個人再生すると保証人・連帯保証人や家族にどんな影響がある?リスクや対処法を弁護士が解説
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個人再生するとどうなる?保証人・連帯保証人や家族への影響は?
まず、個人再生を行った場合に債務者本人が受ける影響や、保証人・連帯保証人が受ける影響について解説します。
保証人と連帯保証人の違いについては、「保証人と連帯保証人の違いは?債務整理すると連帯保証人にどんな影響が及ぶ?弁護士が解説」という記事で解説していますので、ご参照ください。
保証人は負債残債の一括請求を受けることになる
個人再生をした場合、基本的には、保証人は負債残債の一括請求を受けることになります。
個人再生などの債務整理の事実は、期限の利益を失う理由になっていることが通常ですので、保証人も保証債務について一括請求を受ける立場になります。
なお、この点につき、令和2年(2020年)の民法改正により、債務者が期限の利益を喪失したときは、2か月以内に保証人に通知をしなければならないこととされました。
これは、期限の利益喪失後は、元本全体に対して遅延損害金がかかってくることになり、保証人に重大な影響が出るために通知を要することとされたものです。
この点からも、保証人に対する影響の大きさがうかがえます。
個人再生を含め、債務整理をするときには、保証人に説明をした上で手続きをすべきといえます。
保証人の権利について
ところで、保証人には、単なる「保証人」と、「連帯保証人」という種類があります。
「保証人」には、債権者から請求が来た場合に以下のような権利が認められています。
1.催告の抗弁権
保証人から債権者に対し、まずは債務者に請求して支払いができないことが確認されないと保証債務を履行しないと主張できる権利です。
2.検索の抗弁権
保証人から債権者に対し、まずは債務者の強制執行が容易な資産に強制執行をしてからでないと、保証債務を履行しないと主張できる権利です。
3.分別の利益
複数の保証人がいる場合に、保証人から債権者に対し、自分の負担分しか支払わないと主張できる権利です。
しかし、複数の保証人がいる場合に分別の利益を主張することは当然できますが、複数の保証人がついているケースは少なく、その他、個人再生に至っているケースで、催告の抗弁権や検索の抗弁権が役に立つことはほとんど考えられないでしょう。
したがって、保証人でも連帯保証人でも、残債について一括請求を受ける立場になるという影響が出ることに変わりはありません。
個人再生した場合に家族が受ける影響3つ
家族が保証人や連帯保証人になっている場合を除き、自分の個人再生が家族に影響すること基本的にありません。
ただし、自分のクレジットカードの利用ができなくなるのに伴い、家族カードの利用もできなくなります。
また、家族の生活費などを借入れで一部工面していた場合には、家族の家計に影響が出ることはあります。
このように、家族については、個人再生をした本人に影響が出ることで、間接的に影響を受けることはありますが、家族に直接影響することはありません。
以下の点気になるかもしれませんが、影響が出ることはありません。
個人再生した場合に家族が受ける影響(1) 資産の処分
個人再生の場合、破産とは異なって、資産を処分しなければならないわけではないため、家にある資産が処分されることにはなりません(債権者に弁済する金額を計算する際に、資産を考慮することはあります。)。
ローンを完済済みの車があっても、個人再生であれば処分されることにはならないため、家族が車を使っていても影響しません(一方、自動車ローンなどの残債がある車は、債務整理により引き上げられてしまいます。)。
個人再生した場合に家族が受ける影響(2) 家族の信用情報
信用情報は、一人一人登録されるものです。
そのため、個人再生したことにより債務者本人の信用情報にその事実が登録されますが、家族の信用情報に影響することはありません。
個人再生した場合に家族が受ける影響(3) 子どもへの影響
自分が個人再生をすることにより、子どもの受験や就職、結婚に何か影響してしまうのではないかと心配になる方もいますが、個人再生を含め債務整理の事実は、そのようなイベントで明らかになるものではありません。
住民票や戸籍に記載されることもないので、自ら公表しない限りは分からないでしょうし、親が個人再生などの債務整理をしているかどうかということを確認されることもないでしょう。
ただ、上記のとおり、官報に掲載されて有料で検索することはできるため、身辺調査といった建前で、結婚相手の家族が調べるということはあり得なくはないでしょう。
個人再生した場合に債務者が受ける影響
