誹謗中傷の犯人特定方法は?コロナ関連の誹謗中傷についても弁護士が解説
芸能人が訴訟を起こす等、話題になっている誹謗中傷被害。誹謗中傷を受けた場合、犯人を特定することができますし、場合によっては損害賠償請求等が可能な場合もあります。今回は、誹謗中傷の犯人を特定する方法や手続き、削除請求について、損害賠償請求を行う場合のアドバイス、加害者となってしまった場合の対処法等をご紹介します。コロナ渦で起きている誹謗中傷についても解説していますので、ご一読ください。

「SNSで誹謗中傷の被害に遭った」
「軽い気持ちでした投稿が誹謗中傷だと言われ、加害者になってしまった」
そんなお悩みをお持ちの方は、弁護士に相談することでさまざまなメリットがあります。
弁護士に相談・依頼するメリット
・誹謗中傷の投稿をした犯人を特定し、損害賠償請求等を行うことができる
・訴訟等を行う場合でも、煩雑な手続き等を弁護士に依頼することができる
・加害者になってしまった場合、相手方との交渉等を弁護士に一任することができる
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はるかぜちゃんこと春名風花さんと風花さんの母親が、誹謗中傷の投稿に対して訴訟を起こし、約315万円の示談が成立したことでも話題になったネットの誹謗中傷事件。
Twitterに虚偽の内容が投稿され名誉を傷つけられたとして、書き込みをした人物に対し、女優の春名風花さんと母親が慰謝料などを求めていた訴訟で、被告が春名さん側に示談金315万4000円を支払うことで示談が成立したことが明らかになった。春名さんが7月20日、自身のTwitter公式アカウントとYouTube公式チャンネルで発表した。
出典:ITmedia NEWS「“はるかぜちゃん”こと春名風花さん、SNS誹謗中傷の示談成立 被告が示談金315万円支払いへ」
このような誹謗中傷被害に遭った場合、泣き寝入りしてしまうことも多いのではないでしょうか?
最悪の場合、誰にも相談できず、自殺に追い込まれてしまうこともあるかもしれません。
しかし、誹謗中傷をされた場合、犯人を特定し、損害賠償を請求したり、警察へ被害届を出したりすることができます。
様々な対処法がありますので、コロナ関連でSNSで誹謗中傷の被害に遭っている方もぜひご一読ください。
SNS等で誹謗中傷されたら犯人を特定できる場合がある
SNS等で誹謗中傷される場合、そのほとんどは匿名で行われます。ですので「どこの、誰が」誹謗中傷をした犯人なのか、すぐには分かりません。
しかし、法で定められている手続きを利用すれば、その犯人を特定できる場合があります。
例えば、下記のように、発信者情報開示請求を行って、誹謗中傷する投稿をした人を特定できるような場合です。
誹謗中傷されても犯人を特定できない場合もある
誹謗中傷されても犯人が特定できない場合もあります。
一つはプロバイダのログ(通信記録)保存期間が経過していた場合です。
一般的にプロバイダのログ保存期間は3か月から6か月と言われているので、誹謗中傷されてから時間が経過した場合には、犯人を特定することができない場合があります。
また、インターネットカフェからの投稿などでは、インターネットカフェの所在までしか分からず、書き込みをした犯人を特定することまでは難しいといえます。
誹謗中傷の犯人を特定するには?
誹謗中傷の犯人を特定するには、発信者情報開示請求を行い、犯人の氏名や住所を、プロバイダ等から開示してもらう方法があります。
発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償の責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)の4条1項に規定されていて、自己の権利を侵害された者は、プロバイダ等のサイトを提供している者に対して、権利を侵害するような内容を書き込んだ者の氏名や住所を開示することを求めることができる、というものです。
第四条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
具体的な方法や流れについては、次で説明いたします。
誹謗中傷の犯人を特定する「発信者開示請求」の手続きの流れ
それでは、誹謗中傷の犯人を特定する発信者開示請求の手続きの流れを一つ一つご紹介していきます。
「発信者開示請求」の手続きの流れ(1) 誹謗中傷が書かれているサイトにIPアドレスの開示請求を行う
はじめに、誹謗中傷が書き込まれているサイト(例えばTwitterやInstagram)に対して、書き込んだ人(以下「投稿者」といいます)のIPアドレスを開示するよう請求します。
IPアドレスとは、インターネットに接続する機器(例えばパソコンやスマートフォン)に割り当てられる固有の番号です。
開示請求の方法としては、
- 任意開示請求・・・メールやオンライン上の問い合わせフォーム
- 発信者情報開示請求書による開示請求
- IPアドレスの開示仮処分
の3種類が挙げられます。
まず簡単な方法としては、サイト管理者に、そのサイト上に記載ある問い合わせ先やサイト上のフォームを利用して、投稿者のIPアドレスの開示請求を行う方法です。ただし、強制力がないので開示されない場合もあります。
次に、発信者情報開示請求書という書式を利用して、サイト管理者にIPアドレスの開示請求をする方法です。
この発信者情報開示請求書は、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した書式です。
この書類が届くと、サイト管理者は社内で開示可能か検討しますが、投稿者に意見紹介をするので、投稿者から開示不可という回答があった場合は開示されないのが原則です。
上記のような任意の開示請求では開示されない場合は、裁判所を通じて開示を求めます。
具体的には、サイト管理者を相手として、発信者情報開示仮処分命令を申し立てます。裁判所が開示命令をすれば、サイト管理者のほとんどはIPアドレスを開示します。
「発信者開示請求」の手続きの流れ(2) IPアドレスから投稿者のプロバイダを検索する
IPアドレスがサイト管理者から開示されたら、次はそのIPアドレスの接続プロバイダを検索します。
検索は、WHOIS検索サイトで検索します。
WHOIS検索サイトとは、インターネット上のIPアドレスやドメイン名の登録者に関する情報を参照できるように提供しているサービスです。
例えば下記のようなサイトから検索することができます。
「発信者開示請求」の手続きの流れ(3) 接続プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟をする
投稿者が利用している機器の接続プロバイダがわかったら、その接続プロバイダに対して、投稿者の氏名住所の開示請求をします。
具体的には、接続プロバイダを相手として、発信者情報開示請求訴訟を提起します。
提出された証拠をもとに裁判所が判断し、開示を認める判決が出て確定すれば、2週間程度で投稿者の情報が開示されます。
なお、時間に余裕があるとき等には、発信者情報開示請求書を利用して接続プロバイダに任意の開示を求める方法もありますが、意見紹介された投稿者が「非開示」と回答すると開示されないことがほとんどなので、この手続きで開示される可能性は低いといえます。
また、匿名の投稿の場合でも、実名を登録するサイト(Amazon等)の場合には、そのサイトが保有しているアカウント情報の開示請求ができるので、上記(1)から(2)の方法をとばして、サイト管理者に、発信者情報開示請求訴訟の手続きをするという方法もあります。
誹謗中傷の犯人を特定するのにかかる期間は?
