暴行罪の定義や刑罰とは?直接触れなくても暴行になる?
暴行罪とは、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に適用される犯罪です。殴る蹴る等の直接身体に触れる暴力は暴行となりますが、実は、場合によっては身体に触れない場合も暴行罪が成立する可能性があるのです。今回カケコムでは、暴行罪の定義や刑罰、暴行罪が成立する具体的なケース、暴行罪で逮捕された場合の流れ、対処法をご紹介します。

「暴行してしまったため、被害者と示談交渉したい」「自分に有利な判決を得るための行動を起こしたい」という人は、弁護士へ相談することで下記のようなことを実現できる可能性があります。
・あなたに代わって被害者と連絡を取ったり、交渉してくれる。
・あなたの場合どの程度の示談金が相場となるのかを教えてくれ、相手から法外な金額を請求された場合でも適切な金額へ減額するよう動いてくれる。
・示談金交渉以外でも精神的なサポートをしてくれる。
もし被害者との示談交渉が成立すれば、逮捕された場合でも不起訴(=前科がつかない)となったり、起訴され、有罪になったとしても減刑の材料となる可能性があります。
そのため、できるだけ早めに弁護士へ相談し、行動していくことが重要です。
下記のボタンから、お早めにご相談ください。
暴行罪の定義とは?
暴行罪は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に適用されます(刑法二百八条)。
暴行とは、人の身体に「有形力の行使」をすることだと解釈されています。
暴行罪となる可能性のある具体的なケースは?
暴行罪となる可能性があるのは、例えば下記のようなケースです。
- 人を殴ったが、相手は無傷だった。
- 人を押し倒し、争ったが、相手は無傷だった。
出典:カケコム「暴行罪と傷害罪の違いは?示談で解決するメリットも簡単解説」
上記でご紹介したのは実際に相手に触れて暴行を行ったケースですが、相手に飲み物をかけた等、相手に触れない形の行為も場合によっては暴行となることがあるようです。
また、狭い室内で日本刀を振り回したことで、裁判で暴行にあたると認められた判例もあります。
狭い四畳半の室内で被害者を脅かすために日本刀の抜き身を数回振り廻した行為は、同人に対する暴行というべきである。
出典:裁判所「最高裁判所判例集 昭和39年1月28日」
もし相手に怪我をさせてしまったら?
相手の身体に何らかの傷害を負わせてしまった場合は、暴行罪ではなく傷害罪となります。
傷害罪になった場合、「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に処される可能性があり(刑法二百四条)、暴行罪よりも重い刑罰となります。
暴行罪の刑罰は?
暴行罪が成立した場合、受ける可能性がある刑罰は下記の4つとなります。
- 二年以下の懲役
- 三十万円以下の罰金
- 拘留
- 科料
これは刑法第二百八条で定められています。
(暴行)第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。出典:刑法第二百八条
罰金や科料で済む場合もあれば、懲役刑となる可能性もあり、同じ罪でも刑罰に幅があります。
暴行罪の刑罰の中でも比較的軽い刑罰で済むのは、例えば初犯の場合や、行為の悪質性が認められない場合等が考えられます。
一方で、再犯であったり、行為の悪質性が高いと認められた場合は、比較的重い刑罰になることが予想できます。
暴行罪で逮捕されるとどうなる?
暴行罪で逮捕されると、下記のような流れでことが進んでいきます。
- 取り調べを受ける。この際、弁護士の選任が可能で、被害者が応じてくれれば示談交渉も可能。
- 取り調べで供述したことをまとめた「供述調書」の内容を確認し、内容に相違がなければ署名、捺印を行う。
- 逮捕から48時間以内に、事件書類と被疑者の身柄が検察庁へ送られる。
- 検察官が必要と判断した場合、被疑者の身柄が送検されてから24時間以内に、検察官が裁判所へ勾留請求を行う。請求が通ると勾留される。
- 勾留期間が満期になり、検察官が必要と判断すれば、刑事裁判が起訴される。
- 刑事裁判で判決が下される。
出典:カケコム
ただし、場合によっては、「送検される前、警察で取り調べが終わった段階」や、「送検されたが、検察による勾留請求が行われなかった段階」、「不起訴となった段階」等で釈放されることがあります。
逮捕後に釈放される方法については、「逮捕後になるべく早く釈放されるには?釈放されるケースとタイミングは?」で解説しています。
気になる方はぜひご一読ください。
暴行してしまった場合はどうすれば良いのか
暴行してしまった場合、下記のような対処法を行うことで、あなたに有利な状況を得られる可能性があります。
不起訴となるよう行動する
暴行してしまい、逮捕されている場合は、不起訴となるよう行動することも重要です。
不起訴となる場合とは、下記のいずれかが認められるとき等です。
- 疑いが晴れ、「嫌疑なし」となること
- 疑いが完全に晴れたわけではないが、有罪と証明するのは難しい「嫌疑不十分」となること
- 諸々の事情が考慮され、「起訴猶予」となること
不起訴を勝ち取りたい場合、弁護士へ依頼することで、意見書や資料の提出による裁判官、検察官への働きかけを行う等、不起訴となるよう動いていくれることがあります。
不起訴についてより詳しく知りたい方は、「起訴・不起訴とは?前科はつく?不起訴処分の種類と勝ち取る方法を紹介」をご覧ください。
示談交渉を行う
暴行してしまった場合、いち早く被害者と示談交渉を行うことが重要です。
というのも、示談交渉が成立した場合、前項で説明した不起訴の条件「起訴猶予」を獲得できる可能性が出てくるからです。
起訴猶予を目指して示談交渉を行う場合は、弁護士に相談することが重要といえます。
なぜなら、示談交渉はまず被害者に連絡を取る必要がありますが、加害者本人が被害者の連絡先を入手することは困難な場合が多いからです。
その場合、弁護士に相談・依頼することで、被害者に示談交渉に応じてもらえることがあります。
示談交渉を考えている方は、一度弁護士へご相談ください。