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パワハラで上司を訴える際の弁護士への相談内容や費用は?元弁護士が徹底解説

昨今大きな話題となる職場でのパワハラ。パワハラにより職場復帰が困難になる人がいるだけでなく、最悪の場合自ら命を断つ人もいます。
少し我慢をすることで、耐性が付いてしまうことが問題です。少しでも違和感や不安を感じた場合はすぐに相談することが重要です。
今回はパワハラで悩まれている方に向けて、正しい対処法や弁護士への相談ポイントを解説していきます。

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パワハラについての悩み|世代間の働き方意識の違いに伴って増加


◾相談者さま

このパワハラ上司、僕だけで今まで多くの人を苦しめてきたらしい。誰も何も言わないからこの人も正しいと思ってやっているんだろう。逃げるより戦った方が今後のためになるはずだ。

名前/年齢/性別

杉下徹(仮名)/23歳/男性 

相談背景

大学卒業後広告代理店に営業職として就職。周りは大学時代運動部に所属していた人やサークルで中心的な存在をしていた人が多く、自分のようなおとなしい人は極わずか。

入社早々からそれぞれが各営業部に配属され、成績を競うようになった。自分はクライアントの開拓にも苦戦している上に、提案の最後の推しの部分がどうしても弱く逃してしまっている。

数字が上がらないことを理由に上司からは「なんでうちの部に来た?他の新人と変わってくれないか?」「給料泥棒!明日から来るな」「君には他の緩い会社がおすすめだよ」といった暴言を言われている。

わずか数ヶ月で退職するとキャリアに傷がつくので、退職は避けたい。なんとかこの上司をパワハラで訴えて部署を変え反省してもらい他の人に被害が回るを防ぎたい。

そしてあわよくば慰謝料ももらいたい。

相談内容  

・パワハラ相談で弁護士に依頼するメリットは?
・弁護士費用はどれくらい掛かる?
・パワハラで弁護士に裁判を起こしてもらうときに必要な証拠は?


◾担当弁護士

弁護士に依頼することで、相談者さまのつらい労働環境を改善することができます。

パワハラは受けている本人のみならず周りの人への被害も少なからずあります。一刻も早く対策を取ることが重要です。しかし間違った対応をすると自分がより不利な状況になりかねません。

今回はパワハラに対する正しい対処法と弁護士に依頼するさいのポイントを手順をおって解説していきます。

本記事の執筆者

福谷 陽子

元弁護士 京都大学法学部卒業後、10年間の弁護士実務を経て、ライターに転身。
現在は法律記事を中心に多数のメディアや法律事務所などの依頼を受けて執筆活動を行っている。

公式HP:元弁護士・ライターぴりかの法律blog(https://legalharuka.com/

1.そもそもパワハラとは

「パワハラに遭っているかもしれないけれど、どこからがパワハラになるのかわからない」という方も多いです。まずは「どこからがパワハラ」になるのか、確認しましょう。

パワハラとは、同じ職場の労働者に対し、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景にして、業務の適正な範囲を超え、精神的・身体的苦痛を与える行為や職場環境を悪化させる行為です。

つまり、自分の立場が優位なことを利用して、他の人に嫌がらせをしたり他の人を働きにくくしたりすると、パワハラになります。上司部下の関係のみならず、同僚同士でもパワハラになりますし、部下が上司にパワハラをするケースも存在します。

パワハラの種類 内容
身体的な攻撃 殴る蹴る、胸ぐらをつかむなどの身体的な暴力
精神的な攻撃 嫌がらせや名誉毀損発言など
人間関係からの切り離し 仲間はずれにすること
過大な要求 到底できない量の仕事や難しすぎる仕事を与えること
過小な要求 本人の能力からして簡単すぎる仕事しか与えないこと
個の侵害 プライベートに過度に介入すること 

 

杉下さんの場合には、上司から「給料泥棒」「会社に来るな」などの暴言を受けているので、少なくとも②の精神的暴力があると言え、パワハラ被害に遭っていると評価できるでしょう。

2.パワハラを相談できる場所

パワハラに遭ったら、以下のような場所で相談しましょう。

2-1.社内の相談窓口

社内に相談窓口があれば、利用してみるとよいでしょう。きちんとした会社であれば、調査をした上で加害者にしかるべき処分をしてくれて、パワハラ問題を解決できる可能性があります。

