セクハラで弁護士に頼りたい!その際に必要な費用や証拠はなに?元弁護士が解説

職場での男女間のトラブルの代表的なものが、セクハラ。しかしその範囲は法的に曖昧で本人の自覚が一番重要となります。
自分がセクハラだと感じたことは、たとえ些細なことでも解決する必要があります。
今回は実際に相談に来られる人の事例をあげながら、セクハラ問題の解消とそのさいの弁護士への相談ポイントを解説していきます。

会社の事故・トラブル(69)労働(68)
目次

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セクハラについての悩み|異性間の意識の違いに伴って増加


◾相談者さま

自分はそんなに下世話な話が得意ではありません。しかし飲み会の勢いで乗ってしまったばっかりに今セクハラまがいのことをされています。

正直話を合わせるのもいい顔するのも疲れるので、この行為をやめさせたい。どうすればいいのでしょうか?

名前/年齢/性別

井上香織(仮名)/28歳/女性 

相談背景

普段は飲み会などにはいかずまっすぐ帰るのだが、断り続けるのも申し訳ないと思い、1度だけと思い参加した。少しお堅く、あまり打ち解けていなかった自分に気を使い色々話を聞いてくれたのが嬉しく、色々話をした。

意外と話せる人だと同僚も感じたのか、プライベートな恋愛関連の話から下世話な話まで広がった。あまりに嫌な態度を取ると空気が悪くなると思ったので、笑いながら軽く話を合わせて行った。

その後、私自身そういう話が大丈夫な人と認識されたのか休憩中や飲み会などの話はそういう内容ばかりになり、お酒が入ったときはボディタッチも多いような気がする。

あのときはぐらかさなければとは思ってはいるが、今更どうにもできないし、もう限界。

相談内容  

  • セクハラをやめさせるには?
  • 弁護士にセクハラ相談をするとなにをしてくれる?
  • どのタイミングで相談するのが良い?その際の費用は?
  • セクハラ問題に強い弁護士を探したい

 


◾担当弁護士

セクハラ問題の難しいところは人によって認識の差があることです。女性によっては全然大丈夫という人もいるので、男性も勘違いしていることが多いです。

しかしだからと言って自分が我慢する必要はありません。悩まれているのであれば溜め込まずしかるべきところで相談しましょう。

今回はセクハラを相談できる場所や弁護士への相談ポイントを解説していきます。

本記事の執筆者

福谷 陽子

元弁護士 京都大学法学部卒業後、10年間の弁護士実務を経て、ライターに転身。
現在は法律記事を中心に多数のメディアや法律事務所などの依頼を受けて執筆活動を行っている。

公式HP:元弁護士・ライターぴりかの法律blog(https://legalharuka.com/

1.そもそもセクハラとは?

「セクハラを受けているかも」と思っても、それが違法な程度になっているかどうかわからない方が多いです。どこからが「セクハラ」になるのか、法律による定めを確認しましょう。

男女雇用機会均等法はセクハラについて、以下のように定めています。

・職場において労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したり抵抗したりすることによって解雇、降格、減給などの不利益を受けること
・性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること

つまり「職場で性的な言動が行われ」、「それを拒否したことで解雇などの不利益を受けること」あるいは「不快な思いをして仕事の効率が落ちること」があったら、セクハラです。

たとえば上司からデートに誘われて、断ったら減給された場合や、職場に性的なポスターを貼られてイヤな思いをして仕事に支障が発生した場合などです。

 

井上さんの場合にも、しつこく飲み会に誘われたりボディタッチを受けたりしてイヤな思いをして仕事に影響が出ているので、セクハラ被害に遭っていると言えます。

2.セクハラを相談できる場所

セクハラ被害に遭ったとき、以下のような場所で相談しましょう。

2-1.社内の相談窓口

セクハラ被害が比較的軽微で社内で解決できそうであれば、社内の相談窓口を利用してみるのも1つです。きちんとした会社であれば、調査を行った上で適切な処遇をしてくれる可能性があります。

2-2.労働局

都道府県の労働局の雇用環境均等部という部署では、男女雇用機会均等法関連の相談を受け付けています。相談すると、セクハラ被害の具体的な状況をもとに、今できることについてのアドバイスをしてもらえます。

