闇金からの怖い取り立て行為例3選と適切な対処法を弁護士が解説
闇金からの取り立て行為例としては、多数回の電話をかけてきたり、勤務先や家族へ連絡してきたりする等が挙げられます。このようなトラブルに遭った場合、どう行動すれば良いのでしょうか?今回カケコムでは、闇金からの取り立て行為の具体例やそれに対する適切な対処法について解説します。

「闇金から借金をしてしまった」
「闇金からの怖い取り立てがやまない」
というお悩みを抱えている方は、一度弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、下記のようなことを実現できる可能性があります。
・弁護士が適切に対応してくれ、闇金からの怖い取り立てをやめさせてくれる。
・闇金からの取り立てには対応しなくていいこと等、闇金に対する適切な対応方法を教えてくれる。
・些細な不安や疑問にも丁寧に回答してくれる。
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そもそも闇金とは?
闇金(ヤミ金)とは、出資法の上限をはるかに超えた金利で貸し付ける金融業者や、貸金業の登録をせずに貸し付ける業者をいいます。
闇金が禁止されている行為とは?
まず、出資法第5条2項で、年20%を超える利息での貸付けが禁止されています。違反した場合には、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(又は併科)の刑事罰を受けます。
出資法第5条2項 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
出典:出資法
また、無登録で貸金業を営むことは、貸金業法11条で禁止されており、違反した場合には同じく5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(又は併科)の刑事罰を受けます。
貸金業法第11条 第三条第一項の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない。2 第三条第一項の登録を受けない者は、次に掲げる行為をしてはならない。一 貸金業を営む旨の表示又は広告をすること。二 貸金業を営む目的をもつて、貸付けの契約の締結について勧誘をすること。3 貸金業者は、貸金業者登録簿に登録された営業所又は事務所以外の営業所又は事務所を設置して貸金業を営んではならない。出典:貸金業法
このほか、取り立て行為として、午後9時から午前8時までの間に取り立てを行うことや、勤務先や自宅以外の場所に電話をかけたり、訪問する行為なども、貸金業法21条1項により禁止されています。
貸金業法第21条1項 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
出典:貸金業法
闇金の取り立て行為にはどんなものがある?
それでは、闇金の取り立て行為にはどのようなものがあるのでしょうか?代表的な3つの行為をご紹介します。
闇金の取り立て行為(1) 多数回の電話をかける
闇金の取り立て行為で最も多いのは、債務者の携帯電話や自宅の電話に、一日に多数回の電話をかけてくるというものです。
そして、電話に出れば、強い口調で(罵倒と表現したほうがいいような口調もあり)、支払うように言ってきます。
闇金の取り立て行為(2) 勤務先や家族へ連絡する
闇金からお金を借りるときに、勤務先や家族の連絡先を教えている場合、勤務先や家族の連絡先にも電話がきます。
闇金から勤務先に電話がくれば、上司や同僚にお金を借りたことがばれてしまい、その後働き続けたくとも居心地が悪くなります。
闇金の取り立て行為(3) 出前や救急車を呼ぶ
闇金の取り立て行為としては、出前を数十人分勝手に頼んで届けさせたり、救急車を呼んだりということもあります。
直接的な取り立てというよりは、嫌がらせと呼べる行為です。
闇金から違法な取り立てを受けたらどう対処すれば良い?
闇金から違法な取り立てを受けた際は、とても不安になることがあると思います。そのような場合は、下記のような対処を行いましょう。
闇金から借りたお金は返済しなくてOK
闇金から借りた場合、ほとんどはその金利が法律で定めている上限をはるかに超えているため、公序良俗に反して無効です(民法90条)。
その場合は、民法708条が規定する不法原因給付に該当するので、返済する必要がありません。
参照例民法708条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
警察に相談する
闇金が電話で「支払わないと殺すぞ」というように身体や生命に危害を加えるような発言をした場合は、脅迫罪(刑法222条1項)や恐喝未遂罪(刑法249条1項、250条)に該当する可能性が高いですから、警察に相談してください。
また、実際に自宅に来たような場合は、すぐに警察に連絡してください。
ただし、このように犯罪に該当するような場合や緊急性が高い場合以外だと、警察に相談にいっても、積極的に対応してもらえない可能性もあります。
弁護士に相談する
闇金からお金を借りても不法原因給付に該当するので返済する必要はありませんが、借りた人が闇金に「返す必要がないので返しません」と直接言えるかといえば、これまで怖い思いをしているのですから言えるはずはありません。
弁護士に相談した場合、弁護士は闇金に連絡をして、法的な主張を行います。
連絡方法は、住所がわかれば通知書を送ることもありますが、多くの闇金が電話番号しかわからない(そもそも事務所がない)ので、弁護士が直接電話することになります。
この闇金に対する処理について、東京にある3つの弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)では、統一の基準を設けていますので、ほとんどの弁護士はこの基準に従って対応します。
この基準は、
- 名目のいかんをとわず、闇金に対して一切支払わない。
- 依頼者が闇金から受領したお金は不法原因給付なので返金する必要がないこと、他方闇金に対する支払いには法律上の原因がないことを理由として、闇金に対して依頼者が支払った金銭の返還を請求する。
- 具体的な取引や取立の状況に違法性がある場合は、刑事告発や行政指導申告を行うこと。
という3つの柱でできています。
弁護士に依頼した場合、取り立てはやみ、返済する必要もなくなります。またうまくいけば返済したお金も戻ってくる可能性もあります。
なお、闇金は業者間で借入れた人の名簿をやりとりしていて、一度借りると別の闇金から「借りませんか」と連絡がくることもあります。
弁護士に相談すれば支払いがやむからいいや、と安易な気持ちで借りることは絶対にしないでいただきたいと思います。