2-2.総合労働相談コーナー(都道府県労働局)

社内で相談できる環境が無い場合や、会社に相談しても解決できないケースでは、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」を利用してみましょう。各地の労働局で、面談によっても相談を受け付けてくれます。

加害者個人だけではなく会社との関係でもトラブルが発生しているなら、話合いのあっせんをしてもらえる可能性もあります。

2-3.弁護士

労働局に行っても、最終的に加害者の態度が変わらなければ、弁護士に相談してみましょう。

弁護士であれば、あなたにどのような法的権利があるのかや、今やるべきことを教えてくれます、また加害者にパワハラを停止するよう警告をしたり、会社や加害者本人に訴訟を起こしたりして厳しく責任追及し、効果的にパワハラ問題を解決できます。

 

杉下さんの場合にも、まずは社内窓口で相談してみると良いですが、改善できないなら労働局や弁護士に相談してみるべきです。

3.パワハラで弁護士に相談すべきタイミング

パワハラに遭ったとしても、すぐに弁護士に相談に行くべきか迷ってしまう方がいます。以下のタイミングであれば弁護士に相談するべきです。

  • パワハラでうつ病になりそう
  • パワハラで会社を辞めたい
  • 暴力を受けてケガをした
  • 仲間はずれにされて辛い
  • パワハラに該当するのかどうかわからないから知りたい
  • 加害者や会社を許せない、訴えたい

杉下さんは、現在「パワハラ上司を訴えたい」と思っています。一人で訴えるのは困難ですから、早めに弁護士に相談した方が良いでしょう。

4.パワハラで弁護士を頼るときの費用

パワハラ被害に遭ったとき、弁護士に相談・依頼するとどのくらいの費用がかかるのでしょうか?慰謝料100万円を請求すると仮定した場合での弁護士費用の相場を紹介します。

項目 金額
相談料 0〜5,000円
着手金 10〜20万円
報酬金 10〜20万円
合計 20〜40万円

4-1.相談料

パワハラについて弁護士に相談をすると「相談料」がかかります。相場は30分5000円です。ただし最近では無料相談を受けている弁護士事務所も増えてきています。

4-2.着手金

着手金は、弁護士に示談交渉や訴訟などを依頼したとき、当初にかかる費用です。パワハラの交渉の場合、だいたい10~20万円程度となるでしょう。労働審判や訴訟になると、金額が上がる可能性が高いです。

4-3.報酬金

報酬金は、回収できた金額に応じてかかってきます。だいたい、回収できた金額の10~20%の幅になることが多いです。

弁護士費用の金額は依頼する事務所によって大きく異なるので、依頼前にしっかり確認しておきましょう。

5.パワハラの慰謝料の相場

パワハラ被害を受けると、被害者は大きな精神的苦痛を受けるので「慰謝料」を請求できます。金額の相場はだいたい50~100万円程度です。ただし悪質なケースでは300万円を超えることもあります。

また被害者がケガをした場合には、ケガの治療費や休業損害、ケガをした分の慰謝料なども発生するので慰謝料を含めた賠償金がより高額になります。

6.パワハラで弁護士に相談するメリット

パワハラに遭ったとき、弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。

6-1.的確なアドバイスを受けられる

パワハラ被害に遭ったとき、自分一人ではどのように対処すればわからなくなる方が多いです。自己判断で対応すると、後に思ってもいなかった不利益につながる可能性もあります。

弁護士に相談すると、状況に応じた適切な対処方法についてアドバイスをしてもらえるので、そういった思わぬ不利益を受ける危険がなくなります。

6-2.上司や会社との交渉を任せられる

パワハラ被害に遭ったら、加害者に対して警告書を送ったり、慰謝料請求のための交渉をしたりしなければなりません。場合によっては会社を相手に話合いをする必要もあります。

会社や加害者はもともと自分より強い立場ですから、労働者が1人で交渉に対応するのは困難です。また証拠を揃えたり会社や上司と連絡を取り合ったりすることも、大変な手間となるでしょう。

弁護士に任せてしまえば、必要なことはすべて弁護士がやってくれるので手間がかかりません。

6-3.交渉を有利に進められる

慰謝料請求などの交渉を行うとき、労働者が1人で対応すると不利です。相手から不合理な条件を押しつけられる可能性も高くなります。弁護士に依頼すれば、法律の専門家として相手と対等以上の立場に立って有利に進めてくれるので、高額な慰謝料を支払ってもらいやすくなるでしょう。

