男女問題 離婚

「子供が出来ないから離婚」はできる?不妊で夫婦関係が悪化したら検討すべきことを弁護士が解説

子供が出来ないことは離婚原因になるのでしょうか?不妊に悩む夫婦は、少なくありません。不妊が原因のすれ違いで夫婦関係が悪化してしまい、離婚を検討しているという方もいるでしょう。不妊が原因でこじれてしまった夫婦関係を修復することはできるのでしょうか?また、離婚するか迷った際には、どうすればいいのでしょうか?様々な夫婦の離婚案件を担当した現役弁護士が、丁寧に解説していきます。

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今回ご解説いただく弁護士のご紹介です。

安藤 秀樹(あんどう ひでき) 弁護士

安藤法律事務所 代表弁護士
仙台弁護士会 所属

農学部出身。理系出身であることもあり、わかりやすく・納得のいく説明が得意。物腰柔らかく、気軽に相談できることを大事に弁護活動を行う。 

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「子供が出来ないから離婚」は可能か

協議や調停は当事者間で合意できれば可能

当事者同士が話し合いのうえ離婚届を提出する協議離婚は、合意があればいかなる理由でも認められます。もちろん、「子供が出来ない」という理由でも離婚は可能です。調停においても同様です。


逆に、「子どもが出来ない」という理由で一方的に離婚を突きつけてきても、もう一方が
拒否し続ければ離婚は成立しないということがいえますね。

 

裁判離婚が認められる要件は法律で定められている

協議、調停でも成立しなかった場合、裁判所に離婚を請求することができます。裁判では裁判官が離婚を認めるか判断しますが、法律で定められる理由に該当するかが争点になります。

※民法770条※
①夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
②裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

「子どもが出来ない」ことは離婚の訴えの要件としては明記されていないので、五号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる場合や、不妊が間接的にもたらした夫婦関係の破綻があれば、離婚が認められることになります。

とはいえ、基本的には子どもが出来ないというだけでは裁判離婚が成立するのは難しく、プラスで不倫や別居などの事情が必要になると考えておきましょう。

 

不妊で裁判離婚が認められやすいケース

不妊が原因で相当期間の別居に至ったケースでは、夫婦関係が破綻していると判断され裁判で離婚が認められる可能性が高いです。裁判で離婚が認められるためには、平均して5年くらいの別居期間が必要とされています。すでに子供がいて第二子が出来ないなどの場合には、第一子の養育環境を変えないことが重視されるため、もう少し別居期間が必要になる場合もあります。


不妊が原因の喧嘩で暴力を受けたケースでは、法定離婚事由の五号の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり裁判で離婚が認められる可能性が高いです。裁判では、暴力を受けたことの証明が大切です。怪我の写真や病院の診断書を取っておいたり、警察に相談しておきましょう。

暴力・DVが原因の離婚について詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてお読みください。

不妊が原因となり不倫をされたケースでは、一号の「不貞な行為」にあたり裁判で離婚が認められる可能性が高いです。この場合も、不貞の証拠が必要です。また、不倫をされた側は慰謝料請求ができる可能性も高いです。

不倫が原因の離婚について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

そもそもセックスレスが原因で子供が出来ないケースでも、性の不一致は五号の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるため、裁判で離婚が認められる可能性があります。このケースでは、どちらにセックスレスの原因があるのかが重要となります。セックスレスの原因を作り、性交渉を拒否してきた側に慰謝料を請求することも可能ではありますが、相手が認めない場合には、証明が難しくなっています。

当初から病気や事故などで不妊がわかっていたが、隠して結婚したケースでも、裁判で離婚が認められる可能性があります。少し事案は異なりますが、夫が婚姻に際して妻に自己の性交不能告知をしていなかった事案では、五号の「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断され、離婚裁判が認められるとともに妻から夫へ200万円の慰謝料請求が認められました。(京都地裁昭和62年5月12日判決)

 

不妊で裁判離婚が認められないケース

前述の通り、「子供が出来ない」というだけでは、基本的には裁判で離婚は認められないのが原則です。

また、2人目以降の子供が出来ないケースでは、1人目の子供の養育環境を変えると子供に悪影響を及ぼす可能性があるため、裁判での離婚が認められにくくなる可能性もあります。

