破産宣告とは?その意味と影響、自己破産すべき理由を解説
破産宣告とはどういうものなのか、ご存知ですか?言葉は聞いたことがあるけど、詳しくは知らないという方がほとんどだと思います。今回は、破産宣告とはどういう手続きなのかを中心に、破産宣告を受けるための手続き方法や費用、破産宣告を受けることによる家族への影響について紹介をしていきます。

破産宣告の基礎知識
破産宣告とは?
破産宣告とは、破産手続きの始まりを告げるもので現在は法改正により「破産手続の開始決定」と呼ばれています。
破産宣告は何か悪いことが起きるどころか、破産宣告を受けなければ自己破産は進みません。実際、必要以上に悪い印象を与えてしまうことから呼び方が変わったそうです。
では破産手続きの開始決定があればそのまま自己破産が終わるのか?必ずしもそうではありません。
自己破産には管財事件と同時廃止があります。
管財事件
一つは「管財事件」と呼ばれるものです。
管財事件とは、以下の4つにあてはまる事情がある場合に行われる手続きです。
- 申立人に一定の財産がある場合
- 免責不許可事由がある場合
- 過払い金返還請求ができる場合
- その他調査が必要であると裁判所が判断した場合
申立人に一定の財産がある場合(おおむね20万円以上の財産がある場合)は、その財産で債権者(貸金業者など)にお金を返済する必要があります。
しかし、申立人に借金の返済を任せると債権者間に不平等が起こる可能性があるため、裁判所が管理をしながら借金の返済を進めていきます。
また、免責不許可事由とは、借金の免責(免除)を認められない事由のことを指しますが、この事由がある場合には、詳しく調査をする必要があるため、管財事件として扱われます。
また、過払い金の返還を請求できる場合も、その手続きが必要になるため管財事件となります。
その他調査の必要があるときとは、法律等で詳しく決められているわけではありませんが、申立書に不明瞭な部分がある場合や、裁判官からの質問に曖昧な返事をした場合が典型的な例です。
いずれの場合も「破産管財人」という人を裁判所が弁護士の中から選任します。
管財事件の場合、破産管財人への報酬の支払いが必要になるため、同時廃止事件の場合に比べて、支払わなければいけない金額が大きくなります。
同時廃止事件
もう1つは、「同時廃止事件」と呼ばれるものです。
管財事件になる条件にあてはまらない場合は、同時廃止事件となります。
つまり、以下のような場合には同時廃止事件として扱われます。
- 申立人にめぼしい財産がない場合
- 免責不許可事由がない場合
- 過払い金請求ができない場合
- その他調査事項がないと裁判所が認める場合
破産宣告から手続きを終えるまでにかかる費用
破産宣告にかかる費用は、「管財事件」と「同時廃止事件」のどちらになるかによって大きく異なります。
一般的に、管財事件の場合は以下のようなお金がかかります。
- 手数料…1,500円
- 郵券代…3,000円~15,000円(債権者の数による)
- 予納金…最低20万円
つまり、管財事件の場合は、少なく見積もっても20万円以上のお金がかかることになります。
これに対し、同時廃止事件の場合は、以下のお金しかかかりません。
- 手数料…1,500円
- 郵券代…3,000円~15,000円(債権者の数による)
- 予納金…10,000円~30,000円
このように自己破産をするなら同時廃止の方が安く済みます。「なんとか同時廃止で」と考えるのは債務者も弁護士も同じです。
破産宣告を受けるとどうなるのか?
