債務整理とは?3つの方法と選び方をわかりやすく解説
債務整理とは借金の減額や支払い猶予などを行い、借金による負担を減らす方法です。本記事では、債務整理にはどのような手続き方法があるのかや、メリット・デメリットについて解説していきます。

借金で苦しんでいるとき、借金を減らしたり支払い期間を調整することで生活の負担を軽くできます。この手続きを債務整理と呼び、毎年数万人の債務者が利用しています。
この記事では、債務整理をしたら何か悪いことが起こるのでは?債務整理はよくないことでは?と躊躇う方のために債務整理の内容と選ぶ基準をわかりやすく紹介します。
・債務整理が認められると借金を支払う負担が軽くなります。
・債務整理は債務の状況によって使える手続きが限られます
・弁護士に債務整理を委任すると借金の取立てがストップします
・家族や勤務先に知られずに解決できる場合もあります
債務整理とは
債務整理とは、債務の全部または一部の返済義務を免除してもらって、支払い義務を無くすか、支払える形にする方法のことを言います。例えば利息を減らしたり、元本を減らしたり、支払いに猶予を持たせることで返済の負担を軽くします。債務をどうしても支払えない場合は、債務全部の返済義務を免除することも可能です。
債務整理って本当にリスクはないの?悪いことじゃないの?と思われがちですが、国によって認められているため合法です。いくつかの制限はありますが、社会一般でイメージされるような人生を転落させるほどのリスクはありません。
借金の返済が厳しく、借金生活を続けることが苦しいときはすぐに弁護士へ相談しましょう。債務整理は人生の再スタートを応援する手続きです。
債務整理の種類
債務整理には大きく分けて任意整理、民事再生、自己破産があり、債務よりも多く支払った場合は過払金請求も可能です。以下ではこの4つの手続きについて簡単に解説します。(なお、自然災害や新型コロナウイルス感染症の影響で返済ができなくなった場合は、自然災害債務整理ガイドラインに基づく債務整理手続きが受けられる場合があります。)
- 任意整理
- 民事再生
- 自己破産
- 過払い金請求
任意整理とは?
任意整理は銀行や消費者金融など、借入先と直接交渉をおこなうことで借金の負担を減らす方法です。将来利息のカットや返済期間の見直し、返済額の調整などが実現できます。任意整理の目的は生活に負担の少ない返済額に調整することですが、その結果として利息の払い過ぎが明らかになる場合があります。
このとき、過払い金返還請求ができる可能性があります。
>>【関連記事】任意整理とは?どんなメリット・デメリットがある?弁護士が解説
民事再生(個人再生)とは?
民事再生のうち個人が用いる特例を個人再生と言います。個人再生は裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残った借金を3年または5年で返済する方法です。減額幅は概ね5分の1〜10分の1で債務の上限は5000万円です。多くの資産を持っている場合は、少なくともその資産分以上は返済しなければなりません。
自己破産と異なり住宅ローン特例を使えばマイホームを手放すことなく債務整理可能です。再生計画の提出と試験的な返済金の積立てが求められるため、手続き期間は、4ヵ月から1年ほどとやや長めになります。
>>【関連記事】家を残せる?元本が減る?個人再生のメリット・デメリットとは
自己破産とは?
自己破産は裁判所から借金が返済できない状態と認めてもらうことで、借金の返済義務を免除してもらう方法です。借金の額に上限がなく「自己破産しか使えない」人の利用があることから、個人再生より多く用いられます。
債務を弁済するため可能な限り財産を売り払うことになりますが、99万円以下の現金や20万円以下の資産、そして生活に必要な家財道具は残せます。もちろん破産したことだけを理由に、会社をクビになったり結婚できなくなることもありません。ただし、自己破産によって、土地家屋調査士、旅行業者、警備員、会社の取締役などの職業では失職する可能性がありますので、自己のご職業について失職しないかご確認ください。
>>【関連記事】自己破産とは?(近日公開)
過払い金請求とは?
