DVで離婚したい…どこに避難すべき?経済面は?弁護士が回答!

DVで離婚はできるのでしょうか?いつ夫から暴力を振るわれるかわからず、常に顔色を伺う毎日。夫と一緒に暮らすのはもう限界かも…でも、どの程度のDVなら離婚は認められるの?証拠の残し方は?とりあえずどこに避難すればいい?気になる疑問に現役弁護士が答えます!経済的な理由で離婚を諦めている方も、ぜひお読みください。

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目次

 

今回ご解説いただく弁護士のご紹介です。

 

森田拓士(もりた たくし) 弁護士

森田法律事務所代表弁護士
大阪弁護士会所属

当事務所はワントップ体制、だからこそ一人の弁護士がきめ細かく対応いたします。
今後も弁護士としてだけでなく、いつでもなんでも話せる一人の人間としてあり続けられるよう努力して参ります。

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DVを受けた際の離婚が認められる可能性

妻側からのDVもあり得ますが、今回は夫側からのケースを想定します。

離婚には協議、調停、裁判の3つの方法があります。
協議では当事者間の合意があればいかなる理由でも離婚できます。調停では、調停委員を交え、当事者間の合意での離婚を目指します。裁判では離婚の成否は裁判所が判断します。

調停や裁判でも、配偶者から実際に物理的に暴力を受けている場合では、ほとんど離婚が認められています

 

どの程度のDVなら離婚できるのか

痣など軽い怪我でも離婚が認められる可能性があります。

さらに、1回の暴力行為で離婚が認められることも十分にあり得ます

また、直接殴られたわけではなくて、当たりこそしなくても物をこっちに向けて投げてきたという「間接的暴力」のケースでも離婚が認められる可能性があります
その場合、証拠の存在が重要です。「投げられて壊れた」「壁が凹んだ」「コップが割れた」など、写真に撮って証拠化しておきましょう。

 

相手がDVを認めた場合は必ず離婚できるのか

そもそも相手がDVを認めるとも限りませんし、相手がDVを認めているというだけで安心するのは良くありません。

相手が調停や裁判で、「思い切り殴りました」と発言することはあまり考えられないからです。
本当はグーで殴っていても、「軽く平手で叩いただけ」と過少に言うこともあります。

だからこそ、怪我の写真を撮ったり、病院で診断書をもらうなど証拠を残しておくことが大切です。

 

DVとモラハラ、どちらが離婚が認められやすいのか

DVとモラハラの区別は、離婚においてはあまり重要な点ではありません。

離婚するにあたって、法律で「こういう場合に離婚を成立させる判決を出しますよ」という要件が決まっています。
DVやモラハラで離婚できるかどうかは、「婚姻を継続し難い重大な理由」にあたるかどうかにかかってきます。

暴力がDVにあたるかモラハラにあたるかは重要ではなくて、それがあると婚姻を継続し難いかが重要なのです。

民法770条
①夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
②裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

 

証拠はどうやって残せばいいのか

どんな証拠を残すべきか、そしてどういう形で残せばよいか、解説します。

たとえば診断書は客観的に暴力を指し示すものとして有効な証拠です。裁判でも診断書はDVを証明する重要な証拠として取り扱われます。

また、写真も重要です。アザなどの怪我や投げた物、当たった場所などの写真は有効な証拠となります。

現場の録音もDVの証明に有効です。暴力を振るわれたり、暴言を吐かれた際の録音を残しておきましょう。

そして日記も証拠になります。いつ、どのように暴力を受け、どのような怪我をしたのか詳細が書かれた日記は、時系列に沿って第三者に説明がしやすくなります。診断書・写真等の証拠と日記が相まって日常的なDVがあったことを立証しやすくなります。

 

 

 

DVを受けたら、どこに避難するべきか

(1)実家へ逃げる・不安な場合は裁判所の保護命令

もっとも避難しやすいのは実家かと思います。ただ、実家だと夫に場所がバレているので家に来てしまう可能性があります。
そのときは
裁判所に保護命令を出してもらいましょう

裁判所から「配偶者に近づくな」という旨の命令が出されます。この保護命令を申し立てるための用紙は裁判所に置いてありますが、裁判所によって申立書の書式は違います。

また、申立書以外にも収入印紙、戸籍謄本、住民票、暴力を受けたことを証明する資料等が必要になります。裁判所のホームページに必要書類の説明がありますので、確認してから行きましょう。

 

