離婚手続きの期間はどのくらい?長期化するケースと早期解決のためのヒント
離婚手続きの期間ってどのくらい?そんな疑問にお答えします。どんな場合に長期化してしまうのか、また離婚手続きを長引かせないためには何が必要なのか、知りたい方は必見です。

離婚手続きにかかる期間
離婚手続きにかかる期間ですが、短くて6ヶ月、長い場合は2年以上になることもあります。晴れて離婚するにはそれだけの期間、離婚手続きをやり抜く覚悟が必要になります。
本記事では、ここからさらに詳しく、離婚手続きにかかる期間を状況別にご説明していきます。
離婚協議中の人、これから離婚を考えている人、離婚手続きを早く終わらせたい人は要チェックです。
協議離婚の場合
協議離婚というのは、裁判所に行くことなく、協議して進める手続きです。手続きにかかる期間としては、平均して6ヶ月〜1年間ほどかかります。
この手続きでは、ご本人同士では冷静に話し合うことが難しい場合も少なくありません。特に相談内容もたくさんあるような場合は、順序立てて話し合いを進めることが難しい場合も多いです。このように相談すべき事柄が多くあるような場合は、手続きの期間も長期化しやすいでしょう。
調停離婚の場合
調停離婚は、一言で言えば、裁判所で夫婦間の話し合いを行う手続きです。協議離婚と違い、調停委員という裁判所の方が仲介し、話し合いの調整をしてくれます。調整というのは、お互いに歩み寄れる点を見つけたり、歩み寄るように説得したり勧めたりすることです。
調停の日のことを期日といいますが、この期日は、基本的に3回で終わりにすることが想定されています。手続きにかかる期間としては、早ければ6ヶ月程度で終えられます。
しかし、この手続き方法では、裁判所はあくまで調整役で、夫婦に何かを命じたり、代わりに判断したりすることはできません。そのため、当事者が対立している場合は、話し合いが長期化する傾向があります。
裁判離婚の場合
裁判離婚は、裁判所から離婚の判決をもらうことを目指す手続きです。手続きにかかる期間としては、少なくとも1年程度、長ければ3年以上かかるケースもあります。
協議離婚や調停離婚と違い、話し合うことを前提としません。裁判離婚をするには、不倫やDVなど、法律で決められた離婚原因(法定離婚事由)が必要です(民法770条)。
民法770条
1. 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
裁判離婚を求める側は、こうした離婚原因があることを主張し、証明する必要があります。
詳しくは離婚訴訟を起こす前に覚えておきたい!〜裁判の概要と勝つために必要なこととは?〜を参考にしてください。
離婚手続きの期間が長期化するケースとは
ここまで、離婚手続きの種類ごとに、手続きにかかる期間の目安をご紹介してきました。しかし、実際にかかる期間はケースバイケースで、揉めている場合は長期化しやすくなります。
そこでここからは、具体的にどのような場合、手続きにかかる期間が長期化しやすいのかご紹介していきます。
長期化しやすいケース(1) 相手が離婚したくない場合
まず、こちらが離婚を望んでいても、相手方は離婚を拒否している場合、離婚手続きにかかる期間は長期化しやすいです。
例えば、相手方の不倫などでこちらが離婚を望んでいても、相手方は子どものために夫婦でいる方がいいといった理由で、離婚を拒んでいるようなケースです。
離婚の話し合いでは、離婚したい側は相手の悪いところを非難し、離婚したくない側は今後の生活に関する現実的な問題を主張するなどすることが多いため、話し合いの内容が複雑でややこしくなりやすいのです。
こういったケースは、どちらも引けないという気持ちを持っているため、離婚手続き期間が長引く傾向にあります。
長期化しやすいケース(2) お互いに親権を主張しあう場合
離婚手続きが長期化する場合として、お互いに親権を主張して譲らない場合が挙げられます。
