破産者マップとは?名前が載ったらやばい?削除依頼方法等を弁護士が解説
破産者マップとは、破産者の情報(住所や氏名など)を官報から収集してGoogleマップ上に掲載し、地図上で容易に確認できるようにしたウェブサイトです。破産者マップは2019年3月19日に閉鎖されていますが、またネット上に現れる可能性はゼロではありません。今回は、破産者マップの問題点や、自己破産の情報は誰に見られてしまう可能性があるのか、載ってしまった場合の対処法について弁護士が解説します。

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破産者マップとは?
破産者マップとは、破産者の情報(住所や氏名など)を官報から収集してGoogleマップ上に掲載し、地図上で容易に確認できるようにしたウェブサイトです。
このサイトは社会的に問題となり、2019年3月19日に閉鎖されました。
破産者マップの問題点とは?
破産者マップの問題点は、2点が挙げられます。
破産者マップの問題点(1) 破産者のプライバシー権を侵害している可能性が高い
一つ目の問題点は、破産者のプライバシー権を侵害している可能性が高いということです。
プライバシー権とは、明文の規定はありませんが、憲法上認められている「私生活をみだりに公開されない権利」です。
破産した事実は多くの人にとって公開されたくない私生活上の情報といえますから、破産したことを不特定多数の人が見られる状態にした破産者マップはプライバシー権を侵害している可能性が高く、問題です。
破産者マップの問題点(2) 個人情報保護法に違反している
二つ目の問題点は、個人情報保護法に違反しているということです。
実際、個人情報保護委員会(個人情報の取り扱いの指導助言や勧告・命令を行うことができる行政機関)が、破産者マップの運営者に対して行政指導を行いました。
また、弁護士の有志が個人情報保護法上の緊急命令を求める処分の求めの申し出も行いました。
これらが行われてから数日後に破産者マップは閉鎖されています。
名前や住所は、個人を特定できるものとして個人情報に該当します。
個人情報の取り扱いについては、個人情報保護法が定めていますが、例えば、個人情報を取得したときは利用目的を本人に通知する必要があるということや、第三者に提供する場合には本人の同意が必要ということが規程されています。
破産者マップは、これらの条文に違反して個人情報を取り扱った点で問題があります。
【参照条文 個人情報保護法】
18条1項 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
23条1項 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
破産者マップに名前が載る影響は?
破産者マップに名前が掲載されてしまうと、そのマップ上から友人や知人に破産した事実が判明してしまいます。
また、破産者マップには一時的ですが検索機能もついていたそうですので、自分の名前が検索された結果、破産していたことが明らかになる可能性はあります。
一般社会において破産したということのイメージは未だ良いとはいえませんから、破産したたことが分かるというのは精神的に大きなショックを受けることでしょう。
自己破産の情報は誰でも見れてしまうのか
自己破産の情報のうち、破産者の氏名や住所は、破産者マップが情報の基礎とした「官報」に掲載されているので、官報を見れば分かります。
官報は国が発行する広報誌で、交付する法令、行政の人事異動、裁判所の公告や会社の決算事項などが記載されています。
官報は誰でも購入できますし、図書館にも置いてあります。
また、一部はインターネットからも見られます(破産者の情報はインターネット上では見られないようです)。
ですので、官報を購入すれば、そこに記載されている自己破産の情報は誰でも見られます。
- 官報が掲載されているサイト:https://kanpou.npb.go.jp/
官報を見ている人はどんな人?
官報を見ている人は、信用情報を取り扱う業者、不動産業者、税務署関係者といわれています。
また、会社関係者で、自分の会社の情報が載った場合には、その号の官報だけ見ているという人もいるかもしれません。
また破産者マップのサイトが公開される可能性はある?
破産者マップが再度公開される可能性は低いと思いますが、このサイトと類似する、破産者の情報を集めたサイトが公開される可能性はあります。
昨今の誰でも容易にウェブサイトが作成できる状況においては、大衆の耳目を集めるために破産者の情報を掲載する後続サイトが出てくることは、容易に想定できるといえます。
破産者マップに名前が載ってしまった場合の対処法
現在破産者マップのサイトは閉鎖されていますが、また新たなサイトが出てきてしまい、破産者マップに名前が載った場合でも泣き寝入りする必要はありません。
あなたが取れる可能性のある手段をご紹介します。
サイト運営者に削除依頼を行う
サイトの運営者に自分の情報を削除するよう、削除依頼を行う方法があります。
メールやお問い合わせフォームから申し入れたり、「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」というのを差し入れて削除依頼をすることも可能です。
ただ、任意に削除してもらえない場合は、削除を求める法的な手続きを行う必要があります。
弁護士に相談する
弁護士に相談し、弁護士に依頼すれば、弁護士からサイト管理者に削除依頼をしたり、法的な手続きである仮処分を申し立てて削除することもあります。
その他、状況に応じて、サイト自体の閉鎖を弁護士が申し入れたり、サイトに対して損害賠償請求をしたりすることも考えられます。
自己破産情報を見た闇金からの連絡に注意
自己破産の情報を見た闇金から、お金を借りないか連絡が来る可能性が考えられます。
そのような連絡が来て、その時お金に困っていたとしても、絶対に闇金からお金は借りないようにしてください。
そもそも法外な利息を請求するような闇金は違法であり、取り立てを行う際にも法律に違反した行為を行うことがあります。
そのような怖い取り立てにあわないよう、十分に注意しましょう。
闇金から借金をした場合に受ける可能性のある取り立て行為やその対処法については、下記の記事で具体的に解説していますので、参考にしてみてください。
>>【関連記事】闇金からの怖い取り立て行為例3選と適切な対処法を弁護士が解説
そもそも自己破産をするか悩んでいるなら専門家への相談がおすすめ
自己破産をする場合には、財産として何をもっているのか、今の職業は何か、どのような経緯で借り入れをしてしまったのか、保証人はいるのか等の、多くの事実を集めて検討する必要があります。
たとえば、職業によっては破産手続き中はその職につけないものもあります(免責決定がでて、復権すればその職業に戻れるのがほとんどです)。
また、借入れの理由によっては、破産を申立てたけれども、免責決定が出ず、結局返済しなければならないということもあります。
ですので、自己破産手続きをするか悩んでいるときは、弁護士に一度相談するのがいいでしょう。
注意してほしいのは、そのときに弁護士に嘘をついたり、隠し事をしたりしないこと。
弁護士が正確な判断をすることができなくなり、結局は自分の不利益にになりますので、相談するときは知っていることは全てお話ください。