ブラックリストに載る期間と対処法がわかれば債務整理は怖くない!
ブラックリストに掲載されるデメリットは信用取引の制限ですが、今の借金生活から抜け出すメリットはそれ以上かもしれません。まずは、その仕組みと対処法を知りませんか?

「債務整理をしたいけれど、ブラックリスト入りするのが怖くて踏み切れない」
「借金は減らしたいけどクレジットカードが作れなくなるのが嫌だ」
ブラックリストに載ることが怖くて債務整理をためらってしまうのはあなただけではありません。この記事では誰もが一度は調べてしまうブラックリストの正体と掲載期間、その対処法について解説します。
・ブラックリスト入りする期間は最長でも10年です。
・クレジットカードが作れなくても、キャッシュレス決済は可能です。
・ブラックリスト入りと比較すべきは借金生活の辛さ
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ブラックリストとは何?実は存在しないんです。
債務整理をするとブラックリストに載る、とよく言われますよね。まるで誰かがそんなリストを持っているかのように思いますが、実は債務整理した人を記録するブラックリストは存在しません。
では、何がブラックリストと呼ばれているのか?
信用機関の情報です。
信用情報機関は何を記録しているの?
個人信用情報機関には下記の3つがあります。
- JICC(株式会社日本信用機関情報機構)
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
信用情報機関は借金やクレジットカードの利用に関する取引事実を記録しています。ちなみに信用情報とは信用取引の情報を指す言葉です。たとえばこのような情報が信用情報機関に記録されています。
- クレジットカードの契約をした
- 車のローンを契約した
- 借金を完済した
- 債務整理をした
- 借金やカードの請求が支払われなかった
つまり信用情報機関は悪い情報のみを記録しているわけではありません。むしろ信用情報機関が記録する情報のうちローンやクレジットカードの審査で不利になる事実を金融事故と呼んでいるのが実情です。
信用情報を記録する目的は?
信用情報機関に登録された情報を必要とするのはこのような業者です。
- 銀行
- クレジットカード会社
- 貸金業者
借金はもちろん、クレジットカードのショッピング枠も言うなれば前借りです。信用取引を認めるためには、やはり契約希望者の信用が求められます。
たとえばあなたが、「50万円貸してほしい」と友人に頼まれたとしましょう。
状況よりも「この人はちゃんと返してくれるだろうか?」と気になりませんか?
そうです、信用情報を記録するのも金融業者が信用情報機関の情報を見るのも「正しく契約希望者を審査するため」です。
ブラックリスト入りは債務整理をした人間に対する制裁でも、人生に打撃を与えるイベントでもありません。あくまでも今は信用取引できないな、と金融業者に判断されるだけです。しかも信用情報は、一生残るわけではありません。
結局、ブラックリスト入りしたらどんなデメリットがあるの?
ブラックリスト入りしたら、あなたが債務整理をした情報を金融業者に見られます。逆に言えばそれ以上の害を受けることはないのですが、結局のところブラックリスト入りするとどんなデメリットがあるのでしょうか?
それを知っておけば、今より冷静に債務整理を考えることができます。
クレジットカードが使えなくなる
債務整理をした後、またすぐにお金を借りたくなることはないと思います。しかしキャッシュレス決済が当たり前になった現代においてクレジットカードが使えないというのは中々のデメリットだと思います。信用取引をさせられないと判断した以上、今使っているクレジットカードは停止で、新しくクレジットカードを作ることもできなくなります。
クレジットカードにポイントが貯まる機能や交通カードを兼用できる機能がある場合はより不便となることが考えられます。
ただしキャッシュレス決済が全て否定されるわけではありません。デビットカードやプリペイドカードである程度の代用は可能です。
お金の借り入れができなくなる
お金を貸すことが危険と判断されているわけですから、当然お金の借入ができなくなります。債務整理後も見据えるなら余裕を持った収支計画を立てることが第一でしょう。ただ住宅ローンも組めないためその点は不便に感じるかもしれません。
原則保証人になることができなくなる
保証人の価値は、債務不履行になったときのリスクを軽減することです。信用のない人間を保証人にすることはできません。賃貸契約の時は保証会社を、奨学金などの保証人には親戚や兄弟に頼ることも考えましょう。
債務整理後にブラックリスト入りするのはいつからいつまで?
ブラックリストがそれほど恐ろしいものじゃない、と分かってもカードを作ったりローンを組んだり…そういった信用取引ができなくなるのが不便と感じる気持ちもわかります。次はブラックリスト入りしたらいつまで金融事故の情報が残るのかをわかりやすく解説します。
金融事故の登録はいつからされる?
一般に金融事故と呼ばれるのは、債務整理である任意整理、特定調停、個人再生、自己破産です。
- 任意整理:業者と和解が成立した日から(複数業者の場合、最後の業者と和解が成立した日から)
- 特定調停:業者と和解が成立した日から(複数業者の場合、最後の業者と和解が成立した日から)
- 個人再生:再生手続き開始決定日から
- 自己破産:支払いの免責決定日から
金融事故の登録期間はどれくらい?
