もし誹謗中傷されたら?あなたの身を守る法的な有効手段3つを現役弁護士が解説
誹謗中傷は、その被害者や被害者の周りの人を傷つけ、最悪の場合、被害者を死に追いやることがあります。実際、芸能界でも指殺人ではないかと言われるものが発生しています。「今誹謗中傷にあっていて、誰にも相談できない」「誹謗中傷にあったときの対処法が分からない」という方はぜひご一読ください。あなたやあなたの大切な人を守る重要な助けとなるはずです。

今回ご解説いただく弁護士のご紹介です。
Seven Rich法律事務所
IT系をはじめとしたベンチャー企業のクライアントも多く、知的財産案件、企業法務全般、紛争解決、紛争予防等などについて幅広く対応。
誹謗中傷が行き着く先にある指殺人とは
指殺人とは、ネット上に特定の人物についての誹謗中傷を書き込み、その被害者を死に追いやることを言います。キーボードを指で打つだけで人を殺すことから、指殺人と呼ばれるようになりました。
特に韓国では指殺人が問題として顕在化しており、某有名グループのタレントらも実際に指殺人の被害者となったのではないかと言われています。これは日本でも例外ではなく、最近も某番組に出演されていた方について、指殺人によって亡くなったのではないかなどと報道されています。
このような問題がある中で、自分や自分の大切な人が誹謗中傷に遭った場合、最悪の自体が起きる前にどのようなことをすべきなのか、法的な観点からどんな手段を取れるのかをご説明します。
大切なあなた自身とあなたの大切な人を守るために、ご一読ください。
誹謗中傷が発生したときに法的に可能な対処法とは
誹謗中傷が発生したとき、法的にとれる手段をご紹介します。実際に誹謗中傷にあったら、迷わず以下のどれかの手段を取ることを検討してみてください。
警察に被害届を出す
誹謗中傷が発生した際には、警察に被害届を出しましょう。
警察は民事不介入であるため、私人間の揉め事には介入することができませんが、その誹謗中傷の内容が何らかの犯罪に該当するのであれば、刑事事件として介入することができるのです。
例えば、「○月✕日にお前を殺してやる」などの犯行予告の書き込みがあった場合は、脅迫罪や威力業務妨害罪などに問われる可能性があります。また、虚偽情報により業務を妨害したのであれば、偽計業務妨害罪に問われる可能性もあります。
このように、内容によっては警察が介入し捜査することが可能なので、迷ったら警察に被害届を出したり、相談するようにしましょう。
発信者情報開示請求を行う
誹謗中傷が発生した際は、発信者情報開示請求を行うことも有効です。
発信者情報開示請求とは、ネット上で誹謗中傷や名誉毀損をされた際に、その書き込みを行った人物の実名や住所などの登録情報の開示をプロバイダに対して請求することです。
簡単に言えば、犯人を特定するための手続きになります。
これは特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(いわゆる「プロバイダ責任制限法」と言われる法律です。以下「プロバイダ責任制限法」と表記します。)第4条にて定められています。
プロバイダ責任制限法第4条
(発信者情報の開示請求等)
第四条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
2 開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。
3 第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
4 開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。
出典:e-Gov法令検索「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第4条」
加害者が誰か特定できていない場合には、この発信者情報開示請求を行い、加害者の情報を得ることで、加害者に損害賠償請求を行うことが可能になります。
新たな被害者を出さないために、また、何より被害者の方ご自身の心の傷を少しでも癒せるように、この手続きは有効に使うと良いでしょう。
ただし、この発信者情報開示請求は、被害者が直接プロバイダに対して行うことができるのですが、裁判外で行う場合は「任意開示」となってしまい、その請求にプロバイダが応じるとは限りません。
そのため、より実効性のある形で開示請求を行うためには、裁判手続きを行うことが重要です。
この手続きは弁護士に任せることができますし、損害賠償請求をする際も弁護士にサポートしてもらうこともできるので、一度弁護士に相談してみましょう。
削除請求を行う
誹謗中傷が発生した際には、その投稿をインターネット上から削除してもらうよう、「削除請求」を行うことが可能です。
削除請求をすることで、少しでもその情報が拡散されることを防ぎ、被害を最小限に留めることができる可能性があります。
情報の伝播性から、一度投稿された情報については、すぐに拡散してしまう性質があり、また一度削除されても再度同様の投稿がなされる可能性もあるため、実効性に欠ける側面もありますが、一度検討されてみても良いと思います。
削除請求には2つのやり方があり、投稿をした当事者へ直接請求するか、その投稿を管理しているサイトの管理者へ請求するかを選ぶことができます。
投稿をした当事者へ削除請求することは勇気がいると思いますし、その請求により逆恨みされ、新たな被害を生む可能性も否めません。
そのため、可能であればサイトの管理者へ削除請求を行うようにした方が良いでしょう。
ただし、実際はサイト管理者へ削除請求をしても、その投稿を削除してもらえないことがあります。
そのため、より実効性のある形で削除請求を行うために、弁護士に代理交渉やサポートをお願いするのが得策です。
実際に、弁護士に相談したことで、削除請求に応じてくれなかったサイトに投稿を削除してもらえたというケースも存在します。
誹謗中傷で悩んだり困ったら専門家である弁護士へ
誹謗中傷で悩んだり困ったら、迷わず弁護士へご相談ください。
警察に被害届を出し、対応してもらうことも勿論重要ですが、そもそもその誹謗中傷内容が犯罪として立件できないものである可能性や、被害届を出してもすぐに警察が動くことができない可能性もあります。
極力早期に事態を収束させ、被害を最小限に抑えるには、弁護士へ相談し、サポートしてもらいながら様々な対処をしていく方がより確実です。
発信者情報開示請求や削除請求、損害賠償請求など、弁護士ができることは多数あります。
特にインターネット問題の解決実績が多くある弁護士であれば、「どうすれば早く事態を収束できるか」「事件収束後も、復讐などさせないためには加害者とどのようにコミュニケーションを取っていけば良いか」などを予測した上で最善策を検討することができます。
誹謗中傷されても、「自分が悪いから」などとは思わないでください。あなたは何も悪くありません。
泣き寝入りせず、何かが起こってしまう前に、ぜひ弁護士にお頼りください。
あなたの命やあなたの大切な人たちの命を、お守りするべくサポートしてくれるはずです。
一人で悩まず、専門家の利用をぜひご検討ください。
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