これって不当解雇じゃないの?仕事でのトラブルはまず弁護士へ相談するべし

なぜ自分が解雇になってしまったのか?現在この記事を読んでいるあなたはそう思っているのではないでしょうか?
権利関係上、経営者の決定に逆らえないと思ってしまっている人が多いです。しかし、経営者の決定より法はさらに強い力を持っています。
そしてその法は労働者を強く保護しています。あなたの場合会社の不当解雇を訴えられる可能性があります。
今回は不当解雇に当たるケースと正しい対処法を解説していきます。

会社の事故・トラブル(69)労働(68)
目次

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不当解雇についての悩み|働き方改革に伴って増加


◾相談者さま

二度目の産休育休を申請したところ、会社から解雇通知がきた。会社の規定では取得は自由であるはずなのに、会社をやめさせるのはおかしい。

でも抗議して戻ったとしても会社にいずらくなるし、このまま引き下がった方がいいのか?

名前/年齢/性別

石原 優香(仮名)/34歳/女性 

相談背景

入社依頼同じ会社に事務職として勤務し始めて10年ほどが経つ。28歳のときに第一児の出産のために産休・育休を1年ほど取得した。

会社復帰後も同じ部署で仕事をしていたが、今年に第二子を妊娠した。そのことを報告し再度産休・育休休暇を取得しようとしたが、それであれば1度解雇をするという話になった。

育休・産休は会社の規則に入っているのに、それを取得が認められず解雇になるのはどうしてもおかしい。

こういう場合は転職したほうがいいのか?それとも弁護士などに依頼して解雇の取り消しをしたほうがいいのか?

相談内容  

  • 不当解雇にあたる条件は?
  • 不当解雇で会社に請求できるものは?
  • その請求をする際にどこに相談したらいい?
  • 相談のために必要な情報や証拠は?
  • 弁護士に相談するメリットは?そのさいの費用は?

◾担当弁護士

会社の規則で書かれている以上、取得は労働者の権利です。それを無視してクビにするのは不当解雇にあたります。労働者は法的に強く保護されています。

今回は不当解雇に当たるケースや相談窓口・弁護士への依頼方法など、会社への正しい対処法を解説していきます。

本記事の執筆者

福谷 陽子

元弁護士 京都大学法学部卒業後、10年間の弁護士実務を経て、ライターに転身。
現在は法律記事を中心に多数のメディアや法律事務所などの依頼を受けて執筆活動を行っている。

公式HP:元弁護士・ライターぴりかの法律blog(https://legalharuka.com/

不当解雇になるケースとは

会社から解雇されたとき「不当解雇だ!」と言いたくなるケースは多々あります。ただ、具体的にどういったケースで「不当解雇」になるのか、ご存知でしょうか?

不当解雇は「違法な解雇」のことです。違法なので、解雇は無効です。具体的には、以下のようなケースで不当解雇となります。

1-1.そもそも解雇が認められないケース

たとえば

  • 男女差別にもとづく解雇
  • 妊娠出産にもとづく解雇
  • 育児休暇、産休を取得したことを理由とする解雇
  • 労働組合活動にもとづく解雇

などはそもそも法律上禁止されているので、不当解雇となります。

1-2.解雇の要件を満たしていないケース

法律は、解雇できるケースを厳しく制限しており、普通解雇するには「解雇の合理的理由」と「解雇方法の社会的相当性」が必要です。

これらの要件は非常に厳しく判断されます。単に他の従業員より成績が悪いとか多少の遅刻早退があるという程度では解雇が認められず、「雇用を維持するためにあらゆる手を尽くしたが、どんなに努力をしてもそれ以上雇用を継続することが極めて困難で、会社にとって有害」というくらいの大きな問題があることが必要です。

1-3.解雇の手続き違反のケース

解雇するときには、30日前に解雇予告が必要です。30日に間に合わないケースでは、不足する日数分の解雇予告手当を支払わねばなりません。これらの手続きをきちんと踏んでいない場合にも不当解雇となります。

以上のように、会社が従業員を解雇するためには、極めて厳しい要件をクリアしなければなりません。石原さんの場合には、育休や産休の取得を理由に解雇されているので、「そもそも解雇を禁じられている場合」に該当します。会社による解雇は不当解雇と言えるでしょう。

不当解雇の相談窓口とそれぞれの違いは?

