残業時間の平均は20〜25時間。長すぎる場合は転職も考えよう
毎日残業が多いと、「仕事って大変だなあ」と思われるかもしれません。確かに会社の都合上、残業がやむを得ない面はあるとしてもあまりに残業時間が多すぎれば健康に関わります。
この記事では残業時間の平均や、残業が多い業界少ない業界、そして残業代が十分に支払われていない場合の対策を紹介します。

・残業時間は平均して1日1時間程度
・業界によっては長時間残業が前提となっている
・残業代の未払いは弁護士に相談を
残業代の平均はどのくらい?
1時間あたりの残業代の平均は1,152円です。業界や職種、企業などによって残業時間の長短は異なり、平均残業時間はおよそ21時間です。
残業が少ない業界
2020年に公開された厚生労働省のデータでは、残業時間がもっとも少なかった業界は教育・学習支援業界で、所定外労働時間は14.8時間です。
残業が少ない職種
残業が少ない職種は秘書、受付、医療事務、一般や金融、経理、広報事務など各種事務のアシスタント、薬事、営業(MR)、企画やマーケティング、総務、法務、知財などです。
残業が多い業界
残業時間がもっとも多かった業界は電気・ガス業界で、所定外労働時間はおよそ17.5時間です。
残業が多い職種
残業が多い職種は設計や施工管理、建設マネジメントや設計、デザイン、測量、人材サービスや電機メーカーの営業、機械や金型、光学の設計、ものづくりエンジニア、経営や事業企画などです。
残業時間が正しく申告されているとは限らない
自分が働いた残業時間は、企業によって正しく申告されているとは限りません。中にはタイムカード(勤怠管理カード)を修正して改ざんをおこなう企業もあります。みなし残業時間よりも実際の残業時間の方が長い労働環境の企業も珍しくありません。
従業員を法律上で定めた管理監督責任のない名ばかり管理職にさせて、残業代を支払わない企業もあります。経営がブラック体質の企業ではサービス残業が暗黙の了解のところも残念ながらあるのです。
実は残業時間には上限があるんです
残業(時間外労働)は法定労働時間である1日8時間・1週間40時間以上働くことですが、上限時間があります。
一般的には法定労働時間=所定労働時間ですが、企業のなかには1日の労働時間が8時間に満たないところもあります。仮に1日8時間働いたとしても、法定労働時間内のため正確には「残業」と言えません。しかし、8時間以上働いた場合は残業です。
残業が多すぎると過労死にいたることも懸念されています。「過労死ライン」は健康障害に発展する恐れのある時間外労働時間を意味し、労災認定の基準としても使われている時間外労働時間のことです。
例えば、1ヶ月に45時間を超える残業をすると脳疾患・心疾患、または、精神障害を発症を発症しやすくなります。 発症1ヶ月前に100時間を超える時間外労働をしたり、健康障害発症の2〜6ヶ月間で月平均80時間以上の時間外労働をしたりしている場合、健康障害と長時間労働の関連性が強いと判断されます。
残業が少ない職場を希望するならキャリアチェンジを
残業が少ない職場を希望するなら、思い切ってキャリアチェンジをおこなうことをおすすめします。
ワークライフバランスが整っていると身も心も健康的に働けます。キャリアチェンジをしたことで多すぎる残業から解放された人も珍しくありません。給与や待遇アップを望んでキャリアチェンジに成功した人もいます。
そのため、残業が少ない職場を希望している方はぜひキャリアチェンジを考えてみましょう。
未払いの残業代はまとめて請求しよう
皆さんの中で未払い残業代がある方は、まとめて請求することがおすすめです。1回で請求すると効率的で労力も少なくて済みます。
残業代の消滅時効は3年
社員が未払い残業代などをさかのぼって会社に請求できる期間(時効)ですが、2022年4月以降は3年です。
以前は2年という時効がありましたが労働基準法が改正されたため、2年を超えてさかのぼって請求できるようになりました。
割増賃金の計算をしっかり行おう
未払いの残業代では、割増賃金(法定外労働のみに生じる)の計算もしっかりおこなう必要があります。割増賃金は所定の労働を超えた場合に支払うもので、時間外・休日・深夜労働の3種類です。
割増賃金は「割増賃金の基礎となる賃金×対象の労働時間×各種割増率」という計算式で求めることができます。計算の基礎となる1時間あたりの賃金計算には労働基準法の知識が必要です。また、各社独自の所定労働時間を定めている場合には十分に注意しなければなりません。
1人で残業代請求するより弁護士に依頼しよう
労働者個人が大きな企業に対して未払いの残業代を請求するより、法律のプロである弁護士に依頼するほうが手続きなどのミスもなく安心できます。
残業における割増賃金の計算はとても細かいルールがあります。また、企業が労働者のタイムカードを改ざんしていた場合の証拠集めはなかなか大変です。そのため、弁護士に依頼することがすすめられます。
まとめ
残業時間は必ずしも職種を選ぶ決定要因になるわけではありません。しかし、過労死ラインを超える残業が常態化している職場で働くことは推奨できず残業代の未払いが続くようなら法的手続きも検討すべきです。
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