2分で相談内容を入力/
弁護士からの連絡を待つ

もし、あなたの家族が認知症になってしまったら…?

もし、あなたの家族が認知症になってしまったら、一体誰がその人の財産を管理するのでしょうか?

誰がその人のために介護施設や病院と契約を行うのでしょうか?

こうした悩みを解決するのが成年後見人です。

そんな成年後見人について、詳しくみていきましょう。

成年後見人とは?

まずは、成年後見人とはどんな人か、そして成年後見制度の概要をみてみましょう。

成年後見人とは

契約などの法律行為は、本人の意思に基づいて行われるのが原則です。

しかし、認知症などによって本人の判断能力がなくなってしまうと、契約などの法律行為を行うのが難しくなってしまいます

成年後見人は、認知症などによって判断能力がなくなってしまった人のために、本人に代わって法律行為を行うなどして、本人をサポートします。

成年後見制度の種類(1) 法定後見

現在、日本には2種類の成年後見制度があります。

1つ目は、民法で定められた法定後見です。

法定後見では、本人の判断能力が欠けてしまった場合、本人や家族などの申立てによって、成年後見人が選任されます。

この他、本人の判断能力が欠けているとまではいえない場合でも、本人の判断能力が低下している場合は、成年後見人より権限の少ない保佐人や補助人が選任されることとなっています。

この記事では、基本的にこの法定後見における成年後見人について解説していきます。

成年後見制度の種類(2) 任意後見

一方、もう1つの成年後見の制度は、任意後見に関する法律によって定められている任意後見です。

任意後見では、本人の判断能力がまだ十分な時に、あらかじめ契約によって任意後見人になる人を決めておき、本人の判断能力が 不十分になって初めて任意後見人が選任されます。

任意後見の制度は、契約によって任意後見人を自由に選ぶことができるというメリットがある一方で、法定後見における成年後見人の場合に比べて権限が狭いというデメリットもあります。

成年後見人の役割・権限

以下では、上の二つの成年後見制度のうち、法定後見における成年後見人について説明していきます。

まず、成年後見人には具体的にどんな役割があって、そのためにどんな権限があるのでしょうか? 

成年後見人の役割(1) 身上監護

成年後見人には大きく分けて2つの役割あります。

まずは、身上監護です。

身上監護とは、本人の生活に関する事務を行うことです。

例えば、本人に代わって家賃などの費用を支払ったり、介護施設に入所するための契約を行ったりします。

成年後見人の役割(2) 財産管理

2つ目は、財産管理です。

成年後見人は、本人の財産を適切に管理するために、財産目録を作成したり、通帳や印鑑を管理したりします。

もっとも、成年後見人が本人の財産を全て自由に管理できるわけではなく、例えば本人が住んでいる家を売却するには家庭裁判所の許可が必要になります。

成年後見人の権限(1) 代理権

以上の身上監護と財産管理を行うため、成年後見人には、法律上、2つの大きな権限が与えられています。

1つ目は、代理権です。

上でみた通り、成年後見人は本人に代わって本人の生活に必要な契約を行わなければなりません。

そのため、成年後見人は、本人に代わって、契約などの法律行為を行う権限が包括的に与えられています。

なお、成年後見人よりも権限の狭い保佐人や補助人は、この代理権の範囲が成年後見人より狭いです。

成年後見人の権限(2) 取消権

2つ目は、本人の法律行為の取消権です。

例えば本人が自分の不動産を本来の価値には見合わない安い値段で売却してしまったら、たとえ本人は売る気があったとしても、結果的に本人は不幸になってしまいます。

このような場合、成年後見人は、財産管理の一環として本人が行った契約を取り消すことができます。

なお、この取消権についても、保佐人と補助人は成年後見人よりも権限が小さいです。

成年後見人には誰がなる?

このように、成年後見人にはとても重要な役割があり、そのために非常に強い権限を有しています。

では、そんな成年後見人には一体誰がなるのでしょうか?

成年後見人になる人は家庭裁判所が選ぶ

まず、前提として、成年後見人になるのに特別な資格はいりません

そのため、未成年者や破産者など一部の例外を除いて、誰でも成年後見人になる資格があります。

しかし、だからといって誰でも成年後見人になれるわけではなく、実際に成年後見人になる人は家庭裁判所が選任します。

申立ての際に家庭裁判所に候補者を推薦することはできますが、必ずしもその人が選任されるとは限らず、家庭裁判所が適任と判断した人が選任されることになります。

成年後見人になりやすい人(1) 親族

では、実際にどのような人が家庭裁判所に選任されやすいのでしょうか?