上記のように、IPアドレスの開示請求から初めて、投稿者の氏名住所が分かるまでは、4か月から8か月間程度かかります。
ですので、誹謗中傷されていることが分かったら、すぐに行動することが必要です。
誹謗中傷の投稿を削除依頼することもできる
誹謗中傷の投稿について、サイトの管理者に対しては、その投稿の削除を依頼することもできます。
そもそも、誰が投稿したか分かっている場合には、その投稿者に対しても、削除を請求することができます。
削除依頼をする場合に必要となる手続きについて
まずは、掲載しているサイトやSNSの管理者に対して、メールやオンライン上のフォームを利用して、誹謗中傷の投稿を削除依頼します。
また、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した、削除依頼の書式である「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」を利用して、削除依頼する方法もあります。
管理者に問い合わせる方法がない場合や、削除を拒否された場合などは、裁判所の手続きである削除仮処分を申し立てます。仮処分手続きが出ると、サイト管理者は削除に応じます。
ただ、投稿されたサイトのサーバーが海外である場合など、削除が難しいケースもあります。この場合、検索結果の削除請求を検討することも方法のひとつです。
誹謗中傷の犯人を特定して損害賠償請求を行いたい場合
もし誹謗中傷の犯人に損害賠償請求を行いたい場合は、下記のような方法を取ることをおすすめします。
弁護士への相談がおすすめ
誹謗中傷の犯人に損害賠償請求をする場合、上記のような発信者情報開示手続きをして、犯人の氏名や住所を特定してから、その犯人に対して損害賠償請求をします。
損害賠償については、まずは内容証明で通知をし、それでも回答がない又は支払いがない場合には、訴訟を提起するというのが一般的です。
誹謗中傷された場合に、犯人に損害賠償請求をするには、犯人を特定するまでに、裁判所に仮処分手続きを申し立てたり、訴訟を申し立てるうえに、損害賠償請求においても訴訟を提起する場合があります。
また、期間がかかれば、犯人が特定できない可能性があるのは前述したとおりです。
とすれば、自分一人で損害賠償請求をするのは手間と時間がかかるので、少なくとも訴訟手続きに精通している弁護士に相談するほうがよいといえるでしょう。
コロナ関連で誹謗中傷された場合はどんな対処が取れる?
新型コロナウイルスに関連しての誹謗中傷がニュースになることも多くなりました。
クラスターが発生した学校の関係者に誹謗中傷のメールが届いたり、事実ではないのに感染源になっているという書き込みがあったりするそうです。
名誉毀損が成立するような書き込みについては、前述したような方法で、書き込んだ人に対して損害賠償請求ができますし、本名でコロナにかかったことが書き込まれた場合には、プライバシー権を侵害するとして削除が認められる可能性が高いです。
しかし、「誹謗中傷」と一口に言っても、その内容については、違法性が低いものから高いものまであり、裁判手続きを利用しても、どこまで認められるかは、ケースバイケースです。
ですので、弁護士に相談するのがいいと思いますが、実際の対処方法については弁護士費用をかけてまで対処するか悩むことになるかもしれません。
なお、地方自治体の中には、コロナ相談の窓口を設けているところもあるので、まずはそこに相談してみるものいいでしょう。
もしあなたが誹謗中傷した側だった場合の対処法
まずは、自分の書いた投稿が誹謗中傷に該当するのか考えてみてください。
つい書き込んでしまった、というように自分に非があると思う場合は、謝罪するのがいいと思います。
Twitterなど自分で削除できるサイトシステムの場合はすぐに削除しましょう。
場合によっては、同じTwitter上で謝罪のコメントを投稿するのも良いかもしれません。
被害者も訴訟にすることを望んでいる人は少ないので、訴訟の前に示談できるように話し合いをするといいと思います。
そもそも書き込みが誹謗中傷に該当するとは思えない、これからの交渉を一人で行うのは不安だ、というような場合は弁護士に相談し、弁護士を代理人として対応させる方法もあります。
なお、被害者から訴えると言われた場合、刑事手続きになっていないかも確認したほうがよいでしょう。民事上の請求と併せて、刑事告訴が行われている場合もあります。
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