男女問題 離婚

離婚で親権を母親が獲得するには?親権者を決める判断基準について弁護士が解説

離婚の際、親権を母親の方が獲得しやすいと言われています。これは本当でしょうか?また、もちろん母親だからといって必ずしも全員が親権を獲得できるわけではありません。実際には、どのような判断基準で親権者は決められるのでしょうか?様々な親権問題を扱ってきた現役弁護士が疑問にお答えします。

今回ご解説いただく弁護士のご紹介です。

森田拓士(もりた たくし) 弁護士

森田法律事務所代表弁護士
大阪弁護士会所属

当事務所はワントップ体制、だからこそ一人の弁護士がきめ細かく対応いたします。
今後も弁護士としてだけでなく、いつでもなんでも話せる一人の人間としてあり続けられるよう努力して参ります。

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離婚時の親権は母親が獲得しやすいのか

離婚をする際、母親だから親権を獲得しやすいということはありません。

しかし、これまでの子育ての養育環境や子どもの気持ちを総合的に見たときに、全体として母親が親権を獲得するケースが多いのが実情です。

以下は、家庭裁判所の統計において、離婚のとき親権者となるのは母親と父親のどちらが多いかをまとめたものです。

総数:20691
父親:1942(うち母親が監護者:115)
母親:19314(うち父親が監護者:45)
平成28年度 「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち未成年の子の処置をすべき件数


ここからもわかるように、
母親が親権者となるケースが圧倒的に多いのが実情です。

だからといって「母親なら誰でも親権者になれる」というわけではありません。
今回の記事ではどのように親権者を決定するのか、親権者になるにあたってどのような条件が考慮されるのか、解説していきます。

 

 

父親が親権を得る可能性もある

冒頭でも述べた通り、実際のところ母親が親権を得ることは非常に多いですが、条件によっては父親が親権を獲得できるケースもあります。

仕事の仕方を変えて子どもとの時間を作ったり、父親自身の両親に子育てを手伝ってもらったりと、子育ての環境を整えることで、親権獲得に有利になることも十分にあり得ます。

父親の親権獲得について詳しく知りたい方は、こちらの記事もお読みください。
「親権を父親がとるのは難しい?離婚時に父親がぶつかる親権問題を弁護士が解説」

母親だから親権は取れるものと思い、何もしないでいると、気づいたら自分が親権を獲得するのに不利な立場になっていた、なんていうこともあるかもしれません。

そうならないためにも、親権者を決める際に何が大切で、どのようなことが考慮されるのか、しっかりと把握しておきましょう。

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親権を決める際の評価基準

これまでの子どもの監護状況

親権者を決める際に最も重視されるのは、これまで子どもを実際に育ててきた親はどちらかということです。


これまでの子育てや子どもへの教育などにおいて適切に子どもを監督していたかという過去が見られます。子供を引き取っても適切に育てていけるか、実績で判断したい、ということです。

また、裁判所は虐待など特段の事情がない限り、現在監護している親が引き続き子どもを監護すべきで、子どもの環境を変えるべきではないという考え方をしています。

仮に既に別居しており、現在子どもと一緒に暮らしている場合は、きちんと子どもを育てていると判断できるので、かなり有利になると思われます。

 

これからの子どもの監護状況

離婚後に推測される子育ての環境も考慮されます。

親が子どもとどれくらいの時間一緒にいられるかは当然見られますが、その他にも祖父母など一緒に子どもを見てくれる家族はいるか預けられる保育所はあるのか子育てに十分な時間を割けるか等も考慮されます。

 

子どもの意思

子どもが15歳以上であった場合、子ども自身が父親と母親どちらについていきたいか、裁判所にて発言する機会が設けられ、その意思が尊重されることが多いです。

子どもが15歳未満であった場合は、家庭裁判所調査官が子どもの意思を調査することになります。

別居中は母親に監護されていた14歳の子どもが母親とあまり性格が合わず、父親と暮らすようになり、さらに子どもが父親の親権を望んだため父親が親権を獲得したというケースもあります。

子どもの意思は子どもが何歳でも重視されるというわけではなく、子どもがあまりにも小さいと「おもちゃを買ってくれた親を選んだ」などということにもなりかねないため、10歳以上などある程度成熟してから意思が尊重されることになります。

 

子どもへの愛情

一般的に母親も父親も子どもに愛情を持っているものではありますが、発言や子どもとの接し方から子どもへの愛情が感じられない場合には親権獲得に不利になります。

また、子どもと過ごした実際の時間が長いほうがより愛情があると判断される場合があり、優位に立ちやすくなります。

 

経済的に安定しているか

子どもを育てるにはお金がかかりますので、経済的に安定している方が優位とされています。

専業主婦の方などは不安に思われるかもしれませんが、離婚後受け取ることができる養育費も考慮されますので、そこまで心配をしなくても大丈夫です。

とはいえ、離婚後の自分の生活のためにも、離婚前から仕事を探すなどして安定した収入を得ることができる目処をつけておくといいでしょう。

 

心身ともに健康か

子育てするにあたって、親権者は心身ともに健康であることが求められます。

健康状態に問題があったり、精神的に不安定な方は、親権者には適さないとされることがあります。

 

兄弟姉妹をどちらが育てるか

可能な限り兄弟姉妹は一緒に監護されるべきという「兄弟姉妹不分離の原則」という考え方があります。

そこで、親権者を決める際に兄弟姉妹を一緒に育てることができる環境が整っているかどうかも重視されます。

 