まずは、本人の親族です。

成年後見人は、本人の身上監護や財産管理を行うので、本人のことをよく知っていなければなりません。

その意味で、本人のことをよく知っている親族は適任ということになります。

成年後見人になりやすい人(2) 弁護士などの専門職

しかし、例えば、親族の間で争いがある場合や、本人の財産が多額で財産管理を行うのが大変な場合、必ずしも親族が成年後見人になることが適切とはいえません。

このような場合には、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職が成年後見人に推薦されることが多いです。

近年では、このような専門職後見人の数が増えているようです。

成年後見制度を利用するときの注意点

このように、成年後見人は認知症で判断能力を失ってしまった人の強い味方ですが、利用するに当たってはいくつか注意点があります。

ここからは、それらの注意点をみていきましょう。 

成年後見制度の注意点(1) 本人の自由が狭くなる

まず、本人が自由にできることの範囲が狭くなってしまいます

成年後見人が財産管理を行うということは、裏を返せば、本人が自由に使える財産は少なくなるということです。

例えば、相続税対策のために他の人に財産を贈与することもできなくなります。 

もっとも、日用品の購入などの日常生活に関する行為は、本人の自由に行うことができます。

成年後見制度の注意点(2) 成年後見人に報酬を支払わなければならない

成年後見人が家庭裁判所に報酬付与の申立をすると、本人の財産から定期的に成年後見人の報酬が支払われることになります。

親族が成年後見人に選任された場合には無償なこともあり得ますが、特に専門職後見人の場合には、毎月一定額の報酬を支払うことになるでしょう。

成年後見制度の注意点(3) 成年後見人には義務が多い

成年後見人は、本人の身上監護や財産管理を行うに当たって、本人の意思を尊重し、その心身と生活に配慮しなければなりません。

これを成年後見人の身上配慮義務といいます。

これに違反して、成年後見人が本人に損害を与えると、本人に対して損害賠償責任を負うこともあり得ます。

また、成年後見人は、家庭裁判所に対して、定期的に、事務に関する報告を行わなければなりません。

もし、あなたが親族のために成年後見人になることを考えているのであれば、こうした義務のこともしっかりと頭に入れておきましょう。

成年後見制度の注意点(4) 一度成年後見人になると簡単には辞められない

もしあなたが成年後見人に選任された場合、「正当な事由」がない限り成年後見人を辞任することはできません

そのため、例えば病気になってしまった場合や転勤で遠くに引っ越す場合には辞任することができますが、「成年後見人の仕事が思っていたよりも大変だったから辞任する」ということは基本的にはできません。

成年後見制度の注意点(5) 成年後見は原則として本人が死ぬまで続く

そして、最も注意しなければならないのは、一度成年後見が始まると、原則として本人が死ぬまで成年後見が続くということです。

仮に最初に選ばれた成年後見人が解任された場合でも、それによって成年後見は終了せず、新たな成年後見人が選任されることになります。

そのため、上でみたような自由の制限や報酬の負担のような本人にとってのデメリットは、原則として本人が死ぬまで続くことになってしまうのです。

成年後見制度の手続き

以上のような注意点を踏まえた上で、実際に成年後見人を選任したいと思った場合、具体的にどうすればいいのでしょうか? 

成年後見制度の手続き(1) 家庭裁判所への申立て

上で述べたように、成年後見人は家庭裁判所が選任するので、まずは家庭裁判所に後見開始の申立てをしなければなりません。

本人が自分で行うだけでなく、本人の配偶者や4親等内の親族も、この申立てを行うことができます。

申立てに当たっては、申立書の他、本人の収支状況報告書、本人の診断書など様々な書類を家庭裁判所に提出しなければなりません。

成年後見人の候補者がいるのであれば、後見人等候補者事情説明書という書類を提出して候補者を推薦することもできます。

成年後見制度の手続き(2) 家庭裁判所調査官の調査、精神鑑定

後見開始の申立てがなされると、家庭裁判所の調査官が、本人の生活状況や成年後見人の候補者などを調査します。

また、必要に応じて医師による本人の精神鑑定を行うこともあります。

成年後見制度の手続き(3) 後見開始の審判

以上の調査の結果、家庭裁判所が本人の判断能力が欠けていると判断した場合、後見開始の審判が行われます。

このとき、家庭裁判所は、調査の結果適任と判断した人を成年後見人に選任します。

この時、後見監督人という成年後見人を監督する人が同時に選任されることもあります。

成年後見制度の手続き(4) 審判の告知

後見開始の審判がなされると、家庭裁判所の審判書の謄本が申立人と成年後見人に送られます(これを「告知」といいます)。

この告知から2週間以内に不服申し立てがなされなければ、2週間たった時点で成年後見が開始します。

成年後見制度の手続き(5) 成年後見制度の利用を考えたら弁護士に相談を!

このように、成年後見人を選任するための手続きは大変な上、様々な書類を用意しなければなりません。

そのため、成年後見人を選任することを考えたら、まずは弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

あらかじめ相談しておけば、その人が専門職後見人として選任されやすくなるという利点もあります。

成年後見人とは?成年後見人の制度・注意点・手続きを解説!のまとめ

成年後見人について、幅広くみてきました。

成年後見人は、認知症などによって判断能力が欠けてしまった人にとって、とても心強い存在です。

しかし一方で、本人の自由が制限されるなどの注意点もあります。

成年後見人を選任するための手続きも大変です。

もしあなたの家族が認知症になってしまった場合、まずは弁護士などの専門家に相談してみてください

弁護士などの専門家は、そもそも成年後見人を選任すべきかどうかの判断から、選任する場合の手続きまで行ってくれるはずです。

\2分で相談内容を入力/
弁護士からの連絡を待つ

この記事の作成者

カケコム編集部