男女問題 離婚

家庭裁判所へ離婚調停を申し立てるタイミングとは?注意点や流れとともに弁護士が解説します。

「夫婦だけでの離婚の話し合いが怖い」「ふたりだけでは話が平行線のまま進まない」今回はそういった場合に離婚を前にすすめる家庭裁判所での離婚調停について弁護士が解説していきます。申し立てるタイミングや、調停の流れ、実際にどんなことをするのか、気になる方は必読です。

今回ご解説いただく先生のご紹介です。

上田 貴之(うえだ たかゆき) 弁護士

事務員として働いた後、弁護士になり、気づけば10年以上、法律家の業界にいます。その間、いろいろな事件や弁護士を見てきた上で、私が大事にしているのは、依頼者に「納得」を与えられるよう活動すること。 弁護士の判断に任せきり、ご自分の納得をおざなりにしてはいけないと思います。“ちゃんと前を向けない”人生を招かないよう、依頼者に寄り添い、依頼者に納得を与えられるリーガルサービスの提供を目指しています。 頼っていただいた方の手助けができる限りできるよう 男女問題、税法問題、一般民事、企業法務等、多くの分野を扱うよう心がけています。

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家庭裁判所への離婚調停申立てのタイミング

検討するタイミング

本人同士での話し合いによる解決が無理だと感じたときに調停の利用を考えるのが良いでしょう。

本人同士の話合いと違い、裁判所が選んだ「調停委員」という第三者が間に入って話し合いをすることになります(なお、調停委員は裁判官と相談しながら事件に関する話し合いを進めていく運用です。)。

第三者が加わることにより、新しい視点が加わる等した結果「どうせ調停でも離婚できない」と思っていても離婚できることがありますし、仮に裁判を希望する場合でも調停を申し立てる必要があります。

 

申立てを行うタイミング

きちんと必要な情報を揃えてから申し立てましょう。いつ申し立てるのか?は非常に重要な問題です。

調停を申し立てた事実は、制度上相手にも伝わります。

これにより対立姿勢が決定的となりかねず、調停を申し立てたことが相手に伝わった後は、相手が情報開示を拒み、また、情報を隠す(例えば、自分の財産を把握させないように通帳を隠したり、不利な証拠を隠す等)等の態度に出ることも多いです。

そのため、タイミングを間違えると自分の主張に必要な情報を収集できなくなる可能性もあります。

 

離婚を急ぐあまり、直ぐに調停を申し立てたところ、証拠が得られなくなってしまった、といった事態を招かないよう、離婚を決意して調停を申し立てる決意を固めたら、(できれば別居を開始する前に)まずは弁護士に相談するとよいでしょう。

どんな情報が必要かをアドバイスすることももちろんできますし、調停申立前や別居開始前に集めておくべき証拠をアドバイスすることもできます。実際に、相談にいらっしゃった方に「もうちょっと情報収集してから別居しましょう」等と提案をさせていただく方は結構多いものです。

見切り発車により損をしてしまわぬよう、適切に専門家を活用してください。

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家庭裁判所での離婚調停の大まかな流れ

離婚調停の申立からの大まかな流れ



どのくらいの期間がかかるか

裁判所の統計データ(105ページ参照)によると、平均は5.3ヶ月となっています。

時間がかかる原因としては、離婚に際して決める事項が多いこと等のほか、調停にかかわる関係者が多いことも影響しているように思います。例えば、調停委員を含めた全員の日程を合わせる必要があるため、日程がなかなかあわず、次回が2ヶ月ほど先の日になることが続くようなこともあるのが実情です。

 

調停の終了

調停の終了には2パターンあります。

当事者が合意に至った「成立」の場合と、合意できなかった「不成立」の場合です。

それぞれの終了の形について見ていきましょう。

調停成立

何をもって調停成立になるか

夫婦が、離婚やその条件に合意できた場合に成立となります。

調停成立後の流れ

調停のなかで合意できることやその内容が確認されると、調停が成立します。

調停が成立した場合、合意内容を書面として記載した「調停調書」を作る必要があります。そのため、その日に、裁判官が調停の内容をもとにした調停条項の内容(合意内容)を読み上げて、合意内容を確認する、という手続に移ります。

この合意内容確認は、夫婦同席のもと行われることが多いのですが、弁護士がついている場合には、弁護士のみ同席(ご夫婦はそれぞれ別の部屋で待機)した状態で行われることもあります。

裁判官が読み上げた調書の内容に、夫婦双方が同意すれば、裁判官が調停成立を告げて、手続きが終了します。

なお、調停調書の用紙自体は、後日つくられることも多く、その場合の調停成立当日の手続としては、その受取方法(郵送か窓口での受取)を選び、裁判所に納めていた経費の精算手続きに関するやり取りをして、その日は帰宅することになります。

