年金の特別催告状とは?無視したら強制差し押さえ?すぐに支払えない場合の対処法も解説
年金の特別催告状とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が納めるべき「国民年金保険料」の未納者に対して送付される催告状のことです。特別催告状は青、黄、赤の三段階の封筒が届き、赤になるにつれて危険度が上がっていきます。年金の特別催告状が届いた場合、どう対処するのが適切なのでしょうか?最悪の場合、予告なしで財産が差し押さえられることもあります。借金等の経済的な理由で支払いが困難な方はご一読ください。

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年金の特別催告状とは?
年金の特別催告状とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が納めるべき「国民年金保険料」の未納者に対して送付される催告状のことです。
具体的には、自営業や学生の人等が支払いの対象となります。
年金の特別催告状が来るのはなぜ?
年金の未納者に対してこのような催促が行われるのは、下記の通り、国民年金法にて年金を納めることが国民の義務であると定められているからです。
第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「第一号被保険者」という。)
出典:国民年金法7条(保険料の納付義務)
第八十八条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
出典:国民年金法88条
ただし、下記の国民年金法第94条の6に定められている通り、第二号被保険者と第三号被保険者には保険料の納付義務はありません。
(第二号被保険者及び第三号被保険者に係る特例)
第九十四条の六 第八十七条第一項及び第二項並びに第八十八条第一項の規定にかかわらず、第二号被保険者としての被保険者期間及び第三号被保険者としての被保険者期間については、政府は、保険料を徴収せず、被保険者は、保険料を納付することを要しない。
出典:国民年金法94条の6
第二号被保険者とは、「国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者」です(日本年金機構より引用)。
第三号被保険者とは、「国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)」を指します(日本年金機構より引用)。
年金の特別催告状の色の違いは何?
実は、特別催告状には青色、黄色、赤色のものがあります。青→黄→赤の順で、下記のように特別催告状の内容が厳しくなっていきます。
特別催告状の色 |
危険レベル |
青 |
レベル1 |
黄 |
レベル2 |
赤 |
レベル3 (支払わない場合は差し押さえをする準備をする等の旨が記載されている) |
ただし、年金を未納していたからといってすぐに特別催告状が届くわけでは有りません。
その前段階でも行政からのアクションはあります。
それでは、どのような流れで特別催告状が届くのでしょうか?
年金の特別催告状が届くまで・届いてからの流れは?無視したらどうなる?
年金の特別催告状が届くまでと届いてからの流れは、下記の通りです。
- 催告状が届き、自主納付をするように促す「納付督励」の連絡が入る。
- 青、黄色、赤の順で特別催告状が届く
- 最終催告状が届く
- 催促状が届く
- 差押予告通知が届く
- 予告なしで実際に差し押さえが行われる
催告状が届くいてから最終催告状が届くまでは、自主納付をするよう促す「納付督励」の段階だと言われています。
年金の特別催告状を無視したらどうなるのか?
年金の特別催告状を無視した場合、自身に年金が支払われなくなるだけでは済みません。
あなたの対応次第では、下記のような事態が起こる可能性があります。
特別催告状の色が注意レベルの高いものに変わっていく
前述したように、まず青の特別催告状を無視した場合は、黄色の特別催告状が届きます。
そして、黄色の特別催告状を無視した場合は、赤色の特別催告状が届きます。
強制徴収・差し押さえの準備に入ることもある
特別催告状だけでなく、その後に届く最終催告状も無視した場合、催促状が届き、そこからは強制徴収に向けての段階に入っていってしまいます。
すべての通知を無視した場合、最終段階として予告なしでの財産の差し押さえが実行されます。
実際の差し押さえ件数はどのくらい?
平成30年度の差押実施件数の実績は、17,977件です(日本年金機構「平成 30 年度業務実績報告書」より)。
平成28年からの実績を見てみると、差押実施件数が増えているのがわかります。
※参考:日本年金機構「平成 30 年度業務実績報告書」・「日本年金機構の平成29年度業務実績の評価結果(案)」
年が進むごとに差押実施件数が増えているため、財産を失いたくないのであれば、極力差し押さえが行われる前に対応すべきなのです。
差し押さえの対象となるものは何?
差し押さえの対象となるのは、下記のような財産が考えられます。
- 給料の一部
- 不動産
- 預金
- 売掛金債権等
前述したように、差し押さえは予告なしで行われるため、「気づいたら預金がゼロになっていた」等という事態が起こらないように、次の項目でご紹介するような方法で対処していきましょう。
年金の支払いが困難な場合はどうすれば良い?
