公務執行妨害が成立する要件と、逮捕された後にすべきこと
119番通報で呼んだ救急隊員を殴ったとして、京都府警木津署は2日、公務執行妨害容疑で同府精華町祝園の無職男(66)を逮捕しました。

・公務の執行を妨害すれば公務執行妨害罪
・体に接触しなくても公務執行妨害罪になり得ます
・事態が悪化しないうちに、刑事事件に強い弁護士へ相談を
公務員への暴行や暴言は犯罪になる?
暴行や暴言は日常生活でも悪いことと認識されていますが、公務員に対して暴行や暴言を行った場合は公務執行妨害という罪に当たる可能性があります。
公務執行妨害はどこから?
公務執行妨害は公務員を守るための罪というよりは、公務の執行を守るために決められた罪です。したがって公務員を公務の外で殴った場合は公務執行妨害ではなく単純に暴行罪や傷害罪が論点となるでしょう。
では、公務執行妨害はどこから犯罪になり得るのでしょうか?
刑法第95条1項には次のように書かれています。
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
まず公務員が「職務を執行するに当たり」と書かれているため、何が職務なのか知らなければいきません。
たとえば消防士を考えてみましょう。消防士の仕事は消化活動や救助活動ですが、業務時間にしていることはそれだけではありません。事務作業もまた職務と言えます。したがって、公務員が何らかの仕事をしているときは大概職務に当たります。
次に、公務執行妨害は実際に職務を妨害しなくてもその恐れがある場合に成立する可能性があります。逆に言えば休憩中や非番である時は公務執行妨害に問われない可能性が高いです。
暴行又は脅迫ってどのくらい?
殴る、蹴る、肩を押して転倒させる、突き飛ばす、抑えつける。公務執行妨害には色々なケースがありますが、大切なのは何をされたかよりも公務が妨害されたかどうかです。
したがって押収した薬物を無理やり捨てようとする行為や、書類を燃やすといった行為も公務執行妨害に当たる可能性が考えられます。
脅迫についても、殺す、家族を酷い目に遭わせるなど色々なものがあります。こちらも害悪の告知がされ、他人が怖いと感じるレベルなら公務執行妨害が成立しやすいです。
公務執行妨害の量刑と弁護士相談の必要性
公務執行妨害は3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金という刑罰が科されます。刑事事件はそれぞれの主張に基づいて刑罰が決まるため、このように量刑の幅が広い犯罪の場合は、どれだけ刑罰を軽くできるか気になるところだと思います。
犯罪によるダメージを抑えたいなら刑事弁護に強い弁護士に相談しましょう。できれば逮捕されてすぐが望ましいです。逮捕されると最大72時間の身体拘束をされ、取り調べが進んでいきますが弁護士は被疑者との接見が可能です。
できれば勾留は避けたい
逮捕された後勾留されてしまうと最大20日間、外に出ることができません。このときに正しく主張できるかどうかが、釈放の分かれ目になるとしたら弁護士の腕の見せ所です。
もちろん釈放が認められない場合でも準抗告や勾留取消請求で勾留期間が短くなる可能性は残されています。
勾留されている状態では反論するための証拠を集めるのが難しく、社会生活への悪影響が出やすくなります。
示談での解決
不起訴での解決のためには示談をめざすことが有効です。反省の意思を示し、示談金を支払います。反論するときは、明らかに無効に非がある場合にとどめましょう。身勝手な主張をすると心象を悪くしかねません。
ご家族が逮捕された場合も同様で、不安定になりやすい気持ちのサポートが重要になります。
まとめ
公務員への暴行や暴言が公務中に起きた場合は公務執行妨害になり得ます。公務執行妨害で逮捕された場合は、その行為が犯罪に当たらないことや、仮に犯罪だとしても量刑不当であることを訴えていくこと人あるでしょう。
早期解決と社会復帰を目指すなら刑事弁護に強い弁護士の協力が欠かせません。