家族信託で相続対策!メリット・デメリット・開始の手続きは?

「家族信託」という制度、最近導入された新しい制度なので、知っている方はまだまだ少ないようです。しかし、両親の財産を守りたい!または自分の子孫にちゃんと財産を残したい!という方にはとってもおすすめできる制度なんです。今回は、家族信託とはどういう制度なのかはもちろん、この制度を利用した時のメリット・デメリットについても紹介をしていきます。

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目次

家族信託をしたらどうなるの?

最近ちらほらテレビ番組でも取り上げられるようになってきた「家族信託」ですが、新しい制度なので、一般の方にはまだまだ浸透していないようですね。
 
ざっくり言ってしまえば、家族信託とは「大切な家族に安心して自分の財産の管理を任せることができる制度」です。
 
このような素晴らしい制度のことを知らない方が多いのは残念なので、今日は「家族信託」について詳しく説明をしていきたいと思います。
 
今回のメイン論点は「家族信託という制度」「家族信託のメリット・デメリット」「家族信託の始め方」です。
 
家族信託について興味がある!という方は、ぜひ最後までお読みください。

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家族信託ってなに?

家族信託とは、どういう制度なのでしょうか?

家族信託とは

「家族信託」とは、自分の財産を自分で管理できなくなってしまったときに備えて、家族に財産の管理・処分を任せる手段のことを指します。
 
家族信託では家族に自分の財産の管理や処分を任せるので、専門家に依頼したときのような高額な報酬がかかりません

家族信託の仕組み

家族信託では「委託者」、「受託者」、「受益者」をそれぞれ決めて行います。

委託者とは、自分の財産の管理・処分を受託者に任せる人のことを指します。

その反対で、受託者とは委託者から財産の管理・処分を任せられる人のことです。

受益者とは、受益者が委託者の財産を管理・処分する上で最終的な利益を得る人のことです。

家族信託では、ほとんどの場合、委託者と受益者が一致します。

つまり親が子どもに財産の管理を任せ、そこから老人ホームの費用などを払ってもらうというケースでいえば、親が委託者かつ受益者であり、子が受託者となります。

家族信託のメリット

家族信託には、大きく分けて4つのメリットが存在します。

家族信託のメリット1:後見人制度にかわる柔軟な財産管理ができる

家族信託は個人と個人の信託契約に基づくものなので、家庭裁判所が関わる後見人制度よりも柔軟な財産管理ができるのが特徴です。
 
後見人制度では、以下のような制限があるので、自由に財産管理を行うことができません。
 
  • 家庭裁判所または後見監督人への定期的な報告義務がある
  • 後見監督人が選任された場合、後見監督人報酬(月額1~2万円)をずっと支払わなければならない
  • 成年後見人ができるのは、家族ではなく本人にとってメリットがあることのみ

家族信託では家庭裁判所などへの報告義務もありませんし、報酬も基本的にはかかりません

そのため、より柔軟に委託者の意思に沿った財産管理ができるのです。

家族信託のメリット2:どのように財産管理が行われるかを見届けられる

また、家族信託は後見人制度とは違い、本人(委託者)が元気なうちから受託者に財産の管理や処分を任せることができます。
 
そのため、委託者としては自分の財産がどのように管理・処分されるかについてしっかりと見届けることができますし、受託者としても委託者の希望を聞き取りながら財産管理を行うことができます
 