年金の特別催告状等が届いていて、納付の意思があっても、どうしても経済的に支払が困難な場合もあると思います。
そのような場合、いくつか取れる手段がありますので、下記にていくつかご紹介します。
「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」を利用する
年金の支払が困難な場合、「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」を利用することも一つの手段です。
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度とは、「ご本人からの申請によって、保険料の納付猶予または全額、もしくは一部(4 分の 1、半額、4 分の 3)が免除になる制度」のことです(日本年金機構「国民年金保険料の納付が困難な方へ」より)。
この制度を使えば、全額免除の期間でも年金額の2分の1が保障される等のメリットがあります。
また、この制度を利用してから10年以内に追納(後から納めること)をすれば、将来受け取る保険料が全額納めた場合と同じになるため、もし将来経済的な余裕ができた際には、追納されることをおすすめします。
対象者
特例免除の申請対象となるのは、下記のような人等です。
- 申請者本人やその配偶者、世帯主のいずれかが退職(失業等)をし、納付が困難となった方
- 新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少し、納付が困難となった方
- 新型コロナウイルス感染症の影響により所得が相当程度まで下がり、納付が困難となった方
1についての免除期間は、「失業等のあった月の前月から翌々年6月まで」、2と3についての免除期間は、「令和元年度分として「令和2年2月分から令和2年6月分まで」」、「令和 2 年度分として「令和2年7月分から令和3年6月分まで」」となります(日本年金機構「国民年金保険料の納付が困難な方へ」より)。
学生の場合は「国民年金保険料の学生納付特例制度」を利用する
学生の場合で国民保険料を未納しているなら、「国民年金保険料の学生納付特例制度」を利用するのも一つの手です。
国民年金保険料の学生納付特例制度とは、制度の対象となる学生の場合、在学期間中の年金の納付が猶予されるというものです。
国民年金保険料の学生納付特例制度も国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度と同様に、10年以内であれば追納ができ、将来受け取る保険料を全額納めた場合と同じにすることができます。
対象者
学生本人の所得が下記の注1、注2の通り、一定以下の場合に対象となります。
(注1)本年度の所得基準(申請者本人のみ)
118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等(注2)学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校(※1)、一部の海外大学の日本分校(※2)に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象となります。
(※1)各種学校
修業年限が1年以上の課程に在学している方に限ります(私立の各種学校については都道府県知事の認可を受けた学校に限られます。)(※2)海外大学の日本分校
日本国内にある海外大学の日本分校等であって、文部科学大臣が個別に指定した課程出典:国民年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
受付可能なうちに分割払いの相談等を行う
国の制度を利用できない場合や、少しずつであれば支払える余地があるという人の場合は、受付可能なうちに分割払いの相談等を行いましょう。
電話で相談できる窓口は、下記等があります。
- ねんきんダイヤル:0570-05-1165
- ねんきん加入者ダイヤル(国民年金加入者向け):0570-003-004
また、まだ納付に関する催促の電話等がかかってきている場合は、その電話で相談するのも良いでしょう。
自分の現状を伝え、取れる手段を確認してみましょう。
差し押さえ等が実際に行われないうちに、早め早めにご相談されることをおすすめします。
弁護士等の専門家に相談する
もし借金があり、年金の納付が困難になってしまっている場合は、弁護士等の専門家に相談するのも一つの手段です。
借金がある場合、債務整理というものが可能になります。
債務整理には、「自己破産」「任意整理」「個人再生」の3つの種類があります。
この3つの種類は、下記のような意味で、それぞれメリットがあります。
自己破産とは、現在の資産や今後の収入からは借金を返せない状態になった人が、一定の財産を債権者に提供することで借金を免除してもらう法的手続きのことです。
任意整理とは、裁判所を介さずに、返済するまでに将来的に必要となる利息等をカットすることができる方法です。
個人再生とは、裁判所に返済不能を申立て、借金を大幅に減額してもらい、借金はおよそ5分の1~10分の1程度に圧縮される方法です。
出典:カケコム「クレジットカードを債務整理後も利用するには?債務整理中でも利用できるカードを紹介」
どの種類の債務整理をするのが適切かは、それぞれの置かれた状況等によって大きく変わってくることがあります。
様々なメリットやデメリットがあるので、一度弁護士等の専門家等に相談してみて、自分に合った方法をアドバイスしてもらうのが良いでしょう。
また、債務整理の手続きは非常に煩雑です。
弁護士によってはその煩雑な手続きを代行してくれることもあります。
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依頼をした場合の費用や支払方法(分割や後払いが可能か等)も相談時に確認できることがあるので、些細なことでも話してみましょう。