残業代請求の時効は2年!確実にすぐに取り返す弁護士の選び方を元弁護士が解説

残業代を支払ってもらっていない場合には、まとめて未払いの残業代を請求できますが、残業代請求権には「2年」の時効があります。
期限内に対処しないと、せっかく働いた分の残業代がどんどん時効にかかってしまい、支払いを受けられなくなるため要注意です。
またきちんと残業代を返してもらうためには、専門家である弁護士に相談をして適切に対応することも大切です。
今回は、会社にきちんと残業代を支払わせるための弁護士の選び方や費用について、解説します。

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目次

残業代請求についての悩み|労働体制の変革に伴って増加


◾相談者さま

退職するにあたって、過去1年分の残業代をできるだけもらいたいな。
でも自分で交渉するのは疲れるし、下手したら残業代をもらえない危険性もあるのでは?
こういう場合は弁護士に依頼した方がいいのか?

名前/年齢/性別

後藤進(仮名)/32歳/男性 

相談背景

地元の名古屋の会社に大学卒業後そのまま就職。入社当時はそこまで大きくなかったが、自分の大型案件の大成功により会社は右肩上がりに成長し、業界では有名な会社となる。その功績を讃えられ、東京支店出店の責任者として東京に転勤。後藤と数名の業務委託とインターンで仕事を進めることに。その形態が仇となり過労状態となる。

しかし独身であり時間は作れるということや、期待されて東京進出を任されたこともあり我慢して仕事を続ける。結局、1年経ったところで過労で緊急搬送される。これを機に退職を決意。当分は就職せずゆっくり休養したい。

しかし今まで残業代は支払われず基本給のみだったので、貯金は多くない。これだとすぐに働く必要が出てくるので、できるだけ残業代を多く早くもらって休みに入りたい。

相談内容  

1年間の残業代をまとめて請求できるのか?
疲労困憊だができるだけ残業代を回収したいので、確実な弁護士に頼みたい
弁護士に必要な費用は?できるだけ残業代は手元に残したい

 


◾担当弁護士

弁護士に依頼することで、相談者さまに対して未払いの残業代を正確に把握した上で、就業先との交渉も行い、より多くの残業代を回収することが期待できます。
今回は残業代の請求を弁護士に依頼する場合のポイントや手順を解説していきます。

 

 

本記事の執筆者

福谷 陽子

元弁護士 京都大学法学部卒業後、10年間の弁護士実務を経て、ライターに転身。
現在は法律記事を中心に多数のメディアや法律事務所などの依頼を受けて執筆活動を行っている。

 

残業代請求で弁護士がしてくれること

そもそも残業代請求をするとき、弁護士がどのようなことをしてくれるのでしょうか?大きくは3つです。

  • 相談者に寄り添った適切なアドバイス
  • 就業先との代理交渉
  • 労働審判や訴訟の代理交渉

それぞれ詳しく説明します。

(1) 残業代請求に関する適切なアドバイスを実施

残業代を請求するとき、わからないことがいろいろあるものです。証拠集めの方法、在職中に残業代請求をするケースではなるべく会社との関係を悪化させない対処が必要ですし、会社との交渉が決裂したときの対応などが問題になります。

このようなとき、弁護士に相談していたら各場面で適切なアドバイスを受けられます

(2) 就業先に残業代請求の代理交渉

残業代請求をするときには、企業側と交渉をしなければなりません。

自分で対応すると不利になることも多々ありますが、弁護士に依頼すると会社側との力の差が解消されて、有利に進めやすいです。

(3) 就業先との労働審判や訴訟の代理

残業代請求の際、会社側と意見が対立したら労働審判労働訴訟による対応が必要になることもありますが、これらの裁判手続きを弁護士に依頼できます。
調停やADR、労働局のあっせん手続きなどでも、弁護士に代理人になってもらうことができます。

残業代請求を弁護士に依頼する費用の相場

残業代請求を弁護士に依頼すると「高額な弁護士費用がかかるのではないか?」と心配される方も多いです。
弁護士に残業代請求を依頼をする場合の費用は法律相談料+着手金+報酬金で構成されています。
弁護士事務所によって固定や歩合報酬の割合が違うので一概には言えませんが、例えば200万円の残業代を請求する場合で、一般的な依頼内容で考えると「42〜90万円」となります。

