労働 労働問題

残業の法律上のルールやポイントを弁護士がわかりやすく解説します。

残業残業のルールを調べても、なんだか難しくてわからない」という経験はありませんか?今回は「残業のルールを知るための基礎知識」「残業の話題でよく聞くサブロク協定」などについて、実際に労働問題に詳しい弁護士に解説してもらいました。まだ理解できない方はぜひ参考にしてください。

今回ご解説いただく弁護士のご紹介です。

 
勝田亮 弁護士
 
アネスティ法律事務所 代表弁護士
平成18年10月 仙台弁護士会登録(59期)
 
バランスを大切にした誠実な対応が得意。
金融機関での数年のサラリーマン経験もあり、得意分野は多岐にわたる。
 
詳しいプロフィールはコチラ

 

 

「残業とはなにか」を理解するための基礎知識

 そもそも残業とはどこからを指すのか。それを理解するためには「法定労働時間」、「所定労働時間」、そして「その2つの関係」を知ることが大前提になってきます。ここではそれらの残業にまつわるルールを解説いたします。

 

 

法定労働時間と所定労働時間の違い

法定労働時間は法律で定められた労働時間の限度です。これに対し、所定労働時間とは会社の就業規則で決められている労働時間のことです。

原則として、所定労働時間は法定労働時間を超えて定めることはできません。ただし、いわゆる36(サブロク)協定を定めることで会社が 従業員に残業代を払うことを前提に、法定労働時間を超えて仕事をしていただくことができます。

 

 

「法定労働時間」とは

「法定労働時間」とは、労働基準法第32条に明記されている、労働時間の限度です。条文は下記のとおりです。

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

平成三十一年四月一日施行の労働基準法

つまり、法定労働時間とは「1日に8時間まで」「1週間に40時間まで」ということになります。

 

 

「所定労働時間」とは

「所定労働時間」とは法定労働時間の範囲内で、会社が就業規則や雇用契約書等で従業員の1日、もしくは1週間の労働時間を定めたものです。

所定労働時間は、例えば法定労働時間ピッタリの1日8時間にすることもできますし、7時間や7時間半なども可能です。所定労働時間(会社の定める労働時間)が7時間であり、ある日7時間半働いた場合、法定労働時間(法律の定める労働時間)の8時間を超えてはいませんが、30分の残業代を支払う義務が生じます。

変形労働時間制を採用する場合を除き、法定労働時間を超えて、所定労働時間を定めることはできません。

 

 

法定労働時間を超えて働かせる場合

原則として、会社が従業員を法定労働時間を超えて働かせることはできません。

ただし例外として36(サブロク)協定を会社と労働組合もしくは労働者の代表と締結している場合に、会社は従業員を法定労働時間を超過して働いてもらう、つまり残業をさせることができます。

 

 

 

36(サブロク)協定とは

先程出てきた「36(サブロク)協定」。この段落ではこの協定は何のためにあり、どんな効果があるのか、そして注意点もお伝えしていきます。

 

 

時間外労働、つまり残業に関する協定

先述のとおり、原則として、法定労働時間は1日に8時間、もしくは1週間に40時間と定められています。仮に36(サブロク)協定を締結せずに残業をさせた場合には、労働基準法上、会社には「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」という罰則が科されることになっています。ですから、会社としては36(サブロク)協定を労働組合または社員の代表と締結し、それを労働基準監督署に提出しておかなければならないのです。

ちなみに名称の「36(サブロク)」とは、この協定が労働基準法36条に基づいていることが由来です。

 

 

法定労働時間を超えた場合の割増賃金

法律上、36(サブロク)協定の締結される場合、法定労働時間を過ぎた労働時間(つまり時間外労働時間)に関しては、通常の給与に対し割増しされた金額を支払わなければならないことになっています。

この時間外労働の割増率は通常25%~50%の範囲内で決められます。

 

 

36(サブロク)協定の時間外労働の上限

36(サブロク)協定で時間外労働の条件を決めるわけですが、そうはいっても好き勝手に労働時間を延長できるわけではありません。法律によって36(サブロク)協定で設定できる残業時間は、月で上限45時間、年間で上限360時間となっています。

これまで協定には時間外の労働時間に上限がなく、故に過労死などの労働問題を引き起こした、という反省から、大企業では2019年、中小企業では2020年の4月から改正されます。

今までは時間外労働の上限規制を超えて働かせたとしても、特に罰則がありませんでしたが、平成31年の法改正により罰則が追加されたことで、長時間労働を抑止できる可能性があがったと思います。

 

 

36(サブロク)協定の上限には例外も

ただし、この上限には例外もあります。それは「通常予見できない業務量の大幅増加に伴う事態が発生した場合」です。(労働基準法36条の5項)

その場合は、「時間外労働+休日出勤」の合計で、月の残業時間の上限が100時間未満、年間で上限720時間未満で残業を行わせることが可能になります。

一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。

平成三十一年四月一日施行の労働基準法 36条5項

時間外労働の上限規制 わかりやすい解説-厚生労働省

この例外を行った場合、例外が発生した初日から1ヶ月ごとに計算し、2~6ヶ月の平均残業時間が80時間を超えないことを条件としています。

 

36(サブロク)協定の締結上の注意点

36(サブロク)協定を会社と締結する相手である、「社員の代表者」の選定が形骸化していることがあります。どういうことかというと、本来は社員の代表のはずですが、選任の手続きをきちんと行っていない場合があります。

つまり、他の従業員が「自分は代表者のAさんを選んだこともないし、こんな協定の内容は聞いていない」という状況です。こうなると36(サブロク)協定が無効になることがあり、残業が違法になってくることもあります。

 

 

 

残業の代表的な問題

 

残業代の請求

もし業務上の必要があって残っている、つまり課されたノルマや期日を守るために必要な時間外労働を行っていても残業代が払われない場合、会社に残業代の支払いを求めるか、弁護士などを通じて残業代の請求をしていきましょう。

ただし会社に残っていた時間全てを残業代として請求できるとは限りません。

その時間外労働が「業務上の必要がある」ということが前提になってきます。「残業をするのに上司の許可を貰う必要がある」と就業規則等に定められているにもかかわらず、無許可で勝手に残っているだけでは残業代が支払われないこともありますので注意してください。

 

 

残業代が出ない、未払い

法的違法性

残業代の未払いは違法です。36(サブロク)協定でも定めねばならない時間外労働における割増賃金率ですが、もし時間外の労働に対して会社から残業代が支払われない場合、会社としての対応は違法になります。

 

対処法

もし、労働時間を超過して労働しながら、残業代が支払われない場合、社員には残業代を請求する権利があります。

 

 

 

勝田弁護士から一言

もし未払いの残業代を払ってほしいけれど、自分ひとりでの交渉に不安がある場合、弁護士に依頼すればあなたの代わりに弁護士が交渉することもできます。

その場合、労働時間の根拠となるタイムカードがあると非常に有利ですが、仮にそういったものがなくても手帳のメモ等も証拠となります。未払い残業代の請求を考えられた際には、こういった証拠の準備をおすすめいたします。

 

また、労働時間をきちんと管理し適正な労働時間に対する賃金を支払わないという会社であれば、コンプライアンス上問題があると思われます。勇気を出して弁護士に相談していただけると解決する方法が見つかるかもしれません。

会社側としても、優秀な人材を確保するためにはきちんと労働時間を守る、残業代に関しては適切に支払うという、当たり前のことを守ることが大切です。

 

 

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