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離婚時に決める子供の養育費はどうやって決める?弁護士がお答えします。

離婚時の子供への養育費の決定。多くの人にとっては離婚自体が初めてでしょうから「養育費はどうやって決めるのか」「相場はいくらなのか」そして「決める際の注意点」、わからない事だらけかと思います。今回は養育費の決め方と、のちのち後悔しないようにするポイントを弁護士に解説してもらいました。

今回ご解説いただく弁護士のご紹介です。

安藤 秀樹(あんどう ひでき) 弁護士

安藤法律事務所 代表弁護士
仙台弁護士会 所属

農学部出身。理系出身であることもあり、わかりやすく・納得のいく説明が得意。物腰柔らかく、気軽に相談できることを大事に弁護活動を行う。 

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養育費は大体いくらもらえるか

義務者(支払う側)の収入が175~350万円程度で子どもがひとりの場合、もらえる養育費の相場は月に2万~4万円といわれています。

しかし、養育費の相場は、義務者(支払う側)と権利者(もらう側)の収入、子どもの年齢と人数に応じて変わります。

また、夫婦間の協議で決めるか、調停や審判で決めるかによっても、最終的な金額変わることもあります。

 

養育費の金額を決める際に考慮する項目や決めるべき条件、またこれらの決め方などについての知識を得て、いざ決める際に損をしないように備えておきましょう。

 

 

養育費算定表

権利者・義務者の収入や子供の年齢・人数などの条件に基づいた標準的な養育費の金額を算出できるようにした「養育費算定表」と呼ばれるものがあります。これは裁判所が作成した、養育費について決める際に広く用いられる資料です。

養育費を決める際に、こちらの表で算出された金額を基準にすることも多いので、参考にしてみてください。

東京・大阪家庭裁判所 養育費・婚姻費用算定表

 

なお、上記の算定表については、2019年の12月23日に改定されることが発表されています。増額されることが予想されていますので、そちらの金額を見てから決めるということも考えられますね。



 

 

養育費の支払いは義務なのか

養育費は、子供が成長するために必要になる費用のことです。離婚する場合、子供を監護(監督、保護をする)する親が、監護していない親に対して請求することができます。

 

養育費の支払いは義務なのか

民法877条第1項により、親には子を扶養する義務があることが定められています。

民法877条

  1. 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

夫婦が離婚したとしても、親の子どもを扶養する義務は継続されますので、養育費の支払いも義務となります。

また、この扶養義務というのは、生活保持義務といって、自分の生活を保持するのと同程度の生活を、扶養を受ける側にも保持させなければならないものです。そのため養育費は支払う側の生活が苦しいからといって、支払いを逃れられるようなものではなく、たとえ負債を抱えていたとしても払わなければならない費用になります。(大阪高裁平成6年4月19日判決)

養育費の支払いは、子どもに対する義務になりますので、たとえ、養育費をもらう配偶者の不倫によって離婚に至ったような状況だとしても、支払う側はよほど特別な事情が無い限り支払い義務が生じることになります。

 

 

 

養育費について話し合うべき項目と手続き

 

養育費について話し合うべきこと

養育費について話し合う際は最低限話し合うべき項目として、支払い額、支払い方法、支払い時期、支払い終期が挙げられます。決め方は以下のとおりです。

 

支払い額について

支払い額については、前述した通り養育費算定表(東京・大阪 養育費と婚姻費用算定表)というものがありますので、そちらを参考にしながら決めることが多いです。ただし、夫婦それぞれの収入や夫婦間以外の子どもがいる場合など、状況により相場は異なります。また、子どもが持病を患っている等、特殊な事情があればそういったことも考慮されます。

その他、私立大学、私立高校への入学があらかじめ決まっていた場合などは、その学費は夫婦の収入に応じて分担することになるケースが多いです。こうした学費などの教育費は、進学先によって金額が変わってきますので、離婚する前にどこまで夫婦の共通の認識事項であったかどうかが重要になります。そのため、離婚時点で「私立大学へ行く可能性があるのか」「もし子供が私立の教育機関に通いたいと将来希望した場合は話し合いを行うか」など、あらかじめ話し合い、あとになって揉めないよう公正証書などの書面に残しておきましょう。

養育費の金額を決める際に考慮される要素については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。調べても、ご自身の状況で妥当な養育費がわからない場合は、弁護士に相談してみましょう。

養育費の相場や計算方法は?特別な出費に備えた規定など、大切なポイントを弁護士が解説

 

 

支払い方法について

月々の分割ボーナス払い一括払いなど、どういった方法で支払うのか話し合っておきましょう。基本的には月々に決まった額を支払うというケースが多いです。ただし、月々の分割がきついという場合は、ボーナス払いなど、払える月にまとめて多めに払うという決め方もあります。双方のためにも、確実に払える方法を決めるようにしましょう。

振込先は親権者の口座になることが原則ですが、最近では子ども名義の口座に振込先を指定するケースも増えています。

 

 