不当解雇されたとき、労働者が1人でできることには限界があります。各種の相談を利用して第三者による助けを借りましょう。以下で不当解雇の相談窓口と、そこで対応してもらえる内容をご紹介していきます。

2-1.労働基準監督署

労働基準監督署は、管内の企業がきちんと労働基準法を守って運営しているかどうかを監督する行政機関です。違反があったら摘発して刑事手続にしたりする権限を持っています。

企業が労働基準法などの法律違反をしていたら是正勧告してくれますし、場合によっては刑事事件にしてもらえる可能性もあります。

石原さんの場合、会社は産休や育休の取得を理由に解雇しており明らかに法律違反ですので、労基署も相当厳しく指導してくれるでしょう。

ただ労基署は「解雇を撤回させる権限」は持っていないので、最終的に不当解雇を取り消すかどうかは会社の判断に委ねられます。

2-2.都道府県の労働局

都道府県の労働局では、労働者からの労働相談を受け付けています。ここは違反企業に刑事罰を与える場所ではなく、労働トラブルを民事的に解決するための手助けをしてくれます。

具体的には、会社と労働者との間に入って和解あっせんの手続きを利用できます。労働局のあっせんに強制力はありませんが、会社と労働者が歩み寄りによってトラブルを解決できる可能性があります。

石原さんの場合、会社は産休育休を理由に解雇しており明らかに法律違反ですから、あっせんでも石原さんの有利に進む可能性が高いと考えられます。

2-3.労働組合

社内や社外の労働組合を利用することも可能です。労働組合は、会社との団体交渉によって労働者の地位を改善します。

そこで労働組合に相談をすると、労働組合が会社に団体交渉を申し入れて、不当解雇問題について話合い、その結果不当解雇を撤回してもらえる可能性もあります。

社内に労働組合があればまずはそちらに相談してみると良いでしょう。ただし社内の労働組合は会社とのしがらみで会社に強い態度に出られないことがあります。そのような場合や社内に労働組合がない場合には、社外のユニオン(合同労組)を利用するのも1つの方法です。

2-4.弁護士

労基署や労働局に相談しても解決できない場合、弁護士に相談しましょう。

弁護士であれば、「そもそも不当解雇になるのか」「不当解雇になるならどのようなことを主張できるのか」「どのような証拠を集めたら良いか」など、具体的に教えてくれます。

また、今やるべきことなどの対処方法も教えてくれますし、心配なことや気になることも聞けるので、精神的にも安心できるでしょう。

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不当解雇で会社側に請求できること

不当解雇をされたときには会社に以下のようなことを請求できます。

3-1.地位確認

まず解雇が無効になるので、「会社の従業員である」という地位を確認させることができます。

3-2.未払い給与

不当解雇されたら、その後は給料が支払われていないことが一般的です。会社としては「解雇したから給料を支払っていない」という認識です。

ただ不当解雇であれば、解雇後の給料は全額未払いとなっています。そこで不当解雇を主張する時には、同時に解雇後未払いになっている給与の支払いを求めます。

3-3.慰謝料

不当解雇されることにより、労働者は多大な精神的苦痛を受けることがあります。そこで解雇無効を主張すると同時に慰謝料を請求できます。

ただし慰謝料は常に認められるとは限りません。慰謝料が支払われるのは会社の対応がよほど悪質なケースに限られると考えましょう。

石原さんの場合には、会社は「妊娠出産」「産休育休の取得」を理由に解雇しており明らかな法律違反ですし差別的な取扱いで不当です。今後の対応次第では、慰謝料が発生する可能性も十分にあります。

どういうことを相談すればいい?