自己破産においては、破産宣告を受けた段階でいろいろな変化が起きます。これらについても知っておきましょう
取り立てがストップする
破産宣告がされ、破産手続きが開始されると、債権者は債務者(申立人)の財産に勝手に手を出すことができなくなります。
つまり、破産宣告を受ける前であれば不動産を競売にかけられたり、給与を差押えられる心配がありますが、破産宣告後はこのような心配がなくなるのです。
また借金の取り立てについては弁護士が受任通知を出した時点で止まるため自己破産を検討しているなら早めに弁護士へ委任することが望ましいです。
官報に記載される
破産宣告がされると、国が発行している「官報」という新聞のようなものに破産手続きが開始されたことを記載されます。
しかし、基本的には官報を読む一般の方はいませんので、それほど心配する必要はないでしょう。
財産が管財人に管理される
破産宣告をうけ、管財事件として扱われることになると管財人が財産を管理することになります。破産管財人が管理しているうちは、財産を勝手に売ったり引き渡すことができません。
一定以上の額の財産は処分・没収されてしまいます。
自己破産で処分されることになる財産は、20万円以上の価値がある財産及び99万円以上の現金です。
そのため、不動産(自宅など)や車を所持している場合には、ほとんどの場合が処分の対象になります。
職業が制限される
破産宣告をうけ、自己破産の手続きを進めている間は、一定の職業についている方は仕事ができなくなってしまいます。
ただし、免責許可の決定をうけたあとは、再び仕事をすることができるようになります。
自己破産で仕事ができなくなる職業とは、以下のような職業です。
- 弁護士、司法書士、行政書士、税理士、公認会計士などの士業
- 株式会社、有限会社の取締役
- 警備員
- 証券外交員
破産手続きと免責手続き
破産手続きとはそもそも財産を以って債権者へ弁済するための手続きです。借金がなくなるための免責手続きは、実は別。
同時廃止事件の場合は破産手続きがすぐに終わるので免責手続きに進むのがはやく一方で管財事件は財産の処分に時間がかかります。
また、免責手続きを受ければ借金が全てなくなるのか?と言われれば必ずしもそうとは限りません。税金や慰謝料など債務整理でなくならないお金もあれば、度を超えたギャンブルなど面積が許可されないお金もあります。
免責されるかどうか悩んでいるときは、特に債務整理の得意な弁護士を選ぶ必要がありますが、一般的なケースなら過度に恐れなくても大丈夫です。
破産宣告を弁護士に相談するメリット
破産宣告を弁護士に相談するメリットはなんでしょうか。
債権者からの取り立てがやむ
破産の申立てを弁護士に依頼した場合、弁護士は債権者に対して受任通知を送付します。
取り立てに悩んでいる方の場合は、これだけでかなり精神的に楽になりますね。
適切な書類を迅速に揃えることができる
破産宣告をうけ、免責許可の決定を得るためには、とても多くの書類を用意する必要があります。
少しでも早く人生を再建させたい、破産手続き中でも仕事を探したいという場合は弁護士の力を借りることが良いでしょう。
免責許可の決定が得やすい
免責許可の決定を得るためには、適切な書類の提出や審尋での適切な受け答えが必要になります。
個人の方が自分で自己破産を行った場合、審尋で上手な受け答えをするのは難しいことも。
しかし、弁護士に依頼をした場合は審尋にも同席してくれますし、事前の打ち合わせでもどのように答えるべきかについてアドバイスをしてくれます。
そのため、自分1人で自己破産の手続きを行った場合に比べて、免責許可の決定が得やすいというメリットがあります。
弁護士費用に悩んだら
自己破産の弁護士費用は安くない。その気持ちはわかりますが一度考えてほしいことがあります。
それは、自己破産すれば借金が無くなること。
そして、殆どの場合はかかる弁護士費用の何倍にも及ぶ債務を抱えていること。
債務整理は基本的にメリットが大きく、借金生活より辛いデメリットは考えにくいものです。ちなみに弁護士費用は分割で払えますから月々の返済額より安い場合も十分に考えられます。
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破産宣告とは?破産宣告の手続き・費用・家族への影響は?のまとめ
破産宣告を受けるのは怖いイメージがある方も多いかもしれませんが、本当に借金で困っている方にはとてもありがたい制度です。
しかし、破産宣告を受けるためには揃える書類が多く、裁判官からの質問もあったりと、一般の方が自分で行うのはかなり大変な手続きでもあります。
また、借金を減らす手続きは自己破産以外にもありますので、自分にあった方法を知るためにも、借金に悩んでいる方は1度弁護士に相談をしてみるのがおすすめです。