会社の対応に問題がある場合や経営者によるセクハラの場合には、是正勧告や話合いのあっせんなどの対応をしてもらえる可能性もあります。

2-3.弁護士

セクハラが悪質で、労働局を介した話合いなどの方法によって解決できない場合、労働問題を取り扱っている弁護士に相談しましょう。

弁護士であれば、上司や会社相手にどのような方策をとれば良いのかアドバイスをしてくれます。自分で対応するのが難しい場合には、代理人として上司や会社と話合いを依頼することも可能です。

 

井上さんの場合にも、もし社内窓口があったらまずは利用してみて、ダメなら弁護士を探して相談するのが良いでしょう。

3.セクハラで弁護士に相談すべきタイミング

セクハラ問題に遭ったとき、弁護士に相談すべきタイミングは以下のようなときです。

  • セクハラをやめさせたい
  • セクハラが辛いので、仕事を辞めたいと思っている
  • セクハラで、減給や異動、解雇などの不利益処分を受けた
  • セクハラで強制わいせつや強姦の被害に遭った
  • 会社がセクハラに何の対策もしてくれない

井上さんのケースでも、同僚によるセクハラ行為に「もう限界」と感じており、これ以上我慢すると病気になってしまったり会社を辞めたりしてしまう可能性もあります。早めに弁護士に相談すべきタイミングと言えるでしょう。

4.セクハラで弁護士がしてくれること

セクハラ被害に遭ったとき、弁護士がどのようなことをしてくれるのでしょうか?

4−1.セクハラ行為を辞めるよう相手に申し入れる

まずは、セクハラ加害者本人に対してセクハラ行為を辞めるように申し入れます。これ以上セクハラを続けると、不法行為が成立して損害賠償請求を行うことなどを告げて、弁護士名で警告をします。これにより、多くの加害者はセクハラ行為を自制するようになります。

4−2.会社に対してセクハラ対策をするように申し入れる

会社がセクハラ対策を怠っている場合には、セクハラ対策をきちんと行うように申し入れます。

4−3.不利益処分の撤回を求める

経営者がセクハラ被害者に対して解雇や減給、異動などの不利益な処分をした場合には、それらの処分の取り消しを求め、労働者がもとの環境で働けるようにします。

4−4.慰謝料請求をする

セクハラによって被害者は多大な精神的苦痛を受けるので、相手に慰謝料請求します。

4−5.刑事告訴、刑事事件への対応を行う

強制わいせつや強姦などの被害を受けている場合には、刑時告訴を行います。相手が逮捕・起訴されたら、被害者のための弁護活動をします。

4−6.労働審判や労働訴訟を行う

セクハラが発生したことについて会社に責任がある場合や、被害者に不利益な処分をした場合などには、会社に対し、労働審判や労働訴訟を起こします。

4−7.損害賠償請求訴訟を行う

加害者本人に対し、必要に応じて損害賠償請求訴訟(慰謝料請求訴訟)を行います。

5.セクハラで弁護士に相談する時に準備すべきこととは

セクハラを弁護士に相談するときには、以下の準備を整えておくとスムーズです。

5−1.時系列表

まずは、これまでの事実の経過を時系列表にまとめていきましょう。

いつ頃からどのようなセクハラが始まり、どのように発展してきているのか、現状どうなっているのかをまとめておくと良いです。

5−2.セクハラの証拠

セクハラを受けている証拠をできるだけたくさん集めましょう。たとえば

  • 加害者から受けとったメールやメモ
  • 渡されたもの
  • 職場の状況を写した写真
  • 不利益処分を受けた辞令書

などが証拠となります。これまでどんなセクハラを受けたか、簡単に書類にまとめておくのも有効です。

5−3.聞きたいことをメモしていく

弁護士に相談をするときには、質問したいことや不安なこと、自分の希望などをメモにまとめておくと良いです。そうすれば、聞き漏らしがなくなるからです。

5−4.印鑑と身分証明書

相談に行ったとき、そのまま弁護士に交渉などの対応を依頼するかもしれないので、印鑑を持参しましょう。弁護士と契約するときには委任契約書や委任状に署名押印が必要になるからです。また相談時に身分証明を求められる可能性があるので、運転免許証や保険証などを持参しましょう。

6.セクハラで弁護士を頼るときの費用は?