<残業代200万円を請求した場合>
科目 費用
法律相談料 0〜5,000円(30分)
着手金 会社との交渉:10〜20万円(0円の事務所あり)
労働審判:15〜20万円
労働訴訟:30〜40万円
報酬金 32~70万円程度
合計 42~90万円程度

上記はあくまで一般的な費用を用いた場合で、法律事務所によって異なります。ここからはそれぞれの費用について詳しく解説していきます。

(1) 法律相談料

弁護士に法的な問題を相談すると「法律相談料」がかかります。法律相談料の相場は、30分5000円です。
ただし最近では「無料相談」に対応する事務所も増えています。また収入が一定以下の方の場合、「法テラス」を利用すると無料で相談を受けられます。

(2) 着手金

着手金は、弁護士に対応を依頼した当初に発生する、まとまった費用です
弁護士に何の手続を依頼するかにより、金額が異なります。
 
会社側との交渉であれば10万円~20万円程度が相場ですが、着手金無料にしている事務所もあります。
労働審判になると、15~20万円程度の着手金が必要な事務所が多いです。
労働訴訟をする場合には、30~40万円程度が相場です。
 
「請求金額の8%」など、請求金額に応じた費用体系にしている事務所もあります。

(3) 報酬金

報酬金は、残業代を回収できたときに発生する費用です。回収した金額の16%~20%などとしている事務所が多いです。
 
また20万円+25%、20万円+20%、10万円+15%など「固定+歩合」に設定している事務所もあります。
着手金が無料の場合、報酬金が高額になることが多いので、弁護士事務所を選ぶときには「着手金無料」といううたい文句のみに引きずられず、全体的にリーズナブルかどうかに注目して検討しましょう。
 

残業代請求に強い弁護士の選び方

残業代請求に強い弁護士を選ぶには、以下の4つがポイントとなります。

  • 残業代請求の勝利実績が多い
  • 労働問題に対して研究熱心
  • 依頼主に対しての説明が親切で分かりやすい
  • 費用体系が明確でリーズナブル

それぞれ詳しく解説していきます。

(1) 残業代請求の勝利実績が多い

まずはこれまでの残業代請求の実績に注目しましょう。
ホームページ上に「これまでの回収件数、回収金額」などが掲載していると、判断しやすいです。
 
電話したときや相談時などに、直接弁護士に聞いて確認するのも1つの方法です。

(2) 労働問題に対して研究熱心

弁護士が、残業代請求を始めとした労働問題に強い関心を持ち、研究熱心であるかどうかも重要です。

労働関係の法律はどんどん改正されますし裁判所の判決も日々出続けています。
常に最新の情報を追いかけている弁護士に依頼した方が、あらゆる意味で有利になるからです。

(3) 依頼主に対しての説明が親切で分かりやすい

相談したときに弁護士による説明がわかりやすいかどうかも重要です。いくら労働問題に詳しくても、依頼者への態度がぞんざいであったり話し下手であったりすると、ストレスが溜まるだけで良い解決にはつながらないからです。
 
弁護士とは「相性」もあるので、相談を受けたときに「信頼できる」と感じる人を選びましょう。

(4) 費用体系が明確でリーズナブル

残業代請求の弁護士費用は依頼する事務所によってかなり異なるので、費用体系が明確でリーズナブルな事務所を選ぶことが大切です。

単に安いだけで腕が悪いと結局はお金を捨てることになるので、金額の割にしっかり対応してくれる」事務所を探しましょう。

残業代請求に強い弁護士の探し方


残業代請求に強い弁護士の特徴は掴めたことでしょう。では実際に弁護士を探す方法を解説していきます。

(1) まずはHPで検索する方法がおすすめ

弁護士を探すときには、紹介を受ける方法や弁護士会に相談する方法、電話帳で探す方法などがありますが、最近ではほとんどの方がネット上で弁護士事務所のウェブサイトを検索して依頼する事務所を選んでいます。
 
ウェブサイトには弁護士の得意分野や人となり、費用等が詳しく書かれているので、依頼者が気に入った弁護士を探しやすいからです。ネットで探すと「無料相談」「土日相談」「夜間相談」に対応している事務所なども見つけやすいです。

