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借金を理由に離婚することはできるのか?離婚しやすい状況や必要な手続きについてを弁護士が解説

借金を理由に離婚はできるのか?その際に必要な手続きは?配偶者の借金で離婚を検討している方に向けて、現役弁護士がいくつかの状況の具体例を交えて解説していきます。

借金を理由に離婚は可能か

前提

借金だけを理由とした離婚は基本的にはできません。

借金が原因で婚姻関係に支障をきたしているであるとか、離婚原因のうちの一つとしてしか認定されません

 

 

借金は離婚原因として認められるか

借金理由と離婚の関係性

借金にも様々な状況や理由があります。

離婚したいと感じる借金の典型の一つとして、ギャンブルで勝手に多額の借金をつくっていたケースが挙げられます。ですが逆に住宅ローンや学費のための借金など、家族のためにした借金もあるでしょう。

どちらにせよ、借金単体が離婚の原因として認定されるのは相当ハードルが高いです。それよりも借金によってどのように婚姻関係や家庭への悪影響があったのかが争点になります。

例えばその借金によって子供が食べるものに困っていたり、必要最低限の生活にも困るような状況の中で、夫がギャンブルにお金を費やしてしまう、という状況があるのであれば、離婚は認められると思います。

逆に家族のための借金で住宅ローンや学費のための借金が膨らんでしまい、精神的に追い詰められて、仕事が手につかなくなり、結果的に退職し生活が立ちゆかなくなった場合などは判断が分かれるかと存じます。

 

借金を原因に離婚するには証拠が必要

生活への影響の証拠が大事になります。

繰り返しになりますが、借金単体では離婚は認められづらく、その影響で家庭の維持にどのような問題があるのか、という話の方が大事だからです。

どんなものが重要になってくるかの例を以下に挙げます。

 

家計簿

家計簿で相手方の収入、返済がどのくらいかの記録はつけてまとめておくと良いです。家計のなかで問題・浪費があるのではないかという反論が想定されますので、どれだけ日常生活に必要な金額を払ったのか、生活がどれほど苦しいのかを客観的に説明でき、離婚を認めてもらいやすくなります。

領収書関連

光熱費・領収書・入学金書類・貸借証明書・医療費など。これらがあれば支出がどのくらいあったかを確実に証明できます。

 

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借金で離婚する場合の具体的な流れ

前提として離婚の方法には協議離婚・調停離婚・裁判離婚の三つがあります。借金とは関係のない離婚でもこの流れに沿って離婚します。

(離婚種類の詳しい内容についてはコチラをご参照ください)

 

今回は身勝手な借金の典型例である”ギャンブルでこさえた借金”について、段階ごとに説明していきます。

 

借金で離婚する際の手順 〜ギャンブルの場合〜

協議離婚の場合

まず相手へ離婚の意志を伝えます。

ギャンブルで生活への影響がどれくらいあるかを、相手に伝えるのも大事ですし、まとめておくとのちのちの証拠にもなり、調停へもつれた場合や弁護士へ相談する場合に説明しやすいです。

法律事務所の初回無料相談を利用する場合は、相談時間が30分間であることが多いです。30分は意外とあっという間に過ぎてしまうので、時間が無駄にならないようにするためにも相談の前には必ず経緯や証拠等をまとめておきましょう。

協議離婚で話し合いがまとまれば離婚届に必要事項をお互いが記入し提出することで離婚が成立します。その場合、可能であれば弁護士に公正証書を作ってもらい、取り決めた内容について守るための法律的な効力を持たせるとより良いと思います。

協議離婚で話し合いがまとまらず離婚が成立せず、それでも離婚したければ離婚調停を申し立てます。

 

調停離婚の場合

調停員の方がいるので、ある程度第三者的に納得できる証拠や状況が必要になってきます。「旦那にギャンブル癖があり、借金があるから離婚したいんです!」だけだとかなり厳しいということですね。

先ほどお話しした証拠たちがあれば理解されやすくなると思います。ただ、相手が離婚に反対して平行線になりそうな場合は弁護士を間に入れる方が良いかと思います。調停員が説得しやすい方としてあなたを選んだ場合は、弁護士が入ることで簡単には説得できないぞ、というポーズを取ることができます。

調停で離婚が成立したら調停調書が作成されます。もしこの内容に納得できない場合や、そもそも平行線のまま話が進展せず、離婚を引き続き請求したい場合は訴状を提出し裁判を申し立てます。

