こんな職場もう嫌だ!パワハラ上司にどんな仕返しができる?

パワハラが辛い、パワハラ上司から逃げたい。
でも…これまでされてきたことを考えればパワハラから逃れるだけじゃ気が済まない。自分と同じ苦しみを与えたいという気持ちになるのも無理はありません。しかしパワハラが法律問題になるように、あなたがパワハラに仕返しした場合も法律問題になりかねません。
この記事では、あなたが合法的にどのような仕返しができるのか紹介します。転職や退職をご検討の方もぜひご覧ください。
・パワハラ上司はあなたへの攻撃を正当化しています。
・法に頼らず仕返しするなら、力関係の逆転しかない。
・法律に基づく仕返しとしては慰謝料請求が考えられます。
パワハラ上司への仕返しは合法?それとも違法?
自分を傷つけた人間を同じ目に遭わせたいと思うのはあなただけではありません。ではやられ損で終わらないための仕返しは許されるのか?残念ながら私的な仕返しは違法です。しかし合法的な行動が時に相手への仕返しとなる場合はあります。まずはあなたが考えている仕返しが合法か違法か考えてみましょう。
たとえ犯罪者に対する仕返しでも違法です
パワハラ上司に仕返しをする上で知ってほしいのが、仕返しがは違法となりやすいという点です。少なくとも犯罪行為が「仕返しだから無罪になる」ことはありません。例え、パワハラよりも重い犯罪をした相手に対しての仕返しでも法的に正当化されることはないのです。
したがって恨みを晴らすことは非常に難しいです。法律を犯さない形で何ができるのかを考えましょう。
仕返しをする≠仕返しになるという考え方が大切
人を傷つけることが犯罪となる以上、「仕返しをしよう」と思うほど仕返しが難しくなります。その一方で「合法的だが相手にダメージを与えられる」手段はあります。例えば転職して上司より幸せになること、味方を増やして上司を牽制すること、そして弁護士に依頼して慰謝料を勝ち取ること。
こういったことは直接的な仕返しとは言えませんが、相手の乱暴狼藉を止められるため実質的な仕返しになります。大きな行動こそ理性的な判断が求められます。
パワハラの定義と類型をおさらいしましょう。
嫌な上司に仕返しをしたい!法的手段をお考えなら「法的に問題となるレベルのパワハラ」を受けていることが前提条件となります。あなたが体験した出来事を思い出しながらパワハラの定義と類型をおさらいしましょう。
パワハラの定義はこの3つ!
厚生労働省は次の3要件をパワハラの定義として挙げています。ただし、この3つ全てを満たしていなくてはパワハラと呼べません。(労働局資料より)
①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
②業務の適正な範囲を超えて行われること
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
パワハラは上司部下などの権力関係を背景にしていますがそれが業務上正当な範囲の命令であればパワハラと言えません。また、被害者が苦痛を受けているか就業環境を害していることもパワハラの条件です。
自分のケースはどれ?パワハラの6類型
パワハラの具体的な内容としてはこの6つがあります。あなたがされた行為はどれか、チェックしてみましょう。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
パワハラといえば暴行や暴言が挙げられますが、他にも仲間はずれや人を傷つける目的の業務命令、プライバシーの侵害など様々な類型があります。実質的にパワハラと言えるかどうかが問題なのです。特に仕事ができない人へのパワハラは自業自得と言う人もいますが、できないとわかっている時点で何らかの対策や解雇が求められます。つまり正当化されません。
なぜあの人は私を傷つけるのか?パワハラ上司の特徴と心理問題を解説
パワハラをする上司はなぜ自分を傷つけるのか?そんなことをして何が楽しいのかと思うことでしょう。ここではパワハラ上司の特徴と心の状態について紹介します。
とにかく相手が許せない
完璧主義や根性論、とにかく相手を責めて責めて責めまくる。ストイックな姿勢に見えることでしょう。しかし、完璧主義の上司が有能とは限りませんよね。
彼らの動機は恐怖と恨みです。完璧主義の裏には「完璧に振る舞えなかった時の恐怖」があります。根性論だって、そうしなければいけなかったという恐怖があります。
そんな恐怖心に苛まれる中、自分よりも頑張ることなく、不完全でも許されている人がいたらどう思うでしょうか?許せないという気持ちが爆発します。彼らのパワハラは「恨み」「妬み」が原因です。誤った子育てによって成長した大人、愛の鞭という名の下で暴力を加える上司、枚挙にいとまがありません。
パワハラで最も深刻かつ最も一般的な類型がこれです。妬みに囚われてしまった人間を改めさせることは非常に困難ですからすぐに弁護士へ相談してください。
自分の思い通りでないと気が済まない
自分の思い通りでないと気が済まないのが人間です。しかし、思い通りを突き通せない中で折り合いをつけようと考えるのが普通ですがそうでない人もいます。何でもかんでも自分の意見を押し通そうとする人にはこんな原因が考えられます。
- それが当たり前だと思っている
- 周りがそれを許してきた
- 実は、それが本人にとって最も譲れない論点である
自己中心的な性格が強い上司の場合、命令が理不尽なだけでなく朝令暮改的に話がコロコロ変わってしまうことも考えられます。時には社長にみられる特徴でもあります。
自分の失敗を認めるのが怖い
自分の失敗を認めることに恐怖を抱いている人は、責任を他人に押し付けてしまいます。周りに調子の良いことばかり言って、後始末を他人に丸投げしてしまう人間もこれです。
人間の心は強い力を持ち、「自己保身したい」「心を守りたい」と思っている人の力も本当に強いです。
自分の失敗を認めることができない人間は、間違いを指摘した相手を逆恨みします。上司であれば自分をいじめたと、部下であれば自分に楯突いたと思い込むわけです。そして復讐のために嫌がらせをします。
人を愛することができない
パワハラをする人は、無意識に「傷つけて良い相手」を選別しています。時にはパワハラを社内を結束させる道具のように使うこともあります。もし、自分にだけ扱いがひどいと思うときは相手が自分を同じ人間と認識していないことを疑いましょう。
パワハラへの対処が難しいのは上下関係!