(2)シェルター

シェルターは居所がわからないという点では非常に安全です。シェルターの場所は基本的に誰にも知らされないからです
実際に依頼者の方がシェルターに避難された案件を担当した際、代理人である私にさえシェルターの場所は教えてもらえませんでした。

シェルターに避難する場合、まずは各都道府県の女性センターや配偶者暴力支援センターに相談しましょう。

女性センター
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/06.html

配偶者暴力支援センター
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html

これらに相談するとシェルターを紹介してもらえます。

ただ、入所の審査や、定員数もあるので、満員で入所が難しい場合もあります。

 

 

 

DVから避難するときの注意点

(1) 持っていくべきもの

今後の離婚を考えるにあたっては、離婚の交渉に有利な証拠は持って出たいですね。

たとえば、財産分与の交渉の際に必要な証拠です。

相手方の通帳自体を持ち出すのは難しいと思うので、通帳の口座番号や残金のわかるページを写真に撮っておくといいと思います。どこに口座があるかわからないと、財産分与の交渉のしようがなくなってしまうので相手方の口座がわかる状態を作っておきましょう。

また、生命保険の解約返戻金なども財産分与の対象となります。加入している保険に関する資料についてもコピーを取るなどしておくと良いでしょう。相手が隠すことも考えられます。

財産分与についてはこちらのページも参考にしてください!
離婚時に知っておきたい「財産分与」|相場額や退職金の分与は?

 

また、当然ですが自分の実印財布本人証明書類なども持って行きましょう。

子どもと一緒に避難する場合、子供の健康保険証母子手帳も持って行きましょう。意外とこの2つは見落としがちなので注意しましょう。

 

(2)子どもは連れて行くべきか

子どもを置いていくと親権を取るのが難しくなる場合もあります。
「いま一緒に生活しているのは父親で、ちゃんと面倒を見れているのに、いまさら環境を変えるのは子どもに悪影響だ」と判断される可能性があるからです。
もちろんDVをしたという事実は親権を決める際に考慮はされるのですが、DVをした側が親権を取れないとは一概には言えません。

子どもは先述のシェルターにも連れて行けます。

 

 

 

DVを受けたら誰に相談するべきか

(1)警察

直接的な暴力を受けた場合、まずは警察に相談するのが良いかなと思います。

「夫も交えて話を聞こう」ということになれば、警察と夫が会うことになり、DVを止めるきっかけになるかもしれません。

また、警察に相談したという記録が残りますので、後の離婚協議を有利に進めることができるようになる場合もあります。

 

(2)女性センター・配偶者暴力支援センター

先述しましたが女性センター等に相談すると、先述のシェルターを紹介してもらえます。

また「この日にセンターへこの内容を相談した」という相談票のようなものが作成され、書面でもらうことができます。

この書面が裁判所に保護命令を申し立てる際に使えますので、もらっておくといいでしょう。

女性センター
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/06.html

配偶者暴力支援センター
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html

 

(3)弁護士

弁護士に相談するのは、早ければ早いほど良いと思います。
DVを受けて、離婚や別居を考え始めたらすぐに相談した方が良いでしょう。

別居を考えた際、一番の心配事は別居後の生活基盤ではないでしょうか。別居前から弁護士に相談しておくことで、別居後すぐに生活費(婚姻費用)を夫から支払ってもらうために動けます。
DVから逃げるだけでなく、その後の生活全般のためにも弁護士へ相談するのは非常に有効な手段です。なので弁護士への相談は早めにすることが大切です。

さらに上記に加え弁護士に相談するメリットとして、慰謝料、親権や財産分与など有利に交渉できる配偶者に会わないで離婚交渉を進められるなどがあります。

 

 

DVで離婚を考えている人はこちらの記事もお読みください

 

DVで離婚を考えている人へ、森田先生からのメッセージ

DVは緊急性のある事案なので、早期に対応を考えなければなりません。他方、その後どう生活していけばいいのかという長期的な不安も生まれてくると思います。

相談者様のお話を聞いていても、離婚や別居はしたいけれども経済的な理由から我慢されている方は多いです。

婚姻費用について調停を申し立てるなど、生活費を確保する手段はあります。
婚姻費用の確保が現実的に難しい場合には、最後の手段として生活保護の申請もあります。

お金のことはご相談いただければ、なんとかなる可能性が高いです。
DVで離婚を考えたら、経済的な不安があることも含めて、弁護士になるべく早く相談してみてください。

この記事の作成者

カケコム編集部