 

どうして不妊が離婚につながるのか

不妊治療でストレスやプレッシャーを受け、パートナーによるケアがうまく行かなかったり、もしくはない場合は夫婦関係そのものが破綻しかねません。

子供が出来ないことが原因で実際に離婚までいく人は、数としては少ない印象です。しかし、離婚まではいかないとしても子供が出来ないことが原因で夫婦関係がうまくいかなかったり、すれ違っている夫婦は少なくないと思います。

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「子供が出来ないから離婚」を回避するには


不妊をめぐる衝突は夫婦関係を悪化させ、最悪のケースでは離婚に至ってしまいます。不妊が原因の離婚を避けるためにはどうすればいいのでしょうか。

苦しみを分かち合う

もっとも辛いのは、子供が出来ない原因を持つ本人です。
不妊治療には身体の負担に加えて、膨大な時間とお金がかかります。そんな治療を続けていても、いつ結果が出るかはわからず、失敗してしまうと毎月落胆することになります。周囲や義両親から「子供はまだなの?」と会うたびにプレッシャーをかけられる辛さも、計り知れません。

本来、不妊は夫婦2人が協力して取り組むべき問題であるはずなのに、その辛さをパートナーが理解してくれないと、配偶者に対する不信感を感じるようになります。その結果、夫婦関係が悪化し日常生活にも支障が出るようになり、「なんでこの人と結婚しているんだろう」「一緒に生活するのも嫌」と考え始め、離婚に至ってしまうのです。

また、実際には不妊の原因は男性にあることもあるのに、女性に原因を押し付けてしまい検査に行かないというケースもあります。子供が出来ないのは自分のせいではないと思いたいのだと思いますが、検査に行き、原因がはっきりすれば不妊だけでなく夫婦関係改善の糸口にもなりえますので、決めつけずに検査することをおすすめします。


不妊はだれかのせいではなく、本来は子供ができない現象であって、基本的にはどちらかが何か悪いことをしたわけではありませんので、相手に落ち度を求めるのではなく、協力して課題に取り組む姿勢が必要です。

 

子供に関する価値観について話し合う

子供が欲しいという理由も、子育てへの憧れや周囲からのプレッシャーなど、人によって様々です。
どうして子供が欲しいのかその気持ちはどのくらい強いのかを話し合い、意見を擦り合わせましょう。

不妊に対する温度差は、夫婦のすれ違いの原因となります。

お互いの意見を理解した上で、どうしても子供が欲しいのか、子供ができなくても一緒にいることはできないのか、夫婦の今後について一緒に話し合うことが大切ではないでしょうか。

子供がいなくても幸せに暮らしているご夫婦はいます。そういった可能性を模索する上でも、お互いの希望の強さや理由を理解し合うことが、まずは第一歩になると思います。

 

不妊治療の到達点を明確にする

どのくらい不妊治療を続けるかは明確にしておきましょう。2、3年を1つの目安にされている方が多い印象です。

不妊治療は家計への負担も軽くはありません。不妊治療は保険が効かないため、月10万円以上かかることもあります。

ゴールが見えないまま不妊治療を続けるのは、お互いにとって辛いものです。簡単に割り切れない問題ですが、夫婦関係が破綻したら子供を作るどころの問題ではなくなります。

 

過度に相手を締め付けない

「食生活に気を遣ってって言ってるでしょ!」「喫煙は絶対ダメ!」など、相手の生活を過度に締め付けていると、相手は「束縛から解放されたい」と思い始めてしまいます。締め付けが原因となって、最悪の場合は不倫に繋がる可能性もあります。

不妊治療に対する温度差を感じた時、つい相手を責めてしまいたくなるものですが、どうすれば相手が協力的になってくれるのか、どうすれば相手が協力しやすい状況を作れるのかを考えましょう。

 

気分転換の方法を見つける

不妊治療の成果はすぐには出ないため、イライラや不安が募りやすいと思います。加えて、本来は子供が出来ないのは誰かひとりが悪い、という問題ではないのに、真面目な方ほど自分自身を責めすぎる傾向があり、積み重なると精神的に参ってしまいます。