面会交流の許容性

親権を持っていない親を子どもに会わせる、面会交流に寛容であることも親権獲得に有利に働きます。

また、きちんと面会交流の機会を保障することで相手方も「それなら親権を渡しても大丈夫か」と納得してくれることがあります。

 

 

 

親権を獲得しやすくするためにすべきこと

これから別居する場合

前述の通り、親権獲得のためには、子どもと一緒に生活することが大事です。

離婚を考え始めたらまずは別居すると思いますが、子どもを置いて1人で出て行くと親権を得ることは難しくなります。

 

収入がないまたは少ない場合

仕事についていない場合、まずはきちんと仕事につき、その間子どもの面倒を見てもらう人を確保することが大切です。


また、
児童扶養手当など、ひとり親家庭が受給できる手当がいくつかあるので、受給できるように準備しておきましょう。

手当についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
離婚準備は何から始める?弁護士が教える離婚準備リスト

 

子どもと別居している場合

子どもと別居している場合、まずは子どもの監護の体制を整えましょう

たとえば仕事が忙しくてなかなか定時で帰れない場合、定時に帰れる役職に変えてもらうことも1つの手です。親族の協力を取り付けることも大切です。

また、子どもと別居しているから親権獲得に不利になるのではと思って、子どもを連れ去るのはNGです。

子どもをしっかりと養育できる環境を整えた上で、親権獲得に向けて交渉しましょう。

 

 

 

親権を決める手続きの流れ

協議で決める

夫婦間で離婚の条件を決める際、親権をどうするかも必ず話し合います。親権者が決まっていないと離婚が認められません

流れ

夫婦間で合意に至れば、離婚届の親権者を記載する欄に親権を獲得した方の名前を記載し、提出します。

また、親権者を決めるという観点からは公正証書を作成する必要はありませんが、養育費など財産的なことを決める時には公正証書を作成した方がよいでしょう。

まとまらない場合

親権についての協議は、夫が最初から親権はいらないと思っているような場合をのぞいて基本的に揉めることになります。

話し合いがまとまらない場合は、弁護士に依頼し、間に入ってもらうことによってスムーズに進むことがあります。

また、面会交流の機会をきちんと確保したり、他の財産面の条件などを譲ることで相手が譲歩してくれることもあります。

 

調停で決める

協議では合意に至らなかった場合、家庭裁判所に調停の申立てを行います。
調停では、財産分与、慰謝料、養育費などについても話し合うことができます。

協議で意見がまとまらなかった場合でも、調停委員という第三者を介することで協議よりも話し合いがスムーズにまとまることは多いです。

流れ

申立てをした後、調停期日に調停委員が夫婦それぞれの言い分を聞き、それを何度か繰り返して話し合いをしていきます(夫婦が顔を合わせることはありません)。

合意に至った場合、調停が成立し、調停調書が作成されます。

必要なもの

調停を申し立てるためには、夫婦関係調整調停申立書、申立人の印鑑、申立人の戸籍謄本が必要です。また、年金分割の請求も行う場合は、年金分割のための情報通知書も必要です。

調停にかかる費用としては、収入印紙代や切手代、戸籍謄本/住民票取得費用などを合わせて3000円程度です。

弁護士に依頼するべきか

調停を行う場合は、弁護士に相談・依頼をした方がいいでしょう。相談するタイミングは早ければ早いほどいいです。

弁護士に依頼することで、親権の評価基準のうち、有利な事情をきちんと一回目から主張することができますので、早く解決に至る可能性が高くなります。

 

裁判で決める

調停でも話し合いがまとまらなかった場合、家庭裁判所に離婚訴訟の申立てを行い、裁判にて親権者を決めることになります。
調停前置主義といって、裁判をする際には必ずその前に調停をすることになります。

ただし、離婚裁判をすることはかなり稀で、離婚裁判をするとしても調停段階で親権はどちらが獲得するか決まっていることが多く、財産分与などについて揉めている場合が多いです。

流れ

裁判の流れとしては、口頭弁論期日→尋問→判決というように進んでいきます。

口頭弁論期日では、裁判所が当事者を法廷に呼び出し、当事者双方に主張させ、証拠調べを行います。さらに尋問において、証人や当事者から直接裁判官が話を聞きます。

裁判の途中、当事者はいつでも和解できます。裁判所から和解案が提示されることもあります。

弁護士に依頼するべきか

離婚裁判については、当事者が自分だけでやるケースはかなり少なく、基本的には弁護士に依頼する方が多いです。
その理由としては、書面の作成量が多いことと、手続きがややこしいという点が挙げられます。

また、法的な知識の乏しい当事者が裁判に出ると、どうしても感情的な事柄に関する主張ばかりをしてしまうことがあります。

弁護士は法律の専門家として、主張すべきポイントを絞り、法的効果の発生する事実の主張をするため、裁判がスムーズに進むことが考えられます。

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離婚の際の親権問題で悩んでいる方はこちらの記事もお読みください

 

 

森田先生から離婚の際の親権問題で悩んでいる方へメッセージ

離婚するとなったら、親権をどうするかは重要な問題になると思います。

子どもに対する愛情があるからこそ、親権についてどちらも譲れず、なかなか解決の糸口が見えずに悩んでいる方も多いでしょう。

また、親権を獲得するのは圧倒的に母親が多いのが実情ではありますが、個別の事情に応じて交渉していかなければいけない部分もあります。


親権争いの際、弁護士が親権獲得のためにどのような事実を主張していくかを考えたり、交渉を代わりに行うことでかなり負担を軽減できると思います。

相談をした上で依頼するかを検討することもできますので、まずは弁護士にお気軽に相談をしてみてください。

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