6-4.労働審判や訴訟を進められる

会社や加害者ともめたとき、話合いをしても解決できないケースは多いです。その場合には、労働審判や訴訟によって解決するしかありません。

労働者が個人でこれらの手続きを行うのは難しいですが、弁護士であればスムーズに対応できます。

6-5.精神的に楽になる

パワハラは、ただでさえ精神的に負担になるものです。会社や加害者に慰謝料請求するときにはストレスがさらに大きくなってしまいます。

弁護士に依頼すると、辛くなったときには弁護士が励ましてくれますし、相手方とのやりとりをすべて弁護士に任せられるので、自分で対応する必要がありません。

法律の専門家が味方になっているという安心感もあり、ストレスが大きく軽減されます。

7.パワハラで有効な証拠

パワハラで加害者や会社に請求をするのであれば、以下のような証拠を揃えましょう。

必要な証拠 内容
メール 業務の指示メールや個人的な誹謗中傷メール
業務の指示書 過大な要求、過小な要求の証明に使える
音声の録音 上司から怒鳴られたり暴言を吐かれたりしているときの音声データ
録画 パワハラを受けている場面の録画データ
同僚の証言 裁判所に来るのが難しい場合は「陳述書」を提出してもらう協力方法もある
日記 いつどのようなパワハラがあったか、詳細に日記に付けておく
診断書  パワハラでケガをした場合やうつ病で病院に行った場合などには、診断書が証拠となる

8.パワハラ問題に強い弁護士の選び方、見つけ方

パワハラ相談をするならば、パワハラ問題に強い弁護士を選ぶ必要があります。

8-1.「労働者側」の労働問題に強い弁護士を選ぶ

パワハラ問題に強い弁護士は、労働問題を数多く取り扱っています。そこで、ウェブサイトを見て「労働トラブル」について詳細に記載している弁護士を探しましょう。これまでの解決実績数が書かれていたら参考にするのも良いでしょう。

また労働トラブルには「企業側」と「労働者側」がありますが、パワハラ問題を依頼するなら「労働者側」の弁護士を選びましょう。企業側の弁護士は、パワハラ加害者や会社側の弁護をする人なので、被害者側と対立する立場です。

労働問題にも残業代や解雇トラブルなどいろいろな問題があるので、特に「パワハラに強い」「パワハラ被害対策」などと書かれていたら、より頼りになるでしょう。

9.パワハラに関する具体的な判例の紹介

パワハラに関する具体的な裁判例をご紹介します。

9-1.大阪高裁平成25年10月9日

派遣労働者が派遣先の従業院からパワハラ被害を受け、派遣を辞めざるを得なくなった事案です。会社に対し、損害賠償を求めました。

一審は会社がきちんと従業院の教育指導を行っていなかったことなどを理由に慰謝料80万円の支払い命令を出しました。

2審である大阪高裁は、慰謝料を減額して、30万円の支払い命令を出しました。

http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/judicail-precedent/archives/21

9-2.東京高裁平成25年2月27日

上司によるパワハラを受けたことで精神疾患を発症し、退職せざるを得なくなったとして、慰謝料などの請求をした事案です。パワハラの内容は、「酒が飲めない」と言っている被害者に対して飲酒を強要したことや、体調が悪かった被害者に運転を強要したこと、休暇中に留守電を入れたこと、精神的苦痛を与えるメールを送信したことなどでした。

原審はパワハラについて厳格に理解し、不法行為に該当しない部分があるとしましたが、控訴審はより広く不法行為を認定しました。

その結果一審で認められた慰謝料は70万円でしたが、控訴審では150万円まで増額されています。

http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/judicail-precedent/archives/16

すぐに対処に動くことがパワハラには大事

パワハラというのは怖いもので本人に自覚がない場合があります。そして今までそのやり方で問題になっていないために、正しいと勘違いをしている危険性があります。特に昨今は働き方の世代間ギャップが言われるようになり、若い人と上司の価値観が合わないこともめずらしくありません。

自分のなかでの不信やストレスを我慢して溜め込んでいると、いつか人間不信で働けなることもあります。パワハラと感じたときには1人で悩まず周囲の人に相談やしかるべきところにいき、話を打ち明けるようにしましょう。解決のために協力してくれる人を見つけることが重要です。

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