辛いときこそ、気の知れた友人と旅行に行ったり、趣味に没頭する時間を持つなど、自分に合った気分転換の方法を見つけましょう。精神的に参ってしまっては文字通り、元も子もありません。

また、子供がいないからこそできる時間の使い方もあると思います。不妊について意識しすぎて気に病むのではなく、せっかくの夫婦だけの時間を大切にしましょう。

 

 

 

不妊で離婚したいか悩むときは

不妊以外に離婚の理由があるか

離婚をしたい理由が子供が出来ないというだけなら、まだ夫婦関係をやり直せる余地はあると思います。

これに対し、不妊以外にも不倫・暴行・暴言などの問題がある場合には、夫婦関係をやり直すことは難しかったり、最悪の場合は早く別れた方がいいこともあります。

どのような理由で離婚が頭をよぎるのか、今一度整理し、本当にやり直すことはできないのか、離婚に動き出すべきか、考えましょう。
不妊治療で奮闘している間に外部との関わりが減り、客観視できない状況に陥ることもありえますので、自身の状況が離婚にまでなり得る状況か弁護士に相談するのも一つの手だと思います。

 

とりあえず別居をしてみるのも手

嫌な気持ちで同居している間は、「とにかくこの生活から離れたい」「一刻も早く離婚したい」と感情的になりがちです。

別居をすることで、本当に自分は離婚をしたいと考えていたのか、落ち着いて考えることができます。

 

近くの人に相談してみる

子供がなかなか出来ないという同じ経験をした人に相談してみるのも、他の夫婦がどのように不妊と折り合いをつけてきたかを知ったり、第三者目線で自分がどうするべきかを考える良い機会になります。

 

弁護士に相談する

離婚をしたらどうなるのかを知りたい場合、弁護士へ相談することをおすすめします。相談自体は高額ではなく、30分5000円程度が相場で、初回相談無料の事務所もあります。

また、弁護士に相談することで離婚がそんなにいいものなのか冷静に考えることもできます。特に相手が離婚に反対している場合には、離婚には様々な労力が伴います。弁護士に相談し、離婚に関する基礎的な知識を取得することで、「そこまでするほどでもないな」と思うことも考えられます。

さらに、弁護士に相談せずに勢いで行動してしまうと、請求できたはずのお金を請求せずに相手と連絡がつかなくなってしまうなど、あとで後悔するおそれがあります。早めに相談をすれば、自分がどのような権利に基づいてどのようなことを主張できるのか知っておくことができます。

その後のライフプランも不安なのであれば、離婚して生活していけるのかを一緒に考えてもらうこともできます。

 

実際に、不妊をめぐるトラブルについて相談に来られた方も何人かいらしゃいます。

離婚ではありませんが、不妊治療の金銭負担が重く債務関係のご相談に来られた方や、「不妊の原因がどちらにあるのか分からないのに、旦那が病院に行ってくれない」とご相談に来られた方もいらっしゃいました。

 

自分の相談が弁護士に相談するまでのものか迷われている方もいらっしゃると思いますが、おおごとになる前にまずはお気軽に相談に来てください。

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子供が出来なくて離婚を検討している方にはこちらの記事もおすすめです

 

 

先生から子供が出来なくて離婚を検討している方に向けてメッセージ

「子供が出来ない」というのは、ご夫婦にとって重大な問題で、悩まれている方も多いと思います。不妊が原因で夫婦関係がうまくいかず、離婚するかどうかという局面まで行っている方もいるかと思います。


しかし、どの夫婦も
「子供が欲しい」というだけで結婚したわけではないのではないでしょうか。そのような気持ちも思い出して、もう一度夫婦でしっかりと話し合うことが大切なところです。

不妊への温度差が、すれ違いの原因になっていることも多いです。また、家計の負担が原因での溝が広がらないようにも、2人の子供に関する価値観を共有し合い、お互いに歩み寄ることも大切です。

時間をとって、ゆっくりと子供に対する考え方について、まずは話し合ってみましょう。

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