離婚の際には、夫婦間に子どもがいる場合、父親と母親のどちらが親権者になるかを決めなければなりません。親権というのは、子どもを監護、養育し、その財産を管理し、子どもの法律行為(契約など)について、その子の代理をする権利です。
子どもは、未成年のうちは親権者の同意がなければ、契約などをすることができません。親権者の同意が必要な契約行為としては、学校への入学、塾通い、アルバイトなどがよくあります。そのため親権者になると、こういった子どもの将来を左右し得る選択に大きくかかわってきますので、重要な権利です。夫婦の子どもに対する思いが強いほど、譲り合うのは難しくなってくるでしょう。
そのため、親権で対立する場合、離婚手続き期間は長引く傾向にあります。
長期化しやすいケース(3) 金額に細かくこだわる場合
ここまでご紹介したのは、感情的な対立が強い場合でした。これに対して、夫婦がお金に細かくこだわる場合も、離婚手続きにかかる期間は長くなりがちです。
離婚の際に話し合うお金に関する項目の例としては、財産分与があげられます。離婚の際には、これまで夫婦で築き上げてきた財産を分与する合意をします。ただ、ここで相手にそんなに渡したくないとか、結婚や出産祝いのお金を返せとか、とにかく細かく金額を計算し合う場合、話し合いがなかなか進まず、離婚手続きは長期化しやすくなるでしょう。
争いになっている金額や費目を特定するだけでも大変な作業ですし、そのあとの金額のすりあわせにもかなりの時間がかかることが予想されます。
離婚手続きの期間を短くするためには
手続きの種類や離婚時の状況によって、手続きにかかる期間が異なりますが、それなりに時間がかかることが多いことは、ここまででご理解いただけたかと思います。
しかし、少しでも早く解決するためできることはないのでしょうか?
ここから、離婚手続きをスムーズに進めるためにできることをご紹介していきます。
論点をはっきりさせて協議する
まずは、話し合う際に協議する内容を明確にするように気を付けてみましょう。
離婚するには、離婚するかしないか、親権者、養育費、財産分与など、決めることがいくつもあります。
ご本人同士で協議する場合、感情面が先立って、整理して協議するのが難しいケースもあるかもしれません。しかしこれでは、現在何について話し合っているのかもはっきりしないまま、話がダラダラと続いて、離婚手続きが長期化してしまいます。
そのため話し合いをする際は、少しでも離婚手続きの期間を短くするために、親権や財産分与など、今話し合っている争点を明確にするようにしましょう。今協議している項目は何なのか、1つ1つ意識しながら協議することが大切です。
期限を決めて協議する
協議そのものの期限を切っておき、その期限までに協議がまとまらなければ次の手段を考えるようにしておくことも効果的です。
また、いくつかの論点に優先順位をつけた上で、論点ごとに期限を設定しておく方法もあります。これにより、ある論点を解決したら次の論点へという形で、協議を順序立てて進めやすくなります。
譲れる点と譲れない点を区別する
話し合いをする際は、自分が譲れる点とそうでない点をはっきりさせることが大切です。
離婚の手続きは、裁判離婚を除き、基本的には協議による解決を図る制度です。話し合う以上、最終的には、お互いに歩み寄らなければ解決しません。
嫌だと思っている相手に条件を譲るのは気が進まないのは分かります。しかし、ここは未来に進むためと割り切って、少しずつ歩み寄ってみましょう。
専門家に相談する
離婚手続きの期間をなるべく短くしたいのであれば、最も重要なことは、離婚問題に強い弁護士の力を借りることです。
弁護士の恩恵を受けられるのは裁判のときだけではありません。離婚協議を円滑に進めたり、調停委員に簡潔に離婚の意思が伝わる方法を教えてくれたり、離婚手続きを進めていく上での心強い支えとなります。
なるべく早い段階で弁護士に相談することが、離婚問題の早期解決への近道と言えるでしょう。