離婚にまつわる「慰謝料」と「養育費」について解説します!
離婚を具体的に考えるときに必ず悩むのが離婚の「慰謝料」と「養育費」に関連した問題です。この記事では離婚にまつわるこの2つの問題について重要な点をまとめていきます。

【離婚の慰謝料・養育費】離婚で問題になるお金とは?

そのなかでとりわけ皆さんの関心が高いのは離婚の「慰謝料」と「養育費」の2つでしょう。したがってこの二点に関して本記事では集中的に解説していきます!
- 離婚を考えている人
- 離婚の慰謝料について知りたい人
- 離婚後の養育費について知りたい人
【離婚の慰謝料・養育費】そもそも慰謝料とは?

最初に慰謝料という賠償方法がどのように法的に基礎付けられているのかを確認します。
次に支払う人は誰になるのかを確認し、最後に具体的な請求方法を紹介します。
離婚の慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償
損害賠償に関する法的な根拠は民法709条に見出すことが出来ます。
「第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
条文のようにある人の行為によって他者の権利や利益が損なわれた場合、行為者はこの埋め合わせをしなければならないのです。
さらに後続する条文には以下のようにあります。
「第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。 」
「離婚」に関連させて考えると、精神的な苦痛が損害賠償請求の「損害」として考えられます。
離婚慰謝料と離婚原因慰謝料
- 離婚自体によって生じる苦痛を賠償するもの
- 離婚の原因によって生じる苦痛を賠償するもの
前者は「離婚慰謝料」とよばれ、後者が「離婚原因慰謝料」と呼ばれます。
前者の離婚それ自体から生じる苦痛は場合によっては当事者間で合意相殺される可能性もあるのですが、後者の離婚原因による精神的苦痛は、後述の「有責者」に同定されますので、離婚の場合には後者の話し合いが中心になることが多いといえます。
離婚の慰謝料の請求には時効がある
損害賠償は被害の自覚や加害者の認知から3年間請求されずに放置されると時効とみなされます。
また行為自体から20年経った場合も請求権が消滅します。
このことは民法724条に記載されています。
離婚の慰謝料の時効について詳しく知りたい人は離婚の慰謝料の時効とは?離婚の慰謝料の時効期間と進行を止める方法も合わせてご覧ください。
第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
【離婚の慰謝料・養育費】離婚の慰謝料は誰が払うもの?

- 離婚の原因になった人が支払う
- 家族にも請求可能
- どちらにも責任がある場合は、慰謝料を決定後相殺される
という3点に基づいて支払う人を決定します。
それぞれの詳細を本項で説明しますので、「離婚時の慰謝料を誰が払うのか詳しく知りたい」という方は参考にしてみてください。
離婚の慰謝料は誰が払う?(1) 離婚の原因になった人=有責者が払う
確かに諸事情によって男性から女性への確率が高いのは事実です。
離婚の慰謝料は誰が払う?(2) 配偶者の家族にも請求可能
離婚の慰謝料は誰が払う?(3) どちらにも責任がある場合は?
【離婚の慰謝料・養育費】浮気相手にも慰謝料請求できる?

この場合気になるのは浮気相手の責任です。
離婚の原因が相手の浮気だった場合、その浮気相手にも慰謝料が請求できるか気になりますよね。
浮気相手への請求は
- 基本的には請求可能
- 「浮気だと知らなかった」場合は請求不可
- 夫婦関係が既に破綻していた場合は請求不可
と、状況によって分かれます。
本項で詳しく確認してみましょう。
基本的には請求できる
基本的にこの問いには「YES」と答えられます。
浮気相手も離婚原因を構成しており、被害者に対して精神的な苦痛を生み出したといえますので、有責者といえるでしょう。
以下では具体的なケースに応じて考えていきましょう。
既婚者だと知らなかった場合は?
例えば、未婚者であると偽られていた場合や、離婚が済んでいるといわれていた場合などが考えられます。
このように謝料相手が既婚者であると知らなかった場合は慰謝料を請求することができません。
夫婦関係が既に破綻していた場合は請求できない
【実例をもとに実際にかかった慰謝料を解説】

「慰謝料の流れについてはわかったけど、具体的に慰謝料がいくら貰えるのか・支払わなければならないのか知りたい」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本項では実際にどれくらい慰謝料がかかるのか、実例を用いて説明します。
浮気による離婚:浮気期間が1年の場合で300万円
離婚の原因:夫(47歳)、浮気相手(27歳)
請求した慰謝料:夫に200万円・浮気相手に100万円
※実際には夫が300万円全てを支払いました。
こちらのケースでは浮気相手も浮気と認識した状態で関係を続けていたため、浮気相手への請求も成立しています。
この他にも養育費として子供1人につき4万円(22歳まで)、共有名義だった家と土地を離婚の財産分与という名目で妻の所有物に変更されました。
暴力による離婚:暴力の程度によるが、50万~300万円が相場
暴力による離婚は受けた暴力程度にもよるため、相場は50万円~300万円と開きが大きいです。
暴力の具体的な内容や頻度、負った傷害の結果などが判断の要素とされているようです。
【離婚の慰謝料・養育費】養育費とは?

