男女問題 離婚

離婚調停の期間をグラフ統計で読み解き、長短の分岐点や事例を弁護士が解説します。

今回は離婚調停の期間について裁判所統計をグラフで確認するとともに、どんな状況で調停が長引くのか、そして実際の事例についても弁護士が解説します。ぜひ「調停をしたいがどれくらいの時間がかかるのか知りたい」「どんな場合に調停が長引くのか気になる」という方は確認してください。

<今回ご解説いただく先生のご紹介>

米積 直樹(よねづみ なおき) 弁護士

青木・米積法律事務所

神奈川県弁護士会 所属

親しみやすい弁護士、法律事務所を目指し、口調や言葉選びに注意し、一方的に喋らないことを信条とした弁護活動を行う。相談しやすさ実現のため、希望によっては出張相談も行う。

 

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司法統計から見る離婚調停期間・実施回数

離婚調停全体における所要期間

このグラフは合意できたものや、できなかったもの、その他の場合などをすべて含んだグラフです。

3~6ヶ月の間の期間が最も多く、全体の64.8%を占めています。これくらいはかかると考えておくと良いでしょう。なので、調停にあたっては当面生活していくための仕事や住居など、半年間の生活準備が必須です。

 

話がまとまった離婚調停の所要期間

こちらのグラフは調停で合意できた場合のものです。上述の全体のものとあまり変わりないことがわかります。

つまり、前のグラフと併せて考えても、調停できちんと離婚実現を目指すのであれば、いずれにせよ少なくとも3~6ヶ月は見ておいたほうが良い、ということになりそうです。

 

実施回数

以下のグラフは調停と審理の実施回数をグラフにしたものです。簡単に言うと、何回調停を重ねたか、という意味です。

2~4回が多く、全体の54.9%を占めています。1回で終わることはあまりないことがわかります。

参考データ:平成28年の裁判所司法統計データ

 

調停の実施ペース

調停はだいたいひと月に1回ペースで行われます。これは調停を主宰する家庭裁判所の人的・物的なキャパシティの限界にも鑑み、開催する日取りが決められるためであり、早めることは難しいです。

また、弁護士が介入しているケースでは、夫婦間の争いが激しくなっていることが多いことから、そのぶん調停も長期化しがちな傾向にあると思います。弁護士が介入する場合、調停が2,3回で終わることは少なく、6回以上の調停が開催されることも珍しくありません。

 

0回で終了するケース

グラフを見ると0回で終わるケースも一定数あることがわかります。

0回で終了ケースの例としては、調停申立後から第1回調停期日までの間、夫婦間で離婚について話がまとまったということが考えられます。夫婦の一方が調停を申し立て、第1回調停期日が決定すると、相手方となる夫婦の他方に対して、家庭裁判所より調停期日の通知と、裁判所への出廷を求める書面が送付されてきます。この通知を受け取った相手方は、裁判手続を利用してでも離婚したいという申立人の強い思いを実感するとともに、裁判所へ出頭しなければならないという負担に直面することとなります。そのような心理が、相手方を申立人の離婚の希望に対して真剣に向き合わせる契機となり、夫婦での話し合いを促進させるのではないか、と思います。

実際にご相談をいただいたケースにおいてもこのような結果となったケースもございます。

 

1回で終了の想定ケース

1回で調停が成立するというケースとしては、夫婦間で離婚及び離婚条件についての協議は整っており、その内容を債務名義(離婚条件について強制執行等の方法により実現するために必要な法的根拠のことです。)とする方法としての調停実施、という場合が多いのではないかと思います。細かい点ではありますが、同じく債務名義として離婚条件を残すことが出来る「公正証書」を作成するよりも、調停を用いて合意した方が費用は安くなるので、こういったケースは一定数存在します。

また、その他の1回で終了するケースとして、単純に夫婦間の話がまとまらなかった、というケースもあります。ですがその場合は、離婚の条件を調整することができないということでなく、離婚せずに婚姻関係を継続する、という結論を採った場合が多い印象です。

 

調停継続の判断

調停を継続し、次回期日を設けるか否かは、実際に夫婦の話を聞く調停委員2名と、各調停を担当し、調停委員の報告を受けている裁判官(調停官といいます。)が協議して決定することになります。その判断の基準は、やはり「調停(話合い)で問題を解決する見込みがあるかどうか」です。私の印象としては、裁判所はわずかでも解決の余地があれば、調停を継続する傾向にあり、それが調停の長期化を招いている一因であると思います。

 

調停の欠席

調停期日は平日に指定されることから、出廷のために仕事を休む必要もでてきます。どうしても外せない商談等がある場合に、欠席する方もいらっしゃいますが、事前に裁判所に対し期日の変更の申請をするべきでしょう。欠席それ自体により、調停の結論に対し法的な不利益は生じませんが、欠席により、調停委員に対しよい印象を与えることはなく、調停を自分に有利に進めたいという希望とは相反する行為といえます。欠席が数回続くと裁判所から出頭勧告がなされることもありますし、調停に応じる意思がないものと評価され、調停が不成立になる可能性も高いです。