次に、ブラックリストに登録されている期間についてです。
- 任意整理: JICC=5年 CIC=5年 KSC=5年
- 特定調停: JICC=5年 CIC=5年 KSC=5年
- 個人再生: JICC=5年 CIC=5年 KSC=10年
- 自己破産: JICC=5年 CIC=5年 KSC=10年
このように個人信用機関ごとにブラックリスト入りする期間が変わってきますが、大体5〜10年程度と覚えておくと良いでしょう。しかし、信用情報が消えるまでの期間は「信用情報が記録された日から計算するわけではない」ことに気を付けてください。
ブラックリストに登録された日ではなく、債務がなくなった日から5~10年程度経過すれば、信用情報から金融事故が消えることとなります。
そのため原則3年での完済が認められる任意整理・特定調停・個人再生の場合は、それぞれ信用情報に登録されてから8年から10年くらいが登録期間と考えるべきです。
なお、自己破産の場合は、免責許可決定が出た日=債務がなくなった日となります。
借金を滞納したときのブラックリスト期間も解説します
債務整理を考えるときに、債務整理の開始によるブラックリスト登録を恐れる一方で、借金を滞納した場合もブラックリストに登録されることはあまり知られていないと思われます。
返済期限から61日以上借金を滞納した場合も、ブラックリストに登録されてしまいます。そして、なんと滞納の場合の登録期間は、任意整理と同じく5年です。(延滞解消から5年が経過すれば、信用情報から金融事故が消えることとなります。)
債務整理をしても2ヶ月以上の滞納をしてもブラックリストに登録されます。それをデメリットに感じるなら早めに弁護士へご相談ください。
債務整理後にブラックリスト入りしているのかどうか確認する方法は?
債務整理後にブラックリスト入りしているかどうか確認したい場合は、個人信用機関に対して開示請求をしましょう。
原則として信用情報は期限が来ると役目を終え、晴れてブラックリスト入りが解消されます。しかし、時にはミスで信用情報が消えていなかったり逆に信用情報が消える日を勘違いしていたりすることもあり得ます。
信用情報の開示請求方法
信用情報の開示を請求する方法として、インターネット、郵送、窓口の3つの手段があります。信用情報機関は3社あるので、すべて確認したい方は、請求先が3社になることにご注意下さい。ちなみに、開示請求は有料です。
- JICC:500〜1000円(https://www.jicc.co.jp/kaiji/index.html)
- CIC:500〜1000円(https://www.cic.co.jp/mydata/index.html)
- KSC:1000円(https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/)
関連記事はこちら「事故情報が抹消されたか確認する方法は?」
ブラックリストに登録されている間も快適に生活したいあなたへ
ブラックリスト入りしているときは、クレジットカードを作れなかったりローンを組めなかったりいろいろな面倒があります。しかし借金生活中にはできなかった健全なお金の管理や借金が増えない状況を作ることができます。ブラックリストに載ってしまったことを、自己の経済状態を立て直すきっかけにしてもらえればと思います。
デビットカードを使う
「クレジットカードが使えなくても現金があれば十分」と言えたのは数年前の話。今では銀行振込どころかクレジットカード決済しかできないサービスも少なくありません。
つまりクレジットカードが使えないせいで、サービスを利用できないお店に出会う可能性があります。
そんな時でもデビットカードを使えば大丈夫。デビットカードは銀行口座から決済と同時に引き落とし払いができるカードですが、ネットでもリアルでもクレジットカードと同じ規格で使えます。中でもJCBカードはVISAやMasterCardと異なりApple Payに登録してタッチ決済も可能です。
また、プリペイド電子マネーも今まで通り使うことができます。
スマホは一括で買う
ブラックリスト入りすると、分割払いでスマホを買えなくなります。これは、割賦販売(分割払い)が信用取引にあたるからです。逆に言えば一括払いで購入するなら全く制限に引っかかりません。今ならある程度良い機能がついている携帯電話でも3〜4万円と格安で購入できます。
信販系の保証会社を避ける
信販系の保証会社がブラックリスト入りで利用できなくなるなら、それ以外の保証会社を使えば良いでしょう。信販系以外には協会系や独立系の保証会社があり、大家さんと直接契約できる場合もあります。債務整理をした後でも、引越して新しく自宅を借りる道は残されています。
貯金する
ブラックリスト入りすると信用取引ができなくなります。それを肯定的に捉えれば「自分の身の丈に合ったお金の使い方ができる良い機会」と考えられるでしょう。「もっとお金があれば買えるのに・・、借金やリボ払いすれば手に入るのに・・」という思いがあなたの脳裏によぎっても、借りれないお金は使えません。
信用情報が健全化するまでのうちに余裕のある収支計画を作りましょう。そして生活に使わなかったお金を貯めることができればブラックリストが消えても、キャッシングやリボ払いの誘惑に溺れることはないはずです。
債務整理について分からないことがあれば弁護士に相談
債務整理後にブラックリスト入りする期間や、ブラックリスト入りするリスクについては本記事でご紹介しましたが、債務整理について分からないことがあれば弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士に相談することで、自分が債務整理をすべきかや、債務整理の中でもどんな方法を取ることが最適なのかを教えてもらうことができます。
また、場合によっては債務整理に伴う煩雑な手続きや交渉等も弁護士が代理で行ってくれることがあるため、精神的な負担も減らすことができるでしょう。
あなたが本当に考えるべきことは、ブラックリスト入りと借金生活の比較です。今の状況と向き合い最善の選択をしましょう。