パワハラの対処が難しいのは、やはり権力関係に基づいて行われる点にあります。いくつかの対処方法はあるものの共通するのは「自らが力をつける」か「他者の力を借りる」ことでしか解決できないことです。
会社の相談窓口に相談する
会社に相談窓口があれば社内での解決ができるかもしれません。しかし会社が表沙汰にしたくない、実は型式的に窓口を設置しているだけと言う場合は十分な対応をしてもらえないかもしれません。
労働組合への相談も考えられますが、やはり限界があるでしょう。
社内での味方を増やそう
パワハラ上司を撃退したいと考えているなら社内で味方を増やすことを考えましょう。自分を認めてくれる人間が味方にいれば、自分を傷つける相手と対抗することができます。
いじめやハラスメント問題の本質は強い敵がいることではなく頼れる味方がいない事にあります。
パワハラ上司との関係性を変えるために
あなたがパワハラ上司の標的となる理由は、あなたがそれを受け入れるからです。もし、あなたが被害者という役割を拒否すれば上司との関係性は変わります。良い方向か悪い方向か、それは行動次第ですが「上司に振り回される自分」という役を演じないよう気をつけましょう。
相手を怒らせないようにする?それでは被害者のままです。
上司をうまくやり過ごす?それもあなたが上司の感情に支配されている現実を変えません。
相手に「この人は支配できない」と思わせることができれば、実質的な仕返しになります。
転職をする
会社に見切りをつけて転職することも一つの手段です。今の会社でずっと被害者でい続けるよりも人生は開けるかもしれません。あなたの経験をもとに安全な会社と危険な会社を見分けながら安心して働ける環境を見つけましょう。
パワハラへの仕返しは法的手続きで!
パワハラに対して合法的な仕返しを検討なら、弁護士にご相談ください。私的制裁の手助けは決して行えませんがパワハラに応じた慰謝料の請求はできるかもしれません。
パワハラの慰謝料は50〜100万円が相場です。より被害が大きければ金額も大きくなる傾向にあります。
まずは証拠を押さえよう
パワハラで慰謝料を請求するためには、パワハラによって精神的苦痛を受けたことの証明が必要です。まずはパワハラの事実を示す証拠を集めましょう。パワハラの音声を記録したデータ、メール、診断書や日報などが証拠になり得ます。
パワハラ音声を録音するときは、ボイスレコーダーを用意しましょう。スマホが持ち込める場合は事前に録音に十分な性能を持っているかどうかご確認ください。
動画撮影やボイスメモの機能を使い、スマホをオンにしたまま内ポケットなどに隠しておきましょう。隠し録音が違法だという考え方もありますが、少なくともパワハラで慰謝料を請求する民事裁判の証拠とすること自体は、何の問題もありません。また、あなたがパワハラを受けた状況を同僚が証言してくれれば、それも強力な証拠になる場合がありますが、同僚は自分が巻き添えになることを嫌がって協力してくれない可能性が高い、と思った方が良いでしょう
暴力以外のパワハラについても明らかに不合理な業務命令や人事異動があったことを証明できれば慰謝料請求できる可能性があります。
判例を知っている弁護士への相談がおすすめ
どんな事件も、法律を読むだけで解決するなら苦労はないことでしょう。しかし慰謝料に関しては事件に応じていくら支払うべしという条文がありません。したがって裁判で個別具体的に決めることとなりますが過去の裁判記録(判例)が有力な基準となります。
裁判の前に示談や労働審判を行った場合にも判例を示すことで訴訟したときのリスクを相手に教えることが可能です。判例への理解が深いほど慰謝料の金額以外に、証拠として役立つものを選ぶ制度も高まります。
したがって弁護士への依頼をお考えなら、労働問題に対する経験が豊富な弁護士を選びましょう。
まとめ
パワハラを受けたからと、同じ方法での仕返しをすればあなたが違法な行為をした責任を問われかねません。しかしパワハラによってあなたが相応の精神的苦痛を受けたのであれば、慰謝料請求は可能かもしれません。相手への仕返しとなるかどうかはケースバイケースですが、大切なのは泣き寝入りしない姿勢です。
損害と権利回復のために、弁護士はあなたの力になります。