委託者と受託者の考えを擦り合わせる期間があることで、たとえ委託者がその後判断能力がなくなってしまっても、委託者の希望に沿った財産管理ができるのです。

家族信託のメリット3:認知症に備えることができる

認知症になってしまった場合に成年後見人制度を使うとなれば、家庭裁判所への申し立てが必要です。
 
また、家庭裁判所から成年後見人の許可が下りるまでには、約3~6ヵ月もの期間がかかってしまうこともあります。
 
そんなときでも、家族信託の制度を本人が認知症にかかってしまう前から利用しておけば、スムーズに本人の財産を管理することができます。

家族信託のメリット4:孫の代までの相続指定が可能

遺言では子供が死亡したときの相続内容までは指定することができませんから、子供が相続をした後は自由に処分できてしまいます。

しかし、家族信託の制度を使えば、自分の子どもだけではなく、孫の代にまで自分の家や土地を残すことができます

孫に財産を残したいと考えている方は多いですから、この点も家族信託のメリットといえるでしょう。

家族信託のデメリット

メリットが4つある反面、家族信託には3つのデメリットも存在します。

家族信託のデメリット1:家族信託には限界がある

家族信託は財産管理を任せる契約にすぎないので、ある種の限界が存在します。

例えば、成年後見人制度では「身上監護権」というものが認められているのですが、家族信託では「身上監護権」は認められていません。

例えば、委託者である父親が入院することになったとき、「受託者」の身分だけでは入院手続き等を行うことはできません

どうしても「身上監護権」が必要な状況になった場合は、成年後見人制度を利用して、後見人になる必要があります。

ただ、一般的な話でいえば家族信託は子どもに任されることが多い制度ですので、子どもという立場から必要な手続きをできるケースがほとんどです。

家族信託のデメリット2:税務申告の手間が増える

資産の一部又は全部を信託財産とし、そこから年間3万円以上の収入がある場合は、信託計算書と信託計算書合計表を税務署に提出する必要があります。

また、信託財産から不動産所得がある方は、不動産所得用の明細書の他に、信託財産に関する明細書を別に作成して添付する必要もあります。

税務処理に慣れていない方にとっては、結構な重労働になってしまう恐れがあります。

家族信託のデメリット3:制度が新しく、詳しい専門家が少ない

家族信託はまだまだ新しい制度のため、一般の人はもちろん、専門家でも詳しい人が少ないのです。
 
そのため、家族信託について相談したいと考えたときに、適切なアドバイスをもらえる専門家を探すのが大変という可能性があります。
 
とはいっても、専門家は日々新制度について勉強をしている人が多いので、そこまで不安は大きくないのではないかと思います。

家族信託を開始するには?

家族信託を開始するための手続きや費用について照会します。

家族信託の手続き

1番基本的な家族信託の開始方法は、委託者と受託者で信託財産や信託内容について決定し、それを契約書に記載するというものです。

他には、「委託者の遺言による方法」や「委託者兼受託者が行う信託宣言」もありますが、家族信託のメリットは委託者の元気なときから受託者に財産を任せられるという点にあるので、これらの方法はあまり用いられません。

家族信託の費用

家族信託は委託者と受託者が契約書を作成することで成立しますので、特に費用はかかりません

ただし、家族信託にともなって登記を動かす場合や、契約書を公正証書でする場合には、その場合の手数料がかかります。

家族信託された不動産の売却はできる?

家族信託をされた不動産の売買はできるのでしょうか?

不動産を売却できる場合

信託契約の条項に、信託不動産の「売買」を許す旨の条項が含まれている場合は、信託の目的に従って、信託不動産を売却することができます。

この場合の売主は、「受託者」になりますので、委任状等も必要ありません。

不動産を売却できない場合

信託不動産を売却できる場合とは逆に、信託契約の条項に、信託不動産の「売買」を許す旨の条項が含まれていない場合は、信託不動産を売却することはできません。

それでも信託不動産を売却したい!という場合の対処法については、以下で詳しく説明をしています。

あとから不動産を売却したくなったら?

信託契約の条項に「信託不動産の売買」についての条項は盛り込まれていないけれど、それでも信託不動産を売却したいという場合には、以下の手段が考えられます。

  • 家族信託契約書の条項に「売買」に関する条項を追加する(信託契約で定めた合意等が必要)
  • 当事者間の合意解除で一度信託を終了させる

上のケースでは「受託者」が信託不動産を売却することになりますが、下のパターンでは「委託者(本人)」が不動産を売却することになるという違いがあります。

いずれの方法も委託者に判断能力がない場合には行うことができませんので、その場合には信託契約の終了事由があるまでは、信託不動産を売却することはできません。

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銀行が扱う家族信託との違い

銀行が扱っている家族信託と、これまでお話をしてきた家族信託の違いはなんでしょうか?