 

裁判離婚の場合

裁判ではこれまでよりもかなり細かく因果関係や事実関係の確認をすることになります。

ギャンブルの借金がどれだけ夫婦としての生活に影響をあたえていたのか、発端としてどういうことになっていたのか、という話をかなり細かく、そして裁判官という法律の専門家に伝わるように法律に照らして話す必要が出てきます。

たとえば、借金だけでは離婚できないと話してきましたが、裁判離婚する際に必要となる理由=法定離婚事由に「借金」はなく、「婚姻を継続し難い重大な理由」を構成をする一つの要素として考えられています。

つまり、借金を理由にどんな夫婦生活上の問題がおき、それが婚姻を継続し難いと法律で認められる事柄に当たるか法廷で説明するには専門的知識と経験が必要になります。

裁判を申し立てる訴状作成の段階からその専門性の必要度は高いので、裁判に決まるか、その手前の調停段階で弁護士に代理人依頼しておくことをお勧めします。

 

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借金は財産分与の対象になるか

対象になります。

ですが「借金を山分けしましょう」というような話ではなく、一定のルールのもとで夫婦全体の財産を計算し、合計がプラスかマイナスかによって分け方は変わります。

ではどのような計算式なのか、相手の借金のどこまでが計算にはいるのか。見ていきましょう。

 

そもそも財産分与とは

財産分与とは「離婚するときに夫婦が婚姻中に共同で築いた財産を分ける」ことをいいます。
 
夫名義の不動産などでも婚姻後に夫婦で購入した物は全て財産分与の対象となります。また、法律上の財産とは借金などの負の財産も含まれますので、離婚時に財産を分ける「財産分与の計算」には借金も入ることとなります。
 
 

財産分与の計算式

まずそれぞれの財産の評価額を正確に把握することから始まります。またその評価対象は夫婦が共同で形成した部分のみが対象となります。

夫なら夫名義のプラスの財産と夫名義のマイナスの財産(つまり借金)を全部明らかにします。妻も同様です。例えば不動産評価額・自家用車の売却価格、借金の総額などがあります。

金額が明らかになったあと、それぞれの側で差し引きどのくらい残るのかを簡単に計算していきます。実際の計算はかなり複雑になるので、仕組みを理解していただくことを目的に、ここではかなり単純な例を用いてご説明します。

 

計算例:

プラスになる場合 マイナスになる場合
プラス(夫) 不動産500, 車200 プラス(夫) 不動産200, 車200
マイナス(夫) 借金500 マイナス(夫) 借金500
合計(夫) +200 合計(夫) -100
       
プラス(妻) 預貯金100 プラス(妻) 預貯金100
マイナス(妻) 借金50 マイナス(妻) 借金50
合計(妻) +50 合計(妻) +50
       
合計(妻と夫) +250 合計(妻と夫) -50

(単位は万円)

分配の仕方

分配方法は計算によってプラスとマイナスになった場合によってそれぞれ異なります。

 

差し引きプラスの場合

プラスの部分を分け合う形になります。上記のプラスの例ではざっくりと250万を分け合う形になりますが、実際には乗用車・不動産はすぐに売却せず、これはもらうからこれを向こうに渡す、というような形での分配になります。

 

差し引きマイナスになった場合

マイナスの場合は財産分与の請求権が発生しません。マイナスの主たる名義人の方がマイナスの部分の半分を持ってくれ、と主張することもできません。

 

つまりトータルでマイナスになった場合は、それぞれの名義人がマイナス部分の返済義務を負います。それは借金の性質がギャンブルでも夫婦生活や家族のための借金であっても、離婚が成立すれば変わりません。

 

財産分与で借金の支払い請求は全くできないのか

「たとえ片方の名義の借金であってもその借金で一緒に暮らしてきたわけだから、払ってくれ」という交渉はできないのでしょうか?

