逮捕後、いつから面会できる?逮捕者と面会する際に知っておくべきことを解説
逮捕後、いつから面会できるのかご存じですか?実は被疑者との面会には、面会できるタイミングや面会時間、その他にもさまざまな制限があります。本記事では、ご家族や友人、恋人が逮捕されてしまった場合、面会する際に最低限知っておくべきことを解説します。

逮捕後、いつから面会はできる?
刑事事件では被疑者が逮捕されると、まず48時間以内に警察から検察へ事件送致がなされます。事件送致後、事件が警察から検察に引き継がれると、24時間以内に検察官が裁判官に勾留請求を行います。勾留が決定すると、被疑者は勾留請求日から数えて最大20日間、警察署の留置場か拘置所に勾留されることになります。
被疑者の知人や家族が被疑者と面会できるようになるのは、逮捕からおおよそ72時間後の勾留が決定したあとになります。
ただし、のちにも詳しくご説明しますが、接見禁止処分になった場合は、勾留決定後も家族や知人による面会はできません。そのような場合、接見禁止でも弁護士は面会可能ですので、どうしても面会が必要なら、弁護士に代理での面会を依頼するようにしましょう。
接見禁止になった場合の面会について、詳細は後述の「接見禁止になった場合は面会できない」をご覧ください。
どこの留置所に面会にいけばいいの?
被疑者は逮捕直後、警察署の留置場で拘束されているケースがほとんどです。もしあなたが被疑者の家族であるなら、裁判所や被疑者を留置している警察署から連絡をもらえることも多いので、そこで被疑者がどこの警察署で身柄を拘束されているのか知ることができます。
ただし、逮捕の事実を家族に連絡することは警察の義務ではありませんので、すぐには連絡がないこともあります。そういった場合は、被疑者の住所を管轄する警察署に問い合わせ、被疑者がどこに連行されたのか確認するようにしましょう。
逮捕後、面会する際の制限について
被疑者が逮捕された後、家族や知人が面会を行うにはいくつかの制限があります。面会に行った先で「そんなの聞いてない!」と慌てなくて済むよう、事前に知っておきましょう。
面会できる人
逮捕後の面会は被疑者の家族の他、友人や恋人もすることができます。ただし、1回の面接につき面会室に入室できるのは3名までです。
面会日時
まず前述にもある通り、被疑者の逮捕直後の面会はできません。面会できるようになるのは、逮捕からおおよそ72時間後の被疑者の勾留が決定した後です。
また、面会日は平日の日中のみで、土日祝日の面会はできません。多くの警察署では、平日の午前9〜11時、午後1〜4時の間に面会を受け付けています。正確な面会受付時間は警察署によって異なりますので、事前に面会先の警察署にお問い合わせください。
面会時間
面会時間は通常15~20分に限られており、混雑状況によっては時間が短縮される場合もあります。
時間になると、警察に面会を制止されて面会終了となります。
面会回数
面会の回数は、1日1回までに制限されています。そのため、当日に他の人が被疑者に面会していた場合、その日は面会できないということになります。
家族以外の方が面会に行く場合は、事前に被疑者の家族の方に面会に行くことを知らせておくことをおすすめします。
警察の立ち合い
面会には警察が立ち合うことになります。会話の中で事件に関係する内容はメモで記録されたり、証拠隠滅などの恐れから、場合によっては会話を遮られることもあるので注意しましょう。
面会の流れ
では次に、面会する際の流れについてみていきましょう。面会の際の流れは下記の通りです。
- 被疑者が当日留置場にいるかどうか、また、当日他に面会している人がいないか事前確認しておく。
- 警察署の総合窓口へ行く。
- 留置場の担当である留置係を案内してもらう。
- 留置係の窓口で受付書類に必要事項を記載する。
- 面会する。
面会する際は、面会室に入る前に身分証の提示や押印(印鑑がない場合は指印)、所持品の確認を求められることもあります。面会に行く際は、身分証と印鑑を忘れず持っていくようにしましょう。
逮捕後、差し入れはできる?
被疑者の逮捕後に勾留が決定(逮捕からおおよそ72時間)すると、面会と同様に被疑者へ差し入れもできるようになります。差し入れをする際の手続きについても、警察署の留置係が行なっていますので、差し入れをしたいときは留置係の窓口にて所定の用紙に必要事項を記載し、差し入れ品を警察に預けましょう。
直接差し入れができない場合、郵送での差し入れも可能です。
ただし、差し入れできるものには制限がありますので、差し入れをする際には事前に警察署の留置係にお問い合わせください。
また、被疑者の逮捕直後、勾留が決定する前に差し入れをしたい場合は、弁護士に差し入れの代行依頼を検討するといいでしょう。
差し入れできるもの
前にも述べたとおり、被疑者への差し入れができるものには制限があります。
ここでは、差し入れ品としてどのようなものが認められるのかご紹介します。
差し入れできるもの |
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この中で、現金が差し入れ可能というのは意外に思う方もいるかもしれません。しかし、留置場内では、弁当や日用品などを購入することもでき、現金の差し入れは喜ばれることも多いようです。大金を差し入れることはできませんが、2万円程度の現金は差し入れ可能ですので、何を差し入れすべきか悩んだ際にはぜひ検討してみてください。
差し入れできないもの
ここからは、被疑者への差し入れ品として認められないことが多いものをご紹介します。
留置場での管理・運営上の理由から認められないもの |
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自殺防止の観点から認められないもの |
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その他 |
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上記のものに関しては、どこの警察署でも差し入れ品として認められていないことがほとんどですので、注意しましょう。
拘置所での差し入れについて
稀なケースではありますが、被疑者が拘置所に拘束されているような場合もあります。そのような場合は、差し入れ品の制限が留置場とは異なりますので注意が必要です。
留置場の場合、差し入れ品の性質上問題なければ、基本的に差し入れが制限されることはありません。しかし拘置所では、差し入れ品を購入する売店が指定されているケースが多いのです。
そのため差し入れをする際には、どういったものが差し入れ品として認められているのか、事前に問い合わせておくといいでしょう。
接見禁止になった場合は面会できない
ここまで面会できるタイミングやルールについてご説明してきました。しかし、被疑者の勾留が決定した後も、接見禁止処分を受けた場合は、家族や知人による面会や手紙のやりとりは一切禁止されてしまいます。
接見禁止とは、弁護士以外との面会や手紙でのやり取り等を一切禁止する裁判所の処分のことをいいます(刑事訴訟法81条)。
刑事訴訟法81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
実際には逃亡の恐れがある場合や、共犯者がいたり組織的な犯罪である場合、証拠の確保ができていない場合などに接見禁止処分がつくことが多いです。
接見禁止については、その処分が決定されたことや処分の期間は家族には知らされません。勾留決定後も被疑者と面会できないような場合は、警察や弁護士に状況を確認するようにしましょう。
また、接見禁止処分中でも、衣類や書籍、現金など一部のものに関しては差し入れ可能です。「接見禁止だけど差し入れがしたい!」という場合は、何が差し入れ可能なのか、事前に警察署に確認した上で差し入れをするようにしましょう。
弁護士ならいつでも面会可能
被疑者との面会は、面会日時や面会時間、面会回数など、様々な制限があります。そんな中でお互いの状況を正確に把握したり、話したいことを全て話すのは難しいと思います。
しかし弁護士であれば、被疑者との面会は無制限です。接見禁止がついてしまった場合や逮捕直後、土日祝日、早朝夜間の面会、長時間の面会を希望する場合は、弁護士に面会の代行を依頼することをおすすめします。