銀行が扱う「家族信託」とは

銀行にも「家族信託」という名前の商品が存在します。

この商品は、「お金を銀行に預けておいて、一定の条件が来たら払い戻してもらえる」という意味合いのものが多いようです。

一般的な家族信託との違いは、以下で説明をしていきます。

一般的な家族信託と銀行が扱う家族信託の違い

まず、一般的な家族信託と銀行が扱う家族信託の違いとして、真っ先に挙げられるのは「不動産が信託の対象になるか否か」ということです。

一般的な家族信託では、委託者の財産全てをその対象とすることができるので、当然不動産も信託財産として扱うことができます。

しかし、銀行が扱っている家族信託では、預金(つまり現金)のみが信託の対象になるので、家や土地を信託することはできません。

また、一般的な家族信託では信託内容を自由に決められるのがメリットですが、銀行が扱う家族信託では、商品の内容通りでしか信託内容を決めることはできません

家族信託を弁護士に相談するメリット


家族信託を弁護士に相談するメリットはあるでしょうか?

弁護士に相談するメリット1:どのような信託契約にすべきか助言をくれる

家族信託は自由に信託内容を決めることができるのがメリットですが、一般の方が自分で1から契約内容を組み立てるのは簡単ではありません

特に、家族信託では委託者の理想を叶えるために、どの財産をどのように財産管理させるのか、また、相続財産の分配をするのか、委託者は誰で受益者を誰にするのかなど、考えることが山ほどあります。

家族信託に詳しい弁護士に相談をすれば、このようなことを話し合いながら的確に決めてくれますよ。

弁護士に相談するメリット2:不備のない契約書を作成してくれる

家族信託は信託契約という契約ですから、契約書の内容はなにより大切です。

契約書に不備があると、委託者の思ったように財産管理が行われない可能性もあるので、きちんとした契約書を作る必要があります。

しかし、契約書に細かい条項を盛り込んでいくのは、一般の方ではかなりの労力を要します。

弁護士は契約書の作成にも慣れているので、不備のない契約書を作成してくれるというメリットがあります。

弁護士に相談するメリット3:信託契約に付随する手続きを代行してくれる

信託契約を締結し、不動産を家族信託の対象とした場合には、登記などの手続きが必要になることもあります。

登記手続きには時間もかかりますし、一般の方が自分でやるには少し大変です。

家族信託に関する依頼を弁護士にした場合は、このような信託契約に付随する手続きも弁護士が行ってくれますので、労力を最小限に抑えることが可能です。

弁護士費用が心配なら

弁護士相談のメリットはわかっても、費用が気になるし、自分にあった弁護士が見つけられるか不安…という声を耳にすることも。

そこでおすすめなのが、トラブル解決プラットフォームであるカケコムです。

カケコムでは、自分の悩みをフォームに記入するだけで内容に適した弁護士を探すことができます。

また、カケコムでは無料で弁護士から連絡をもらうことができますので、費用の面でも安心です。

家族信託で相続対策!メリット・デメリット・開始の手続きは?のまとめ

家族信託は比較的新しい制度ですが、家族に寄り添った財産管理ができる点が魅力です。
 
特に、成年後見人制度では実現できない柔軟な財産管理ができる点や、孫にも子孫を残せるという点から、気になる方も多いのではないでしょうか?
 
しかし、家族信託をするためには信託契約を書面で交わす必要がありますし、その内容の記載方法によっては望む通りの財産管理が行われない可能性もあります。
 
家族信託が気になったら、まずはお近くの弁護士事務所に相談に行ってみてくださいね。

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この記事の作成者

カケコム編集部