相手が承諾しさえすれば借金の返済を離婚後手伝ってもらえることもありますが、法律的には難易度が高いです。

ただし、交渉自体はありうると思います。例えば、借金で夫婦仲が悪くなったとはいえ、相手が結婚中に不倫をし、不倫相手と一緒になりたくて離婚を申し立てられた場合、借金を多少持ってくれるなら離婚してあげる、というような状況です。

ただその場合でも、公序良俗に則って計算されるので、住宅ローンが1000万円残っていて、その半分を持てというのは無理だと思われます。

 

そのほかに離婚時の借金について心配になること

日常家事債務について

離婚する際にこの部分で揉めることは稀です。

ちなみに日常家事債務とは夫婦が共同生活を送るうえで発生した債務のことで、これに関しては民法で夫婦ともに返済義務を負うものとしています。日常家事債務になるものとしては、家族で居住していた家の家賃、子どもの養育費、水道光熱費、その他生活で必要な日用品代等があたります。

 

結婚生活中に連帯保証人になっていた場合

これは名義人が払えなくなった場合に支払い義務が発生してきます。その際は払わなくてはなりません。

ですが払わなくてはならない場合と、支払いを拒否できるかもしれない状況があります。

払う必要がある場合は、連帯保証人引き受けに承諾して署名と押印をした場合は離婚した後でも必要が生じれば支払い義務が生じます。またそのこと自体に確実に承認をしていなかったとしても、自分の印鑑を相手がいつでも使える状態にしていた場合なども、事実上容認したとして義務が続くことが多いです。

払う必要がないかもしれない状況としては、相手に印鑑等の使用を承認していないにも関わらず、勝手に保証人にされていた場合です。印鑑の不正使用による文書偽造、つまり私文書偽造にあたるとして後でも争うことは出来るかと思います。

 

ペアローン(連帯債務者)の場合

二人とも債務者として考えられ、基本的には半分ずつ支払うことになります

その際、たとえ奥様がこれまで専業主婦で基本的には夫が自分の給料から支払ってきたとしても、それで奥様の負債残額だけが多くなるという訳ではありません。

日本の夫婦の収入に対する考え方の基本としては奥様の支えがあっての夫の収入なので、旦那様名義のお金でしかこれまで返済されていなかったとしても、基本的には半分になることが多いと思います。

 

住宅ローンの取り扱いについて

お子さんがいる場合で、奥さんが親権者になり、家はそのまま住みたいという状況はよくあると思います。

その中で奥様が払っていくから名義をくれ、ということも経験としてありますが、基本的には難しいでしょう。奥様になにかしら財産があって担保できる、働いていて収入が一定程度あるなら認められやすいですが、それまで専業主婦でした、というような状況ですと難しいです。

もちろんその場合、名義も支払いも旦那様が継続して許可してくれるなら住むこともできます。ですが、夫が払ってくれなくなったら家を追い出されてしまうリスクが付きまといます

故意に払うのをやめることもあるかもしれませんし、仕方のない事情としては会社を解雇されてしまったり、健康上の理由等で働けなくなることもあるかもしれません。その場合は家を差し押さえられることも当然あり、居住を断念せざるを得ないこともあります。

仮に公正証書等で支払いの約束を法的拘束力のある文書にてしていたとしても、それを根拠に強制執行をしたとして、相手にほんとに支払い能力がない場合は裁判所であってもどうしようもありません。住み続けるかどうかはこういったリスクを相談・検討して決定しましょう。

 

 

借金が原因の離婚について気になる方はこちら

妻の裏切りで離婚したい!妻の不倫や借金が発覚したら

離婚時の借金はどうなる?~借金・住宅ローンなどを抱える夫婦の離婚~

借金が理由で離婚したい!借金を原因に離婚する場合の流れと慰謝料について

 

先生から一言

借金をきっかけに離婚の話になることも少なくないと思いますし、そうでなくても離婚の話し合いの中で借金の話はある程度出てくるものだと思います。

このような問題への対応の仕方は借金の種類によって千差万別ですので、経験と専門的知識を備える弁護士に相談してくださった方が良いと思います。

その際にこれまでの経緯や家計簿などをまとめてから来ていただけると、弁護士としてはすぐに状況がわかり、スムーズに対処方法の選択肢が導けるので非常にありがたいです。

ぜひ離婚について借金で困った際は弁護士にご相談いただけますと幸いでございます。

 

 

勝又 賢吾(かつまた けんご) 弁護士

幅広い分野を取り扱っておりますが、その中でも特に離婚や労働問題を多く扱っています。

こうした悩みやトラブルは、早期相談が大切なことも多いですので、ぜひご気軽に相談にいらしてください。

得意分野:離婚・男女問題、労働問題、交通事故

詳細プロフィールはコチラ

 

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