セクハラで弁護士に依頼すると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

まず、相談をするときに相談料がかかります。相場は30分5000円程度です。ただし労働問題について無料相談を受け付けてくれる法律事務所もあります。

弁護士に加害者本人や会社との交渉を依頼すると、着手金や報酬金が発生します。着手金(当初にかかる費用)はだいたい10~20万円程度、報酬金は回収できた賠償金の10~20%程度が相場です。

労働審判や訴訟になると、追加で着手金がかかることが一般的です。金額は請求内容によって異なってくるので、依頼予定の弁護士に確認しましょう。

7.セクハラ問題に強い弁護士の選び方、見つけ方は?

セクハラ対応を依頼するのであれば、セクハラ問題に強い弁護士を選ぶ必要があります。弁護士にもいろいろな取り扱い分野があるので、セクハラに詳しくない弁護士に依頼しても有利にならないからです。

セクハラに強い弁護士は「労働事件」に積極的に取り組んでいます。また、セクハラ被害者は「労働者」なので、「労働者側」の「労働事件」に強い弁護士を探す必要があります。労働事件には「企業側」もあり、それは被害者と敵対する立場なので、そういった弁護士を選ばないよう注意が必要です。

弁護士を探すときには、各弁護士事務所のウェブサイトなどを見て、「残業代」「パワハラ」「解雇」などの「労働トラブル」を数多く取り扱っていて、「労働者側」のサポートに熱心な事務所を探しましょう。

8.セクハラで弁護士に裁判を起こしてもらうときに必要な証拠

セクハラ問題で加害者や会社の対応が悪い場合には、訴訟によって解決せざるをえません。その場合、セクハラ被害を立証するための証拠が必要です。

具体的には、以下のようなものを集めましょう。

  • セクハラ相手からのメール、メモ、手紙
  • セクハラ相手からの着信記録
  • セクハラ発言の音声データ
  • 性的なポスターや本、パソコン画面などを写した写真
  • セクハラ現場の目撃証言
  • セクハラ被害を詳細に記録した日記、スケジュール帳

特に有効なのはICレコーダーの録音データです。井上さんのようにしょっちゅうセクハラ発言を受けているのであれば、常日頃からICレコーダーを用意して、何かあったらすぐに録音をしましょう。

自分で書いた日記は証拠にならないと思われていることもありますが、そういうわけでもありません。毎日のように詳細につけている日記であれば、後からの作成は難しいという判断になるので裁判でも評価してもらえます。

また、本人の証言によっても立証は可能なので、セクハラ被害を受けたら、忘れてしまわないようにどのような事実があったか残しておくことが重要です。

第三者の目撃証言は、現場に居合わせた同僚の証言などです。裁判所で証言してくれなくても「陳述書」の作成だけ協力してもらうだけでも結果が変わってきます。会社での立場を考えるとなかなか協力は難しいかもしれませんが、協力を頼んでみましょう。

9.セクハラに関する具体的な判例の紹介

9-1最高裁平成27年2月26日

水族館で男性の管理職2名が女性従業員に性的発言を行ったので、会社が管理職を懲戒処分にした事例です。男性らは処分の無効確認や慰謝料、減額された給与・賞与の支払を求めました。

裁判所は、管理職らの発言内容をセクハラと認定し、男性らの請求を認めませんでした。

https://www.mykomon.biz/harassment/hanrei_sekuhara/hanrei01.html

9-2.東京地裁平成15年7月7日

上司が女性従業員について「彼女は毎晩電話をかけてくる」「ストーカー」「彼女は〇〇とできているからねぇ」など名誉権侵害、セクハラ発言をした事案です。

裁判所は上司の発言内容が女性の名誉感情やプライバシー権、人格権を侵害するものとして、慰謝料100万円、弁護士費用10万円の支払い命令を出しました。

また会社も適切な対処を怠っていたことを理由に連帯責任を負うこととされました。

https://www.mykomon.biz/harassment/hanrei_sekuhara/hanrei01.html

言い出すことがセクハラ問題解消の第一歩

セクハラ問題の最大のポイントは男女間での認識の差です。男性は冗談のつもり行なっているものは当事者に悪意がないので、女性側から告発することができないという状態に陥りがちです。

しかし放置しておくとエスカレートしより悩みが大きくなります。またその状態から解決することは当事者間ではすまない大きな問題になっている危険性があります。

できるだけ早く、しかるべきところで相談をするようにしましょう。

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この記事の作成者

カケコム編集部