債務不履行があった場合の時効について〜頼んだ商品が届かない・・・!?〜

債務不履行があった場合の時効について
商品の引渡請求や損害賠償請求は、永遠にできるものではありません。
なぜなら、民法には時効(民法第166条)があるからです。
時効があるため、購入者は、一定の期間が経つと請求権を失ってしまうことになります。
それでは、時効がどのようなもので、時効期間がどのくらいあるのかについてみていきましょう。
時効とは何か

時効には、おおまかに分けて取得時効と消滅時効があります。また、商取引においては、商事時効というものもあります。
その他、短期消滅時効も存在します(民法第169条以下)。
取得時効(民法第162条)
取得時効は、物を長く占有している場合にその物の権利を取得することができるという制度です。
物を占有し始めたときに、その物が自分のものであると過失なく信じていたような場合には、10年間、その他の場合では20年間の物を占有が必要です。
消滅時効(民法第166条)
民法第166条は、権利を行使することができる時から一定期間が経過した場合に、権利者がその権利を失ってしまうというルールを定めたものです。
商品の引き渡し請求権や、代金請求権の場合の消滅時効は10年間です(民法第167条1項)。
商事時効(商法第522条)
権利が商行為によって発生した場合には、消滅時効期間は5年になります。
お店やインターネット通販で商品を買った場合は、この場合に当たり、消滅時効は5年となることが多いです。
どういう場合に時効にかかるのか

どういう場合に時効にかかり、商品の請求などができなくなってしまうのでしょうか。
今回は、消費者トラブルで問題になりうる消滅時効についてみていきます。
時効期間
権利を行使できるときから、商事時効の場合は5年、そうでない場合は10年間、商品の引渡請求権や損害賠償請求権を行使しなければ、時効が完成します。
引渡請求権の場合、特約がなければ、売買契約の成立の時から、引渡請求権を行使することができます。
時効の援用
時効は、援用しなければ効果が発生しません(民法第145条)。
援用は、援用の意思を相手に示すことによって行います。
時効の中断、時効の利益の放棄がないこと
時効の中断の例として、「承認」があります。
「承認」とは、自分に債務があることを相手が認めることをいいます。
商品の売買のような場合で、相手が「商品の引渡しを後日する」などと説明した場合には、時効は中断することになります。
時効の利益の放棄は、時効により利益を受ける人が時効を放棄する意思を表示することで成立します。
たとえば、お店から商品を買う契約を結び、商品が届かないまま6年が経過した後に、お店側が「商品は後日お渡しします」といった場合などです。
この場合に、お店側はその後に時効を主張することができません。
時効の効果

実際に時効が成立した場合にはどうなるのでしょうか。答えは非常にシンプルです。
売買の場合、商品を受け取ることができなくなる
時効により、商品の引渡しを受ける権利を失うため、購入者は商品の受け取りができなくなります。
損害賠償の請求もできなくなる
たとえば、商品が届かなかったことによって、購入者側に何か損害が発生したとしても、その損害の賠償を請求することができなくなります。
相手が代金を返還する必要もない
相手に支払った代金も、取り返すことはできなくなってしまいます。
債務不履行があった場合の時効について〜頼んだ商品が届かない・・・!?〜のまとめ

いかがだったでしょうか?
時効というと刑事事件のことを想定しがちですが、民事においても時効は存在します。
一見すると、時効は理不尽なルールに見えるかもしれませんが、何十年も前の知らない代金を請求される複雑な状態をなくすためには必要なルールといえます。
消滅時効は5年や10年と長く感じると思いますが、消滅するリスクをなるべく減らすため、債務不履行があった場合速やかに専門家に相談することをおすすめします。
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