通常、債務を返済できない人のために行う債務整理ですが、時には払い過ぎたお金を取り戻すために債務整理を行う場合もあります。それが過払い金請求です。
過払金が発生する原因は利息制限法を定める上限金利を超えるものの、出資法の上限である年利29%を超えない金利での貸付が横行したから。そのため貸金業法改正までに多くの方が過大な利息を払わされていました。任意整理で利息の引き直しを行うのは、まさにこのグレーゾーン金利の問題です。
過払い金の時効は、最終のお取引してから10年です。法改正から10年以上経った今でも、まだ過払い金請求できるかもしれません。
>>【関連記事】過払い金請求とは?(近日公開)
債務整理のメリット・デメリット
債務整理のメリット・デメリットを簡単に紹介します。もっと詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。
債務整理の種類 | メリット | デメリット |
任意整理 |
解決までの期間が短い 弁護士報酬が低い(債権数が少ない場合) 周りにバレない |
減額の幅が小さい(元本カットは非常に困難) ブラックリストに最長5年間登録される 過払金がなければ、利息の引き直しでもブラックリストに登録される |
個人再生 |
返済する債務額を大幅に減らせる 破産の免責不許可事由(浪費等)があっても、安定した収入があれば再生計画を認められやすい マイホームや車を残せる可能性あり |
手続きが難しく費用も高い 安定した収入が必要 官報に掲載される ブラックリストに最長10年間登録される |
自己破産 |
原則、借金がなくなる 十分な収入がなくても利用可能 債権者の同意がいらない
|
必要以上の財産は全て処分される 免責手続きが終わるまで一部の資格を制限される 免責不許可事由があると免責が認められない可能性あり 官報に掲載される ブラックリストに最長10年間登録される |
適切な債務整理を選ぶには、ご自身の状況(収支や負債総額)を調べることとメリットデメリットの検討が大切です。例えば、債務を年収の倍以上も抱えているときは、通常、任意整理をしても元本を払いきれません。ギャンブルや浪費で借金を作ったのであれば、自己破産は難しいでしょう。自宅を残したいのであれば任意整理と個人再生の2択となります。
このようにあなたに合った債務整理を選ぶことは人生の再スタートを助けます。
>>【関連記事】債務整理は悪いこと?種類とメリット・デメリットを解説します
>>【関連記事】ブラックリストに載る期間と対処法がわかれば債務整理は怖くない!
>>【関連記事】過払い金請求のデメリットデメリット2選と請求の際の注意点を解説
債務整理の期間と費用は?
債務整理の期間は任意整理で数ヶ月から半年、個人再生と自己再生は半年から1年ほどです。債務整理手続き中には、債権者とさまざまな話し合いが必要となりますが、弁護士に債務整理を依頼していれば、債権者は弁護士を相手にやり取りすることしかできません。
具体的には弁護士が債務整理を受任したという受任通知を送付して、債権者に到達すれば、取り立てがストップします。
債務整理の費用には、通常、弁護士報酬(着手金と成功報酬)、そして実費があります。弁護士報酬は、手続きの難易度で変わります。債務整理で1社あたり数万円程度、個人再生30~60万円程度、自己再生は20~40万円ほどです。
債務整理の費用を払えないときは?
債務整理、特に自己破産を選択する方は手持ちのお金も収入も少ない場合が多いです。どうしても資金が用意できない場合は法テラスが利用できることもありますが、法テラスの資力要件を満たさなければ、分割払いでの支払いに応じてくれる弁護士をお探しください。
闇金から借りたお金は債務整理できる?
闇金から借りたお金も借金ですが、通常、債務整理は不要です。なぜなら、闇金から借りたお金は金利などが違法な貸付である可能性が高く、法律上の返済義務が否定される可能性が高いからです。ただ、闇金は家族や職場に電話するなどして、あの手この手でお金を脅し取ろうとしてきます。闇金被害にお悩みなら闇金問題を取り扱う弁護士や警察にご相談ください。
まとめ
一般の方にとって法的手続きはある種の緊張感を伴います。特に債務整理は、借金を減らすことに対する罪悪感や恐れを感じることも珍しくありません。しかし、債務整理は法律で認められた手続きで何かとんでもないデメリットを被る可能性はございません。債務整理の選び方や、今後の支払い計画に迷った時はお気軽に弁護士へご相談ください。