不当解雇されたときには、以下のようなことを相談しましょう。

  • そもそも不当解雇になるのか
  • どのような証拠を集めたら良いのか
  • どのような方法で会社に不当解雇を主張したら良いのか
  • 会社に何を請求できるのか
  • 会社に戻るべきか、辞めるべきか
  • 会社に戻るために注意しておくべきこと
  • 退職金は受けとっても良いのか

他にも、気になることや知りたいことがあったら、遠慮無く聞くと良いです。

不当解雇を相談する際に準備しておくべきこと

弁護士などに不当解雇問題を相談するならば、以下のような準備をしておきましょう。

時系列表

まずは、これまでの経緯をまとめた時系列表を持っていきましょう。その場で今までのことをすべて説明するのは大変ですし、抜けや漏れが発生するからです。書面にまとめておけば弁護士にも伝わりやすく、時間の節約にもなります。

聞きたいことをまとめたメモ

弁護士に聞きたいことをメモにまとめて持っていきましょう。まとめておかないと、その場で聞くことを忘れてしまい、後から「あのことも聞いておけば良かった」となってしまうからです。

弁護士から回答があれば、その場でメモして持って帰ってくることもできます。

解雇通知書、解雇理由通知書

会社から受けとった解雇通知書が必要です。また解雇されたらすぐに会社に対し「解雇理由通知書」を発行させましょう。ここには、会社が考える解雇理由が書いてあります。

それを弁護士に見せれば、不当解雇かどうか判断してもらえます。

不当解雇問題を弁護士に依頼したときの費用は?

不当解雇問題を弁護士に依頼すると、以下のような費用が発生します。

法律相談料

弁護士に当初に不当解雇問題を相談するときの費用です。だいたい30分5000円程度となります。ただし無料相談できる事務所を利用すれば費用はかかりません。

着手金

弁護士に交渉などの手続きを依頼したときにかかる費用です。交渉であれば10~20万円程度となることが多いでしょう。事務所によって異なるので依頼前に確認する必要があります。

報酬金

不当解雇トラブルが解決されたときに発生します。解決内容に応じて大きく金額が異なります。

不当解雇を撤回させられたことや未払賃金、慰謝料を回収できた結果に対し、個別に計算されます。利益が大きかったらその分高額になります。依頼前に計算方法を確認しておく必要があります。

不当解雇問題を弁護士に相談するメリット

不当解雇問題を弁護士に依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

不当解雇された場合、自分ではどのように対応して良いかわからない方が多いです。会社に何を請求できるのか、そもそも会社に戻りたいかどうかもわからないというケースが多々あります。そのような場合でも、弁護士に相談すれば何をすべき、何をできるのか明示してもらえるので先が明るくなります。

また、会社に対して具体的な請求手続をするときにも交渉や労働審判、労働訴訟などの手続を代行してもらえるので安心です。自分で会社に対抗しなくて良くなるので、精神的にも楽になるでしょう。

不当解雇に関する具体的な判例の紹介

最後に、不当解雇に関する裁判例をいくつかご紹介します。

東京地方裁判所平成11年10月15日

セガ・エンタープライゼスが勤務成績不良を理由にして従業員を解雇したケースにおいて、裁判所は、「適切な指導をすれば改善する余地があったのに、十分な指導をしないまま解雇した」として、不当解雇と判断しました。

東京高等裁判所平成28年8月31日

東芝が、うつ病で休職中していた従業員が休職期間終了後も復職できなかったため、解雇したケースです。

裁判所は、うつ病になったのは会社の長時間労働が原因とした上で、うつ病の治療中に従業員を解雇するのは不当解雇と判断しました。

不当解雇になれば、未払賃金は必ず請求できますし、場合によっては慰謝料も請求できます。石原さんも、諦めずに争って正当な補償を受けるのが良いでしょう。

不当解雇には断固対抗!そのために然るべきところに相談しましょう

労働者は法的に強く保護され経営者や雇用主はそれを守る義務があります。どんな事情があろうと不当解雇を認め、自ら折れてはいけません。まずは

  • 労働基準監督署
  • 都道府県の労働局
  • 労働組合

に相談しましょう。それでも解決の余地がない場合は弁護士を立てるようにしましょう。そのための準備や手続きもこちらの記事を参考に進めていきましょう。

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この記事の作成者

カケコム編集部