(2) 弁護士事務所のHPの見方

ただ、ふだんは法律事務所のHPは見ない方が多いため、何を基準に選んで良いかわからないと思います

以下は、残業代請求に強い弁護士事務所のHPを見るポイント5つです。

  • 取り扱い内容
  • 実績
  • 本の執筆やメディア出演
  • プロフィール
  • ブログ

それぞれ詳しく説明していきます。

  • 取り扱い分野

弁護士事務所のHPには、取り扱い分野が掲載されています。中でも得意分野については大々的に取り上げられていて「残業代請求ならお任せ下さい」「残業代請求の実績が高い法律事務所」などと書かれているものです。

残業代請求を依頼したいのであれば、残業代請求や労働トラブルを大きく取り上げている事務所を選びましょう。

  • 実績

弁護士事務所のこれまでの実績がHPに掲載されている例も多いです。これまでの取扱件数、解決件数、回収金額の総額、解決事例などの情報を確認しましょう。

  • 本の執筆やメディア出演

これまでに労働関係や残業代請求についての本を執筆していたりメディア出演したりしている弁護士は、残業代請求に強い可能性が高いです。

  • プロフィール

その弁護士のプロフィール欄も見ておくと参考になります。何歳のときに弁護士になったのか、経験年数、職歴などいろいろな情報が載っているので、信頼できそうと感じる人を選びましょう。

  • ブログ

最近の弁護士はブログを書いていることが非常に多いです。残業代請求や労働関連のブログ更新を頻繁にしている弁護士を選びましょう。

(3) 複数の事務所で相談を受ける

残業代請求を依頼する弁護士を選ぶとき、複数の弁護士事務所で相談を受けて比較する方法をおすすめします。
話したときの弁護士の対応や費用体系など、それぞれの事務所によって異なるので、比較検討して納得できる事務所を選びましょう。
 

残業代請求に負ける・失敗するとどうなるのか?

費用を惜しんで弁護士に依頼しなかったり、依頼する事務所を間違えたりすると残業代請求に失敗してしまう可能性があります。

すると、当然ながら働いた分の残業代を支払ってもらうことができません。また、手元に入る金額が大幅に減少されてしまうケースもあります。

これまでの裁判例をみると、勝訴した場合の未払残業代の金額は、700万円以上に及ぶ事例もみられます。このようなとき、弁護士に依頼しなかったために2年の時効を過ぎて一切請求できなくなったり、企業側から反論されて100万円以下などに減額されてしまったりすると、労働者にとって大きな不利益があります。

残業代請求をするときには、弁護士費用を払ってでも、まずは満額の回収を目指すべきです。

残業代請求に必要な証拠

残業代請求の際には以下のような証拠が必要です。

  • タイムカード
  • 業務日報、営業日報
  • パソコンのログイン、ログオフ記録
  • オフィスビルの入退館記録
  • 交通ICカードの利用履歴
  • タクシーの領収証
  • 業務条の送受信メール
  • 手帳
  • 給与明細書
  • 就業規則
  • 雇用契約書

特に「残業時間」を証明する証拠が重要となります。

弁護士に依頼するメリット

残業代請求を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

(1) 労力の削減

自分で残業代請求をすると、証拠集めや資料の分析、残業代の計算、会社側との交渉や裁判手続きの準備など、すべて自分でしなければなりません。
弁護士に依頼すると、こうしたことを弁護士が代行してくれるので、大幅に労力を削減できますし、日常生活や仕事、転職活動などの他のことに力や時間を振り向けられます。

(2) 高額な回収を目指しやすい

自分で残業代請求をすると、どうしても対応が不十分となって回収額が少なくなります。弁護士に依頼した方が、最終的な回収額が高額になるので、弁護士費用を差し引いても依頼者の手元に入る金額が大きくなりやすいです。

(3) 裁判手続きになっても安心

残業代請求をすると、企業側が強硬な姿勢をとるために合意できず、労働審判や労働訴訟になるケースも多々あります。
裁判手続きでは、素人が1人で対応すると不利になりやすいです。特に企業側が弁護士をつけていると、力の差が顕著になります。
このようなとき、請求者側も法律の専門家である弁護士に依頼すると、比較にならないほど有利になります。

まとめ

残業代請求をするときには、費用を払ってでも弁護士に依頼した方が、最終的な手取り額が大きくなって得をするものです。
弁護士は、費用も対応も事務所によって大きく異なります。まずはHPの情報を確認し、その後必ず実際に法律相談を受けて弁護士と直接話をしましょう。そして「見積もり書」を出してもらい、その内容をもとにして実際に依頼する事務所を決定し、高額な残業代を獲得しましょう。

この記事の作成者

カケコム編集部