離婚時の養育費について(1) 子供の扶養は親の義務
一部の人は親権を放棄すれば養育費を支払う必要がないと勘違いしていますが、養育費と親権者であるか否かは関係ありません。
離婚時の養育費について(2) 慰謝料とは全く別の問題
たとえ慰謝料の支払いを免れた場合でも離婚後の養育費の義務は全く別の問題として存在しているのです。
離婚時の養育費について(3) 子供が成人した後も請求できる?
養育費が支払われるのは「子供が扶養を必要としなくなるまで」と考えられています。
子育て費用に関しては、子供が公立校に進学するか私立高に進学するかで大きく変わりますので、金額設定は綿密に行いましょう。
【年齢別:子供の学習費総額】
子供の年齢 |
公立校の場合 |
私立校の場合 |
4歳(年中) |
年間212,400円 |
年間438,832円 |
10歳(小学4年) |
年間310,908円 |
年間1,464,090円 |
14歳(中学2年) |
年間392,774円 |
年間1,156,873円 |
17歳(高校2年) |
年間471,549円 |
年間976,188円 |
【離婚の慰謝料・養育費】離婚後に養育費を払うことの義務について

親に【金銭的余裕のない】場合でも支払いの義務がある
養育費の扶養義務は「余裕がある場合に扶養する」という性質のものではないからです。
扶養義務の性質
親子の扶養義務関係と夫婦の扶養義務関係は、どちらも家庭の維持・存立において欠くことのできないものです。
このような義務を生活保持義務といいます。
一方、親戚などの血族関係にある複数の過程が助け合うことは生活扶助義務として法的に定められています。
生活保持義務は非常に厳格な義務で、自分の生活に余裕がなくても同程度の生活水準の保持をしなければいけないものです。
対して生活扶助義務は扶助をするだけの余裕があるときにのみ扶助の義務が生じます。
【離婚の慰謝料・養育費】養育費の請求方法・決め方

離婚時の養育費の決め方(1) 年収やこれからかかる費用などを総合的に考え、協議
考慮に入れられることはお互いの年収規模や生活にかかる費用、今後の教育に必要となる費用など様々です。
離婚時の養育費の決め方(2) 具体的な算出方法
離婚時の養育費の決め方(3) 最終的には家庭裁判所が決定
もし協議で養育費が決まらなければ、家庭裁判に養育費請求調停を申し立てることもできます。
この調停によっても決まらない場合には、引き続き裁判により必要な審理が行われた上、家庭裁判所よって結論が示されます。
【実例に基づいて受け取れる養育費を概算で出してみる】
上に紹介した「養育費・婚姻費用算定表」に基づいて、7歳と10歳の子2人かかる養育費の相場を確認してみると以下のようになります。表をご覧になりながら手順を確認するとわかりやすいです。
- 妻は給与所得者であり、前年度の源泉徴収票上の支払金額は、202万8000円でした。
- 夫は給与所得者であり、前年度の源泉徴収票上の支払金額は、715万2000円でした。
- 子は、2人で7歳と10歳ですから、養育費の9枚の表の中から、表3「子 2 人表(第1子及び第2子0~14歳) 」を選択します。
- 妻の年収。表の横軸上の「給与」の欄には「200」と「225」 がありますが、妻の年収が「200」に近いことから、「200」を基準にします。
- 夫の年収。表の縦軸上の「給与」の欄には「700」と「725」 がありますが、夫の年収が「725」に近いことから、「725」を基準にします。
- 横軸の「200」の欄を上にのばした線と、縦軸の「725」の欄を右にのばした線の交差する欄は「8~10万円」の枠内となっています。
- 標準的な養育費はこの額の枠内にあり、当事者の協議では、その間の額で定めることになります。
- 仮に8万円とした場合には、子1人当たりの額は、子2人の年齢がいずれも0から14歳であるので、指数は55であり同じですから、2分の1の各4万円となります。
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ここまで離婚に関係する大きな費用として離婚の慰謝料・養育費に関してまとめてきました。