支払い始期について

いつから養育費を支払ってもらうのか、しっかり決めておきましょう。一般的には、離婚が成立した月か、その翌月を支払い始期とすることが多いです。

 

 

支払い終期について

養育費の支払いを、子供が成人するまでにするのか、大学を卒業するまでにするのか、支払い終期についても決めておきましょう。

子どもが大学までいく可能性が高い場合は、一般的な養育費の支払い終了期の「成人」までではなく、「大学卒業まで」とすることが多いです。その他に大学院まで進学する場合などは、支払いを「教育が終了するまで」とすることもあります。子どもが希望する教育を受けられない事態を避けるためにも、支払い終期はあいまいにせず、しっかり決めましょう。

 

 

 

養育費決定手続きの流れと、そのポイント

 

協議

夫婦間の話し合いで養育費の条件を決めます。

前述したように、養育費についての話し合いは、金額の他にも支払い方法や支払い始期・終期など、決めるべき項目は多くあります。あとになって揉めないよう、決めた内容は公正証書にまとめておくべきです。公正証書にしておけば、支払いが滞った場合に裁判をしなくても強制執行できる(相手の給料などを差し押さえられる)ようになります。

協議で話がまとまった場合、相手と話し合いが行えている安心感から公正証書を作成しないで完了してしまうケースがあります。しかし、相手も離婚後に新たな家庭を持つなどの変化があった場合、養育費の支払いを苦痛に感じる可能性は大いにあります。もし払われなくなった場合は子供は何も悪くないにも関わらず、進学などの将来を断念せざるをえない、という非常に酷な状況になりえます。ぜひ養育費についての取り決めは公正証書に残してください。

 

 

調停

調停委員を介した夫婦間の話し合いによって、養育費について話し合います。調停にて合意に至らなかった場合は、審判にて養育費を決めることになります。

調停の場合は調停調書という法的拘束力のある書面が作成され、これは公正証書と同じ効果を持ちます。

 

 

審判

調停が不成立となった場合、自動的に審判手続きが開始されます。そして調停の内容を間接的に監督していた裁判官が、それまでの話し合いや状況を判断し、養育費の支払い額などを決めることになります。また、割合としては少ないですが、もし審判の決定に納得できない場合は即時抗告によって高等裁判所で審理をしてもらうことになります。

審判は家庭裁判所で裁判官一人のもと判断されることになります。それに対し即時抗告審では、裁判官三人の合議のもと判断することになりますので、審判による決定が正しいかどうかより厳しくみられます。

 

 

 

離婚後でも、養育費の変更は可能か

養育費は一般的に長期間に渡って支払われ続けるものです。その中で、再婚や出産があった場合は、養育費の金額を変更したり、支払いをなくすことができます。

たとえば義務者、つまり支払う人の収入が減ったり、無職になってしまった場合には、交渉や調停、審判によって養育費を減額することも考えられます。義務者が再婚した場合にも、義務者の生活費が増えるため、養育費を減額することができる場合があります。また、親権を持つ人、つまり受け取る人の収入が減ったり無職になってしまった場合や、子供が病気になって治療費がかかる場合には、養育費の増額も考えられます。

ただし、養育費の増額や減額のハードルは高いので「あとで変更できるから」と安易に養育費の金額を決めず、最初にできるだけ両者とも納得できる金額を設定するようにしましょう。やむを得ない事情で養育費の金額の変更をする場合は、計算が難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。金額が高すぎても安すぎても、相手の生活費を圧迫して支払いが滞ってしまったり、逆に自分が生活費で困ってしまったりします。こういった将来のトラブルを避けるためにも、一度は弁護士に相談してみてください。

 

 

養育費の金額変更の手続き方法

養育費の金額をあとから変更する場合、まずは父母間で協議を行い、そこで合意できなかった場合は増額減額の調停、審判を行うことになります。

具体的な手続きは、前述の養育費について決める際の協議や調停、審判とほぼ同様です。

 

 

 

困ったら弁護士に相談する

養育費の計算が難しいと感じたり、養育費の取り決めや条件に不安を覚えたら、一度弁護士にご相談することをおすすめします。

算定表の見方が難しいという問題もありますし、再婚した場合や、連れ子と養子縁組した場合など、算定表のみでは判断できない要素もあります。夫婦の収入、子どもの人数・年齢以外で、養育費を決めるのに考慮したいことがある場合は、弁護士に相談してみましょう。

 

 

 

先生からひとこと

養育費については、金額について大体の目安を示した算定表が公開されています。まずは、そちらの表に当てはめていくらの金額になるかということを計算してみると大体の目安は分かるようになっています。表の見方が分からない、これで正しいのか不安を感じる、といった場合には、お気軽に近くの弁護士へ法律相談にいらしてください。

その他にも、せっかく養育費について決めても支払われないという場合もあります。公正証書を作成していなかった場合には、どうすればいいのかわからず諦めることを考えてしまうかもしれません。そのような場合にも、弁護士から内容証明郵便を送るなど、できることはまだありますので、諦める前にまずはご相談にいらっしゃることをおすすめいたします。

 

 

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