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「業務命令」は正当な理由なら拒否できる。基準や注意点を解説

違法な営業や、飲み会の準備、最近はTiktokでのダンス投稿など、会社ではさまざまな「拒否したくなる命令」があるものです。会社は仕事だからと言えばなんでも命令することができるのか?そんなことはありません。この記事では労働者が拒否することができる業務命令と判断基準となる「正当な理由」について紹介します。

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業務命令とは

業務命令の拒否について考える上で知るべきは「業務命令とは何か?」でしょう。

業務命令とは使用者からされる業務を遂行するための命令で、そもそも会社が指示命令できる業務命令件なくして雇用契約は成り立ちません。一方で、労働者は使用者の指揮命令下で労働する代わりに賃金を得ることができます。

業務命令をする権利を業務命令権、賃金を請求する権利を賃金請求権と呼びます。

業務命令の範囲は?

業務命令は必ずしも、仕事に関することだけではありません。健康診断の受診など業務に必要なものにも及ぶでしょう。

業務命令は拒否できるのか?

労働者である以上、業務を遂行するための命令には従う義務があるものの「業務命令の名のもとに理不尽を強いられるのでは」という不安もあるでしょう。

しかし、いくら使用者や上司の命令でも正当な理由がなければ業務命令権の濫用、すなわち拒否できると考えられます。

ここではどのような理由で拒否できるのか紹介します。

コンプライアンスに違反する

コンプライアンスとは、法令遵守のことであり労働法を守るのはもちろんのこととして業務そのものが法律違反であることも許されません。

例えば、以下の業務命令は拒否できます

  • 営業に詐欺・恐喝をさせる
  • 経理に粉飾決算をさせる
  • ソフトウェアの違法ダウンロード
  • 景表法や薬機法違反の広告を作らせる
  • 法令の基準に満たない製品を作らせる

文面だけを見れば「このように犯罪とも言える命令をする企業はないだろう」と思われるでしょう。しかし、明らかな違法行為でなくとも「法律違反ギリギリを攻める」グレーゾーンの業務を命令される場合は考えられます。どうしても腑に落ちない、不安という状況なら弁護士へ相談するのが良いでしょう。

嫌がらせ・パワハラに該当する

社内いじめ、自己都合退職に仕向けるといった理由で業務遂行に必要ない命令をされる場合が考えられます。

  • 追い出し部屋で単純作業をさせる
  • 人格を否定するような研修を受けさせる
  • ただ従業員を辱めるための命令である

明らかな嫌がらせの場合、業務命令を拒否しても命令の正当化を図ることが考えられます。「おかしい」と思ったらすぐ弁護士へ相談してください。

不当解雇・退職勧奨には自ら応じないこと

嫌がらせに耐えきれず会社を辞めたくなることがあっても、自ら退職を申し出ることは控えましょう。解雇を言い渡された場合も同様です。

これは、退職の意思が有効と認められれば本来得られるはずだった権利を失ってしまう可能性があるからです。労働者としての権利を行使してから退職という順番で行いましょう。

合理性を欠く

嫌がらせかどうか、で争うことは思いの外簡単ではありません。相手が嫌がらせの意図を否定することが考えられるからです。また、嫌がらせの意図がなくとも「意味がないけど慣習だから」と続いている無意味な業務もあると思います。

そのような場合は使用者の意図を問わず合理性を欠くという理由で業務命令を拒否できます。

もちろん、業務自体にメリットがあっても労働者の負担が課題であれば同様に合理性を欠くとして拒否することが可能です。

SNSでダンスの投稿は正当な業務命令なのか?

最近はTwitterやTiktokに社員がダンスしている動画をアップロードする会社を見かけます。ネット上は「楽しそう」という声と「こんな会社に入りたくない」という声で賛否両論ですが、業務と関係なくダンスを強要された場合は拒否できると考えられます。

その一方で、宣伝や求人広報といった効果を期待した上で行う場合については正当な業務命令になる場合も考えられます。一概に「Tiktok投稿用のダンスをさせるのは業務違反」と言えないので注意しましょう。

業務命令を受け入れられないときは

業務命令は正当な理由があれば拒否できますが、その一方で違法だと思い込んで拒否した業務命令が正当であった…という場合も考えられます。そのため、即座に拒否する以外の選択肢も持っておきましょう。

上司と話し合う

業務命令に納得できない場合は、それを命令する理由と必要性をしっかり確認しましょう。あなたが納得できないことが必ずしも業務命令権の濫用とは限らないからです。

しかし、上司に尋ねづらい場合であれば最初から弁護士に相談することも良いと思われます。

正当な業務命令であっても、業務の価値を説明できなければ拒否するという意思を主張することがお勧めです。客観的な意見を交わすことによって業務改善がされることも期待されます。

正当な業務命令を拒否するとどうなる?

正当な業務命令を拒否することは、単に会社へ不利益を与えかねないため懲戒処分となる場合が考えられます。また、社内の人間関係や仕事の評価にも影響するため単純な「やりたくない」以上の理由が求められることはご理解ください。

雇用契約書の確認

そもそも契約した時に合意していない仕事を命令することは難しいです。今までと全く違う業務を命令される場合には、どのような契約内容であったか確認しましょう。

就業規則が根拠となる場合もあるので、そちらも確認しておくことが望ましいです。

弁護士へ相談

業務命令が違法かもしれないときは弁護士に相談することが望ましいです。やはり、どれだけ納得がいかなくても「違法かどうか」を判断してからでないとあらぬデメリットを被ることとなるからです。

また、労働問題の経験豊富な弁護士であれば業務命令を拒否した後に起きる法律問題へのリスクヘッジも考えてくれます。業務命令を拒否されたら制裁されそう…といった不安にはすぐに対処しましょう。

Point

違法な業務命令について、企業が命令した事実を否定することがあります。業務を頼まれただけでなくそれが命令であったことの証拠も用意してください。

まとめ

労働者は使用者の命令に従い労働することで賃金を得ます。しかし正当性の欠く命令まで従わなければいけないほど労使関係は強くありません。社員だからしょうがない、会社の命令は絶対だからと諦める前に不当な業務命令・パワハラは弁護士に相談してアドバイスをもらいましょう。

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