個人再生は、負債を5分の1や10分の1程度に圧縮できる制度ですが、債務整理手続きの一種であり、当然、債務者本人にはいくつかの影響が出ることになります。
ただし、気にしない人にとっては特に問題ない影響だったりするので、債務整理手続きをしようとする際に、個人再生をすることでどのような影響があるのか分からずに方針を決められない場合には、どのような影響があるのか確認して方針を検討しましょう。
個人再生した場合に債務者が受ける影響(1) 信用情報への登録により借入れなどが制限される
債務整理をした場合に基本的に受ける影響で、債務整理の事実が信用情報に登録され、以後5年~10年程、新たな借入れやクレジットカードが作れない状態となり、誰かの保証人になることもできなくなります。
すでに作成済みのクレジットカードやETCカードが事実上使えてしまうケースもあるようですが、また返済できなくなる可能性が高く、使うべきではありません。
また、身近なところでは、スマートフォンの端末を分割払いで購入するケースが多いと思いますが、この分割払いはクレジットカードと同様の契約と捉えられるため、審査があり、個人再生などの債務整理をしていると分割払いでスマートフォンを持てないということになります。
なお、この5年~10年というのは、債務の発生時期や信用情報機関によって、債務整理の開始により契約が終了した時点からの計算だったり、個人再生の申立てからの計算だったり、個人再生開始決定からの計算だったりするので、一様ではありません。
債務整理の事実が信用情報に登録される期間や、適切な対処法については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
個人再生した場合に債務者が受ける影響(2) 官報へ掲載される
官報とは、国が、法律等の改正の情報や、破産や再生手続等の内容を掲載する新聞のようなものです。
最近ではインターネット上で閲覧したりできますが、基本的にはPDFファイル化されているため、Google検索などで名前を入れても検索結果に表示されるものではありません。
ただ、インターネット官報では、有料サービスとしてですが記事検索機能があるため、破産や個人再生しているかどうか費用をかけても検索をしようとしている人がいるという珍しいケースの場合には、住所や氏名が分かってしまうリスクがないわけではありません。
とはいえ、やはり普通の人が、他人が破産や個人再生をしているかどうか、費用をかけて調べようとすることはないので、基本的には心配する必要はないでしょう。
どうしてもこの部分が気になる場合には、官報に掲載されない債務整理手続きとして、任意整理を選択すべきことになります。
個人再生で保証人・連帯保証人に返済義務が移った場合どのように返済すると良いか
個人再生で保証人や連帯保証人に返済義務が移った場合、保証人や連帯保証人はどのように返済することになるのかや、どのように返済すると良いのかを解説します。
原則として一括請求を受ける
個人再生により、基本的には、保証人・連帯保証人は残債の一括請求を受けることになります。
この請求に対して一括で返済できれば良いですが、急に一括請求されてもすぐに全部を返済できないこともあります。
分割払いの提案をしてみる
債権者としても、当然一括で返済を受けたいところですが、保証人にも個人再生や破産手続きを取られてしまうと、債権回収という面では望ましくはありません。
そのため、一括返済でなければ一切受け付けないといった強行な対応をされることはあまりないものと考えられます。
いつまでにいくら、いつまでに全て返済するなど、分割払いの提案をして協議すれば、条件によっては債権者に応じてもらえる可能性があります。
分割払いの内容
分割払いは、あまりにも少額ずつだと債権者も応じてくれないでしょうし、長期間になり過ぎても応じてくれないと考えられます。
1年~2年、長くても3年程度に収まる分割払いの提案をした方がまとまりやすいと考えられます。
ただ、具体的に収入や資産などの事情を説明し、どうしても3年以上になってしまうことを説明すれば受け入れてくれる可能性はあります。
なお、債務者本人が個人再生をしたことで、負債が減額されたとはいっても一定割合は残っていて、債権者は債務者本人からその分の支払いを受ける前提で個人再生の手続きは進んでいます。
そこで、保証人の支払う金額については、債務者が個人再生で定められた分割払いを計画どおり履行している場合には、債務者の支払い額については保証人において支払う必要がないものとして計算することも十分合理的です。
債務者が再生計画で負担すべき分も支払った場合には債務者に請求できる
