任意整理の支払いが数日遅れてしまったら?数ヶ月延滞した場合も含め対処法を弁護士が解説
任意整理(債務整理)の支払いが数日遅れてしまった場合、各債権者ごとに異なりますが、数日程度であれば信用情報にキズがつくことはないと考えられます。しかし、数ヶ月単位で滞納してしまうと、債権者から督促の連絡が届いたり、債務残高が一括請求されるリスク等があります。そのため、支払いが遅れそうだとわかった時点で、債権者へ連絡を入れておくことが賢明です。今回の記事では、任意整理の支払いが遅れてしまった場合にどうなるかやその対処法、任意整理で和解したもののその支払いができなくなってしまった場合の対処法等を弁護士がわかりやすく解説します。

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任意整理(債務整理)の支払いが数日遅れてしまったらどうなる?(遅延)
任意整理(債務整理)をして、分割で支払うことが決まったけれど、決まった支払日から遅れてしまった、ということは、起こりうることです。
その場合にどうなるのか、説明していきます。
信用情報にさらにキズがつくことはある?
支払いが遅れてしまった場合に、信用情報にキズがつく(遅延等の記載がのる)ということはあるでしょうか。
おそらく、数日程度であればキズはつかないと思われます。
貸主が、信用情報機関に連絡をする必要があるので、数日程度であれば連絡はしないものと考えられます。
ただ、連絡の運用については各債権者ごとに異なるので、絶対とはいえません。
任意整理(債務整理)の支払いが数ヶ月単位で遅れてしまったらどうなる?
次に、任意整理の支払いが数ヶ月単位で遅れてしまった場合にどうなるのかについて、具体的に解説します。
1ヶ月後:督促の連絡が届く
支払いが1か月遅れると、督促の連絡が、電話や郵便で届きます。
場合によっては、任意整理(債務整理)を依頼した弁護士宛に連絡が届き、弁護士からご本人に連絡が行く場合もあります。
2〜3ヶ月後(延滞):債務残高が一括請求される・遅延損害金が発生する
各債権者ごとに異なりますが、遅滞が月単位で遅れ、全く支払いがない場合は、債務の残額を一括請求されます。
これを期限の利益喪失と言います。
遅延損害金も発生しているので、その分の支払いも求められることが考えられます。
一括請求も無視した場合は裁判へ移行する場合も
上記のように期限の利益を喪失して一括請求がされた場合、その後連絡をしなかった場合や、連絡をしても結局支払を怠った場合は、債権者は裁判を提訴してきます。
金額により、簡易裁判所か地方裁判所に提訴されます。
任意整理(債務整理)後に支払いが数日遅れそうな場合の適切な対処法
支払いが数日遅れそうな場合は、事前に債権者に連絡をしておくべきです。
数日であれば遅延損害金もつかないことがあります。
また、約束した日時に支払えれば、その後の支払いも継続して行うことができます。
任意整理(債務整理)後に支払いが数ヶ月遅れそうな場合の適切な対処法
支払いが数ヶ月遅れそうな場合も、まずは債権者に連絡するのが大切です。
債権者も、裁判をして回収できないよりも、数ヶ月遅れでも回収できるほうが利益になるからです。
数ヶ月払わない、又は数ヶ月は低額のみ払って、その後は月々約束した金額の支払いに戻すということが合意できる場合もあります。
任意整理(債務整理)で和解したものの今後の支払いの見込みが立たなくなった場合は?
任意整理で和解をして毎月支払いを続けていても、コロナが原因で失業をしたり、大幅な給与カット等があり、今後の支払いの見込みが立たないケースもあるかと思います。
そのような仕方のない原因も含め、今後の支払いの見込みが立たない場合には、どのように対処していくのが良いのでしょうか?
条件を変えて債権者と再和解する
支払う金額を変更したり、支払い回数を変更するなどして、債権者と再和解する方法があります。
債権者も回収できるほうがベターなので、全く交渉に応じないということはないと思います。
複数社から借り入れがある場合には他社の任意整理を検討する
複数社から借入がある場合で、まだ任意整理をしていない債権者があるのであれば、その任意整理を検討する方法もあります。
弁護士に依頼して任意整理をする場合、弁護士が受任してから和解するまでの間に、数ヶ月かかりますが、その間は支払いが止まります。この数ヶ月の間に、現在遅滞している債権者に対して返済をする余裕ができることもあります。
また、全ての債権者と任意整理することで、総支払額が下がるために、支払いが容易になる場合もあります。
個人再生に切り替える
任意整理をすると将来利息はカットすることはできますが、元本を減額することはほぼ不可能です。
この点、「個人再生」という法が定めた手続をとると、債務の全額をおよそ5分の1(又は100万円)若しくは持っている財産の総額まで減額できます。
これを3年から5年間の間で支払うことになります。
個人再生は裁判所に申立てて、裁判所から許可をもらう手続きですが、後述する自己破産と異なるのは、持っている財産は手放す必要がないことと、住宅ローンについてはそのまま支払いを継続することが可能ということです。
支払う意思もあり、継続的な収入もあるが、どうしても毎月の支払額が高額すぎて難しいというような場合は、個人再生に切り替えることも一つの方法です。
自己破産に切り替える
他の方法としては、債務の支払いが免除される自己破産手続きに切り替えるという方法があります。
持ち家もなく、高額な財産もない場合は、自己破産をするデメリットが少ないので、思い切って自己破産を申立てることもあるでしょう。
自己破産については、色々と不安をもたれる方が多いと思いますが、生活再建のために法が認めている手続きです。弁護士に不安なことは相談しながら、決めていくのが良いと思います。
任意整理(債務整理)の支払いが遅れ、弁護士費用も支払えなくなった場合どうなる?
任意整理の支払いが遅れて、弁護士費用も支払えない場合は、そもそもなぜそのような状況になったのかを確認すべきです。
債務整理については無料で相談を受けている弁護士事務所もありますので、無料相談を利用して、弁護士と一緒に考える事も可能です。
支払えない、という場合に基本的にとる手続きは自己破産手続きになりますが、自己破産を弁護士に依頼するにも費用が必要です。
毎月収入があるが支出が多くて費用が貯まらない場合は、返済を一時的にストップして費用を分割で貯めて行く方法が考えられます。
また、収入が一定額以下の場合は、法テラスを利用して弁護士費用をまかなうことも可能です。
任意整理(債務整理)の支払いが遅れそうな場合にはまず弁護士へ相談しましょう
支払いが遅れそうだったり、貯まってきて難しい場合は、まず弁護士に相談してみてください。
借金はなんとかなります。
「放置する」ことが一番してはならない方法です。
弁護士に相談してみてください。
伊奈弁護士からのメッセージ
任意整理をしても、返済することは大変なことです。毎月決まった金額を決まった日までに支払うというのは、簡単ではありません。
だからこそ、無理のない方法を模索していただきたいと思っています。
小さなことでもいいですし、不安なことでもいいので、まずはお気軽に弁護士に相談していただければと思います。