初回については完全に一方的に指定される形になるので、初回は出席できないケースが多いです。変更を申請することも出来はするので、事前にきちんと対応を考えましょう。

 

離婚調停期間の長短が左右される項目

双方に離婚意思あるか

そもそも離婚には同意している条件面で食い違っている、という場合は早期に解決しやすい傾向にあります。ただし、離婚自体にも同意していない場合は、時間がかかることを覚悟したほうが良いでしょう。

その場合は「法定離婚事由」という、法律で離婚を認める状況が夫婦の間にあるかどうか、によって状況は変わります。あれば早くなりやすく、ない場合は離婚そのものが難しくなる可能性があります。

 

どれだけ離婚を要求しても相手が応じない状況とは

単純に「まだ相手への思いがある」という方もいらっしゃいます。一方で「離婚を希望する理由について納得できない」という方もいらっしゃいます。家事をしない、モラハラがあった、という理由について、事実でないので離婚しない、といったケースです。

その他に、お子さんがいる場合によくあるのが「お子さんと接点がなくなるのではないか」という恐怖から離婚に応じない方もいらっしゃいます。他にも、離婚することでお子さんに与える影響を鑑みて、離婚をしたくないという方もいらっしゃいます。

 

明確な離婚原因の有無(不倫等)

離婚の原因が、不倫やDVなど明確な場合、それ自体が上述の法定離婚事由になので早く決着しやすいです。ただし、それを証明する必要性が生じてきます。

 

争う条件の数

揉めている条件の数によっても期間が変わるかと思います。離婚することそれ自体、財産分与や親権、慰謝料、その他、全てで揉めているような状況だとかなり長期化することを覚悟する必要があります。

傾向としては財産よりも親権に争いがあるほうが長期化しやすいです。財産は金額によって柔軟な調整が可能ですが、お子さんの親権については、離婚後は夫婦の一方が単独で取得することになり、事後に変更することが非常に難しいことから、簡単に譲ることができないという思いを抱かれるのでしょう。

親権についての解説は長くなるため、以下の詳細に解説している記事をご参考にしてください。

 

互いに譲歩できるか

調停はあくまで話し合いであることから、双方が自身の希望を一歩も譲らないという姿勢では、解決することは困難となり、調停の期間の長期化も招くこととなります。そういった状況で夫婦の問題に白黒を付けるには、離婚訴訟を用いるほかありません。調停での解決を希望するのであれば、相手方の希望に対する譲歩の姿勢を持つことが必要となります。

 

長短の事例

争う条件が少なく、短く済んだ調停の例

第1回調停前に、相手方である夫婦の他方本人と交渉を持つことができており、離婚条件についてもほぼ定まっていたケースです。このケースでは、第1回調停当日、離婚条件の細かい詰めだけが行われ、調停が成立しました。

逆に、事前の調整は出来ていないケースもありました。その際は、ご依頼者様がとにかく早く離婚することをご希望され、離婚条件について相手方の希望(親権は相手方、養育費も相手方の希望通り、財産分与は行わないなど。)をほぼ丸呑みしたという状況で調停は第1回で終了しました。

 

争う条件が多く、長くなった調停の例

先述の通り、親権に争いが有るケースは長くなりやすいです。10回くらい調停がつづいたものもあります。実際にご依頼を受けたケースで、最初は親権の争いで、別居状態のなか3~4回の調停を行い、先方が親権を得るのは難しいと途中で判断して財産関係の調整に移ってからも5~6回調停を行い、合計で10回ほどの調停を行った、ということがありました。

これから調停をされる方は「親権で争っている場合には調停は長引きやすい」ということは念頭において計画を建てるべきかと思います。調停中はどうやって生活をしていくのか、きちんと考えておく必要があります。

 

離婚調停の期間を縮めるには

自分でできること

できる限り主張を書面にまとめておくことが大事です。自分の言いたいことや経緯はまとめておくと話しやすいというメリットだけでなく、提出も楽になります。また、書面でわかりやすく書ければ、裁判所も事前にある程度の状況を理解しやすく、何も知らずに初回で話を聞くよりも、はやく核心に近づきやすくなる、ということです。

専門家に依頼するかどうかに関わらず、思い出しながら主張をすれば、言いたいことや伝えたいことを論理的に整理して話すことは簡単ではなく、うまく伝わらずに思わぬ方向にいってしまう、ということもあります。

 

弁護士に相談し、状況によって交渉を依頼

普通の人には、そもそも離婚で決めるべき条件がわかりませんし、交渉にあたって相場基準がわからないと厳しいと思います。

「この条件が自分の状況として良いか悪いか判断に迷う」、「調停委員に自分の主張がうまく伝わっているかわからない」など、不安な方はまず弁護士へのご相談から始めたほうが良いと思います。ご相談自体は30分5000円で、初回無料の事務所もあります。後悔のないよう安心して調停に臨むための費用としてはそこまで高額でないと思いますので、一度ご利用されることをおすすめいたします。

 

離婚調停の期間について気になる方は、こちらの記事もおすすめです。

 

 

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