なお、調停が成立した場合には、調停成立から10日以内に役所に離婚届を出す必要があります。

受け取ってからの期日ではない上、この届出を出さないと離婚の効果が認めてもらえませんので、期限を経過させないようにご注意ください。期限を経過させると、過料という制裁を受けることがあります。

受け取る書類(調停調書)に書かれていること

調停証書には離婚する旨、そして離婚の条件(具体的には養育費、慰謝料や財産分与金額や、親権者を誰にするかなど)が書いてあります。

 

調停不成立

何をもって不成立になるか

言い分の対立が激しい、要求の差が大きすぎる等の理由から、話し合いを続けても合意にいたる見込みがないと調停委員に判断されたときに不成立になります。

 

【カケコム編集者追記】

不成立になりやすいケースなどについては、他の記事(他の弁護士の記事です。)でも詳しく解説しているので、気になる方はそちらも確認してください。

離婚調停が不成立になりやすい5つのケースとは?離婚を成立させるためにすべきことを弁護士が解説

 

調停不成立となったあとの流れ

裁判(離婚訴訟)を起こすか、ひとまずやめておくかを自分で選びます。

たまに「調停が不成立となれば自動的に裁判に移る」と思っていらっしゃる方がいますが、そうではありませんので、ご注意ください。

 

調停が不成立となった後も引き続き離婚を目指す場合、(交渉を再度試みることもごく稀にありますが)原則として裁判を起こすことになります。

 

ただし、裁判では主張が法律的に適切か(法律上の根拠や証拠があるか)、という点をかなり厳しく考慮されて判決が下ります。

そのため、法律的な根拠や証拠が乏しい場合、調停不成立となっても裁判は起こさず、別居期間の継続を理由に裁判で離婚が認められそうになるまで、別居期間を相当年数空けることを待たざるを得ないことも比較的多いです。

なお、このように時間を空けた場合、離婚については、いきなり裁判を起こせないという法律上の決まり(調停前置主義)があるため、調停が終了してから長期間(例えば数年間)空いて裁判を起こしていることを理由に、もう一度調停から行うよう求められることもあります。ご注意ください。

受け取る書類

調停が不成立となった日に、裁判所から不成立証明書を受け取るか聞かれます。

裁判を起こす際、この不成立証明書を訴状に添付することが必要となるため、離婚を求めている側は、受け取ることが多いです。

なお、不成立証明書は、収入印紙150円ほどで受け取ることが出来ます。

また、調停が不成立となった場合には、調停調書は作られません。

補足

先ほど記載したとおり、離婚裁判を行うには「調停前置主義」というルールがあり、裁判の前に調停を行っていないと裁判ができないとされています。

このことに関連して、「話し合っても意味がないから早く裁判がしたい。調停を起こさなければならないとしても、すぐに調停を不成立として終わらせ、早く裁判をしてほしい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

しかし「早く調停が終了するとしても、最低3ヶ月ほどはかかる。また、多くの場合は、3か月以上かかる」と考えておいたほうが良いように思います。

本当に話し合いでの解決が不可能か確認をするというのも、調停前置主義の目的として存在しています。

そのため、あまりに早く離婚調停を不成立にしてしまうと、後日、裁判を起こしても裁判所によって調停をするよう戻されるという運用が撮られています。

このことからして、調停が1,2回で終了することは少ないからです。

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離婚調停の申立てに必要な準備

離婚調停の申立書

ご自分で申し立てる場合には、家庭裁判所が用意している書式を使うと良いでしょう。

本来、裁判所で話し合うための具体的事情を詳細に記載するのが望ましいのですが、これを一般の方が行うのはなかなか難しいです。

そこで、家庭裁判所がチェックボックス付の書式を用意しています。

これを使う場合には、求めたい欄にチェックを付けて提出する運用です。

 

家庭裁判所の書式 (出典:裁判所HP)

 

書式を用いる場合、チェックを付け忘れると議題にあがらないこともあるので、しっかり確認して提出するようにしてください。また、所定のチェックボックスには書かれていない内容で、離婚を求める事情があるのであれば、それを具体的に記載すると、調停委員に話が伝わりやすいでしょう。

もっとも、記載した事情が「法的に意味がある」ものでないと、裁判所は、離婚理由(離婚を求める事情)としては扱いづらいです。

この「法的に意味があるか否か」の判断は難しいうえ、一度申立所等に書いてしまうと、そのことが後で不利になることもあります。

このような事情から、調停申立前に弁護士に相談される方も多いです。

裁判所に電話で確認

その他の細かい書類や手数料をご自分で確認する方法として、最も確実なのは、調停を行う裁判所(通常は、相手の住所地近くの裁判所となります。)に電話して確認することでしょう。