仮に、債務者の再生計画で定めた金額についても保証人が代りに支払った場合には、その分については、今度は保証人から債務者に対して請求できることになります。
例えば、債権者A社への負債が300万円あり、債務者の再生計画で100万円に減額されたものの、保証人にはA社から300万円の一括請求が来た場合で考えてみます。
このとき、保証人としては、すぐに200万円を返済するから、債務者が再生計画どおりに返済をしている限り100万円の返済は待って欲しいという提案をしたとして、債権者が応じてくれるかもしれません。
一方、応じてくれなかった場合でも、債務者が再生計画どおりに100万円のうち50万円を返済していて、保証人が負債の残額250万円全額を債権者に支払ったとすれば、そのうち50万円については、保証人から債務者本人に対して請求をすることができるということです。
返済が難しい場合には保証人も債務整理を検討
しかし、分割払いでも支払いが厳しい場合や、債権者が分割払いに応じてくれない場合には、保証人も債務整理を検討せざるを得なくなります。
基本的には、任意整理・個人再生・破産のどれかを検討していくことになります。
それぞれの手続きの特徴やメリット・デメリット、自分の収入や資産によって適切な手続きは変わってきます。
ここは弁護士などの専門家へ相談して検討してみてください。
>>【関連記事】債務整理の種類4つとそれぞれのメリット・デメリットを弁護士が解説
保証人に迷惑をかけたくないなら個人再生はやめるべき?どんな方法がおすすめ?
このように、個人再生をすると、保証人には少なからず迷惑がかかることになります。
保証人がついている債権を隠したまま個人再生や破産をすることはできません。
どうしても保証人に迷惑をかけたくない場合には、個人再生や破産という手続きを取らないということも考えなければなりません。
任意整理であれば、対象とする債権を選んで手続きをすることができるので、保証債務がついている債権を除外して手続きを取るということが考えられます。
>>【関連記事】任意整理とは?どんなメリット・デメリットがある?弁護士が解説
個人再生をしたら今後自分が保証人・連帯保証人になることはできない?
個人再生をすると、上記のとおり、信用情報に登録されて、5年~10年程の間、借入れなどが制限されます。
一般的に、誰かの借入れに関する保証人の審査では、この信用情報が参照されて審査されることになるため、5年~10年程は、誰かの保証人・連帯保証人になることはできないと考えておいた方が良いでしょう。
ただ、いずれにせよ、誰かの借金について保証人になるということは、債務者本人に何かあれば保証人に一括請求が来るというリスクを抱える行為です。
個人再生をした上で、さらに誰かの保証人となるというのは、より慎重に検討しなければなりません。
子どもにお金が必要なときに保証人になってあげたいという場合もあるかもしれませんが、最近では機関保証といって、保証料を支払うことにより、保証機関や保証会社が保証人になってくれる制度も広まっています。
せっかく個人再生をしたのに、また保証人としての負債をかかえてまた債務整理が必要となるような事態にならないよう、このような保証制度を使ってみることを検討してみるべきでしょう。
個人再生で分からないことがあれば弁護士への相談がおすすめ
個人再生の手続きは、集める書類や作成する必要書類などが多くあり、また専門知識が必要となることが多いため、基本的には弁護士を代理人として申立てをすることになると思います。
また、申立ての準備の段階で、弁護士費用がかかることも避けられないので、支払いが厳しいと思ってからできるだけ早いタイミングで相談をしていただくことで、支払いをストップすると同時に受任通知を債権者に送付して取立てを止め、弁護士費用の準備がしやすくなり、スムーズに手続きを進めやすくなります。
個人再生については、基本的に全ての債権の免責を得ようとする破産と比べても複雑で、よく分からない部分が多いと思いますので、まずは自分が話しやすそうな弁護士に相談してみることをおすすめします。
村木弁護士からのメッセージ
個人再生などの債務整理をすると、保証人には少なからず影響を与えます。
とはいえ、借金の返済が苦しければ、そのまま放置することは望ましくありません。
保証人に迷惑をかけることは絶対に嫌だということであれば、任意整理を検討することになりますが、それでは解決にならない場合には、個人再生や破産を検討すべきです。
保証人についても、債権者との協議によっては分割払いなどで返済すればよいことになる可能性も十分ありますので、まずは一度弁護士に相談してみて、取った方がいい債務整理の手段を確認し、保証人の方への配慮が必要なのかどうかというところから確認してみていただければいいと思います。