必要な郵便切手の金額等は裁判所によって差があることもありますし、求める調停の内容に応じて変化することもあります。

申し立てる内容を固めた後、裁判所に電話して細かい必要書類や収入印紙、郵便切手の金額を確認すると良いでしょう。

 

参考:裁判所HP

 

必要になることが多い書類

夫婦であること等の確認に必要となるため、戸籍謄本の提出が必ず求められます。

 

その他申立書の内容にあわせて証拠を提出していくのですが、例えば、慰謝料を求める場合には、慰謝料を求める原因についても、証拠が必要となります。

話し合いの手続という性質からは、証拠がなくても話合いをもとめることはできるのでしょうが、証拠がない場合、残念ながら、間に入る調停員に、話し合いの議題としてすら認めてもらうことは難しいです。

そのため、離婚調停の段階でも、証拠は提出しておくべきでしょう。

どんな証拠を提出すべきか、については、ケースバイケースであるため一概には言えません。

例えば、DVを理由として慰謝料を求める場合は、一般的には、DVにあった際の警察への被害届、診断書、その当時のケガの写真等があると良いことが多いでしょう。また、不倫を理由として慰謝料を求める場合には、相手が他人と性的関係を持った証拠を提出すべきでしょう。

なお、離婚理由(それだけで離婚を求める強い事情のことです。)になる「不貞行為」と慰謝料発生の理由になる「不貞行為」とは意味が違うとされています。

離婚理由とするには肉体関係が必要としつつ、慰謝料の理由とするだけなら、肉体関係までなくても性的関係(例えば、キスをした、お風呂に一緒に入った等)が認められれば慰謝料を認める方向に働かせる(ただし、程度によっては性的関係があっても0円にもなります)運用です。

証拠写真や探偵にこだわる方もいらっしゃいますが、内容によっては、たとえばLINE等も証拠になります。

 

申し立てる先の裁判所、申し立てにかかる費用

申し立てる裁判所は、相手の住所地を管轄する(相手の住所地の近くであることが多いです。)家庭裁判所によります。

その他、収入印紙を最低で1200円、郵便切手を納めます。

なお、郵便切手は、余れば戻ってきますが、事件が伸びたり追加のやり取りが発生して不足すると追加納付が必要になります。そのため、裁判所によりますが、3000円~6000円くらいは切手代としてかかることが多いと思います。

 

離婚調停で話すこと

離婚以外に、何をどこまで求めるのか、財産分与や慰謝料などの希望条件を自分で議題として提出し、それが議題となります。

大きく分けると、離婚する際には、子どもに関することと、お金に関することを話すこととなります。

 

子どもについて

親権者をどちらにするのか、面会交流(離婚後に親と子をあわせることです。なお、全くあわせない、というのは、子の福祉の観点から認められないことが多い運用です。)の頻度や方法などです。

その他、お金に関することでもありますが、養育費の額も話し合うことが多いです。

お金について

慰謝料、年金分割、財産分与などが議題に挙がるでしょう。

調停はあくまで話し合いです。

合意さえできるのであれば偏った内容でも離婚できます。

ただし、無茶な要求は通りづらいですし、無茶な要求をしたことで裁判所に不利な印象を持たれ、相手が有利になるきっかけになることもあるので注意が必要です。

また、別居している場合は別居中の生活費を収入の多い方から支払う婚姻費用についての話もすべきかと思います。

婚姻費用については、婚姻費用分担請求調停という調停を起こす必要があります。

 

婚姻費用については、以下の記事(別の筆者による記事)でも解説しています。良ければコチラもご確認ください。

 

調停でつまづきやすいポイント

証拠の法律的な説明

一般の方が離婚調停でつまづくポイントとして、特に多いのは、証拠を法律等と結びつけて説明することでしょう。

調停委員から「この証拠だけでは無理ですよ」と調停を打ち切られそうになり、「じゃあどうしたらいいんですか?」と聞いても、中立の立場を保つ必要がある調停委員からは「それはお答えできないです」となり、どうしていいかわからない、となって、弁護士に依頼する方もいらっしゃいます。

こういった場合に途中から調停の代理を頼まれることが多く、一般の方が独力で調停を行うには難易度が高いのが実情といえるように思います。

 

書類の準備

調停には必要な書類がいくつかあります。

書式を使っても、申立書のチェックボックスに書きもらす等すると、そもそも議題にあがらない、書いた内容が不利になるといったこともあるため、後日の展開も予想しながら書かないといけないというような注意点やコツ等もあります。

あとから「あれも書いておけばよかった」「これもしかして請求できたんじゃないか」「書かない方が良かったんじゃないか」という状況は、弁護士に相談することで防ぎやすくなります。

後悔しないためにも、一度は弁護士のもとに、ご相談(なお、相談自体は30分5000円としている弁護士が多いと思います)に行かれることをおすすめします。

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